10月3日、せんくらで会いましょう!!  

2010.06.27| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

前述のようにエンタテイナーなわけですから、私たちは何でもこなさなければいけません。ウェストサイドストーリーの楽譜にはクラシック音楽では決して出会うことのない不可欠なテクニックが出てきます。ところが私はいくらやってもそれができない。スカッという音だけ。 そう・・・・それは、指をぱちんと鳴らすテクニックです!!

そのあたりのことは彼に説明して貰うと・・・
Je lui ai donc donné quelques cours pour cela…comment faire claquer ses doigts! Elle a très vite appris.Elle l’a tellement bien maîtrisé que, désormais, elle peut même faire claquer ses doigts pour me faire venir à table…
<訳:彼女に何度かそのテクニックのレッスンをしました。彼女はすぐにマスターしたのですが、あまりにもマスターしすぎて、今後このパチンひとつで僕を食卓に呼べるぐらいです・・・>

こら!

C’est tout le film qu’on revoit dans les Danses Symphoniques que nous vous proposons, du Mambo endiablé de la scène du bal (il faut que vous appreniez à crier “Mam-bo” au bon moment!), au “cha-cha-cha” léger que danse Maria dans sa chambre, du poétique “somewhere” à la Rumba de la mort. C’est une version qu’on a peu l’occasion d’écouter en “live” et c’est bien dommage. Puisque je suis “entertainer”, croyez mon boniment, c’est LE concert à ne pas rater!

<訳:さて、今回演奏させていただくシンフォニックダンスでは、舞踏シーンの狂ったように激しい“マンボー”(みなさん、適時にマンボー!!!と叫ぶことができるよう勉強しておいてくださいね!)から、マリアが自分の部屋で踊る軽い“チャチャチャ”まで、また詩的な“Somewhere(きっとどこかに)”から死のルンバまで、映画すべてにもう一度出会えます。“ライブ”で聴くことのできる非常に稀なバージョンです。
私たちが“エンタテイナー”である以上、私の“口上”を信じてください、絶対に逃してはならないコンサートですぞ!>
村田理夏子、Pascal Devoyonパスカル・ドゥヴァイヨン

 

私がまだ小さかった頃  

2010.06.26| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

Quand j’étais encore petit garçon, au siècle dernier (non cela ne fait pas 100 ans…) les sorties étaient rares. Aussi chacun des concerts, chacune des pièces de théâtre, chacun des films que j’ai pu visiter est resté graver dans ma mémoire. Mais parmi tous ces souvenirs, trois sont restés aussi nets que si c’était la semaine dernière. Blanche-Neige parce que la sorcière m’a fait horriblement peur (on était plus sensible à l’horreur dans ce temps-là…ou bien c’est moi?), Richter jouant les Préludes de Debussy Salle Pleyel, la découverte de ces pièces et des possibilités de couleur du piano fut une révélation, et puis le film “West Side Story” film culte de ma jeunesse. On était tous amoureux de Nathalie Wood, mais on a quand même tous pleuré à la mort de Tony! Elevé dans un milieu classique, la musique s’arrêtait pour moi à Mozart et Beethoven. A travers ce film j’ai commencé à aimer cette musique dont le rythme vous empoignait presque violemment et qui me faisait découvrir le monde inconnu du jazz. Depuis ce temps, je reste amoureux de Nathalie Wood et je ne peux pas m’empêcher de regretter que la fin ne permette pas à ce merveilleux couple de vivre heureux en ayant beaucoup d’enfants dans l’East Side…

前世紀、私がまだ小さかった頃(いいえ、100年にはなりませんよ・・・)外出は珍しいことでした。訪れることができたコンサートや劇、映画・・それら一つ一つが今も私の記憶に刻み込まれています。その中でも3つ、まるで先週のことのように特に鮮明に残っているものがあります。白雪姫、なぜって魔法使いが強烈に怖かったからです。(その時代はみな、もっと怖がりだったのです・・それとも僕だけかな?)それから、パリのプレイエルホールで聴いた、リヒテルのドビュッシー前奏曲。これらの作品との出会い、そしてピアノが持つ音色の可能性の発見は、私を目覚めさせました。そして映画<ウエストサイドストーリー>。私の青春時代を代表するカルト映画です。誰もがナタリーウッドに恋しながらも、トニーの死には皆、涙を流しました!クラシックの音楽環境で育ち、音楽は当時の私にとってモーツァルトやベートーベンで止まっていたのです。この映画を通して、激しいほどに私たちの心を鷲掴みにするリズムを持ったこの音楽が好きになり始め、ジャズという未知の世界を発見させてくれたのです。それからというもの、私はナタリーウッドにずっと恋し続け、映画のエンディングであの素晴らしいカップルがたくさんの子供に恵まれてイーストサイドで幸せに生きて行けていたら・・・と残念に思わずにはいられないのでした。
Pascal Devoyon パスカル・ドゥヴァイヨン

集中力?  

