特別な日

2017.08.15| 佐藤しのぶ

皆様、はじめまして、佐藤しのぶです。

 

8月15日から3日間ブログを担当することになりました。

 

実は生まれて初めてブログを書くことになり、今とても緊張しております。どんな方がお読みくださるのか、何についてどんなふうに書けばよいのかよくわからないのですが・・・

 

今日は8月15日という特別な日です。

やはり厳粛な気持ちで、平和の尊さについて書かせていただこうと思います。

 

戦後72年を迎え、戦争体験者や原子爆弾投下による被爆者の方々が年々亡くなられていく中で、戦争を知らない私達こそ、自ら歴史や過去を学び、次世代のために平和な未来を担うべく責任があると感じています。

 

日本は世界で唯一の被爆国です。

その大きな責務を世代を超えて受け継ぎ、しっかりとバトンを渡していかなければなりません。

 

音楽は人と人とを繋ぐもの。

音楽は人の心をより人間らしく育んでくれます。

戦争は人間を人間で無くしてしまいます。

 

私の恩師の中山悌一先生は、こう仰っておられました。

「歌い手はすべての立場や考え方の異なる人の気持ちを理解できるようでなければならない。でなければ、決して人の心を打つ歌は歌えない」と。

 

体験せずとも想像力を持って努力し、あらゆる人の気持ちに想いを馳せること…

 

容易ではありませんが、楽譜によって作曲家の真意を読み解くことから始まる演奏家にとって、不可欠なことだと思います。

 

音楽は人間の為に在ります。

今こうして健康で平和の中に音楽できることへ深く感謝し、戦争で亡くなられた方々へのご冥福と、平和への祈りを込めて、シューベルトの連禱「Litanei」歌い、捧げます。

 

これは、私が小学5年生の頃に両親が広島の平和記念資料館に連れて行ってくれた時の写真です。

 

佐藤しのぶ

夏がおわったらせんくらですよ!

2017.08.15| 三宅進

こんにちは、チェロの三宅 進です。

 

仙台フィルと契約して5年目になり、すっかりせんくらが年間のリズムの一部になってきました。新年度になってすこしすると、もうせんくらプロジェクトの詳細が我々にも伝わってきます。

 

それをきいてすぐにプログラムの検討にはいります。とくに今年で3年目になるチェロカルテットは、学生時代からのつきあいの長谷川陽子さんと相談して、曲目やらシーティングを決めるのでけっこう大変。なにせ主張があるので、彼女(笑)

 

ピアノの加藤昌則くんとの音楽サプリは、やりたいアイディアがどんどん出てきて、楽しいのですが、下手すると非常に暴走するので、これまたたいへん(笑)今年はお客さんにリクエストをしてもらい、そのお題?をもとに選曲するので、楽しみな反面、アイディアマン加藤くんが突飛なことを言いだしそうな予感・・・

 

今年は上記の2つに加えてフェスティバルソロイスツと仙台フィルの公演というのが三宅進2017せんくら予定です。

 

ほかの公演、面白そうなものをみにいきたいなとおもうのですが、実現むずかしいな。

 

三宅進

大作曲家と個性的なクラリネット奏者との出会い

2017.08.14| 吉田誠

せんくらブログを読んで下さっている皆様、こんにちは。

 

いよいよ僕のブログも最後日となりました。

 

クラリネットのために書かれた名曲の誕生の背景には、偉大な作曲家とその時代に活躍した優れた、そして大変個性的なクラリネット奏者との出会いがありました。

 

今日はその話を簡単に、それから今回演奏させて頂くプログラムについても簡単に説明したいと思います。

 

モーツァルトは、当時のウィーンを代表するクラリネット奏者、アントン・シュタットラーと出会い、有名なクラリネット協奏曲やクラリネット五重奏等の傑作が誕生しました。

 

シュタットラーはテオドール・ロッツというクラリネット職人とコラボレーションし、新しいクラリネットの開発に取り組みました。その中で普通のクラリネットより更に音域の広いバセット・クラリネットやバセット・ホルンという楽器を作ったのですが、この楽器とシュタットラーの特別な演奏に触発されたモーツァルトがこの名曲を生み出したのです。

 

ロッツ製のバセット・ホルン

(写真はエリック・ホープリッチ著 「The Clarinet」より)

 

有名なブラームスの晩年のクラリネット・ソナタやクラリネット五重奏、クラリネット三重奏は、リヒャルト・ミュールフェルトというクラリネット奏者のために書かれています。元ヴァイオリン奏者であり、指揮者でもあったミュールフェルトの表現力に感激したブラームスは、失いかけていた創作意欲を再び取り戻し、これらの傑作を短い期間に一気に書き上げました。

左:ミュールフェルト、右:ブラームス

 

