せんくらブログをご覧の皆さま、こんにちは。
宮城県仙台市出身、津軽三味線奏者の浅野祥です。
2年ぶりの出演、とても嬉しいです!
年々勢いが増し、益々盛り上がりをみせる「せんくら」
今年もお目当てのコンサートが待ち遠しい!と今からワクワクしている方が多いのではないでしょうか。
このブログをご覧の皆さまの中には、津軽三味線や和の音楽に精通している方も、何となくは知っているけれど意外とよく分からないという方もいらっしゃると思います。
そもそも三味線のような3本弦楽器のルーツはイランのセタールだといわれています。よくインドのシタールと混同されやすいのですが、全くの別物です。シタールがシルクロードを渡って中国へ、さらに琉球貿易が盛んだった時代に沖縄へと伝わり三線(さんしん)が生まれます。三線が大阪京都の上方文化で現在の三味線の形となり、その後津軽地方へ伝わり津軽三味線が誕生するのです。
津軽三味線の歴史はまだ150年程度。弦楽器と打楽器の両要素を持ち合わせており、学術的にはリュート属です。
いわゆる和楽器と呼ばれる楽器や和の音楽は、もちろん日本で大きく発展を遂げましたが、元は世界各国の楽器や音楽の影響を強く受けているのです。これは何も音楽だけでなく、言葉や食、衣類や生活様式にも言えることですよね。
僕が思うに「和」というのは、足し算の和と同じで様々なものを包み込むもの。色々な文化を受け入れることこそが日本の文化を作ってきたのではないだろうかと思うのです。
今年のせんくらではこのことをテーマに掲げ、本来の和を感じていただくことに加え、僕が様々な音楽や楽器に影響を受けたことでできる表現を津軽三味線を通して皆さまにお届けしたいと思っています。
ぜひ会場でお会いいたしましょう!
ブログ最終日となりました!
今日は、今回コラボの公演のある、仙台出身の若き津軽三味線奏者、浅野祥くんについてお話します。
最年少チャンピオンでもある祥くんとはせんくらでは2年ぶりになりますが、我々スギテツのコラボの機会は本当に多く、東北でも、7 月に秋田でのスギテツのコンサートにゲスト出演していただくことになっています。
また、2011年より共同企画で、「チャリティ音楽実験室」というイベントを毎年3月11日前後に開催していまして、最初の数年は東京での開催だったのですが、最近では全国各地に広がり、今年は長崎の離島、壱岐で演奏をさせていただきました。
津軽三味線とヴァイオリンとピアノ…ちょっと異色な感じがする方も多いと思いますが、共演のきっかけとなった作品がありました。何年か前のブログでも紹介しましたが、改めてご紹介をいたします。
クラシックが隆盛を極めた時代は、日本で言うと江戸中期~明治時代くらい。古典派~ロマン派の多くの名曲が生まれたころ、この国は鎖国政策をとっていました。もしも、お国を統一されたのが徳川家康ではなく、伊達政宗さんだったら、その子孫も含め、西洋の文化も積極的に取り入れていたのではないでしょうか?
そんな「妄想」を起点にして、西洋音階でできているクラシックの名曲を、日本の伝統的な「和音階」にアレンジをしてみました。すると、摩訶不思議な世界観が生まれ、せっかくなら、和楽器とコラボしたい!ということになりました。
そんなこんなで、箏、尺八、笙などの奏者の方をゲストに迎えたアルバムを制作することになり、津軽三味線奏者として参加をしてくれたのが浅野祥くんだったのです。
ブラームスの名曲「ハンガリー舞曲第5番」を韻旋律に置き換えた「日本舞曲第5番」、バッハの名曲が、教会からお寺に演奏会場を移したような仕上がりとなった「仏よ、人の望みの喜びよ」、ヴァイオリンと津軽三味線の超絶技巧対決、パガニーニ「ラ・津軽じょんがネラ」etc…。
昨日ご紹介をした「スギテツブラボー!」にも参加をしていただき、この時はケテルビーの「ペルシャの市場にて」をアレンジした「津軽の市場にて」という作品でコラボしました。
2年ぶりとなる浅野さんとのせんくらですが、今年も和洋折衷なステージを、是非お楽しみいただければと思います!そうそう、ヴァイオリンと津軽三味線の「ものまね対決」も聴きどころですよ!