2010.06.25| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

私たちの2台ピアノ演奏会に欠かせない事の一つが譜めくりの存在です。彼らのタイミングが私たち演奏家のリズムにとても大切な影響を与えると言っても過言ではありません。それもあり私自身が譜めくりを担当するときはとても緊張して、全然演奏を聴く余裕すらない時もあります。(苦笑)

私はこれまでに2度、パートナーであるパスカル・ドゥヴァイヨンに譜めくりをしてもらったことがあります。それは私が室内楽を演奏していた時の事。音楽が徐々に盛り上がって来ると、何やら横からゴォォォっと地鳴りのような音がするではありませんか。何かと思えば、彼が

“むぅぅぅぅぅっ”

と唸り声をあげているのでした! 息は荒く体は揺れ、どうみても舞台上で一番目立っているのが彼という状態・・・。彼は自分が演奏する時、最初の音が始まった瞬間からたぐいまれなる集中力を発揮し音楽に没頭するのですが、なんと譜めくりでもその才能(?!)を発揮してしまうのです。

演奏会が終わってから、あのぉ、もう少し静かに座っててほしいんだけど・・・と告げると、唸り声をあげた事に全然気づいていなかった様子。

2度目の演奏会では少し反省したのか・・・今度はまるで

“地蔵”。

微動だにせず。こうなると、それはそれで

息ぐらい吸っていいんだから・・・

と気になって仕方がありません。とても両極端な彼でした。
譜めくりのみなさん、今年もよろしくお願いします!
村田理夏子

あの頃に返って・・・。

2010.06.24| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

“大きな古時計”という歌はみなさんご存知でしょう。大きなのっぽの古時計・・・と始まり、お爺さんと共に歩んできて、今は時を刻まなくなってしまった時計を歌うもの。全てを見てきた時計・・・。シンプルな詩に秘められた思いが、何とも心を打ちます。

私事ですが、つい先日ある友人たちと30年ぶりぐらいとなる再会を果たしました。まだ本当に幼かった頃、音楽教室で一緒に勉強(子供時分の私には遊びの気分だったかもしれません。)してきた仲間と先生です。久々に会った瞬間、あまりのブランクに一瞬の戸惑いがあったものの、今も残るあの面影に出会い、一気に懐かしい昔に戻りました。それぞれが、それぞれの思いを秘め、それぞれの道を歩んで来たことを実感し、その事への言葉にならない感動と、今の自分の音楽人生があるのはこの時が始まりだったんだな・・というあふれんばかりの感謝の気持ちがいりまじった、何とも言えない感覚を受けました。

情報にあふれ、何もかもが忙しく過ぎて行く世の中で、ふと足を止めて童心に返ることすらなく、ひたむきに進んできた気がします。

音楽は、時を超えて私たちの心を満たしてくれます。今回お届けする作品の中に、ラヴェルのマメールロワという作品があります。これはマザーグースのこと。Ravel自身が知り合いの子供のために書いたというこの作品には一寸法師、美女と野獣、眠れる森の美女・・・そんなみなさんが耳にした事のある童話がちりばめられています。

みなさん、ちょっとひととき時計を止めてRavelと共にあの頃に戻ってみませんか?
村田理夏子

あっぱれ音楽家?!  

2010.06.23| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

Sur mon iPhone j’ai un programme magnifique, un vrai dictionnaire qui donne les définitions de beaucoup de mots de la langue française avec des synonymes pour chaque mot, les conjugaisons des verbes, car il n’y a pas que pour les étrangers qu’elles sont difficiles, et même des citations célèbres comportant ces mots. Certain de trouver des réponses à toutes mes questions, je suis allé au mot “art”. Alors, c’est quoi ce mot mystérieux “art”, me demandai-je curieux. Une aptitude à faire quelque chose…mon amour propre commençait à souffrir! Les artistes ne sont donc pas spéciaux? Voyons “artiste” : personne qui interprète une oeuvre musicale, théâtrale ou cinématographique…bon, mais toujours rien sur la vie intérieure de l’artiste. Je suis donc allé directement à “musicien”…personne qui joue ou interprète de la musique! Enfin c’était mieux! Tout impatient je lis la suite : exemple, “musicien qui joue dans un bar”!!! …la citation de Stendhal m’a achevé : “il avait 200 gardes, des serviteurs, des chapelains et…des musiciens”. Il faut bien admettre que les musiciens avaient la dernière place, celle des clowns?! Mais c’est vrai que sur mon Visa, indispensable pour travailler au Japon, il est marqué “entertainer” (je vous jure!). Je vous invite donc à venir vous divertir à notre humble spectacle et nous dirons aux gardes de vous laisser passer!

