すっかり他人に頼る事が定着してしまった僕のブログ、他の出演者は皆さんご自分で書かれているのに(伝田君以外)・・すみません。決して、仙台フィルが他人任せの集団というわけではありませんので。
さて、今日は東北電力で広報、地域交流を担当されている松本真理さんにお願いしました。仙台フィルは、年に数回、東北電力の主催コンサートとして、東北6県と新潟県の「名曲の夕べ」「親子コンサート」のシリーズに出演させて戴いております。それぞれのコンサートがその街の人たちにとって素敵な思い出となるよう、松本さん達スタッフが丁寧に準備をされていることは、コンサートの会場に着くと我々演奏者にもすぐにわかります。今回の【せんくら】を支える仙台市市民文化事業団にも同じ事が言えます。演奏以外の事を信頼できるスタッフに任せる事が出来る。とても有難いものです。
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はじめまして。松本真理と申します。よろしくお願いいたします。
仕事で、クラシックコンサート「名曲の夕べ」や、小中学校へ出向いて開催する「スクールコンサート」などを担当しており、仙台フィルさんとご一緒させていただいております。原田さんともそんなご縁で、今回のお話を頂きました。
音楽のお話、といっても、小学校の時に吹奏楽団でパーカッションを,中・高でフルートを担当していたものの、クラシックに精通しているわけでもない私が、このブログを書かせていただくのは役者不足かも・・・と思ったのですが、素人目線でいくつかの極私的エピソードを紹介させていただこうと思います。
クラシックに関する最も古い記憶は、幼い頃の日曜日の朝です。寝坊している父と兄をよそに、母と私とで遅めの朝食を頂くことがありました。そんな時に決まって流れていたのがクラシックでした。かかっていたのはバッハやヴィヴァルディ、モーツァルトなどが多かったように思います。まだ少しひんやりとした朝の、トーストと紅茶とクラシック。私にとって幸せな記憶の一つです。
小学生の頃,学校に仙台フィル(その頃は宮城フィルだったかも・・・)の方が来て,演奏してくださったことがありました。今担当している「スクールコンサート」に良く似た文化行事です。吹奏楽っ子にとっては,プロの演奏は憧れそのもの。自分が奏でる音とは全く違う、深味があるのに雑味がない、丸く透き通った音色にすっかり魅了されてしまいました。コンサートが終わってからも,みんなで奏者の方の後にくっついていって大騒ぎ・・・。あの時の渡り廊下の様子と,はにかんだような奏者の方の笑顔をありありと思い出します。
確か中学生の頃でした。音楽室の壁にも肖像写真が飾られている高名なフルート奏者、オーレル・ニコレさんが県民会館でコンサートをされるということで、友人が誘ってくれました。憧れのソリストの演奏を生で聴ける喜び。習いたての英語で手紙を書き、日本的な花をと濃紫のアイリスの花を買って行ったのですが、当時から要領の悪い私は本人に渡せず・・・。お客さまがみんな帰った会場でうろうろしていたところ、舞台を片付けていた係員の方が事情を聞いてくださり、「本人に渡してあげる」と言って預かってくださいました。その後、しばらくして、英語で書かれた手紙が私の元に届きました。差出人は、なんとオーレル・ニコレさんご自身!本当にびっくりしました。今でもその嬉しさを思い出します。
感激した私はその後、本気でフルートの練習に打ち込み、仙台フィルのジュニアオーケストラのオーディションに挑みました。・・・ところがあっさり落選。自らの才能の無さと現実の厳しさを思い知らされたのでした。
そんな私が十数年たった今,仙台フィルさんとご一緒に、「スクールコンサート」や「名曲の夕べ」を開催しているのですから、不思議ですよね。
コンサート会場に行くと,「あの日の自分」がどこかにいるような,この中の一人がまた十数年後,この仕事をしているかもしれない・・・という不思議な感慨があります。コンサートが終わって、頬を上気させて帰ってゆく子どもたちを見送るたび、心の中で「この感動を心のどこかに刻んで欲しい」、と祈らずにはいられません。「せんくら」も、子どもたちの心に感動の明かりを灯す、そんな機会になればいいな、と思います。
最後に、八木重吉さんの詩「素朴な琴」をご紹介します。
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りいだすだろう
音楽は,目に見えないけれどいつも身の回りにあって,そして人のからだや楽器と、ある瞬間不意に共鳴し、「美しさに耐えかねて」溢れ出すものなのではないでしょうか。
今年の仙台の秋が「せんくら」を通じて、美しさ溢れる秋になりますように・・・。
東北電力㈱広報・地域交流部 松本真理
仙台フィルハーモニー管弦楽団 http://www.sendaiphil.jp/