今回は、私が初めて仙台ジュニアオーケストラに出会った時のことを書こうと思います。私がジュニアオケに初めて出会ったのは、仙台フィルハーモニー管弦楽団に入団した時のことですから2003年の7月ですね。
その時、「まだ聴いたことのない仙台ジュニアオケの音はどんな音だろう」ととても楽しみにしていたのを覚えています。さて、実際ジュニアオケに関わることになって…最初はいい意味で驚きの連続でしたね。
まずはじめに驚かされたのは、選曲でした。
仙台ジュニアオケの情報を全く知らなかったので、まずは選曲を伺おうと思い、ジュニアオケの担当の方に曲を訊いたところ、
松元「ところで、曲は何をやっているんですか?」
担当さん「幻想なんですよ(笑顔)」
松元「え!?幻想って…ベルリオーズのですか??(驚き!)」
担当さん「そうですよ(超素敵な笑顔)」
松元「は…そうですか…(しばし沈黙)」
いや〜びっくりしました。曲を知らない人の為にお教えすると、ベルリオーズの「幻想交響曲」は音大のオーケストラでもなかなか難しい選曲だと言われるような曲なんです。それをジュニアオケでやるとは…
その後、実際に練習に参加し、さらにビックリ!練習場のステージに100人近く人がいる…!そして、ほとんどの子が練習を休まずに参加している…!指揮者の緊張感のある指導に、小さい子までもが、きちんと集中してついていっている…!しかも、みんな何だか練習楽しそう…!ホント色々驚かされましたよ。
でも、こうやってブログに書いてみると、今では当たり前だと思っている多くのことに当時は驚いていたんですね。いや、違う!今でも子供たちが当然のように行なっている、驚くべき事の多さは相変わらずで、私がその環境に慣れただけなんですね。
彼らが努力して驚くべき事を当然のように維持しているのに、それを当たり前なんて思っちゃいけませんね!!
仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html
私がチェロを初めて触ったのは15歳、高校1年の時です。プロのヴァイオリニストになるには3〜5歳から、チェロでも5歳ぐらいから始めるのが普通で、遅くても小学校高学年から練習しないと間に合わないといわれるこの世界では異色な存在なわけですが、子供の頃は、サッカーや釣りに夢中で、クラシックには全く興味がありませんでした。
ただ、音楽が嫌いという訳ではなく、中学の頃からロック、特に最初はビートルズが大好きで、他にもディープパープルやジミ・ヘンドリクス、ジェフ・ベックやボストン等を毎日聴いていたのです。また、聴くだけではなく、サッカーのコーチの飼っている2匹の「犬の散歩」というアルバイト(毎日30〜1時間、1回250円)で貯めたお金で中古のエレキベースを買って弾いたり、兄が弾いていたクラシックギターを借りていじったりしていたのですが、高1の春に、たまたまテレビでチェロの演奏を見て(今にしてみれば、私の人生を大きく変えたそのチェリストはオーストリアの名手、ハインリッヒ・シフ氏です。今年12月に共演するので、その時彼にそのことを伝えようと思っています)、趣味のつもりで習ってみたところ、その面白さの虜となり、現在に至ります。
チェロの面白さは、その構造が極めて原始的でシンプルなため、自分の体のちょっとした使い方の工夫やタイミングの違いで音色が無限に変化する点にあると思います。チェロを弾き続けて今年で26年ですが、幸せなことにちっとも飽きず、どうしたら今までより上手に弾けるだろうかと毎日取り組んでいます。
ではまた明日!
