震災後、予定していた演奏会は全てキャンセル、または延期となりました。
四日間の停電、十数日の断水、ガス復旧までにほぼ一ヶ月という状況下、ただ生きるために生きているような毎日でした。
音楽を仕事として一生携わるということに、初めて疑問を感じました。
何と役に立たないことをやっているのだろう。
全てがそろった平和な状態でないと、こんなに必要とされないものなのだろうか。
私には誰のことも助けることができない。
仙台市内の音楽ホールは4つだけ生き残り、他はしばらく使えない状態でした。
その貴重な4つのうちの一つを、私は自分の演奏会のために予約してありました。
しかし、その貴重な演奏の場をもっと多くの人とつながりに活かせないかと思い、急遽、「宮城学院女子大学音楽科OG有志によるチャリティコンサート」に変更し開催しました。
震災後の混乱の中、知り合いに片っ端から連絡したところ、合唱参加者として137名ものOGが出演を希望してくれました。
余震の中、皆で練習し、当日は会場全体が一つの思いでつながり、皆が涙した演奏会となりました。
このチャリティコンサート活動は、インターネットを通じて、遠く富山の方々の心ともつながり、富山の強力なスタッフたちにより、今年2月富山公演が実現しました。
宮城学院女子大学音楽科OG有志によるチャリティコンサートは今後も続いて行きます。
この11月には多賀城にて、来年2月には再び富山にて開催予定です。
音楽により多くの方々のあたたかな心とつながり、その思いは遠くまで届き、皆と音楽をすることができますことに、感謝しています。
髙橋麻子(ピアノ)