助川ブラザーズのアレンジの秘密とは?
それを今回はお話しします。
そもそも「サウンドオブミュージック」というテーマに、我々兄弟は特別な思い入れはありませんでした。決定した段階でまだ映画も見ていなかったくらいです。
有名な曲が多いし、人気があるみたいだから、とりあえずこれに決めちゃおう、というような軽い気持ちでした。

というよりもむしろ、僕個人としては「サウンドオブミュージック」という選択肢は全然ワクワクしませんでした。
あまりに安心、安全、王道のイメージが強すぎるし、よほどきちんと引き寄せないと、単にポピュラーな名曲を並べただけの安易なステージになってしまうと感じたのです。
とにかくまず重い腰を上げて映画本編を見ました。全く期待していなかったのですが、これが感動の嵐!今まで見なくてごめんなさい!と素直に自分の無知を反省しました。
そこで改めて気が付いたのは、この映画のテーマはけっこう重い、、という事です。
映画のラスト近くの部分に顕著ですが、これは戦争を扱った映画なのです。
そこからイメージが膨らんでいきました。

例えば今回のプログラムのメインになる「ドレミの歌」。
まず原曲にオシャレなコードを付け足して、それをブラジルの「マルシャ」というリズムで軽快に奏でます。
それがやがて、我々兄弟の大好きなファンクのリズムに発展して、ノリの良いアドリブを取ったりします。
でも、短い空白の後で、ドレミの歌が短調(マイナー)に変換され、不穏な空気感が漂よい始めます。
その緊迫した空気から一気に弟のコントラバスソロによるレクイエムに突入します。
重くて悲しい響きのバックで、私のギターがヘリコプターのプロペラのような音と爆撃音を出します。カオスです。
そのカオスが去った後、ギターのハーモニクスでドレミの歌の断片が奏でられます。
「僕、死んじゃったの?」そんな天国的な時間です、、、。

とその後にパットメセニー風コードストロークに乗って元気に出てくるのは、みんなの知ってる明るく楽しい「ドレミの歌」です。やっと戻ってきました!
、、、、、というようなわけで、そのような組曲風の展開になるまでには、何度も2人で音を出し、即興し、それを楽譜に起こし、追加と削除を繰り返しながら全体のバランスを整えてきたのでした。
長く時間のかかある作業でしたが、それだけに非常に面白いものになったと思っています。
全ての曲にそこまで手を入れたわけではありませんが、皆さんが良く知っている名曲がよりカッコ良く、心に響く仕上がりになっている事を願って、本番の日まで準備したいと思っています。
9月30日(金)13時半から、日立システムズホール仙台のパフォーマンス広場にて、お待ちしております!
助川ブラザーズ 助川太郎