…ということで、3日間、お付き合いどうもありがとうございました。
皆様とせんくらのステージでお会いできることを楽しみにしています!
スギテツの杉浦がお届けいたしました!
ブログ2日目になりました!
昨日に引き続き、スギテツのピアノ&編曲担当の杉浦がお届けいたします。
スギテツのレパートリーは、昨日のブログでお伝えしたように、さまざまなクラシックの名曲の「パロディ」が原点ですが、相方のヴァイオリニスト岡田鉄平くんは、さまざまな環境音を楽器で表現できる、日本一の「ものまねヴァイオリニスト」でもあり、コンサートでは必ず「擬音コーナー」が設けられています。救急車やパトカーなどが定番ですが、中でも「鉄道」の音は秀逸で、“はやぶさ”と“こまち”の併結車両の白石蔵王通過音、仙山線の踏切など、これまた地元ネタを今までもせんくらのステージでお披露目してまいりました。
そんな鉄道ネタの集大成と言えるのが、仙台の方には馴染みが薄いと思いますが、4年前に50周年を迎えた東海道新幹線のトリビュートアルバムです。JR東海さんのバックアップを得て作ったアルバム「走れ!夢の超特急楽団」が、ありがたいことに第56回輝く!日本レコード大賞の企画賞もいただいたりもしました。
今年のせんくらでもそんな小ネタ満載でお届けする予定のスギテツのステージですが、9月29日、30日に各1回、両方とも素敵なコラボレーションがございます!
29日のステージで共演する、アコーディオニスト・かとうかなこさんは、日本では数少ないクロマティック・アコーディオンの名手。普通のアコーディオンは鍵盤がついているので、ピアニストの僕でもなんとなく演奏することはできるのですが、彼女が操る楽器はなんとボタン式!まったく太刀打ちできない楽器です。
かなこさんは関西在住で、10年くらい前にスギテツの大阪公演を観にきてくださったのが出会いでして、2年前にリリースした「スギテツブラボ−!」というアルバムに参加をしていただきました。
そのジャケットに描かれたかなこさんとスギテツ
このアルバムは、今年せんくらに初登場されるマリンバ奏者のSINSKEさんや、NHK「ピタゴラスイッチ」でお馴染みの栗コーダーカルテットさんなど、各曲でちょっと異色の組み合わせを試みたアルバムで、かなこさんとはドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」をカントリータッチにアレンジした作品に参加をしていただきました。
コラボのコーナーでは、クラシック、シャンソン、タンゴなど、アコーディオン、ヴァイオリン、ピアノのトリオならではのメニューでお届けしようと思っています。かなこさんの奏でる素晴らしいアコーディオンの音色を、ぜひ楽しんでください!あ、もちろん冗談クラシックもお付き合いしていただく予定ですので、こちらも乞うご期待!
ちなみに、かなこさんのソロのステージでも、私・杉浦がピアノでお手伝いをさせていただくことになっています。
明日は、2日目のステージのパートナー、浅野祥くんについて綴ってみたいと思います。
せんくらブログをご覧の皆様、こんにちは!
ヴァイオリンとピアノのデュオ、スギテツのピアノと作曲編曲担当の杉浦哲郎です。
僕達は「クラシックを遊ぶ音楽実験室」をテーマに、誰もが知っているクラシックの名曲をさまざまな音楽や環境音とマッシュアップ(=融合)させ、聴くだけでなく観て楽しいコンサート活動を全国各地でしています。
最近では、NHK Eテレの「おんがくブラボー」という小学生向けの教育番組にレギュラー出演をさせていただいていることから、学校でのコンサートのご依頼も多く、宮城でも過去に、仙台向山高等学校や名取市立みどり台中学校などで演奏させていただきました。
今年は10月に宮城広瀬高等学校にお招きいただいています。
そんなスギテツですが、初めての仙台でのコンサートは10年前で、「せんくら」に初めて参加させていただいたのが4年前。以降、毎年お招きいただいておりますので、今年で5年目になります。
以前もこのせんくらブログでも書かせていただきましたが、まだご覧いただいたことのない方のために、一体どんな音楽を奏でているのかと申しますと…そのルーツは、偉大なる作曲家ながら、冗談音楽の元祖とも言われるアマデウス・モーツァルトさんにあります!