丸山泰雄(チェロ)
合唱隊に入って、今年で11年目になる。
入隊当初、私は習い事を増やすこと自体に気乗りがしなかった。それでも、入ってみたら楽しくなって、いつの間にか高校3年生になっても歌っていた。
今まで合唱隊にいて、たくさんの演奏会やオペラを経験してきた。歌うことはもちろん楽しい。だけど私は、舞台袖の、あの緊張感がたまらなく好きだ。それからステージの上で、指揮者が“サイン”をくれるのを待つのも。自分のニブい反射神経を集中させて歌い始めると、緊張が少しずつほどけ始める。いろんなことを一緒に学んできた仲間たちと、感覚がぴったり合っていると感じる瞬間に出会うのは、涙が出るほどに心地良く、幸福だ。
合唱隊で学んできたのは、音楽だけじゃない。音楽をきっかけにして集まった仲間たちからは、学校では学べないことを教えてもらった。先輩からも、後輩からも。
卒隊して、大学生、社会人となった先輩の何人かとは、今でもメールのやりとりをする。
“もう高校3年生?あんなにちっちゃかったのに”なんて、親戚のお姉さんのようなことを言われつつも、変わらず音楽の話ができることが、嬉しい。
NHK仙台少年少女合唱隊 佐藤仁美
それにしても唾が斜め後ろにまで飛んでくるだけあって、岸本さんの声はデカイ。そしてロシアを原語で歌えるだけあってその音色のなんと豊かなこと。
哀愁をおびたメロディー、語りかけるような甘い響き、そして100人は一度にめった打ちできそうな迫力のリズムとアクセント、私はアコーディオン伴奏をしながら、レコーディングよりコンサートのほうがもっともっと感動した。
そしてこのとき『ロシア民謡』を愛する遺伝子が実は私にもあったことを、岸本力さんの歌唱芸術で知ることができた。
いまは亡き父に、「パパ、美江もロシア民謡って、ほんとうは好きだったみたいよ。もっとはやくに気づいていればよかったね。これからはもっともっとロシア民謡を弾くから、その時は必ず音楽会場に来てね。」と心の中でつぶやいている。
今回は2年半ぶりに再び岸本さんの『ロシア民謡』を伴奏できる。
仙台は父も大好きだったから、きっと聴きにきてくれるだろう。 (このシリーズ完)
御喜美江(アコーディオン)
皆さん、はじめまして!
私は仙台フィルハーモニー管弦楽団で副指揮者をしております、松元宏康と申します。今回は10月8日に行われる仙台ジュニアオーケストラの演奏会の指揮者として私が皆さんの前に登場するという事で、このブログに参加することになりました。
本来、指揮者と呼ばれる人というのは人前で面白い話をするのが上手だったり、文章を書けばウィットに富んだジョークを交えながら素敵な事を書ける方が多いのですが、私はまだまだ副指揮者ということでその辺も大目に見ていただければと思います。
さて、最初に… まずは、今回の演奏会の主役である仙台ジュニアオーケストラについて少しお話しなくてはいけませんね。
仙台ジュニアオケは、全国でも珍しく公立のジュニアオーケストラで、現在、仙台市に居住または通学する小学校5年生から高校2年生までの男女(夏期合宿での練習風景)約120名が在籍しております。そして、その子供たちの楽器の指導にあたっているのは、全パート仙台フィルハーモニー管弦楽団の団員です。
実は、日本ではジュニアオケと呼ばれる団体が多くありますが、現役のオーケストラの団員が、直接全パートに指導者として参加しているのは仙台を含め数団体しかないそうです。
子供たちが将来音楽家になるかそうでないかに関わらず、人生の一番大切な時期に音楽という素敵なものに触れるチャンスがあり、またそれを教えているのが現役のプロであるという事を考えると、こんなに恵まれた環境はないのではないでしょうか?
みなさんこのようなジュニアオーケストラが仙台にあるなんてご存知でした?
それでは、これからしばらくのお付き合いですが、どうぞよろしくお願いいたします。
仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html
はじめまして、仙台クラシックフェスティバルせんくら2006に出演する仙台市出身のチェリスト、丸山泰雄です。
仙台で生まれ、父の仕事の都合で3年ほどアメリカ合衆国に滞在した時期を除けば、立町小、仙台二中、仙台二高と、私の青少年期を過ごした仙台は、まさに私のふるさとです。
当時は川内に住んでいたので、家の裏にある公園を通れば3分で広瀬川、真冬以外は毎日のように魚釣りをしていました。また、小学校5年の時からサッカーにのめり込んでいたので、いつも真っ黒でケガだらけでした。
さて、今回の“せんくら”には10月9日にチェロ・ソロとチェロ・クワァルテットで2回出演するのですが、秋の仙台といえばまず思い出すには芋煮会。(皆さん知ってますか?芋煮会は東北独自の文化で、東京や関西の人達は全然知らないんですよ!)
