ヴァイオリンの渡辺玲子です。
私のブログ担当も最終日。
この機会に、東北と西洋音楽のつながりについて、少し調べてみました。
フランシスコ・ザビエルによって日本にキリスト教が伝えられたのが1549年、1582年には九州の大名たちが長崎の神学校で学んだ4名の少年を使節として、ローマ教皇のもとに派遣します。8年後に帰ってきた少年使節団は、豊臣秀吉の前で5種類の西洋の楽器(ハープシコード、クラヴィコード、ハープ、ヴァイオルとリュート)を用い、西洋音楽を演奏して見せたとされています。四重奏だったと記録されていますが、曲目などは不明。
1613年に伊達政宗は支倉常長を副使にして、180人程の一行を貿易交渉のためにスペインやローマやメキシコへ派遣します。船は石巻でつくられ出港、支倉もスペインで洗礼を受けますが、通商交渉は結局うまく行かず1620年に帰国。その時、ヨーロッパからどのような楽器を持ち帰り、演奏を行ったかはわかりません。ただ、そのころの東北には仙台と秋田に2つの教会があり、スペインとポルトガルの司祭たちによる布教が盛んでした。信者たちがミサでグレゴリア聖歌を歌っていたことは間違いないでしょう。
政府の方針が急転し、キリスト教禁止の時代になっていきます。東北でも弾圧が厳しくなり、秋田だけでも115名が処刑されました。しかし隠れキリシタンたちは「おらしょ」のうたを250年以上も歌い続けました。多分、音程やメロディーなどは少しずつ変化していったでしょう。しかし金や銀が世界の注目を浴びるようになると、東北の鉱山で働く外国人エンジニアや司祭たちによって、再び19世紀の西洋音楽が東北に広まっていきました。
東北には、西洋音楽に対する深いルーツがあるのですね。
10月のコンサートで皆様にお会いできることを楽しみにしています。
渡辺玲子