ハウスコンサート  

2010.08.15| 高橋礼恵

ハウスコンサートによく招かれるのですが、お宅によって雰囲気が違うので聞きに行くのがいつも楽しみです。知人友人を呼んで、おうちで音楽を聴くこじんまりとした集まりは、ホールでのコンサートと違った魅力がありますよね。
最近いいなあと思ったのは、知人の作曲家がお父様の70歳のお祝いにお家でのコンサートをプレゼントしてあげたこと。お父様の好きなピアノ曲と知人の自作を含めたコンサートで、その後はビュッフェ。とても心温まるすてきな贈り物だなあと思いました。

主催されるご家庭によって雰囲気が全く違ってくるわけなのですが、これまでで一番びっくりしたのが、貴族のお宅でのハウスコンサートです。
ドイツにはまだ貴族が存在するんですね。名字に”von”がつくと、貴族らしいのですが、それがついていても、今ではまったく普通の人、という場合もあります。
しかし、そのコンサートの出席者はみんなばりばりの高貴な方々!!
私の知っているハウスコンサートは、服装もこだわらないラフなものだったので、このお宅に入った瞬間に、パリッとしたスーツ姿の男性たち、明らかに輝きの違う宝石をつけた女性たちを見て、別世界に来た気分でした。
演奏者の友人として呼ばれた私たち数人は見るからに“よそ者”という感じ・・・・

コンサートが始まる前に、プログラムが配られました。何やらこまかい字でびっしりと埋められているので、“曲目解説かな?”と思ってよく見ると、それは出席者のリスト。
もちろん “von”だらけですし、”Graf (伯爵)“、Baron(男爵)”、中には”Prinzessin ( 姫)“ なんという人も・・・・ビスマルクの末裔の方々もいらっしゃいました!!

ここだけで一つのソサエティーなんですね。皆さんどこかでつながっているのでお知り合いだし、コンサートは演奏を聴くのも目的だけれど、社交の場。
ビスマルクやハプスブルグの血をひいた方がいるのは当たり前といえばそうなのですが、実際“子孫です”と言う人が目の前に現れるとやはりびっくりします。歴史の中の人が現実感を帯びますよね。日ごろ見ないドイツの別の一面を見た感じでした。

さて、ブログも今日が最終回となりました。あまり経験がないので大丈夫かなと不安を抱きながら始めましたが、楽しく書かせていただきました。これを機に、ブログを始めてみてもいいかな・・・・??
お読みくださったみなさんに心からお礼申し上げます。そして10月1日、さわやかな秋の仙台でお目にかかれることを楽しみにしております!
*写真は去年訪れたシュヴェリンのお城。貴族の方々は昔こんなところに住んでいたのでしょうね。

高橋礼恵(ピアノ)

 

冷や汗!!

2010.08.14| 高橋礼恵

コンサートがあるところにはハプニングあり!
というわけで、今回はコンサート裏話をお届けしたいと思います。

私はおっちょこちょいで細かなけがが多いのですが(料理中のやけど、転ぶ、どこかにぶつかる、などなど・・・・)、本番直前に小事件が起こってしまうこともあります。意外なところに落とし穴!!と思ったのが、使い捨てコンタクトの入れ物の角で指を切ってしまった時。幸い軽く済んだので本番に支障はありませんでしたが、相当動揺しました。
それ以外に本番直前で一番焦った大ハプニングがあります。
それは韓国の音楽祭でのこと。そもそも、この音楽祭自体がびっくりすることの連続で、本来はリサイタルとコンチェルト一曲を弾くというものだったのが、ホール前広場(野外)でのテレビ生放送に出ることを現地で知らされたり、コンチェルトの演奏がドラマ“春のワルツ”で使われます、と突然言われたり。
その野外テレビ収録の時です。出番が近づき、ドレスに着替えていたころ、
“あれ、後ろのジッパーがうまく上がらない・・・・”
焦ってぎりぎりとやっているうちに・・・・
!?!?えーーーっ!!ジッパーが壊れた!!!!
かみ合わせが外れてしまったんです!背中がパックリ開いた状態・・・出番まではあと20分。もう一着のドレスはホテルに置きっぱなしだし、取りに行く時間はありません。なんせテレビなので普段着で出るわけにもいかない・・・
私もスタッフも青くなっているところへ、誰かがどこで見つけてきたのか、一人の白人のおばあさんを連れてきました。
なんと、ロシアのバレエ団がその日ホールで公演をすることになっていて、バレエ団専属のお針子のおばあさんがたまたまホールにいたんです。
大急ぎで私の背中のジッパーを左右からぎっちりと縫い合わせてくれました。
なんとか間に合って会場まで走って、息を整えるのも束の間で本番。今でもどんな演奏をしてなにをしゃべったのか、覚えていません・・・・(笑)
あのパニックは二度と味わいたくないので、今では針と糸のセットも持参することにしています。

でも、終わってみればそれも楽しい笑い話。コンサート自体よりもこういうエピソードのほうが心に残ってしまったりします。
そして、たくさんの方々にピンチを救ってもらい、支えていただきながらコンサートが成り立っているのだなあと実感します。せんくらでもたくさんの方々にお世話になります。この場をお借りして、どうぞよろしくお願いします!

