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SENCLA BLOG

ブログ

岸本力
2006.08.29

2006年08月29日

岸本力ロシア民謡集「つかれた太陽」のジャケット

私の歌に対する意欲は、ロシア民謡から始まりました。ロシア民謡の持つ旋律からくる哀愁に非常に惹かれました。そして民謡から芸術歌曲へと心が動かされ、チヤイコフスキー、リムスキー・コルサコフ等の歌曲を次ぎから次と勉強し始めたのです。

大学の図書館で手にするロシアの楽譜は誰にも手がついていない、真新しい譜面に感動し、自分の、新しい歌の道に感動があったのです。しかし、友人や先輩達は、私のロシア歌曲への熱い思いに、呆れ、皆が私を馬鹿扱いでした。「岸本は、あんな暗い音楽を愛しているなんて!」と言われていました。大学卒業試験で、ムソルグスキー作曲オペラ「ボリス・ゴドノフ」の“ボリスの死”を歌いました。この歌は、ボリスが自分の行いを責め、苦しみ死んでいく様子を歌ったアリアです。

私が、中学三年の夏に、父を亡くしていましたので、その死に様が、突然であり当時の私には、父の死は深い悲しみであり、今でもその悲しみが永遠に続いていますが、父への思いを込めて歌った「ボリスの死」のアリアは、私自身が信じ難い二番という成績で卒業する結果となったのです。

その年の秋の日本音楽コンクールで、この「ボリスの死」を本選で、身振り手振りのアクションを交え舞台上で泣き叫びながら歌ったのです。結果は審査員25人中23名が私に一位をつけたのです。それは夢のような出来事でした。父の死が私を高めたのです。今日はここまで。

岸本力(バス)

林望
2006.08.28

いま評判の・・・

まずセッション77の方から御案内しましょう。このセッションでは、私と勝又さんと、それぞれが独唱曲を歌います。

私が歌うのは、じつはいまちょっとした評判になっている『あんこまパン』という面白い歌です。これは、今を時めく宮本益光さんや、佐藤しのぶさん、あるいは小栗純一さん、加賀清孝さんなど、著名な歌い手の方々が、全国各地で歌ってくれているせいで、急速にその名前が知られるようになってきたのでした。

『あんこまパン』というのは何であるか、というのは、まあ曲を聞いていただいてのお楽しみ、ということにしておきますが、これは実は、私の作詩、伊藤康英さんの作曲という比較的新しいコンサート用歌曲です。

とはいえ、もともと、私がこの曲のテキストを書いたのは、決して歌曲用にと思ってのことではなくて、『音の晩餐』(徳間書店)というお料理の本に、ひとつの純然たるレシピとして書いておいた記事を、作曲家の伊藤さんが、おもしろがって全三楽章の堂々たる歌曲にしてしまったというものでした。こういう歌はガーシュインなどにも先例がありますが、伊藤さんの歌曲は、作者の私がこう申してはなんですが、ガーシュインのそれより百倍面白いと思います。

そうして、この曲は加賀清孝さんの歌唱で録音され、数年前に小学館から『あんこまパン』というCDブック(歌詩、総楽譜、エッセイ付き)としてリリースしました。その当初はあまり評判にもなりませんでしたが、声楽家たちの間に次第に浸透し、今ではちょっとした評判の一曲にまで育ってくれました。これを今回、作者である私自身が歌おうという趣向です。

とはいえ、この曲は技術的には非常に難しい作品で、そう簡単に歌える曲ではありません。声域も相当に広く、声量や表現力も要求され、なおかつ音程的に極めて難しいところのある作品、しかも伴奏ピアノがまた、なみなみならぬ難曲というわけなのですが、それに私自身あえて挑んでみたいとおもいます。

しかし、歌えば歌うほど、これほど歌い甲斐のある楽しい曲もまた稀で、伊藤さんの作曲の見事さに、いつも感心しながら歌っています。なにぶん、テキストについては、私が作者なので、私以上によく理解している人は居ないだろうと思いますから、その作者としての思いを、せいぜい歌に表現してみたいと思っています。

どうぞお楽しみに。

林望(トーク&バリトン)

