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SENCLA BLOG

ブログ

西本幸弘
2013.07.15

オーケストラと僕

こんにちは!!!
さぁ最終回です。

昨日まではみっちりけっこう真面目なことをたくさん書いていたので裏話やoffモード西本についてなど書いてみようかと。
オーケストラがコンサートで演奏を始める前までのことについて(’-’)♪
皆様に一曲目の第1音をお届けするまでにたくさんのドラマが舞台裏で起こっています。
先ずは、、
演奏会当日の最後の総練習【通称G.P.:ゲーペー】を終えて、メンバーは皆各々の時間へと一時解散します。
そのまま、譜面とにらめっこしながら最終調整する人、ごはんを食べに行く人、衣装に着替える人、etc…

ちなみに僕は、最終調整で追い込み練習や、他のパートのメンバーと音楽的な話をしていることが多いです。
その後はお腹がへってはコンサートはできぬので、腹ごしらえに行くのですが、、、
ここで個人的ポイント①!!
肉はなるべく食べない、辛すぎるものは食べない!!
肉を食べると消化を頑張りすぎて本番中に熱いのと、お腹に血が行って眠くなるということ。
辛いものも同じで熱くなってしまいます。
量的には腹7分目がいいところです(・ω・)

腹ごしらえを終えて、開演時間も近づいてくると、舞台裏にどんどんメンバーが集まってきます。
そこで皆着替え始めるのですが、、
ここでポイント②!!
僕は、いつも開演15分前くらいまで着替えません。
たぶん一番着替えの遅いメンバーの一人です(;・ω・)
あまり早く着替えると本番モードへのスイッチが早すぎるし、アガリ症の僕は緊張してしまいます。

さて、いよいよ舞台へ出ようではありませんか!!
舞台袖で待機するわけですが、僕は必ず出る直前にステージマネージャーに『行ってきます!!』と行って出掛けます。
コンサートスタートまでを支えてくれたスタッフに感謝と、後のステージ上のことは任せてねの一言です。

お客様の拍手に迎えられ、嬉しさと緊張を抱えて自分の席につくわけです。
さて、無事全員舞台に登り準備ができるといよいよチューニングです!
この瞬間が、コンマス・ニシモトが一番神経を使い、アンテナ感度100倍にし、緊張する時間です。

皆さんご存知『チューニング』は『ラ』の音を皆であわせます。
一見、単なる音合わせにも見えるのですが、実はたくさんのドラマが既に始まっているんですよ!!

ここでオーケストラのポイント!!!
いつも同じ『ラ』を出しているわけではありません。
オーケストラやコンサートマスターによって違うかもしれませんが、そのとき演奏する曲のことを考えながらのチューニングを心がけています。

明るい曲を演奏するときに暗い『ラ』は必要ありませんし、暗い曲なのに明るい『ラ』は必要ないのではないでしょうか。

また、例えばその日の天気や、ホールの湿度や気温のことも考えます。
今の季節は湿度が高いので、弦がのびやすいのでほんのちょっぴり高めにします。

そして、この瞬間の大事なmyポイントをもうひとつ!!
それは、『ラ』の音をならしながら、なるべくオーケストラメンバー全員と目をあわせるようにしています。
「これから演奏一緒に楽しみましょう」と、「よろしくお願いします」の挨拶代わりです。

メンバーの表情からもたくさんの気持ちを感じることもあります。
もちろん人間ですので、たまに体調の優れない人や調子が良くない人もいるのかもしれません
(これは僕視点で思うことです。)
そんな時には、笑顔と共に一緒に頑張れたらいいなぁのエールを送ります。

いよいよ準備が整うと、立礼をしてマエストロをステージに迎え入れます。
オーケストラメンバーの準備、お客様の様子が落ち着いたのを確認して、コンマス・ニシモトはマエストロに頷きます。

さぁいよいよコンサート開演です!!!
ぜひ、音楽が始まるまでの時間にもたまに意識を傾けていただいたり、舞台裏のドラマを想像していただけたりすると、オーケストラの違う面が楽しめるかもしれません。

それではenjoy the concert and see you soon♪
Ciao!!

西本幸弘
(ヴァイオリン/仙台フィルハーモニー管弦楽団・コンサートマスター)
※写真は先日ロシアのサンクトペテルブルクのホールでの本番前写真です。

西本幸弘
2013.07.14

楽譜に託されたドラマと想い

こんにちは!!!

さぁ今日は二日目です。
昨日はカンタービレについて書きましたが、今日はそのテーマに沿ったリサイタルプログラムについて書きたいと思います。
まずは、まさに『カンタービレ』という曲です。
作曲者は有名なヴァイオリニスト、パガニーニ。
19世紀前半に大活躍したイタリア人で、多岐にわたる逸話や伝説が残っている人です。

「悪魔に魂を売って天才的な技術を手に入れた(当時は、超人は悪魔との結び付きを疑われた)」、
「ヴァイオリンに張ってある4本の弦のうち3本に切り込みを入れて舞台に登場し、切り込みを入れた3本を弾き切り、残りの1本だけで超絶技巧の曲を弾ききった(本人の意図としたパフォーマンスのようです)」
などなど。

なかなかミステリアスな人ですね。

そんな彼も、本当に甘美で、思わず胸にキュンと来るメロディーばかりを創っています。
甘いメロディーをつくるシューベルトが惚れた音楽です。

彼は歌やオペラが大好きで、ロッシーニのオペラを題材にした曲がたくさん現代に残っています。
そして意外に知られていないのがパガニーニはギターもプロ級に上手くて、数年間ヴァイオリンを弾かずギターに勤(いそ)しんでいたそうです。