バロック時代の曲をパロディにしていた話はとても有名ですが、その意志を勝手に受け継ぐべく… と言うよりは、お互いにお笑い好きだったことから、2人は意気投合し、このデュオを2004年に結成しました。
「アイネ・クライネ・3分クッキング」「犬のおまわりさんの運命」「剣のずいずいずっころばし」「美しき青きドナウ河のさざなみ殺人事件」etc…。
クラシックの名曲と色々な曲を混ぜ合わせた迷曲、珍曲の数々が、僕達のレパートリーです。
せんくらのステージでは毎年仙台にちなんだ作品も演奏していまして、もしもモーツァルトさんが八木山の某遊園地に遊びに行ったら、とか、過去に色々な作品をお披露目しました。
今年はどんな地元ネタにしようか、目下画策中です。
ぜひ、過去にご覧になったことのある方もそうでない方も、スギテツのステージへのご来場をお待ちしています!
さらに、ここ数年のせんくらでは素敵なコラボレーションが企画されていますが、明日はそんなコラボについて綴ってみたいと思います。
声はもって歩ける一生の財産です。
心とからだを元気にさせるのも、人の心を動かすのも、困難を乗り越えさせてくれるのも、声の力です。
水口式メソッドの著書を出したことがありますのでよかったら読んでみてください。
また喉にも良い美容法を紹介します。ドイツの高級保養地ではすっかり定番となったヨードエステ。少しの昆布から取ったエキスで肌を綺麗にするようです。
日本では昆布は至る所にあるものの値段はピンキリです。食べるわけではないので市場に行って安くて量のある昆布を買います。バスタブに湯を張り大きな乾燥昆布を入れます。20分程で昆布の乱舞?着物の帯のように大きくなり圧巻です。
エキスの効いた湯船に入るもよし帯のような昆布を手ぬぐいのように使うもよし日頃の乾燥肌を潤してくれます。喉にもいいですね。お試しあれ。
写真:著書『声の力で人生をもっとよくする』
風邪引かない健康法として、夕刊フジにインタビューを受けたことがあります。オペラ歌手にとって風邪は致命的です。次から次とレパートリー作りのためにヨーロッパを飛行機で飛びまわっていた時はなおさらです。
300ページほどのオペラスコアを暗譜して歌えるように練習します。これが一番ストレスです。20年程で40本のオペラの主役が身につきました。
だから風邪と付き合っている暇はないのが現状です。人間、裸で寝ては風邪をひいてしまいます。ところが実際は裸で寝るのがベストでした。何でも経験しないとわかりませんね。
それと平行して健康法はシルクの紅花染めの赤褌でした。最高です。
写真: 夕刊フジに掲載されたインタビュー記事
先日ドイツのザールブリュッケンにあるドイツ・ラジオフィルハーモニーの招待で、フランツ・レハール作曲のオーケストラ作品を演奏しました。
伝統あるこのオーケストラはフィンランドの指揮者ピエタリ・インキネンが現在シェフを務め、以前にはチョン・ミョンフン、マルチェッロ・ヴィオッティ等がシェフを務めていました。会場は山の高台に位置し、城跡に作られた素晴らしい景観と自然に囲まれています。
その翌日はルクセンブルクでした。中世の建物の中にあるホールでしたが、街の景観を損なわない上手い作りです。
世界中各地で演奏しましたが、やはりこの2つのホールのように景観の良いところでは、演奏も上手くいきますね。
私はこれまでにミラノ国際コンクールにおいてバリトンで1位、テノールに転向後トライアン・グロサベスク国際声楽コンクールで1位を獲得しました。また、ヨーロッパ各地の歌劇場で主要な役でオペラに出演し、アルフレード・クラウス、レオ・ヌッチ等の偉大な歌手と共演してきました。こうして得た歌手としてのこれらの経験を、この機会に披露できる事をとても楽しみにしています。
