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SENCLA BLOG

ブログ

神田将
2011.08.24

仙台-シンガポール-築地  

こんにちは。エレクトーンの神田将です。
今日のブログタイトルからは、フィッシュマーケットが思い浮かびますね。
実は10月上旬の私のスケジュールです。

まだせんくら2011の開催が決定していない段階で、私には9月30日に福島県でのコンサートが決まっていました。
その後せんくら開催が確定した時、せんくらに30日だけは出演できないと返答したのですが、それを耳にした福島の方々が「どうか仙台へ。福島は11月に改めて開催します」と日を譲ってくれたのでした。

こうして実現した3日間のせんくら出演。
今年は4公演で26曲を演奏します。ひとつの公演は45分間と短めですが、全力投球で弾きますので、いつもタキシードが絞れるほどびしょびしょになります。でもそれがけっこう快感だったりするんですよ。

昨年はせんくらが終わったら、翌々日が東京でのリサイタルでした。
毎年、リサイタルには初めて披露する曲がずらりと並びますので、とりわけ神経を使います。

今年は少しでも余裕を持てるようにと10日ほど日取りをずらしました。

でも、空いていれば空いていたで、演奏会が入ってきます。
仙台の後は、すぐにシンガポールに行き、3日間のコンサートをします。
せんくら、シンガポール、リサイタルと、プログラムがまったく違うので、トータルで60曲近くを用意しなければなりません。
体力が持つかどうかが勝負の分かれ目ですが、せんくらで気持ちよく演奏して、その勢いのまま、秋のコンサートシーズンを乗り切ろうと思います。

さて、せんくらブログでの私の当番は今日でおしまいですが、個人ブログでは毎日欠かさず情報を発信していますので、どうぞお立ち寄りください。
それではせんくらでお会いしましょう!

神田将オフィシャルブログはこちら→ http://blog.yksonic.com/

 

神田将
2011.08.23

エレクトーンサークルMUSICA  

こんにちは。エレクトーンの神田将です。
今回は仙台で出会ったステキな仲間たちをご紹介します。

上の写真は、昨年のせんくらに駆け付けてくれた東北大学エレクトーンサークルMUSICAの代表メンバー。
彼等は大学で学ぶ傍ら、エレクトーン演奏をエンジョイしている、アクティブな学生たちです。

サークルの名称から、東北大学の学生ばかりなのかと思ったら、他にも東北学院大学、宮城教育大学、東北福祉大学、宮城学院女子大学、仙台高専などの学生が所属しているとか。
人数は60名を数えるというのですから、エレクトーンがいかに広く親しまれているかが想像できます。

そして、彼等の活動はとても積極的。
演奏できる機会があると聞けば、どんなところへでも繰り出して、若者らしい熱演で観客を魅了します。

音楽を愛する気持ちにプロもアマチュアも関係ありませんよね。

彼等と私が接点を持ったのは、せんくらがきっかけでした。
これまでメールを交換したりして交流を図ってきましたが、今年のせんくら期間中には、直接対面しての交流会を持てることになりました。
彼等の稽古にもお邪魔する予定です。

もしMUSICAの名前をどこかで見かけたら、あるいは演奏風景に出会ったら、どうか応援してやってください。

音楽が大好き!楽しい!というパワーが伝わってくることと思います。

若々しさといえば、今年のせんくらには、仙台国際音楽コンクール出場ピアニストたちの公演がふたつ組まれましたね。
彼等は仙台のためのチャリティーコンサートを東京で開催するなど、仙台への熱い思いを持った6人です。
せんくらではどんな演奏を聞かせてくれるのか、とても楽しみです。

MUSICAの公式サイトはこちら→ http://electonemusica.web.fc2.com/

神田将
2011.08.22

欧米に縁がない?  

ボンジュール!みなさん。エレクトーンの神田将です。
今日はパリに来ています、というのはウソです。冒頭から失礼しました。

最近、海外での演奏機会が増えてきたのですが、アジア各国がメインで、一番多いのが中国です。エキゾチックな雰囲気は大好きですし、エレクトーンで取り組むクラシック音楽を、アジア各国の方々が気に入ってくれたことは、とても大きな歓びです。

一方、クラシックの本場はやはりヨーロッパ。その風土や気質の中で演奏して、自分を試したい。

そんな願いを抱き続けているのですが、なかなか叶いません。実はパリ、ニューヨーク、プラハなど、魅力的な都市からお呼びが掛かり、スケジュールまで確定しながら、いずれも実現できずに流れてしまいました。

理由は、楽器が調達できないからです。
日本から運ぶには、楽器本体と音響設備とで、かなり大がかりなものになり、莫大な経費が掛かってしまうことがネックですし、電圧などの関係もあり、正常に動作するかどうかも心配です。

欧米での公演を叶えるためには、まだまだクリアしなければならないことがありますが、私は諦めません。
いつか本当にボンジュール!と挨拶できる日を夢見て取り組んでいきます。