ガラ・コンサートで演奏させて頂く、メシアンの〈世の終わりの四重奏曲〉の中のクラリネット・ソロ曲《鳥たちの深淵》も第二次世界大戦中に出会った、アンリ・アコカというクラリネット奏者との出会いにより、これまでで最もあたらしく、刺激的なクラリネット・ソロ曲が生まれました。アコカは本当に個性的な奏者だった様で、メシアンの手記には「メタリックな音を出す奏者」と書かれています。

 


アンリ・アコカ

 

ピアノとのデュオ公演のテーマは「ファンタジー」ですが、その中で演奏させて頂く、クラリネット・ソロのための〈幻想曲〉の作曲者である1973年生まれのヨルク・ヴィトマンは、世界中の音楽祭やオペラハウス、オーケストラから委嘱が舞い込む大活躍中の作曲家であり、世界的なクラリネットのソリスト、そして素晴らしい指揮者です。

 

作曲家兼指揮者だったり、作曲家兼ピアニストという方は歴史的にも多くいらっしゃいますが、作曲家兼クラリネット奏者というのは歴史的にも珍しいのではないかと思います。

 

また僕にとって、現在を生きる偉大な作曲家の、自作自演を聴ける事は、作品を最もわかり易く知る事が出来、とても貴重な機会だと思います。

ヨルク・ヴィトマン © Marco Borggreve

 

曲名にファンタジーと付けられている訳ではありませんが、とても幻想的で夢の様なクラリネット・ソナタをニーノ・ロータが残しています。ニーノ・ロータは皆様もご存知の通り、「ゴットファーザー」や「太陽がいっぱい」や僕も大好きな映画監督である、フェデリコ・フェリーニのほとんどの映画音楽を手掛けていますが、たくさんの素晴らしい純音楽を作曲しています。
特にクラリネットの作品は多く、このソナタやクラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲、木管五重奏や九重奏、そしてアレグロ・ダンツァンテというクラリネットとピアノのための小品も残しています。映画音楽でもニーノ・ロータはクラリネットを活躍させている事からもきっとクラリネットに何か特別なファンタジーを抱いていたのではないでしょうか。隠れた名作をこの機会に是非とも聴いて頂きたく思っております。

 

それでは、会場で皆様にお会い出来ることを楽しみにしております!
3日間おつきあい頂き、有難うございました!

 

吉田 誠

クラリネットとは

2017.08.13| 吉田誠

皆様こんにちは!

 

昨日に引き続き、ブログを担当させて頂きます、クラリネット奏者の吉田誠です。

 

今日は楽器について少しご紹介したいと思います。
現在、僕が演奏している楽器は、Schwenk & Seggelkeというメーカーのクラリネットです。

現代のクラリネットは世界的に大きくドイツ管とフランス管の2種類のクラリネットに分類され、キーのシステム、内径のサイズ等の違いがありますが、僕の楽器は、運指はフランス式で、音孔や内径はドイツ式という両方のいい所を取り入れた楽器です。

 

またこのメーカーは古楽器も制作しており、当時の楽器のエッセンスもこの楽器には取り入れられています。

 


© RamAir.LLC

 

当時のクラリネットは柘植の木で作られていましたが、耐久性や利便性の問題で現在は黒檀で作られたものが主流となっています。

 

また音を出す上で、とても大事なパーツがあるのですが、それがマウスピースです。弦楽器で言う弓の様な役割になるのではないでしょうか。

 

現在、この3種類のマウスピースをメインに、曲によって使い分けています。

 

3種類共に素材はエボナイトというものですが、それぞれ0.01ミリ単位でカットが違うため、吹き心地、音色、発音の速さが異なります。

 

例えば、モーツァルトやウェーバーの時代の作品では速い発音と瞬発力が求められるので、右のマウスピースを使います。

 

ガラ・コンサートで演奏させて頂くメシアンの様に、幅広いダイナミクスと多彩な音色が必要な作品では、真ん中のマウスピースを使います。

 

因みにこのマウスピースは、サクソフォンのマウスピースから着想を得て、職人さんに手作りして貰いました。

 

その他にも、楽器の穴を塞ぐ部品の素材を何にするか等、楽器のこだわりは話せばキリがないのですが、ほんの少しのことで楽器の音色や倍音の響きなどが変化するので、日々、研究が必要となります。

 

ヴァイオリンやピアノは長い年月を経て、ある意味で既に進化を遂げ、完成された楽器ですが、クラリネットはキーが1つ増えたり、新しい素材が楽器に使われる等、世界中で新しい実験が行われ、日々進化しています。

 

モーツァルトのクラリネット協奏曲やブラームスの晩年の2つのソナタ等、名作曲家が残した名曲が実は沢山ありますが、その誕生の背景には、当時の優れたクラリネット奏者と楽器職人と、そして、偉大な作曲家との出会いがありました。

 

明日は、これらの素晴らしい出会いについて書きたいと思います。

 

吉田 誠

初せんくら

2017.08.12| 吉田誠

仙台の皆様、こんにちは!