*写真は、縫い合わせてもらったドレスで本番にスタンバイした時のもの。

高橋礼恵(ピアノ)

旅  

2010.08.13| 高橋礼恵

ピアノを弾いているおかげで、意外な国を訪れるチャンスを何度かいただきました。

たとえば、モロッコ。アフリカにはずっと行ってみたかったので、このお話をいただいた時は条件もあまり気にせず、二つ返事でOKしてしまいました。空港に到着して、まず、文字が読めない!!というだけで、すごい異国に来た!という気がします。かなり緊張もしましたが・・・
カサブランカ滞在で特によく覚えているのが、オリーブがびっくりするほどおいしかったこと。毎晩近所のモスクのスピーカーのお祈りの響きで目が覚めたこと。あまーいミントティーが結構気に入ったこと。
それから、トルコ。なんといっても、人が多いこと、イスタンブールの街の大きいこと。近所からバスに乗ろうとしたら、時刻表も何もなくて、人々は道で適当なところに立っていて手を挙げてバスを止めて乗ってくる。満杯になったら、乗車拒否(笑)。これじゃあ誰かと待ち合わせしても絶対時間通りに来ないだろうな、と思いました。私たちが生活している“時間”とは違う時間が流れている感じでした。
それから、レバノン。余り治安がいい時でなかったので、正直ドキドキしながら行ったのですが、空港のパスポートコントロールまでお迎えが来て、その後は車まで誘導され、音楽祭の行われている建物まで直行。ちょっとVIPな気分・・・コンサートも宿泊もそこだったので、街の様子はほとんど見られなかったのですが、帰りの車の中から戦車を見たときは、他人事と思ってテレビで見ていた現実が突然自分に突き付けられた思いでした。

そんな珍しい国に行くのも素晴らしいんですが、それ以外に、普通だったら知ることがない田舎町に行けるのも、好きなことの一つです。
たとえば、プラハで弾いたときに、共演が地方のオケだったのでその街まで行って合わせをしました。プラハは古都って感じでとても美しいですが、その街は旧東欧時代の建物が多く、街全体ががらーんとしていてなんとなく寂れた感じです。歩いていても、アジア人なんてそうそう見かけないし、ショウウィンドウなんかもちょっとタイムスリップしたような、古びた感じで・・・生活リズムも違うようで、夜21時過ぎになると街を歩いている人はほとんどいませんでした。

わくわくする旅行ですが、家に戻ってくるとやっぱりホッとして、なんだか長い夢を見ていたような気分になります。

*写真は、そのチェコの田舎町の駅。ちょっとぶれていますが・・・・

高橋礼恵(ピアノ)

ひそかなマイブーム  

2010.08.12| 高橋礼恵

ドイツに来てあっという間に10年がたってしまったのですが、気づかないうちに“日本のもの”をしみじみといいなーと思うようになりました。
たとえば、日本古来の色、着物の柄。日本家屋、日本の庭。前回帰国した折に、日本の色についての本を書店で見つけ、その独特の色みと名前にすっかり魅せられてしまいました。たとえば、茜、貝紫色、鴇色、留紺。どれも独特な日本の色。着物の柄とか色合わせも実はとても斬新ですよね。

それから、今興味があるのが浮世絵。特にマイブームは葛飾北斎です。大胆な構図や斬新さだけでなく、枠にはまらず様々なスタイルの絵を描き、年を重ねるごとに変化し続けていった姿が本当にかっこいい!!なんとあの名作、“冨嶽三十六景”は70歳を過ぎてからの作品。私もそれまでまだウン十年あるな、と思うととても勇気をもらいます(笑)。90歳まで生きて、最後まで絵に対する追及に過ごした、私のあこがれる人生です。
もう一人、私の好きな日本画家が小倉遊亀さん。
この方も長生きで105歳(!)で天に召されましたが、年表などを拝見すると70歳からの活躍の記録がそれまでより長いんです!
この方の絵は、清潔で、決して饒舌ではないけれど、凛としていて、独特の空気が漂っていて・・特に静物画や花をテーマにしたものが好きです。折に触れて手に取る画集の一つです。

*写真はあまり本文に関係ないのですが・・・京都で撮った竹林です。

高橋礼恵(ピアノ)

8月11日  

2010.08.11| 高橋礼恵

暑い日々が続きますね。みなさん夏バテなどされていませんか?
ベルリンも6月末から一カ月ほどドイツらしくない暑さに見舞われました。連日35度前後、しかもほとんどの場所にクーラーがない!となると、かなり辛いものがあります。ひどいのが、バスや電車の中。車体自体が冬の寒さ対策に重点が置かれているのか、小さい窓しか開けられないようになっているので、サウナ状態。ICE(新幹線)にはクーラーがついているものの、これがよく壊れるんです・・・私も何度か経験しましたが、窓があかないので半端じゃない暑さになります。
私の家は1階であまり日が当らないので凌げましたが、上階に住んでいる友人はみんな“暑すぎて練習できない”と言っていました。簡易クーラー(あまり見たことはないですが・・)、扇風機(これが一番ポピュラー)もすべて売り切れだったそうで・・・