私はiPhoneに素晴らしいプログラムを入れています。それは様々なフランス語の単語の定義が載っている本物の辞書です。それぞれに類義語や動詞の活用が付いていて(動詞の活用が難しいと感じるのは外国人だけではないんですよ)更にはその言葉を含んだ有名な文章の引用すら書いてあるのです。

私の疑問に全て答えてくれると確信して、”芸術”という言葉を調べてみました。この神秘的な”芸術”という言葉はいったい何なのか、好奇心をかきたてられたのです。

<ある事をするのに向いていること>とある。・・・僕のプライドが傷つき始めました!芸術家というのは、つまりそんなに特別ではないと・・・?”芸術家”という言葉をみてみましょう:<音楽作品や演劇あるいは映画作品を演じる人>・・・うーん、やはり芸術家の確信にせまるような記述はありません。今度は、ダイレクトに “音楽家”の項目に行ってみました。<音楽を演奏したり解釈したりする人>とあります!今回は良さそうだぞ!私は待ちきれず先に目を進めました。すると:<例えばバーで演奏する音楽家>!!!

Stendhal(著名な文学者)の言葉の引用が私にとどめを刺しました:<彼は200人の衛兵と召使いたち、司祭、そして・・・音楽家を率いていました。>音楽家が最後に位置していたということは認めなければいけません・・・道化役者のポジション?! 確かに、私が日本に入国する時に欠かせない就労ビザには、職種”エンタテイナー”と書かれています(本当ですって!!)という訳で、みなさんを私たちの些細な“演芸”にお招きさせていただきます。衛兵たちに道を開けるよう伝えますよ!
Pascal Devoyon パスカル・ドゥヴァイヨン

Bleu, bleu, bleu?  

2010.06.22| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

Bleu, bleu, bleu? Non ce n’est pas le drapeau français, ni la mer que nous avons déjà joué l’an dernier. En fait ce n’est pas bleu, c’est blue avec un léger accent New Yorkais qu’il faut dire! Le blue du blues, le blue de la fameuse rhapsodie de Gerschwin. Encore une de ces pièces que tout le monde connait, mais qu’on a toujours envie de réentendre avec son jazz tour à tour mélancolique ou fatigué, joyeux ou entraînant, drôle ou moqueur. La version à quatre mains que nous vous présenterons est superbement réalisée et retransmet fidèlement les moindres nuances de la partition originale. Il ne vous reste plus qu’à venir avec votre whisky (non fourni par la Direction) et tout sera prêt pour jouir des accords sensuels de la musique et vous replonger dans un jazz-club début XXème siècle.

Bleu, bleu, bleu?いいえ、フランスの国旗ではありませんよ。昨年演奏した”海”でもありません。(*bleuはフランス語で”青”という意味)実は”bleu”ではなく、軽いニューヨークなまりで発音した”blue”です!ブルースのブルー、あの有名なガーシュインのラプソディーの”blue”です。 憂いや疲労感、楽しさや陽気さ、滑稽さあるいは嘲笑が代わる代わる現れる彼のジャズは、 これまた誰もが知っているのに何度でも聴きたくなる作品の一つです。演奏させていただく連弾バージョンは、オリジナル譜のどんな小さなニュアンスをも忠実に再現し素晴らしく体現されています。あとは皆さんがウイスキー片手に(ディレクターからの提供はありませんよ)いらしていただければ、音楽の官能的な和音を味わい、20世紀初頭のジャズクラブに浸る準備はすべて完了です!
Pascal Devoyon パスカル・ドゥヴァイヨン

血が騒ぐ?!  

2010.06.21| パスカル・ドゥヴァイヨン & 村田理夏子

今、まさに話題といえば、サッカーのワールドカップ!!! 私たちの住むドイツはサッカーが
国技ということもあり、並みじゃない盛り上がりになっています。ドイツが勝った日には、喜びを抑えられない人々が、猛烈にクラクションを鳴らしながら車で飛ばします。私も大きな大会のサッカーになるほど俄然血が騒ぎ、テレビの前で大騒ぎをするタイプ・・・。応援するチームが点を入れた時には、ベランダに飛び出して一声あげることだってあります。(笑)

さて今年でせんくら2年生となる私たちのピアノデュオ。今年もみなさんと一緒に感動のひと時を分かち合いたいと、プログラム選びに念入りに時間をかけました。感動と喜び、そして楽しさにあふれた45分となること間違いなしです!!

2公演ともに今年の中心プログラムとなっているのは、なんとアメリカ音楽! みなさんご存知の“あの”作曲家たちです。中でも二台ピアノの公演では、私たちが今年“イチオシ”と公言するプログラム≪ウエストサイドストーリ≫を演奏します!!!演奏される事が非常に少ない貴重な二台ピアノ版です。あの名映画に使われた数々のダンスが織り交ぜられ、映画のシーンが次から次へと目に浮かぶようです。せんくらだからこそ、そしてせんくらでしか聴けないプログラムです!ぜひお見逃しなく。

スポーツだけでなく音楽だって血が騒ぎます。その代表的なものは、やはりアメリカ音楽。聴き手の心をわしづかみにし、ゆさぶるような独特のリズムはたまりません!!みなさん、私たちと一緒に踊りませんか?
村田理夏子

カテゴリー