つのだたかし(1)

2007.06.24| つのだたかし

私がすっかり“ホヤ”好きになったのは仙台で美味しいのを食べて以来です。

もちろん塩辛やくんせいも悪くはないけど、なんといっても刺身にはかなわない。それも天然物 でなくてはいけない。

私が住んでいる東京のはずれでは、天然物などまずお目にかかれないが、時々デパ地下などで出くわすこともある。

急ぎ帰宅してお尻のところをまずスパッと切り落とし、頭に向かって包丁を入れる。その後、身と皮の間に指を入れてみごとにひきはがす。

ホヤのどの部分がお尻で頭なのかは本当は知らないけれど、なんとなく見た感じだ。

ホヤは夏のもの。

せんくらに行く頃はもうナマコの季節になっているのかな?

宮城の辛口で一杯やりたいな。楽しみです。

 

米良美一(7)

2007.06.23| 米良美一

今日でせんくらのブログは終了する。

毎日徒然なるままに、日頃の思いや出来事を書き綴ってみたがなかなか
どうして…。

PCにめっぽう弱いボクには、歌うことより荷が重たい。

来週一週間、山形から北海道へとコンサートでずっと家を空けなければならない。

しかし我が家には愛犬「さんぼ」がいるので、ペットホテルに預ってもらうのはしのびないし…。ということで家の近所に住んでいる心優しい友人に、ベビーシッターをいつものように引き受けていただき、ボクは安心して旅立てるのであった。

山形はソロリサイタルだが、北海道は札幌交響楽団との初共演で、どんな喜びが生まれるか楽しみだ。
ちなみに場所は苫小牧。苫小牧では“ハスカップ”を使って作ったお菓子「ヨイトマケ」なるものが存在する。なんだかご縁を感じてしまうボクなのである。

お菓子といえば仙台の銘菓「萩の月」。
今回“せんくら”におけるボクのコンサートに冠を付けてくださっている。

大変有難く光栄なことだと感謝しているのだが、銘菓に恥じぬよう、心してボクは美味なる歌を、聴衆の皆さまにお伝えしたいと今から襟を正しているところなのでございます!!

波多野睦美(7)

2007.06.23| 波多野睦美

<共演のつのだたかしさん(リュート)と>

「せんくら」の長い一日の最後は、イタリアのバロックの歌です。

オペラ誕生の立役者カッチーニや、「オルフェオ」の初演400年で盛り上がっているモンテヴェルディ、ヴェネツィアで活躍したストロッツィなどを聞いていただきます。

バルバラ・ストロッツィは、教養と美声で知られた女性作曲家でした。
本人では?と言われる肖像画が残っていて、それは胸もあらわな豊満な美女の姿。

イタリアカンタータの世界に大きな足跡を残し、何巻もの作品集を出版した女性です。その驚嘆すべき仕事ぶりは「女性作曲家列伝」(小林緑編著)に詳しい。

彼女の感慨深い生涯を知らなかったとしても、この人の歌には、女性歌手たちを深く惹き付けるものがあります。

なんといってもメロディーが、ぐっとくるものが多い。

歌心をくすぐるというか、どっぷり浸りたいと思わせるフレーズが満載されている。

今回歌う「聞いておくれ 恋人たち」の詩。

楽しみは泣くことだけ 私の食べるものは涙だけ

信じていた人に裏切られた者は、最後に苦しみによって殺され埋葬されてしまう、と嘆く。

この「埋葬」という言葉にのせられた最後のフレーズ、最初に聞いた時にはたまげました。1オクターブをはるかに越える大きな跳躍で歌われるのです。

バルバラが自分の声を大胆に駆使しながら、聴衆を魅了していたんだろうなあ。

かと思えば、「愛の神は眠たがり」のようにコケティッシュな軽い曲もあり。

たくさんの芸術家がひしめくイタリアの、バロック時代の若い頃。
その美味しさをみなさまと味わいつつ、仙台の一日を終えたいと思います。

米良美一(6)

2007.06.22| 米良美一

昨日のコンサートは大盛況でした。

目白バ・ロック音楽祭に参加するのは初めてでしたが、お客様もボク自身も、自由学園の明日館で、とっても充実したひとときを過せたと自負しています。レトロな建物の木のぬくもりの中で、ボクは本当に解放されて幸せでした。

“フランスとジャポンのうた”と題したコンサートは、日本の粋とフランスの精神(エスプリ)と見事な融合だったと思います。

今日はゆっくりしたいところですが、夜に出版社の方と未来について打合せに出掛けます。有意義なミーティングになるといいなぁ~。

波多野睦美(6)

2007.06.22| 波多野睦美

リアルタイムというのは、スリリングなものだ。

私は日頃、300、400年前の曲を主に歌ってるので、
その曲を作った人や詩を書いた人と直接に会うことはない。
現代の作曲家や詩人の方々のものを演奏する機会(それもご本人を目の前にしながら)、これは本当に緊張します。

