
こんにちは。エレクトーンの神田将です。
ところで、みなさまはふだん、どんな音楽を聞きますか?
私は音を出す方の立場なので、弾かない時はなるべく無音の中で過ごすよう心掛けていますが、コンサートに出掛けるのは大好きです。
音楽には、穏やかな曲から楽しい曲、悲しい曲など、人々のあらゆる感情を表した作品がたくさんあり、私たちはそれをいつでも気軽に楽しむことができます。
昔のように、音楽を聞く機会が非常に限られていた時代と比べると、とても恵まれていますね。
最近は明快で馴染みやすい音楽が好まれる傾向にあり、クラシック音楽の真価は忘れられつつあるようにも感じられます。
聞けば聞くほど味がでるのがクラシック音楽の魅力のひとつですが、それを実感するほどに聞き込む機会がないのが現実なのかもしれません。
クラシック音楽が長い時代を生き抜いてきたことは事実ですし、その間に、数え切れないほどの人によって演奏され、無数の人々の心を揺り動かしてきたことも事実です。
こうして繰り返し演奏される間にその音楽は洗練を極め、ミケランジェロやダヴィンチの作品同様、次の世代に完ぺきな状態で受け継ぐべく遺産となりました。
優れた文化遺産は、現代の私たちに先人の英知を伝えてくれるものであり、音楽もそのひとつです。国家の危機に瀕して書かれた曲、無念や失意の中で自らの血を絞り出すようにして書かれた曲、あるいは大自然の美しさと畏怖を織り込んだ曲などなど。
そうした作品は、はじめ、耳に心地よくは響かないかもしれませんが、実は、困難や恐怖を乗り越えるために必要なものを教えてくれるのです。
ある時、気の置けない友人が私にこういいました。
クラシックなんて自分には必要ない。
たとえ友人であっても、人の好みに他人が口出しするべきではありませんが、ちょっとだけ反論しました。
満ち足りた今のおまえには確かに必要ないかもしれないけど、人生には自分の力で乗り越えられないような出来事が1度や2度はあるもの。
その時、偉大な音楽がきっと必要になるから、名曲のひとつやふたつは知っておけ。後に、彼は海の向こうに音楽祭を見に行くまでになりました。
今年のせんくらで何を演奏するか、私はとても悩みました。
ただパーっと明るく楽しいひと時を、というのでもいいのかなと思いましたが、それだけではみなさまに失礼ですよね。
ワクワクするような楽しさや、未来に向けた上昇気流が感じられつつ、深く、深く、心に刻まれる音楽を。そんな思いで組んだ4つのプログラムです。
どうぞ受け止めて下さい。