神田将
2011.08.21

音楽と旅

こんにちは。エレクトーンの神田将です。
週末のひととき、いかがお過ごしでしょうか。

演奏家の多くは、一年を通じて世界のあちこちを旅しながら暮らしています。
私のようなはしくれでも、一年のうち200日以上は旅の空。
度重なる移動は体にも気持ちにも負担が掛かりますが、初めての土地には新しい出会いが、再訪するところには懐かしい再会が待っており、どんなに疲れていても期待の方が勝ります。

昔から旅好きだった私は、演奏をしながら各地を訪ね歩く生活にずっと憧れていました。今は念願かなって旅を続けているわけですが、かつて想像していたものと現実とでは、ずいぶんと違います。

まず、エレクトーンという楽器が選択ミスだった?
いえいえ、そうは思いたくないのですが、ヴァイオリンやフルートなら片手に抱えてスマートに移動できそうですし、ピアノなら各地に条件のよい楽器が揃っていますよね。
エレクトーンはその都度、手配が必要なので、気軽な旅には向いていません。
ハープやマリンバなど、自前の大きな楽器を使う演奏家も、きっと同様のご苦労があると思います。

そして設営とリハーサル。簡単なのですが、単純ではありません。
特に気を使うのが音響面です。アコースティック楽器と違って、スピーカーに頼らなければならないので、満足のいくナチュラルな音を出すまでには、とても細やかな調整が必要です。
さっと準備して、本番までの時間にリラックス、とカッコよくいきたいのですが、いつもギリギリまでリハーサルです。

さらに、編曲や演奏のためのデータ作成に膨大な時間を要するので、余暇の時間というのがまったく持てません。
ちょっとでも時間が空けばデータ作成、移動中にも編曲作業と、気が休まる時がないのです。

そんなわけで、演奏旅行中は旅の醍醐味を満喫する余裕がなく、時折、自分がどこにいるのかさえわからなくなりますが、それでも、さまざま風土に触れながら、無意識のうちにもたくさんの刺激をもらっています。

また、音楽が持つ精神世界の旅も魅力的です。
過ぎ去った時代に生きた先人たちとの対話を楽しんだり、未知の場所へ迷い込んだり、時には王子になったり、人形になったり・・・

音楽世界の旅は、永遠に終わることがなく、解決することもありませんが、だからこそ無限の好奇心を持って向かえるのかもしれません。

ひとつひとつの曲が持っている世界へ、それぞれの演奏家がご案内役となり、みなさまをお連れします。
せんくらは、未知への旅を体験できる魔法の扉でもあるのです。

神田将
2011.08.20

音楽が教えてくれるたいせつなこと  

こんにちは。エレクトーンの神田将です。
ところで、みなさまはふだん、どんな音楽を聞きますか?
私は音を出す方の立場なので、弾かない時はなるべく無音の中で過ごすよう心掛けていますが、コンサートに出掛けるのは大好きです。

音楽には、穏やかな曲から楽しい曲、悲しい曲など、人々のあらゆる感情を表した作品がたくさんあり、私たちはそれをいつでも気軽に楽しむことができます。

昔のように、音楽を聞く機会が非常に限られていた時代と比べると、とても恵まれていますね。

最近は明快で馴染みやすい音楽が好まれる傾向にあり、クラシック音楽の真価は忘れられつつあるようにも感じられます。
聞けば聞くほど味がでるのがクラシック音楽の魅力のひとつですが、それを実感するほどに聞き込む機会がないのが現実なのかもしれません。

クラシック音楽が長い時代を生き抜いてきたことは事実ですし、その間に、数え切れないほどの人によって演奏され、無数の人々の心を揺り動かしてきたことも事実です。
こうして繰り返し演奏される間にその音楽は洗練を極め、ミケランジェロやダヴィンチの作品同様、次の世代に完ぺきな状態で受け継ぐべく遺産となりました。

優れた文化遺産は、現代の私たちに先人の英知を伝えてくれるものであり、音楽もそのひとつです。国家の危機に瀕して書かれた曲、無念や失意の中で自らの血を絞り出すようにして書かれた曲、あるいは大自然の美しさと畏怖を織り込んだ曲などなど。

そうした作品は、はじめ、耳に心地よくは響かないかもしれませんが、実は、困難や恐怖を乗り越えるために必要なものを教えてくれるのです。

ある時、気の置けない友人が私にこういいました。
クラシックなんて自分には必要ない。

たとえ友人であっても、人の好みに他人が口出しするべきではありませんが、ちょっとだけ反論しました。

満ち足りた今のおまえには確かに必要ないかもしれないけど、人生には自分の力で乗り越えられないような出来事が1度や2度はあるもの。

その時、偉大な音楽がきっと必要になるから、名曲のひとつやふたつは知っておけ。後に、彼は海の向こうに音楽祭を見に行くまでになりました。

今年のせんくらで何を演奏するか、私はとても悩みました。
ただパーっと明るく楽しいひと時を、というのでもいいのかなと思いましたが、それだけではみなさまに失礼ですよね。
ワクワクするような楽しさや、未来に向けた上昇気流が感じられつつ、深く、深く、心に刻まれる音楽を。そんな思いで組んだ4つのプログラムです。
どうぞ受け止めて下さい。

神田将
2011.08.19

すごいぞ、せんくら!  