ザールブリュッケンのドイツ・ラジオフィルハーモニー管弦楽団との演奏会(2018年3月)
作曲家・藤倉大さんに2014年に書いていただいたギター曲《チャンス・モンスーン》。
イギリス在住の藤倉さんとは曲の構想を練る段階から、スカイプを使って打ち合わせを繰り返してきました。
藤倉さんがあるフレーズを書き上げるとそれをテレビ電話を通じて僕が実演し、その響きを受けてまた藤倉さんが作曲して…。
そんなやり取りを重ね出来上がったこの曲には、トレモロからアルペジオ、ラスギヤード、そしてハーモニクスに至るまで、クラシックギターの様々な奏法がふんだんに盛り込まれております。
一つ一つの奏法は、これまでのギター作品の中で既に使い尽くされ、ある意味では“枯れ”つつあるようにも見えるそれらの技術に、藤倉さんが新しい息吹を与えてくれました。そして、それによってクラシックギターという楽器そのものの未来にも、新しい可能性をまた一つ、感じることが出来たというのが僕にとってはとても大きな収穫でした。
9月30日土曜日のギターソロコンサートでは、《チャンス・モンスーン》の他、僕自身が作曲したトレモロ曲《虹》、そしてJ.S.バッハが残した「無伴奏バイオリンの為のパルティータ第2番」より最終楽章《シャコンヌ》を原典譜を元に演奏いたします。
会場で皆様とお目にかかれる日を今からとても楽しみにしております。
いよいよ西本担当のブログも最終回でございます!
まずは、まだ紹介していない2公演(66、83)についてご紹介いたします。
両公演とも最終日10月1日です。
タイトルの通り、オーケストラの魅力をほんのスプーンのひと掬いくらいお届けしちゃうという企画です。
今年の企画を色々考えているうちに、現在コンサートマスターとして活動しているからこその企画を考えてみたかったのが、今回のコンサートに結び付きました。
西本が一人のコンサートマスターと一人のヴァイオリニストとして、両方からの視点でオーケストラの名曲をお届けします。オーケストラが好きな方にはヴァイオリンの魅力を、ヴァイオリンが好きな方にはオーケストラの魅力をお伝えできればこの企画は大成功かもしれません。
オーケストラにも名曲というのは星の数ほど存在していると思いますが、ヴァイオリニストとしてオーケストラでその曲を演奏できる機会というのは意外とそこまで多くはなく、運とタイミングにゆだねられる部分も多くあります。
名だたる大巨匠のヴァイオリニストたちも、その昔、オーケストラの名曲の旋律をこよなく愛し、ヴァイオリンとピアノ用に編曲をして、演奏しては悦び、それを聴いたお客様も、きっとオーケストラの魅力に惹かれたのではないかと僕は思っています。
様々な国と様々な時代のオーケストラの名曲をお届けする予定ですので、どうぞお楽しみに!
共演していただくピアニストは、リサイタルシリーズなどでもとてもお世話になっている山中さん。作曲家としても素晴らしく、ピアニストとしても個性あふれる音のきれいなピアニストです。彼とのアンサンブルにはいつも発見と喜びがあります!
さて、もう1つの公演は『Crossover 三楽士~戯れる音・あふれる音』。
こちらも、とても特徴的な公演になっています。
日頃から様々なジャンルに取り組む3人が、せんくらで一緒に演奏したらどうなっちゃうんだろうっていう企画です。
こちらのピアニストも同じく山中さんです!
そして、もう一人の共演者はバンドネオン奏者の三浦さん!!