僕の予想では、きっとパガニーニはロマンチストで、ギターを演奏しながら甘いメロディーを創り、口ずさんでいたのだろうなと。。。

そんな時に出来たのが、この『カンタービレ』であってほしいと思います。

パガニーニの曲と言えば、技巧的な部分が前面に出てきてお客様を驚かすことはよくありますが、美しいメロディーで感動させることはなかなかありません。

『カンタービレ』はもちろん技巧的に難しい曲ですが、今回は美しいメロディーを意識して皆様にお届けできるといいなぁ

(^^)

次にもう一曲分くらいかきまーーす\(^^)
『椿姫幻想曲』
イタリア人の作曲家ヴェルディが作ったオペラ『椿姫』を元に、ヴァイオリンらしく華やかにアレンジ作曲された曲です。
作曲者はアラール。
フランス人で、『チゴイネルワイゼン』などを作曲して有名なサラサーテのヴァイオリンの先生です。

さて、オペラ『椿姫』のあらすじを知っていただけるとこの曲がより楽しくなるので以下に簡単に。。(^^)b

夜会で出会った高級娼婦のヴィオレッタと青年アルフレード。
憧れのヴィオレッタに、こんな享楽的な生活をやめるように諭(さと)す。
ヴィオレッタは、その真剣な愛に、生まれて初めて恋のときめきを覚える。

二人は、パリ郊外に一緒に暮らし始めるが、同棲することを快く思わないアルフレードの父ジェルモンは、息子や家名のために身を引いてくれるよう、ヴィオレッタに懇願する。
ヴィオレッタは、苦悩しつつもアルフレードの将来を思い、身を引く。
彼女に裏切られたと思い外国で過ごしていたアルフレードは、ヴィオレッタが胸の病に倒れたことを知り、急ぎ帰国する。しかし、時はすでに遅く、ヴィオレッタは、アルフレードの幸せを願いながら息絶えてしまう。

このような感じです!!

このオペラの中から有名な『乾杯の歌』をはじめとする美しく華やかな4曲をお届けします。

オペラを題材にした幻想曲は他にもたくさんありますが、一番有名なのは、なんといっても『カルメン幻想曲』
(今年11月の仙台フィル定期演奏会でソリストとして演奏予定です♪)。

もともと、このような曲が作られたのは100~200年前、当時はなかなか容易にオペラを観られる歌劇場が少なく、オペラの楽しみをコンサートでも楽しめるように、ヴァイオリン風にアレンジしたものと言われています。

当日は、ヴァイオリンの音色を魅力的な歌声のように、台詞や歌詞はつきませんが、少しでもオペラの魅力をお届けしたいです!!!

長々と楽曲について書いてしまいましたが、他のたくさんの名曲と共に演奏いたします。
コンサートの楽しみ方のひとつとして心の引き出しに留めていただけると幸いです。

さて、明日はオーケストラやニシモトのプチ裏事情など書こうかな(  ̄▽ ̄)

写真は椿姫が初演されたイタリアはヴェネチアのフェニーチェ歌劇場。
(昨年の夏にニシモトが実際に行ってとってきた写真です!)

Ciao♪
西本幸弘(ヴァイオリン)

西本幸弘
2013.07.13

Cantabile!


こんにちは!!
仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターの西本幸弘です。

昨年の10月に就任して以来、一年近く経ちました。
多くのコンサートで皆様とお会いしてきましたが・・・

いよいよ、『せんくら』に初登場です!!
とても楽しみにしていました。

今回は仙台フィルコンマスとしてオーケストラ演奏、ヴァイオリニスト西本幸弘としてリサイタルと盛りだくさんに皆様と共にコンサートをつくってまいります。

お祭り好きの僕にとっては、この『せんくら』はたまらない時間になること間違いなしです。
とにかく仙台市内のいたるところで、地元ゆかりの演奏家、世界中で活躍する音楽家が一同に介し、三日三晩常にコンサートが行われるというなんとも贅沢なものですね(^^)

さて、僕は10/4にイズミティにてリサイタルをさせていただくわけですがテーマは『カンタービレ』。

一時【のだめカンタービレ】という漫画が流行り、『カンタービレ』という言葉をお聞きになったことがある方が多いかもしれません。

この言葉はイタリア語で《cantabile》と書きます。
意味は[歌うように~]。
この言葉昔から大好きですo(^o^)o
歌を聞いたり、歌を歌ったりすることが好きな僕にとっては、楽譜にこの言葉を見つけると、気持ちを解放してくれる魔法の言葉なんです。

6才からはじめたヴァイオリン。
いつも先生には
「自分の口で歌うようにヴァイオリンを弾きなさい」
「どう弾いたらよいかわからないときは楽器で音を出す前に、歌ってみなさい」
と教えていただきました。

これって、とっても大事なことなんですよ!!!!
自分のイメージをもっとも身近な楽器〔体〕を使って再現できなければ、ヴァイオリンでできるはずがありません。

この意味通り、今回のコンサートではヴァイオリンでたーーーっぷりと歌いたいと思います!!! 《molto cantabile》

共演者は大学時からの演奏パートナー平山麻美さんです。
彼女も歌が大好きで、学生の頃、練習を一緒にしていて煮詰まってしまうと、よく二人で歌いました。(笑)

コンサートでは皆様もつい口ずさんで歌いたくなってしまうような名曲をお届けします。

明日はその名曲についてなども書いてみようと思います。

ではhave a nice day!!!
西本幸弘(ヴァイオリン)

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