岸本力
2006.08.28

2006年08月28日

念願の東京藝大に入学しました。当時、今から30年前は大学の教育方針は、声楽についてもドイツ音楽が中心であり、次にくるのはイタリア音楽でした。当然私達学生にとって、ドイツリートをいかに上手く歌えるかが勉強の中心でした。しかし、田舎者の私にとって、ドイツ語の繊細な発音、がっちり構成されたメロディーを正確に歌うことが不可能でした。だんだんと歌に対する意欲がなくなりました。

大学一年生の終わり頃、自分にはクラシック音楽が向いていないと悟り、せっかく苦労して入った「藝大をやめてしまう!」という思いで、故郷の茨木へ帰り、母の田んぼの手伝いをやりながら、ふとロシア民謡「ヴォルガの舟歌」「鐘」などを農業の労働と共に歌っていたのです。当時ダークダックスなどが男声四人で歌っていたのを自然と耳にしていたからでしょう。

そのロシア民謡には、自分が力一杯表現できる「悲しみ、苦しみ、喜び、怒り」が入っていたのです。田んぼを耕しながら歌ったのは「ヴォルガの舟歌」で、なんとも言えない快い、自分が癒される「思い」を感じたのです。

私は「これだ!」と思い、藝大に復学したのです。
今日はここまでです。

岸本力(バス)

林望
2006.08.27

私の音楽活動

人間、あきらめずに地道に努力していると、どんな幸いがやってくるか分からぬものです。

私がそれまでずっとやっていた能楽から、かねて学びたかった声楽に転向したのは、もう十五年も以前のことです。それから何度も挫けそうになりながら、でも継続して努力しているあいだに、声楽的発声というものが少しずつわかってきて、だんだんと人前で歌うことが楽しくなってきました。

今はバリトンの田代和久さんに師事して学んでいますが、以前はテノールの勝又晃さんが私の先生でした。

やがて、勝又さんはじめ、何人かの歌い手たちと重唱グループ「ザ・ゴールデン・スランバーズ」を結成して全国各地で演奏会をするようになり、また山下牧子さんなど別のメンバーと共に、英語歌曲のみに特化した「重唱林組」をも結成して、津田ホールをはじめ各地で演奏をしてきました。

最近は、私と非常に声質のマッチングの良い勝又さんと男声二重唱のユニットを組んで活動をしています。このユニットにいつもピアニストとして参加してくれているのが、五味こずえさんで、紅一点というか、花一輪というか、男二人の殺風景なところに彩りを添えて、見事な演奏で音楽的に支えてくれています。

こういう地道な音楽活動もすでに七八年になる今年、「せんくら」の平井プロデューサーから、是非出演してくれないかと有り難い嬉しいお誘いを受けました。それで、今回もまた、勝又・林組(このユニットにはまだ名前がついていません)で、参加することにしたのでした。

また、私たちの音楽活動を、作曲・編曲という側面でいつも支えてくれているのが、日本歌曲作曲界の若き俊英、上田真樹君です。今回も上田君編曲の作品を中心にプログラムを組みました。

セッション77の方は、私と勝又さんの、それぞれが独唱曲を歌う形で構成します。そして78の方は、二人で歌う男声二重唱のコンサートとしました。

それぞれ、どんな曲を歌うのか、それは明日のこのブログに書く事にしましょう。

林望(トーク&バリトン)

岸本力
2006.08.27

2006年08月27日

はじめまして、バス歌手の岸本力です。仙台でのロシア民謡のリサイタル楽しみにしています。

私が何故ロシア民謡を好きになったかをお話ししましょう。

私の生まれは、大阪の茨木で父が大工さん、母が農業をやっていました。その四人兄弟の末っ子として生まれました。私の子供の頃は、家の周りは田んぼばかりで、いつも日が暮れるまで、泥んこになりながら遊んでいました。いつも土の感触があったのです。

実際、小さい頃から、田植えの手伝い、稲刈りの仕事と、家族中でやっていました。その環境の中で育った自分が、突然、声が良いというだけで、声楽を始めたのですから、それも高校三年生でしたから、音大受験のためのピアノはバイエルから、声楽はイタリア歌曲、コーリュブンゲンなど、こんなに多くのことを!するなんて! その結果二年間の浪人の結果、やっとの思いで東京芸大にはいりました。

この続きは明日!