彼とは昨年の11月に初めて共演させていただきました。ピアソラ『ブエノスアイレスの四季』をバンドネオンとヴァイオリンがコンチェルトソリストとなって、仙台フィルと演奏しました。それはそれは有意義な時間で、音楽に対しての情熱が心から溢れてくるのがわかる時間でした。
今回はそのご縁で、また共演のチャンスをいただきました。
内容としては、タンゴを中心に様々な音楽をお贈りします。
僕にとってタンゴの演奏はクラシックの演奏と感覚的にはそう離れておらず、同じ音楽としてとても親近感のある音楽ですが。三浦さんというタンゴのエキスパートにどのような刺激にふれられるのか、どのようなサウンドになるのかが楽しみでなりません。
さぁ、構成も考えず、ひたすらに思い付いたことや考えていることをマシンガンのように書き綴った3回のブログでした。(笑)
間もなく今年のせんくらもスタート!!
いつもふとした瞬間に思うこと、
コンサートは【作る人】【演じる人】【聴く人】それぞれの想いがどこかに集合して三位一体となれた時、ミラクルが起きる。
沢山の方々と音楽を介して沢山の喜びに満ち溢れた時間になりますように!!!!
(photobyosamu_sugihara)
many thanks,
以上、西本でした。
クラシックギタリストの村治奏一です。
今日はこの場をお借りして、「せんくら」でも使用する僕の楽器についてご紹介いたします。
ヘルマン・ハウザーII世(1959年製)
Hermann Hauser II
ハウザー家は、今現在は4世にあたるカトリン・ハウザーもギターの製作をしており、1882年生まれのヘルマン・ハウザーI世から100年以上続くドイツ・ギター製作の名家です。I世はかつてアンドレス・セゴビアも愛用していた時期がありました。
再来年に還暦を迎える僕のハウザーII世、実はせんくら公演のあと、大手術を予定しています。
施術箇所1つ目は、チューニングを司る「ペグ」。
オリジナルのペグ、出来ればこのまま使い続けたいところなのですが、60年前のものとあって、現代のペグに比べるとどうしても調弦の微妙な調整に難があるのです。当時と今ではペグの規格サイズが異なるため、一旦ペグを通すヘッドの穴を埋め、再び開けなおすという工程になります。
施術箇所2つ目「フレット」。
金属製のフレットも、長年弦と触れ合うことにより少しずつですが磨耗してしまいます。どれだけ調弦を正確に行っても、フレットの高さにバラつきがあれば押さえる場所によって音程が狂ってしまいますので、この度全てのフレットを新しいものに交換です。
施術箇所3つ目は、弦を結ぶ「駒」の穴。
クラシックギターの低音を司る4、5、6弦は、ナイロン繊維に、銀メッキした銅線を巻いた構造になっています。この為、弦交換の度にほんの僅かにですが、木材でできた駒の穴が擦れて、磨耗してしまうのです。15年くらい前に一度作り直していただいたのですが、そろそろ穴が再び広がってきてしまいました。
ハード面では色々と経年劣化が出てきた僕のハウザーII世ですが、そこから発せられる響きの面では年々、熟成が進んでおります。ハウザーII世の多くは、僕が見てきた限りでは、作りが頑丈で、その響きも”締まった”ものが多い印象なのですが、初代ハウザーが亡くなって間もない頃に作られたせいか、この楽器はI世の特徴を多く引き継いでいる気がします。すなわち非常に繊細な、華奢な作りで、しかしながら重厚な低音、高密度な中音、そして高い遠達性のある高音までどの音域をとっても隙がない印象です。
楽器によっては、といいますか、僕が愛用している別のとある若いギターは、楽器そのものの性格・個性が非常に強く、サウンドホールから出てくる響きと、僕が「こう弾きたい」と思うそれとに若干ズレがでるケースもあります。
しかしこの還暦間近のハウザーII世には僕のほぼどんな想いも、その通りに再現してくれる技量の高さと、懐の深さがあります。まだ10代だった頃からもう20年以上、この楽器を手放せずにいる理由はそこにあるのかも知れません。
ヘルマン・ハウザーII世の響き、どうぞお聴き逃しなく!