今日から3日間、せんくらブログを担当させて頂きます、クラリネット奏者の吉田誠です。

 

せんくらには今年初めて出演させて頂きます。

 

宮城ではほぼ毎年の様に演奏させて頂いており、昨年の6月には石巻の法音寺の本堂で萩原麻未さん、成田達輝さん、横坂源さんとメシアンの《時の終わりのための四重奏曲》を演奏させて頂きました。
写真はリハーサルの様子ですが、本堂の響きが素晴らしく、演奏していてとても気持ち良かった事を覚えています。

 

せんくらでは、ピアノとのデュオ公演だけでなく、ガラ・コンサートにも出演させていただきます。

 

初めて共演させて頂く方ばかりなので、今から大変楽しみにしております。
そしていつも温かく迎えて下さる仙台のお客様に、せんくらの公演会場でお目に掛かる事が楽しみでなりません!

 

オーケストラではおなじみのクラリネットですが、現在僕はソリストとして活動しています。

クラリネットでソロ?と思われるかも知れませんが、実は音域は4オクターブ以上もあり、各音域ごとに名前が付いている程、多彩な音色を持つ楽器であり、大作曲家が素晴らしいクラリネットのための作品を残しています。

 

明日はそんなクラリネットという楽器の事をご紹介したいと思います。

 

吉田 誠

感謝

2017.08.11| 原田哲男

皆さんこんにちは。

せんくらブログの担当も今日で最終日となりました。

 

原稿の提出は毎年ぎりぎりか締め切り日の夜中(締め切りに遅れているということですが)。いつもせんくら事務局の方にはご迷惑をおかけしております。

 

コンサートへ向けての練習も、十分時間をかけたつもりが締め切り(本番当日)に間に合わない状態に陥って焦ったり、逆に停滞していたものが意外にガーッとはかどってすごくうまくいったり、未だに不安定なものですが、それでも数年をかけて自分が出したいと思う音を徐々に変化させていくことが出来るのはやはり大きな喜びです。

 

仙台の皆さまとももう18年のお付き合いになります。沢山のお客様、そしてせんくら等コンサートを準備して我々を迎えてくださるスタッフの方々に感謝してせんくらの本番に臨みたいと思います。コンサート会場でお待ちしております。

 

 

 

原田哲男

住みやすい街 仙台 福岡

2017.08.10| 原田哲男

毎日暑い日が続きます。東北・仙台の暑さと違って、私が今住んでいる福岡の暑さは「ぐぁ~ん、もわ~っ」とした感じでしょうか。日差しもずいぶんきついようです。もっとも、この暑さは住む前から何となく覚悟はしていたのですが、それより住んでみて驚いたのは、冬の空が毎日どんよりしていること。南だから冬も毎日太陽かと思っていたのが、日本海側だから冬は曇り空が多いとのこと。これは、寒いけれど割とからっと晴れている仙台とは違います。

 

しかし天気よりびっくりしたのは家庭ごみの出しかたです。朝、自宅近くの集積場所に持って行くのが普通だと思っていましたが、福岡市は夜、しかも自宅前に置いておけば夜中に回収してもらえるというものです(もちろん毎日ではありませんが)。カラスの心配も、朝ごみを出しに行く面倒もなく…この方法は素晴らしいと毎週つくづく感じます。夜中にすべての家を回るような作業をされる職員の負担は大きいと思いますが、一方で渋滞もなく、また日が昇った後の暑さの中よりは良いかもしれません。

 

せんくらのブログにごみの話もどうかと思いましたが、住みやすい街と言われる福岡のその理由の一つを紹介させていただきました。そしてもう一つの住みやすい街・仙台の魅力は何といっても爽やかな空気と街の雰囲気そのものだと思います。特に秋の仙台は最高!ですので、このブログをご覧の九州の方も夏の疲れを癒しに是非せんくらへお出かけください。

 

 

原田哲男

グリーク、ドヴォルザーク、ストゥチェフスキー

2017.08.09| 原田哲男

せんくらブログをご覧の皆さまこんにちは!