現に谷川俊太郎さんの隣で武満を歌った時、まんまとその緊張につかまり、間違えました。
歌詞を。

「3月のうた」(曲:武満徹/詩:谷川俊太郎)は、石川セリさんの歌で知って以来、リュートでよく歌わせていただく曲。
イギリスやドイツでは、いつもアンコールで歌ったが、どこで演奏しても
例外なくお客様に届いていく、強い曲だ。

わたしは花を捨てて行く
ものみな芽吹く三月に
わたしは道を捨てて行く
子等のかけだす三月に
・・・(以下略)

何かから離れることと、“三月”という季節は、日本人の心の中ですんなりと向き合う。
ある友人は、“サンガツ”という発音されただけで涙腺をヤラレてしまう、と言っていた。

季節がはっきりと設定されているにもかかわらず、一年中いつ歌っても
この曲は本当に強い。

静かに、強く、
聴く人を、別れと旅立ちの季節に連れていく。

米良美一(5)

2007.06.21| 米良美一

これから目白に出かけて、夜七時からコンサートが開演する。

今日のコンサートではアンティーク着物を着ることになっていて、よりレトロな雰囲気の中、粋なフランスと日本を楽しんでいただきたいと思っている。

ボクは普段から着物が好きでよく着ている方だと思うが、歌うとなると…!?うまくできるかな?

では、いって参ります!!

波多野睦美(5)

2007.06.21| 波多野睦美

ダ・ヴィンチの「受胎告知」を見に行きました。ガブリエルの真紅の衣、白い横顔が細胞に染みました。

会場にはデジタルで再現された複製画もありましたが、やはり何かが違うと言って「光」です。
本物には形容しようのない、生き物のような『うごめき』がありました。光がゆらゆらしてるような、絵の中から澄んだ音が響いてくるような。

絵画は、画家が意図して伝えようとしたことがそのままそこにある。もちろん保存の状態にもよりますが、音楽とはそのあたり、かなり違います。

私たちは「楽譜」という不完全なものを案内人にして、作曲家と語り合う。その歌を作った人の「光」の百分の一でも再現できたら、と願いながら。

米良美一(4)

2007.06.20| 米良美一

明日「目白バ・ロック音楽祭」の中でリサイタルを開く。

“フランスとジャポンのうた”と題し、近代フランス歌曲と日本歌曲(それもフランスを意識したものを中心に)のコンサートである。

目白には学習院があり、その仏文科は歴史ある優秀なところで、日本とフランスの友好にも非常に大きく貢献してきたと思う。

そんな目白でどんなコンサートになるやら…!?

今日は家でダラダラとオフを楽しみ、明日へ備えることにしよう。

波多野睦美(4)「雨の日はポンポーサ」

2007.06.20| 波多野睦美

ある時リハーサルで顔を合わせたテナーの男の子が、同僚のソプラノの子に「今日のあんたの服、いけてなーい」と駄目だしされてました。

「だって、今日雨だから。きめる気がしない」
と彼。普段からとてもおしゃれな人です。

その会話を横で聞いて「人それぞれだなあ」と思いました。
私は雨の日は絶対にきれいな色を着るようにしてます。
晴天の国「九州」で育ったもので
“しとしと” “どんより” というのには本当に弱く、身も心もやられてしまいます。

だから、暗い日には明るい色。
傘やTシャツ、スカーフをヴィヴィッドな色にすれば、雨の日もまた楽し!

その昔、私が小学校の頃に「雨」という歌謡曲が流行りました。

雨に濡れながら たたずむ人がいる
傘の花が咲く 土曜の昼下がり

この「傘の花が咲く」という詩、好きだったなあ。
歌手のこぶしが独特で、最初の「あめ」が「あんめー」になっていたのが
思い出されます。

そうそう、「ポンポーサ」はスペイン語で「華やかな」「派手な」という意味。
楽しくなる語感ですね。
太陽のない日はポンポーサでいきましょ!

米良美一(3)

2007.06.19| 米良美一

今日は朝からピアニストさんとのリハーサルにつづき週刊誌の取材があった。

7月10日に出版されるボクのこれまでの人生を綴った本「天使の声―生きながら生れ変わる」のPR取材である。

約半年かけて結構丁寧に書き綴ったものがいよいよ出版される。
嬉しいような、ちょっと裸を見られるようで恥ずかしい気もするが…。

これからの人生、できるだけ力を抜いて、ありのままの自分として生きていきたい。

そしてもっと心から歌に魂を込められるようになるために、自己を開きたいと思ったから。

「せんくら」で歌うのは出版後だから、

その頃にはより拡がりをもった米良美一に出会えること間違いなしである。乞うご期待!

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