
。。。。ここでちょっと一息。。。。
今日の執筆者は、であるとあるで フルート担当、吉岡アカリ
(♂)です。
[本番衣装あれこれ]
コンサートで着る服の事を我々音楽家は本番服と言いますが、一口に本番服と言いましても様々なパターンがあります。会場の大きさ、時間帯、お客様の層、曲目によって我々は衣装を考え、使い分けています。
例えば、夜のサントリーホールで登場する女性ソリストの華やかなドレスは、演奏以上に我々の気分を盛り上げてくれるものです。特に最近はやりのコンサートオペラともなるとたくさんの女性歌手がステージに登場し、さながら衣装合戦になります。前後の大胆なカットドレスで登場されると(特にオケマンにとっては後ろが大事)目の前の譜面はおろそかになり、指揮者も視界からいなくなります。
その点オーケストラの人たちはいいわねー衣装が黒ひとつで、と良く言われますが、いえいえ、これでもいろいろパターンがあるのです。女性楽員の衣装にも制約があり、スカート丈、素材、袖の長さ、パンプスの種類、ストッキングの有無・・等皆さんそれなりの苦労をしているようです。では我々男性は?
まず夜の正装の燕尾服。しっぽのついた上着に白い蝶ネクタイ、白い腹帯、黒ズボン。
昼の正装黒タキシード。光沢のあるヘチマ襟の上着に黒い蝶ネクタイ、
黒い腹帯、黒ズボン。
夏季限定の白タキシード。上着が白。
黒服。いわゆる結婚式のお父さんの格好。
すべてに共通するのが白Yシャツ、黒靴下、黒靴。厳密に言うと燕尾服のズボンは2本のステッチ、タキシードは1本のステッチ。なかなかそこまで徹底している人は少ないですが。
どうです?頭がこんがらがってきたでしょう?
我々のスケジュール表には、これらの事が毎公演記されていますが、ネクタイを忘れる、間違えるのは日常茶飯事。そんな事があっても我々の優秀なスタッフはあわてる事もなくいとも簡単にティッシュで白蝶ネクタイを、黒ガムテープで腹帯までも作ってくれます。
では黒靴を忘れたら? 大丈夫。スニーカーの上から靴下を履いて何事もなかったかのようにステージに出ます。さすがに周りはしばらく笑って吹けませんが。
さて先日事件が。ファゴットのM君、何を勘違いしたのか本番当日、衣装一切を持たずに家を出てしまいました。気がついたのが会場手前の新宿駅。どうしよう、家に帰ったらもう間に合わない。焦る彼の目に入ったのが紳士服のア○キの看板。彼はまよわずその店に飛び込み、上から下まで一式買いそろえました。当然ズボンは裾上げもできずダボダボ状態。その金額は5万円をこえ、高いお勉強代になってしまいました。最近の紳士服店は靴まで売っているのが幸いしましたね。新宿という場所がら多くの量販店があったのもラッキーですが、赤坂にあるサントリーホールは周りにそのような店はありません。
ある日Yシャツを忘れた某氏が隣の高級ホテル内の結婚式貸し衣装店に飛び込んだところ3万円と言われたそうです。レンタルのYシャツだけですよ。たぶん胸元にフリルのついた素敵なヤツだったんでしょう。
さて、せんくらでの我々 であるとあるで の衣装はいかに?
もしラフな格好で登場したとしてもそれはいろいろ考えた結果の衣装で、仙台までの荷物がかさばるために手を抜いたわけではありません。
あっ あのシャツ! ユ○クロで980円で売ってた! なんて叫ばないでください。