岸本力(バス)

米良美一
2006.08.26

2006年08月26日

私のとりとめもないつらつら日記も7日目をむかえました。

仙台に伺えるのが本当に楽しみです。

私の財布には『仙台四郎』さんという福ノ神のお札が入っています。以前どなたかに頂いたものです。仙台には独特の『はやり』があるみたいですね。四郎さんの他にも四郎の女性版で幸せになれるといううわさの『お守り』があるそうです。おもしろい!!

とにかく仙台に行くと、きっと何か小さな幸せが見つかるのではないでしょうか。

そんな気がします。

まぁ、私は「ずんだ餅」を口にほおばると顔が自然とほころんで自分自身が福福しくなるのです!

では食欲の秋、芸術の秋に、杜の都で一緒に輝きましょうね!

その日まで呉々もご自愛下さい。ご拝読ありがとうございました。

米良美一

赤坂達三
2006.08.26

せんくらでお会いしましょう!

通称イワシダマと言うイワシの群れとそれを狙うアオサギ=筆者撮影

当然の事ながら、演奏会で演奏する当日と言うものは、演奏が終わるまで、それに向けてあれこれと考えたりと・・・それが仕事なのですが。

ですから夜公演ですと、その日一日一回公演だとしても終日お仕事と言う事に成る。別に悪いとは言っていませんが・・・。

その点、朝の演奏会であれば午前中にはお仕事終わり!

せんくらではその日有効に使って、いろいろなコンサートにも足を運ぼうと思います。

では、皆様にお会い出来ます時を楽しみにしております。

赤坂達三(クラリネット)

 

五嶋節
2006.08.26

御質問大募集

初日にも申し上げましたように、私と参加してくださる方々がご満足していただける会にするには、と策を練っておりまして、何でしたらこのブログを見てくださった方が予め「あれを知りたい。これを知りたい」と言って下されば、今回は誠に申し訳なく無料ではございませんが(1,000円相談室)、ご相談に乗りますので。

質問が多ければ、1回目からQ&AでGO!
では、皆様にお会いするのを楽しみにしています。

五嶋節

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ということで、五嶋節さんへご質問ある方は、次のアドレスまでどしどしお寄せください。
mails@sym-tokyo.com
当日仙台にいらっしゃれない方でも結構です。(平井)

米良美一
2006.08.25

2006年08月25日

生まれて初めて『落語』を観に行ってきました。浅草演芸場で観たのですが、現代落語に古典落語、その合間に《いろもの》と呼ばれるマジックやものまね、漫才など、本当に多彩なステージでした。

程よくひねた感じもあって思わず苦笑してしまうシーンや腹を抱えて笑ってしまうそのしぐさ、そして深々と感心させられるその至芸に、私はとっても勉強になったというか、瞳がキラキラしてしまいました。

西洋音楽やまたはその影響を色濃く受けたものを扱って仕事をしている私にとって、日本人の大衆的な芸事の数々は、至極新鮮で、また根性のようなものも感じられ、かなり刺激されました。

粋な笑いっていいですね〜。

米良美一(カウンターテナー)

赤坂達三
2006.08.25

多忙な夏・・・

今年もお蔭様で物凄く忙しい事になってます。

クラリネットもさらわなければいけないし、夏は音楽際、あるいはコンクールですよね。吹奏楽のコンクール審査も沢山やらせていただき、大変勉強になりました。

僕は電話魔人と携帯メール魔人なのですが、余りに忙しく(猫と魚の飼育も含め笑)、返事が出来ないまま皆様にご迷惑をかけてしまっております。

更には8月下旬から少し休暇いただきパラオに行ってまいります。

帰りましたら9月9日サントリー、10日の新潟公演コンチェルトに向けて特訓ですかのー。お蔭様で来年3月までまたバタバタとすることになりそうです。頑張ります。

今後とも皆様に宜しくお願い申し上げます。

赤坂達三(クラリネット)

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