2006年07月29日

2006.07.29| 池上英樹

最後のブログになりました。この変な文章を読んでいただいて、少しでも打楽器の世界に興味を持ってもらえたら嬉しいです。ってはじめの2回しか楽器について書いてないですけど。あとは遊んでました、すみません!

ロック少年だった時代からクラシックの世界へ飛び込んできて、打楽器の先生に習うより歌やピアノ、ヴァイオリンの先生に習いまくっていたパリ時代、それじゃあ何のために打楽器をやってるの?!と打楽器を一から学びなおしたドイツ時代、そして日本に帰国して少しずつ社会と関わって今があります。

これからはこの打楽器をつかって何を表現していくか、自分は何を求めているのか、が大切になってきました。そういうことにおいては、ジャンルとしてのクラシックからは離れていっているのかもしれません。

僕がクラシックの世界って何だろう?すげーな〜!と思ったのはジャンルからではありませんでした。
確かショパンのノクターン嬰ハ短調を聞いた時、体に衝撃的な何かが起こり、これはなんだろうと探していったら今になってました。

うまく説明できませんが、そのためにあらゆる伝統的なテクニックを習得して、それで感じたものに近づきたかったんだと思います。気合や集中力とかではない何か。それはこれからのほうが長く、迷いながらいろいろ試してやっていくことになるでしょうね。

仙台でお会いできるのを楽しみにしています!
つたなすぎる文を最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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よい夏を!

2006.07.29| 御喜美江

あっという間に一週間が経ってしまいました。

これからはコメント欄で参加させていただこうと楽しみにしています。

アコーディオンという楽器は、“誰でも知っている”ようで“誰も詳しくは知らない”ということが多く、このブログを通して少しでも紹介が出来ればと思っておりました。でも楽器はやはり実際にその演奏を見て聴いて、初めて知ることが出来ると思います。今回は仙台クラシックフェスティバル3日間中、5回コンサートをさせていただきます。皆様に聴いていただけたら本当に嬉しく幸せです。

さて、今日から一週間フィンランドのオウルへまいります。

館野泉さんが音楽監督をなさっているオウルンサロ音楽祭で、ソロ・リサイタル一回、ヴィオラとのカフェー・コンサートを一回、そして館野さん70歳バースデー・ガラ・コンサートで弾かせていただきます。フィンランドは、クラシック・アコーディオンのレベルが世界で最も高い国ですが、それだけではなく、人間と風景が限りなく魅力的なので、私の大好きな国です。11時50分発のFinnairにこれから乗りますが、猛暑が何週間も続いたドイツからやっと脱出できるのも本当にうれしい。澄んだ空気、涼しい風、青い水、静寂、そして白く明るい夜に期待が膨らみます。

最後に:一週間も私の拙い文章を読んでくださった方々に心から感謝いたします!

猛暑の夏、どうぞくれぐれもお体お大切になさって、お元気でお過ごし下さい。

仙台の美しい秋を今から夢見ています。

写真解説:ラントグラーフの自宅にて。

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2006年07月28日

2006.07.28| 池上英樹

せんくらブログ拝見しました。

御喜さんのご自宅から歩いていける荒野?すごいですね!あの真ん中で太鼓を打ち鳴らしたいっ!僕は森の中にいますが、理想は海辺か(楽器が傷むけど)、あのような広い大地の真ん中です。

そういえば近年コンサートでよく演奏している、ジェフスキー作曲の”TO THE EARTH” というホメロスが書いた大地賛歌の詩をしゃべりながら、植木鉢をたたくといった作品があります。やりたいなあ!お会いするのを楽しみにしています!ってブログで交換日記してすみません。。。

普段ソロコンサートしかしないので、共演というのは間違うと大変ですが?!好きだなぁと思える演奏家とできるなんて擬似恋愛的。。。明日からまた東京です。今日は練習もやめて、シューマンの本でも読もう。パリ時代から習っていた歌の先生(歌も習いましたが、マリンバや太鼓のレッスンもしていただきました)が今ずっと僕の中での師なのですが、いわゆるサロン的なクラシックの世界がまだ現実にあったころの理想をそのまま生きていらっしゃる方でした。

精神的にも、日々の生活自体も。今はクラシックも鑑賞用になっている感もありますが、その時代は生きることそのものだったということをいつも感じさせられました。難しいテクニックでもなく、先生が一音出したその音に涙があふれて仕方なかった体験をずっとずっと何だったんだろう?と追い求めています。いつまでも生徒でいたい。大人になりたくない。と思っていました。別れを今は経験したので、留まっているわけにもいかないと自分の足で歩きだしています。