東京に住みはじめてもう23年、毎年秋には、芋煮会を懐かしく思い出し、音楽家仲間に開催を呼びかけるのですが、秋は忙しいからと誰も積極的に話に乗ってきません。せっかくの機会なので、今回はコンサート終了後に伴奏のピアニスト中川賢一君とチェロ・クワァルテットのメンバーを強引に誘って、広瀬川で芋煮会しようかとマジで考えています。
澱橋付近の河原で私を見かけたら、ぜひコンサートの感想を聞かせてください。それではまた明日!
丸山泰雄(チェロ)
昨年4月から、NHK仙台少年少女合唱隊と改称した団体ですが、旧名称の仙台少年少女合唱隊から数えると、48年の長い活動をしてきました。
このたびは、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」と、チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」の中から、合唱曲に編曲されたものを歌います。
「動物の謝肉祭」からは、原曲が“水族館”となっている“海のしじま”と、有名な“白鳥”の編曲で“旅の白鳥”、そして、“フィナーレ”です。
ピアノ連弾による伴奏で、榎木富士夫の作詞、寺島尚彦の合唱用編曲版ですが、“フィナーレ”は、ピアノのみで演奏されます。
“くるみ割り人形”は、台本と音楽、中山知子、編曲増本喜久子によるもので、1.序曲(ピアノ連弾)、2.行進曲、3.子守唄、4.雪のワルツ、5.ロシアの踊り(トレパック)、6.花のワルツ、以上6曲が演奏されます。
“動物の謝肉祭”も“くるみ割り人形”も、よく知られたオーケストラの作品ですが、子供達の清らかな歌声による演奏も、又、違った魅力を見せてくれることでしょう。
合唱 HNK仙台少年少女合唱隊
指揮 大泉勉
ピアノ 尾澤香織、尾澤麻衣
発声指導 姉歯けい子
NHK仙台少年少女合唱隊 大泉勉
岸本力さんが『ロシア民謡』をオーケストラ・バックでうたうと、東京芸術劇場の大ホールが完売になるそうだ。リリースされたロシア民謡のCD『つかれた太陽』も、コンサート会場で販売すると飛ぶように売れるそう。
すごいなぁ。一度でもそんな経験を私もしてみたい。岸本さんには【御喜美江アコーディオン・ワークス2004】にゲスト出演していただいた。ステージ上での岸本さんはまたとくべつで、そのときの印象も忘れられない。
プログラムはショスタコヴィチとグバイドゥーリナのソロ作品で始まり、そのあと休憩までがロシア民謡となった。岸本さんは背が高く足が長くハンサム。そして赤がアクセントされた黒の背広も抜群にかっこういい。こういう人と登場すると何となく気分がいいなぁ。
一曲目は“トロイカ”。歌い終わった瞬間に「ブラビー!」「ブラボー!」とあちらこちらからかけ声がかかる。なんかすごくいい感じ。次は“ナスターシャ”岸本さんの額には汗が滲み出ている。しかしそれとは別に何かが飛んでくる。なんだろう・・・
私は左うしろ斜めに座っているから、逆行ライトの中を見上げると、なんとそこには唾がまるでシャワーのように飛び散っている。前3列目くらいまでは、この唾シャワーをもろに浴びているはず。
2曲目がおわるとさらに「ブラボー!ブラビー!」の連呼。でも私は唾のことが気になって前列のお客様のほうを見ると、そこはみんな岸本さんのファンらしく、どの人も喜びに溢れ、恍惚の面差しで岸本さんを見ている。「あっそうか、この人たちは“岸本シャワー”を頂きたく、このこんな前に座っているんだ。」と納得。(さらに続く)
御喜美江(アコーディオン)
