
最近、トークコンサートがとても多くなってきました。
まだ経験も浅かったうちは、演奏とお話との頭の切り替えに苦労したり、お話のあと弾こうとしたらマイクを持っていた手が固まってしまっていたり、といったこともありましたが、最近は、演奏とトークの両方を楽しめるようになりました。特に、この5月まで1年間おこなったスペイン音楽のサロンコンサートシリーズでは、即興トークが弾んでしまい(?)、毎回長いコンサートになってちょっぴり反省・・・。(写真は、一番最近のトークつきコンサート。)
大体ピアニストは、袖から出てくるときだけではなく演奏中も、身体の右側のみが視線にさらされていて、お辞儀をするときだけがまっすぐ客席を向くことのできる機会だったりするわけです。(おかげで私、左側に誰かがいるとなんだか落ち着かないような気がしますが・・関係ないかな。)
トークコンサートでは、まずお客様のほうを見ることができるので、身体感覚のバランスもとれるし、目を見て言葉を投げかけることでコミュニケーションの下地ができるような気がして、私は好きです。今回の「せんくら」のステージもトークをまじえてということなので、楽しみにしているのですが、我を忘れてあまりお話しすぎないように気をつけなくては!
トークつながりで、このへんでちょっとスペイン話。スペイン人の話し好きは有名ですが、それを象徴しているんじゃないかなぁと感じるものが「チステ」です。ご存知ですか?いわゆる「笑い話」なのですが、夏の夜など、みんなで集まってテラス席で飲みながら、このチステ披露が始まったら最後・・・延々、明け方まで終わらないことを覚悟しなければなりません。よくもこんなに〜と思うほど、次々と臆せずチステを披露していきます。そして話し上手な人がなんと多いこと!ちなみに私なんぞ、手持ちのチステもなく聞き役に徹底していましたが、みんながどっと笑うオチの部分だけすぐには腑に落ちず、いつも笑いに乗り遅れて悔しい思いをしていたものです。
スペイン人との会話が実に心地よく感じるのは、彼らに基本的に身についている表現能力のせいかな、と思ったりします。それも飾るためとか見せかけるための表現ではなくて、自然に、ストレートに“そのひと”が出ている。スペイン人というと“ラテンモードばりばり!”なイメージがあるかもしれませんが、結構、素朴な人が多いんですよ。
スペイン人たちと暮らしているうち、じたばたするより自然がいちばん、と肩の力を抜けるようになったら、毎日がもっと楽しくなりました。
・・・つい長いおしゃべりとなってしまいました、ではまた明日!
下山静香(ピアノ)