今日から3日間担当させていただきます、チェロの原田哲男です。

 

 

今年で12回目のせんくらにはこれまで多く出演させていただいていますが、思い返せばフェスティバル期間中は毎回素晴らしい秋晴れに恵まれていたような気がします。

 

今年も仙台の変わらぬ清々しい空気に迎えられ、その空気の中で皆様と共に音楽を共有できることを今からとても楽しみにしています。

 

さて、今年は3つの公演で演奏させていただきます。グリーク(公演番号25番)、ドヴォルザーク(公演番号19番)はいずれも「国民楽派」と呼ばれる作曲家たちで、どちらもドイツ、オーストリアの音楽を学びながらも祖国の歴史、言葉、自然、民謡を大切にして自分の国の特色ある音楽を作り上げた、いわば祖国の心の柱のような存在と言えるかと思います。

 

訪れたことのないその国、その地方らしさと言ったものに思いを巡らせながら音を造り上げていく作業は大変充実した時間です。

 

ストゥチェフスキー(公演番号59)という作曲家の名前は初めて知りました。ウクライナ生まれ、ドイツやスイス、オーストリアでチェロ奏者として活躍したそうですが、ユダヤの血を引くことから二度の戦争の影響を多く受けます。悲哀に満ちたメロディ、一転して素朴で明るい踊りの音楽は両極端で多少大げさな感じもしますが、初めて知る作曲家の気持ちの中に入り込んでどのような音楽が生まれてくるか、彼はチェロのために多くの曲を残しているようなのでいずれはそれらの曲にも挑戦してみたいと思います。

 

 

今年も様々な作曲家、そしてせんくらならではの素晴らしい演奏家に囲まれて過ごす3日間が楽しみです。せんくら2017へ是非お出かけください。

 

原田哲男

旅する音楽家 大阪編

2017.08.08| 金子三勇士

皆さまこんにちは!

せんくらブログへの掲載3日目、いよいよ僕が担当させていただく最終日となりました。「旅する音楽家」今日は大阪のミニレポートです。新幹線や飛行機の移動が多い毎日ですが、国内移動の場合、機内や車内でなぜか全く眠くなりません。乗っている時間が短いからでしょうか?

 

移動中は基本、頭の中でピアノの練習をしています。時には楽譜を膝の上に取り出し、真剣に見入る事も…笑

そんな機内ショットを一枚!

 

 

お笑いが大好きな自分ですので、大阪滞在はいつもどこかワクワクします。タクシーに乗る瞬間から「ボケツッコミ」の世界がはじまり、そのやり取りがなんともいえませんね。今回も「大阪で仕事をするなら関西弁をマスターせなあかんでー」と言われてしまいました…はい、頑張ります(笑)

 

今回はグリーグのピアノ協奏曲。最近はチャイコフスキー、リスト、ラフマニノフのコンチェルト続きでしたので、グリーグは新鮮!

 

 

ソロ演奏に比べ、協奏曲を弾く時はピアノから出る自分の音のボリュームが自然と大きくなります。そのためか、弾き終わる頃には毎回凄くお腹が空きます。最近は公演前にカレーパンを買い、出番が終わったら楽屋で食べる事がマイブームです。

 

カレーと言えば、仙台でも美味しいカレーがあります!毎年牛タン利久さんの長時間煮込んだ特製カレーを楽しみにしています。他にオススメがありましたら、是非サイン会の時にでも教えてください!

 

それではせんくらまであと1ヶ月少々となりましたが、9月30日、エル・パーク仙台やイズミティ21小ホールで皆さまにお会い出来るのを楽しみにしております!!

 

金子三勇士

旅する音楽家 熊本編

2017.08.07| 金子三勇士

皆さまこんにちは!
「旅する音楽家」第2弾、沖縄の次は熊本のミニレポートです!

 

人生初のJTA航空で那覇から福岡に飛び、そこからは新幹線で熊本入り。今年の2月にオーケストラツアーでお邪魔した以来でしたが、大震災の爪あとは変わらず残っていました。特に心が痛むのは熊本城の今の姿でしょうか。一日でも早い復興を願うばかりです。

 

今回は私のもう一つのふるさと、ハンガリーの事業と提携し、ピアノを弾く子どもたちのために開催されたコンクール育成プログラムの一環でお邪魔しました。熊本でも豊かな感性を持ち、アイディアに溢れたピアノ好きな子どもたちに出逢う事が出来、とても嬉しかったです。

 

そして改めて、子どもたちが音楽と向き合う時、技術面の正確さだけでは物足りないと強く感じました。そこにアイディアがあり、感性があり、初めて味のある演奏になります。僕の趣味の一つでもある料理と一緒ですね。レシピ通りに作ってもなかなか美味しい料理はできません。経験上…(笑)

 

日頃は皆さまに音楽を届ける身として、このような機会になりますと子どもたちが届けてくれる音楽によって毎回特別なパワーをいただきます。どこか原点に戻るような不思議な気持ちにもなります。
その想いとともに、次の本番と向き合う事が出来そうです。

 

最後になりますが、現在の熊本城の写真を一枚アップしたいと思います。

 

金子三勇士

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