
仙台を初めて訪れたのは2001年の5月のことでした。
初めて開催された第1回仙台国際音楽コンクールに参加するためです。
当時まだ25歳。
モスクワ音楽院を卒業して間もない頃でした。
モスクワからパリの予選を通過して仙台へ参りました。
初めて仙台駅のホームに降り立ったときの印象は「寒!」。
それに東京などに比べて人が少なく綺麗な都市だと思いました。
その時はまだ自分が将来この土地で生活するようになるとは思っていませんでした。
幼い頃から北国に憧れていました。
北国の自然には控えめな美しさがあります。
冬を迎えて白い粉雪が舞い始めると、しんしんと静かな時間が流れ出します。
だから北国では、音楽がより深く沁みて感じられるようです。
ロシアでも雪道を歩いてホールに着くと、そこで繰り広げられる色彩豊かな音の世界は癒しと感動とに溢れていました。
この東北・仙台でもやはり音楽が盛んです。
国際コンクールも音楽祭(せんくら)もあります。
今後とも益々音楽がより身近なものとなって、仙台から東北の気運が高まっていくことを願っています。
土田定克(ピアノ)