そんな異常な暑さのこの夏ですが、冬は冬でまた異常な寒さでした。
マイナスから上がらない日々が1カ月は続いたでしょうか・・・そのうち-7度なんて聞くと、“あ、割にあったかいじゃない~”と思うようになるくらいでした。
ドイツでありがたいのは、暖房はとても発達しているということ。家の中はお風呂場に至るまでホカホカ。でも一歩外に出ると、一瞬で肌の水分が全部凍りそうな寒さ。
街の中の公園の池も凍りついたので、スケートをしている人がたくさんいました。
5分も歩けば冷えきってしまうベルリンの冬。今年は貼るカイロをすごい勢いで消費しました(笑)。
*写真は、この冬ロストックよりベルリンに戻る車中からです。
(これで昼間の11時、気温はおそらくー15度くらい)
涼しさをお届けできるでしょうか・・・・??

高橋礼恵(ピアノ)

Zoo!!!  

2010.08.10| 高橋礼恵

みなさん、こんにちは。ピアノの高橋礼恵です。

何を隠そう(?)、私の生れは仙台。11歳までを八木山で過ごしました。
さて、八木山と言えば動物園。(私にとっては、ですが・笑)
お休みの日によく動物園に通っていたことを覚えています。私のお気に入りは何と言ってもペンギン!八木山動物園は入り口正面にペンギンがいたんですが(今も変わってないのでしょうか・・?)入場するとそこからしばらく動かなかったそうです。

動物園好きとペンギン好きは今も変わらず、ここベルリンの動物園も何度かよったことか・・・・そういえば、数年前クヌートという名前の赤ちゃん白くまが有名になったのが、この動物園です。ベルリンはその名もZoo(動物園)という駅があって、数年前に中央駅ができるまではそこが実質の中央駅だったんですね。
初めの頃はそのシチュエーションがとても不思議でした。町の真ん中の大きな駅の向かい側に広大な動物園があるなんて・・・考えてみれば上野も似たようなものなのですが、私の中では渋谷駅の目の前に動物園があるような感覚でした。(バスや電車を待っていると、風向きによってはそれらしい香り(?)も漂ってきたりして・・・。首都とは思えないのどかさです(笑)
一つ一つの動物に広い面積を割り振っているので、公園の中に動物が点在している、といった感じでしょうか。お散歩にはもってこいです。ベルリン芸大もそばにあるので、練習の合間に散歩できたら素敵だなと思っていましたが、一回ずつの入場料が割に高いので我慢していました。でも、なんと今年は“1年券”をプレゼントしてくれた人がいるので、最近よく散歩しにいっています。
ペンギンの他によく見に行くのは、猿。時間があるときは30分くらいベンチに座って観察してしまいます。
ベルリン動物園には水族館も併設されていて、そこの3階は恐怖の昆虫コレクション・・・
まさか水族館に昆虫までいるとは思わなかったので、びっくりしました。

今のところ、動物園のペンギンで満足していますが、いつか、南極に野生のペンギンを見に行きたいなあ・・

高橋礼恵(ピアノ)
*写真はベルリン動物園のペンギン。

はじめまして!  

2010.08.09| 高橋礼恵

みなさん、こんにちは!

今年せんくらに出演させていただくピアノの高橋礼恵です。

今日から一週間ブログを担当させていただきます。お付き合いよろしくお願いします♪

 

さて、今回は私のせんくらデビュー。

考えた末、プログラムはやはりベートーヴェンに決めました。

ベートーヴェンは私が子供のころからずっと好きで関わってきた作曲家。なぜこんなに魅かれるのかはわかりませんが、父がよく聞いていたせいもあるのかもしれません。今も覚えているのは、“皇帝”を聞いて“将来絶対この曲を弾きたい!”と思ったこと。それから20年して夢がかない、しかもそれがベートーヴェンの生地ボンだった時の嬉しさは忘れられません。

幸運にもその後“皇帝”をはじめベートーヴェンのコンチェルトを演奏する機会をいただいていますが、5曲それぞれが素晴らしくて、どれが一番好きと決めるのも難しいくらい。特に3番の2楽章と5番の2楽章の痛いくらいの美しさはこたえられません・・・緩徐楽章を聞くと、“ベートーヴェン=力強い、気難しそう”というイメージと別の顔が見えてきますよね。

 

今回演奏する、“月光”ソナタ、“悲愴”ソナタ、どちらもそんなベートーヴェンの魅力がいっぱい詰まった名曲です。

“悲愴”ソナタの衝撃的な始まり、ほとばしる情熱、そして2楽章の慰め、慈愛に満ちた旋律。“月光”ソナタの1楽章の深い絶望と悲しみ。シンプルなのに、そこからあふれ出る痛み。3楽章の絶望の爆発。

ベートーヴェンの心をぶつけるようにして書かれた二つのソナタ。

私も今できる力すべてを尽くして演奏したいと思っています。

会場でお会いできたらとても嬉しいです。

 

高橋礼恵(ピアノ)

 

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