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13歳の春

2006.07.28| 御喜美江

私が初めてドイツを訪れたのは13歳の春だった。

南ドイツのトロッシンゲンという町で国際イースター・アコーディオン週間が開催されるという情報を母が知り、それを聞いた私は何が何でもそこへ行きたいと思った。クラシック・アコーディオンの本場ドイツでは、どんな楽器で、どんな人が、どんな曲を、どんなふうに弾いているのか一日も早く知りたかった。日本語以外の言葉は何もわからないのに、また一人旅なんて一度もしたことないのに。というか一人ではデパートにすら行ったことないのに、突然一人でドイツの田舎町トロッシンゲンまで行くことになってしまった。

あの頃は両親も私も若く、意欲的で、勇気があったと思う。高校で英語を教えていた母が、表が英語&裏が日本語というカードを何枚も作ってくれて、それを首から紐でさげて羽田空港を発った。「・・・駅で乗り換えて・・・まで行きます。乗り換えホームまで連れて行ってください」「・・・学校はどこですか?」「レストランはどこですか?」「電話をかけさせてください。」「トイレはどこですか?」「これを下さい。おいくらですか?」など。私はまさに動く小包。必要に応じてカードを選びながら、ほとんど困ることもなく、親切なドイツの人々にお世話になりながら、夢のような楽しい2週間を過ごした。

ドイツは風景も町並みも美しく、静かで落ち着いて暮らしやすい。食べ物はいまいちパッとしないが、でも清潔。そして、何よりもフリーベース・アコーディオン(左手にも5オクターブ半の音域を持つ単音ボタンがあるアコーディオンのこと)を生まれて初めて見て、バッハやスカルラッティのポリフォニー音楽をオリジナルの音域で聴いて、さらにこの楽器のために超絶技巧の素晴らしいオリジナル作品があることを知って、この驚きと感動は13歳の私の道をその場で決めてしまった。

「もう日本に帰る必要は全くなし。このままここに住みたい。」との強い希望を出したのだが、音楽学校の校長先生は「ドイツ語を勉強してから来ないと入学は出来ません。」なんて言うし、両親は「日本における義務教育は終えないと・・・」と、そんなこんなで結局日本に戻ってきた私。

でもそれからの3年間はドイツ語習得しか念頭になく、放課後は週3回大森のドイツ学園へ会話を、週2回上智大学へ文法を、夏休み中は毎日学習院大学のドイツ語講座に通っていた。大変とか、つらいとか、疲れたという意識は、当時の自分にはなかったと思う。

あの頃の自分と、今の自分が同じ人間とは思えない。あのエネルギーは一体どこからきたのだろうか。

旅は夢、未知は希望であったあの時代にもう一度戻りたいとは思わないけれど、肉体が健康なうちにそんな冒険的な時期が2〜3年もう一回あってもいいかなと、時々思う。

写真解説:真夏の自宅のバルコニー

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2006年07月27日

2006.07.27| 池上英樹

今僕は、8月から始まる富士山河口湖音楽祭に向けて準備しています。円形ホールのリサイタルでは、道化の世界を、打楽器やマリンバ、パフォーマンスで表現します。イタリアからフランスで全盛期を迎えた時代の雰囲気を、道化作家のむらいこうじさんが作ってくださり、その中でバレエダンサーやパントマイムのかたと一緒にロマン派音楽を軸とした舞台を作ります。

音楽祭はいつも超盛りだくさんで、その他子供たちと一緒に作る森の音楽会や、佐渡裕さんが指揮でシエナウインドオーケストラとの共演もあります。

西湖ではまわりに家がないので、打楽器でも24時間音が出せます。静寂というものを本当に体感できる場所で、古民家で練習していると音が見える存在のような気がしてきます。普通の家のように変に響いたりしなくて、出したものが出したままそこにいてくれるので自分がやっていることがよく見えます。ここで練習してから各地に行ってコンサートをしても、いつも響きの基本は西湖の家ですね。