『ロシア民謡』が大好きだった父の希望で、私は4歳からアコーディオンを習い始めた。その頃からすでに『ロシア民謡』に縁があったわけだが、父親の趣味嗜好はかならずしも子供には遺伝せず、娘はそれから数十年間『ロシア民謡』とは無縁で過ごしてきた。
ところがある日キングインターナショナルの宮山幸久さんから次のような問い合わせがきた。「この度キングでは“岸本力・ロシア民謡”リリースを計画しています。岸本さんは、音楽がロシア民謡ですからその伴奏をピアノではなく、アコーディオンとギターで希望されています。弾いていただけますか?」
私はその時のことを今でも鮮明におぼえている。何故かと言うと、このようなレパートリーは今まで弾いたことがなかったし、弾きたいとも思っていなかったし、多分自分からは思いつきもしなかったアイデアなので、「えっ?」と戸惑うはずのところが、何故かどうしてか、宮山さんの問いに対して私は一瞬の迷いもせず「ありがとうございます。是非とも弾かせていただきます!」と答えていたからである。
そしてもっと驚いたことは、私自身がこのニュースを本当に喜んでいたことである。「ロシア民謡・・、どんな曲があったっけなぁ、カチューシャ、ともしび、モスクワ郊外の夕べ、ボルガの舟歌、あぁいいな〜、懐かしいな〜、弾いてみたいな〜」と夢はどんどん膨らんでいった。(明日に続く)
御喜美江(アコーディオン)
私たちのレパートリーのもう一つの方向は、英語の歌です。今回は、『アルヒダノス』というウェールズの民謡を取り上げます。
これは子守歌なのですが、原詩はもちろんウェールズ語で書かれているので、私たちには理解できません。しかし、幸いなことに、イギリスでは何種類かの英語詩版が出ており、そのなかの一つに準拠して編曲をすることにしました。ただし、リフレインの「Ar hyd y nos」(これで、アルヒダノスと発音します)のところだけは、英訳詩によらず、原語にしたがって歌うという、ちょっと私たちだけの独特の構成でお届けします。意味は「夜もすがら」ということであります。
その他に、私は詩人として、多くの作詩歌曲作品を世に出しておりますが(ご存じないかたも多いと思いますが・・・)、そのなかのいくつかはすでに音楽の教科書にも出ていいます。シューベルトの『鱒』、メンデルスゾーンの『歌の翼に』、インドネシア民謡の『ラササヤンゲ』など、外国曲の日本語詩を私が書いたものです。
それらのなかで、私が自分でもっとも気に入っているものが、ハワイ民謡の『アロハ・オエ』で、これはリリウオカラニ王女の作詩作曲の原譜に忠実に詩を書いたものです。この曲は二重唱(二部合唱)に編曲されていますので(編曲は伊藤康英さん)、いつも勝又さんと歌って好評をいただいている、言ってみれば「定番曲」となっております。
今回は、たった四十五分しか時間がないので、演奏できる曲目には限りがありますが、以上のように、日本の懐かしい歌や、イギリスの子守歌、そして外国曲の日本語訳詩版(林望作詩)というような、いくつもの違った相貌をもった重唱曲を御披露したいと思います。
さてさて、実際にどのような曲を演奏するか、それは厳密には当日のお楽しみといたします。いずれも演奏に先立って私が簡単な解説をして、それから歌うということにしますので、一種のレクチャーコンサートとしてもお楽しみいただけるかと思います。
どうぞみなさま、ふるって、万障お繰り合わせのうえ、私どもの「男声二重唱」の世界に御来臨を賜りますよう、重ねがさね、お願いを申し上げておく次第でございます。
ああ、面白かった、と思っていただけるように最大限の努力を傾けたいと思っております。
林望(トーク&バリトン)