この度、6年振りに「せんくら」に出演させていただきます、若林顕です。
この素晴らしいフェスティヴァルに再び出演させていただくことができ、大変嬉しく光栄に思っています。
今日はブログ初日という事で、何を書こうかと考えましたが、自分はピアノ馬鹿なので、「ピアノ」のことを書こうと思います。
「大冒険」というと、皆様は「なんだろう?」と思われることと思いますが、「大冒険」とは、私の演奏活動全般のこと。リサイタル、コンチェルト、室内楽、全てコンサートの時は、いつもまるで大冒険に出かけていくような気持ちで舞台に上がりますので、コンサートは全て、私にとってはすなわち「大冒険」なのです。
その1~リサイタル
今年1月に、サントリーホール大ホールで再びリサイタルをしましたが、リサイタルで舞台に出ていく直前は、いつもとにかく「孤独」です。舞台裏は、オーケストラとの共演とは対照的に「シーン」として静寂そのもの。背筋が「ぶるっ」と寒気さえ走ります。
そんな極限緊張状態の中でいかに自分の意識を保ち、いかにベストを尽くせるか、が勝負です。そのために朝から晩まで研究し準備をしますが、舞台に出ていく瞬間は、まさに「大冒険」への船出の瞬間なのです。舞台に上がってからは、様々な瞬間が訪れます。一瞬の恐怖を始め、どんな障害物が来ようとも、日々の努力によって乗り越えていくしかありません・・。
「リサイタル」で私が一番理想とすることは、ピアノを一人で演奏しているのではなく、まるでピアノではない楽器、または何人かの人が演奏しているように聴こえるような音楽を奏でることですが、楽譜を隅から隅までくまなく、絶えず読み込み、探究する、それのみが大冒険を乗り越えられる唯一の武器、そして自分の理想に少しでも近づくことができる唯一の道。
それを信じて地味な努力、細かいことの積み重ねを続けるのみの毎日です。
この度、せんくら ではベートーヴェンとショパンを担当させていただきます。
ベートーヴェンのピアノソナタ第22番と第23番「熱情」。そしてガラコンサートではショパンの即興曲1番と4番「幻想即興曲」を、演奏させていただきます。全力投球あるのみ。
ぜひ皆様にご来場いただけましたら嬉しいです。
そして今日も、準備のために悩みながら練習を続けています・・。

photo : Wataru Mishida
若林顕(ピアノ)