今日は一日中雨の音
霧が世界を覆っている
時は水のよう 過ぎていくものではなく
溜まっていくように思える
黄昏の経過をくぐり
夜は今ここにいる

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演奏法

2006.07.27| 御喜美江

アコーディオンの音色は、体の動きと呼吸でつくられている。楽器が体に密着しているので、ちょっとした小さな動きや呼吸にも音に影響する。

楽器の真ん中にある『蛇腹』によって空気が送られてくるが、蛇腹の部分だけではなく楽器全体どこに触れても、音は変わる。それがフォルテ、フォルティッシモのような大きな音の場合はそれほど気にしなくていいが、音量をだんだん、それもゆっくりと弱くしていこうとすると、急に操作が難しくなる。体全体でバランスを取りつつ、さらに呼吸を合わせながら、徐々に徐々に音たちが小さくなるようする。

アクセントにもいろいろある。
・腕でグイっと力強く引っ張り、蛇腹を返すとき右肩にドンとぶつけ、左足を上げてすっと下へ落とす。
・柔らかいアクセントとしては左足を上下にゆっくり動かし、呼吸を短く「はーっ!」とはく。
・特にデリケートな弱音アクセントは、お腹を前にちょっと突き出し、腰を使う。

例えば赤ちゃんが泣いてぐずっているときは、抱っこして揺らしているとだんだん大人しくなってそのうち寝てくれる。このときの揺らし方は、腕をガタガタ上下左右に揺らすのではなく、膝や腰や頭で軽い動きをとりながら、体全体を緩やかに振動させる。赤ちゃんを抱いている手や腕は常時静かなポジション。この感じが緩やかアクセント。

音を揺らすヴィブラートに関しては、とにかく体のどこかがちょっとでも揺れていれば、それでヴィブラートになる。というか、なってしまう。緊張して体や呼吸が震えると、音もブルブル震え出す。そういう演奏は、聴いている方まで緊張してしまう。とにかくその日のコンディションが音になって出てくるので、アコーディオンは一種の体調チェック・マシーンでもある。

写真説明:ドイツとオランダの国境を流れるヴルム川。私は水の音が大好きなので、よくここまで散歩にくるが、ある日この石橋から水面をながめていたら、ふと新しい演奏法を発見した。

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脱力系?

2006.07.26| 池上英樹

好きな食べ物は

たこ ナタデココ 唐揚げ 野菜 ゼリー とんかつ 一貫性はジューシーで、食感が瑞々しいなど理屈をこねたらありますが、まあ今は追及しないことにしましょう。。。チーン

嫌いなものは

チョコレートと小豆のみ!甘いものは好きではありませんが、ショートケーキは好き!!(喜)

ってな感じで、誰も興味ねーよ!ってことから書いてみました。なんでや!というツッコミが聞こえてきそうです。(楽)

一貫していることといえば乾いたものって基本的に好きじゃないんで、音の好みもそう、まず潤いを求めますね。解釈以前のものとして。いや、どうかな〜 人間関係とか、色恋とか、それも語ったら一冊本が書けそう。。。。。。。。。。。ポテトチップ好きでしょ?

ふざけているのか?!(怒)

そうそう、ジャズ、ドラム、子供からハードロック青少年だった僕に、クラシックの世界を見せてくれたのはヴァイオリニストの五嶋みどりさんでした。そのお母様が講演をされるということで、オレ聴きたいです!

それで、僕の方は、アコーディオンの御喜美江さんと林光作品で共演させていただきます。最高に素敵なアコーディオンだったんで、超楽しみです!

今回はまとめません。これも書きたくなかったけど、って脱力系?、でもないし!(哀)
構成悪っ!!(爆)

池上英樹

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使用楽器

2006.07.26| 御喜美江

夏は暑く、冬は寒くあるべきだけれども、しかし、毎日毎日ほんとうに暑いです。ドイツもオランダも連日35度を越す気温で、すでにもう何人かのお年寄りが亡くなりました。天気予報によると、この猛暑はまだまだ続くとのこと。山火事や水不足の危険性が日に日に高まっていきます。

庭とバルコニーの花たちには朝晩2回水をたっぷり与えていますが、それでも日中はいかにも辛そう。葉も茎もたら〜と柔らかくなってしまって「太陽さん、もう勘弁して頂戴!」と嘆いています。となりのオス猫・カーター君もついにくたばってしまったのか、姿が見えません。これ、かなり気になる私。

アコーディオンは他の楽器と違って、楽器と体がほとんど一体となって演奏されます。15kgほどの重さを体全体に分散させ、一箇所に何キロもの重さがかからないようにするわけです。「子供を抱くマドンナのよう」なんて言えば聞こえはいいけれど、この猛暑では子供もマドンナも“汗だく物語”。