こんにちは。エレクトーンの神田将です。
私が初めてせんくらに出演したのは2009年。
それから毎年呼んで頂き、今年で3回目となります。
初登場の時は「え?エレクトーンでクラシック?」と、せんくらファンのみなさまを驚かせてしまったかもしれませんね。

どちらかというとポピュラー音楽を個人的に楽しむための楽器というイメージが強いエレクトーンですが、実はクラシック音楽への取り組みにも歴史があります。
とはいえ、ヴァイオリンやピアノの歴史に比べたら、まだ始まったばかり。注目されるようになったのは、ごく最近です。

そんなエレクトーンの可能性に、いち早く気付いてくれたのがせんくらでした。
2009年当時、私はどこか名の知れた音楽祭に出られないかと、チャンスを模索していました。

自分の名誉のためでなく、みなさまに私が感じている楽しさをお届けしたいのと、エレクトーンの未来のためというのがその目的です。

でも、前例のないことはなかなか受け入れてもらえません。
半ば諦めていた時、チャンスを与えてくれたのが、仙台クラシックフェスティバルと、中国上海国際芸術祭だったのです。
いずれのフェスティバルも、不思議な楽器を扱う無名の奏者を快く迎え、名だたる演奏家たちと同等のステージを用意してくれました。

こうして舞台は整いましたが、何を演奏すればいいのか、自分の演奏は受け入れられるのかといった不安もありましたし、有名な方々のことを考えるだけでビビりまくり。
でも、当日、最初のコンサートが始まった瞬間、お客様の温かさを一心に感じながら、演奏することの歓びを噛みしめている私がいました。

スタッフの方々、ボランティアの方々にも本当に親切にしていただき、理想的なコンディションで舞台に向かえたことにも感謝しています。

リラックスした雰囲気の中で、気軽に名演奏を楽しめるせんくら。
これまでのせんくらもすごいのですが、特に今年は厳しい状況の中での開催ですから、スーパーすごいせんくらですよね。
ぜひご一緒に、思い切り楽しみましょう!

神田将
2011.08.18

せんくら2011への道  

仙台のみなさま、そして全国のせんくらファンのみなさま、お久しぶりです。
エレクトーンの神田将です。長い長~い一年ぶりですね。

あの日を境に、すべてが変わってしまった。
かけがえのないものを失ったり、描いていた未来が壊れてしまったり。
途方もない悲しみを抱えたままの方々も、たくさんいらっしゃることでしょう。
心よりお見舞い申し上げます。

私の人生もすっかり変わりました。
演奏する機会を奪われるのは、演奏家にとって何よりも悲しいことです。
直後から公演の中止が相次ぎ、この先どうなるのかなという不安だらけの日々。
決行された演奏会でも、複雑な気持ちのまま弾いていました。

しかし、ここ2ヶ月ほどは、これまで私がいかに恵まれていたかや、今後何をなすべきかについて、深く考える時間を与えられたのではないかと考えるようになりました。

かつての私は心を込めて演奏することだけで精一杯でしたが、例えば学校巡回コンサートで音楽を純粋に聞いてくれる子どもたちや、音楽家を目指して日夜稽古に励む若者たちと接する機会が増えるにつれ、私にできることはまだたくさんあると気付いたのです。

そんな矢先に飛び込んできた「せんくら2011開催決定」の知らせ。
でも、例年より規模を縮小するとのことでしたので、おそらく私の出番はないだろうと思いつつも、今年も仙台の街が音楽に彩られるのだと想像しただけで嬉しくなりました。

それからまたしばらく経ってから、出演させてもらえることになったという連絡が入り、私は甲子園で優勝した球児のように歓喜しました。
ああ、仙台のみなさまは私の音楽を求めて下さった。
このお招きに、私はどんな演奏でお応えしようか。
次の瞬間からプログラムを練り始め、今だからこそお聞かせしたい音楽を厳選しました。

今も当日が待ち遠しくて仕方ありません。

私だけではなく、すべての出演者とスタッフが、今年のせんくらに特別な思いを込めてのぞみますが、ご来場のみなさまも特別な思いでお聴き下さることでしょう。
そして、その場に居合わせるからこそ感じる魂のふれあいや、奇跡のような心の変化が、きっとすべての演奏会にあふれることでしょう。

さあ、今年の秋は、せんくらで音楽のシャワーを全身に浴びて下さい。
きっと新しいパワーが泉のように湧きあがってくると思いますよ。
神田将(エレクトーン)

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