マドンナはシャワーでOKですが、子供の方は丁寧なケアをしないと故障の原因になります。汗には塩分が多く含まれているため、練習後は湿らせた布で45の鍵盤と185個のボタンを一つ一つ丁寧に拭かねばなりません。また楽器内部には1000枚近いリードがありますが、それらが取り付けられている板版はワックスで固定されているため、気温が高いとワックスが柔らかくなって、これも楽器には悪影響を与えてしまいます。アコーディオンの盛んな国というと寒い国が多いようで、例えばフィンランド、ロシア、ノルウェー、セルヴィア等。寒くてもアコーディオンを弾いているとだんだん体が温まっていく、できることなら夏はパスしたいというのが楽器の本音かもしれません。

仙台における演奏会は10月、アコーディオンにとって一番いい季節かもしれません。

写真解説:御喜美江が使用しているアコーディオン。製作者:ジョヴァンニ・ゴラ(1972年)/ドイツ・ホーナー社

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2006年07月25日

2006.07.25| 池上英樹

2年前に東京から山梨の河口湖町に移り住んで、水と森に囲まれて生活しています。都会的人生だった僕も今ではもう街での生活がイメージできなくなってきました。先日のコンサートでもスタッフの方に、野生児みたい?!(素敵か?)と言われてしまいました。20代前半はプリンスと呼ばれていたのに。。。(それもどうかと思うけど)

富士山の麓、富士五湖のなかでもとりわけ神秘的といわれている西湖に家があります。築100年位の古民家に住んでいるのですが、仕切りを取っ払って約50畳のスペースと、蚕部屋だった今でいうロフトのような作りからなっています。なにしろ打楽器の量は半端じゃなくありますので、それでもセットの大きい作品をさらったり、打楽器リサイタルの準備をすると楽器だらけで動けないほどです。

昨年からその家を整理しまくって、古民家コンサート的なことも始めました。東京からバスツアーも企画されて、70名ほどが何とか入れます。民族楽器がいたるところに飾ってあったり、家の雰囲気が無国籍雑貨屋みたいでわりと面白がられています。

子供の頃からひとところに長く住んだ記憶がなく、やっと地元意識のようなものが芽生えてきたんだと思います。仙台の音楽祭でもたくさんのボランティアの方々が活躍されるでしょうが、ホント自分たちの街!っていう気持ち、当然のように持ってたいですね。壁を作るんではなく、それぞれの街がそれぞれに美しいっていう。。。 自分も山梨で少しずつ始めています。

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2006年07月25日

2006.07.25| 御喜美江

今日は火曜日。大学があるときの火曜日は12時から授業があるので、自宅を午前9時15分に出て、ドイツの隣町Geilenkirchen発9時37分のRE(鈍行)電車に乗り、デュッセルドルフ中央駅からさらにS6(超鈍行)に乗り換え、エッセン・ウェルデン駅から徒歩5分、フォルクワング大学には11時半頃到着します。
それから午後8時頃まで教えて、そのあと自分の練習をするときもあるし、学生達と夕食に行くこともあります。火曜日はこのようなリズムがあります。
一週間の中で最も充実している日は、火曜日かもしれません。

不思議なことに“大学の日”は“自分の練習日”でもあります。大学には小さいながらも自分の部屋があり、そこには楽器、楽譜、机、ピアノ、大きな鏡、洗面台、体操用マット、Video & Audio等があります。古い石造りのフォルクワング大学は壁が厚く、天井も高い。猛暑の夏でも比較的しのぎやすい気温が保たれ、レッスンと練習だけに気持ちが集中できるこの空間は、私にとってかけがえのない仕事場かもしれません。

ラントグラーフの自宅にいると、朝の雑用を終えてやっと練習を始めても、すぐまたメールを見たり、ブログを書いたり、人のブログへ遊びに行ったり、CDを聴いたり、オス猫カーター君の相手をしたり、庭に出て草むしりを始めたり、と次から次へとすることは絶えず、気が付くともうお昼。ちょっと本を読んでいるとあっという間に夕方、そして夜。リズムが作れないままにせっかくのフリーデイは終わってしまいます。

私のような人間(手風琴奏者、B型、乙女座、火星人+、かぐや姫)には、汽車時刻、授業の時間割、遊び道具のない小さな部屋、そんなプリミティブな規律や環境が、生活上で何よりも必要な条件のようです。

写真:フォルクワング音楽大学

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