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SENCLA BLOG

ブログ

仙台ジュニアオーケストラ
2006.09.08

美味しいとこ取りなんです パート2

オペラは上演するために舞台装置を準備したり、多くの歌手や合唱が必要な分、とてもお金や時間がかかってしまいます。ですからオーケストラだけで演奏できて演奏時間も短い「組曲」を作ったほうが、その作品を世界中のオーケストラに演奏してもらえるチャンスが増えると思います。(もちろん言うまでもなく、オペラ全曲を上演する事とは比べられないことばかりですが…)

私が想像するに、作曲家にとってうれしいことの1つに「作品を多くの人に演奏してもらい、またそれを聴いてもらう事」というのがあると思います。

さて話し変わって、もしかしたらこのブログをお読みの方で、「それにしても松元さん、演奏する曲の様子を少しくらい教えてくれないと演奏会が楽しめないんじゃないですか??」なんてお感じの方もいらっしゃるかも知れません。どうぞ、ご安心を!

私がつまらない解説を入れるまでもなく、「だったん人の踊り」も「カルメン」組曲も、みなさんがよくご存知の旋律の登場する曲ですし、なによりどちらの曲も何の説明もいらないほどの、いわゆる名曲です。演奏会で子供たちの演奏を聴けばわかっていただけると思います。

仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html

丸山泰雄
2006.09.08

作曲家とチェロ

今年はモーツァルト生誕250年ということで、世界中でモーツァルトが演奏されています。私も5月のラ・フォルジュルネ・オ・ジャポンをはじめ、各地でモーツァルトを演奏していますが、残念ながら天才モーツァルトはチェロ独奏のための曲を1曲も作っていません。

まぁ、もし彼がチェロ協奏曲を書いていたら、弾くのがメチャクチャ難しい曲になったでしょうけども…。モーツァルトはチェロが嫌いで書かなかった様ですが、他にもチェロ・コンチェルトを書かなかった、もしくは書けなかった作曲家はけっこういます。ベートーヴェンも、自作のチェロ協奏曲を捧げようとした当時の名チェリスト・ロンベルクに「ピアニストの書いたチェロ曲なんかいらない!チェロ・コンチェルトは私が書いて弾くから。」と冷淡にあしらわれ断念。

またチェロ協奏曲の最高の傑作でもあるドヴォルジャークの作品を見たブラームスが「こういう風にチェロの曲を書けるとどうして私は知らなかったのだろう!知っていればずっと前に私が書いただろうに!」と絶句した話などはあまりにも有名です。

作曲家の友人に言わせると、たしかにチェロ曲は書くのが難しいらしく、何でもできる楽器だけど音がマイルドなため、他の楽器の音に埋もれやすく、オーケストレーションに苦労するということでした。

それに比べれば無伴奏作品は他の楽器に配慮する事なく、純粋にチェロの表現力や技術を追求できるためか、1915年のコダーイ作品以降、画期的な曲が目白押しです。私も来年には20世紀の無伴奏チェロの作品6,7曲を一晩で演奏するコンサートを、東京、仙台他で計画中です。

ぜひそちらも足を運んで聴いてみて下さい。チェロの表現力の多彩さにビックリすると思いますよ!

さて、いよいよ最終回の次回は音楽やチェロから離れて、私の趣味について少々書きたいと思います。

ではまた明日!

丸山泰雄(チェロ)

NHK仙台少年少女合唱隊
2006.09.08

美しい響きを求めて

声ほど不思議なものはない。

人間の身体を楽器として、音を作り音楽を表現する。しかし、声帯では殆ど振動だけで音は鳴っていない。

声帯自身では、つやも響きもないブオーブオーといったひどい声なのだそうです。

響きのあるよい声は、あくまでも共鳴のさせ方、工夫次第にかかっているといえます。

私も歌う度にこのことを考えては声の不思議を思わされます。

毎週一度の子供達の練習でも、共鳴を求めて、初めにストレッチ体操を行い、腰や横隔膜筋に注意を向け、乍ら身体をほぐし、手鏡を使って注意深く自分の声のひびきを探します。買い替えることのできない、世界にただ一つしかない素晴らしい楽器を与えて下さった両親に感謝の気持ちをこめて・・・。誰もが素晴らしい響きを作る事が出来ると信じて・・・。

生まれつき良い声、悪い声というのはなく、あるのは声の質の違い(ソプラノやアルト等)だけと言い聞かせ乍ら、常に正しい姿勢を求め、健康で美しい姿勢からのみ美しい音が生まれる事を信じて・・・。

こうした事は、私自身根気強く、自分の声の響きを求め続ける以外になく、子供達も全く同様です。下あごの力をゼロにして頭の上の空気が美しく響いていく為にも、常に健康でバランスよく支えられた、素晴らしい楽器作りの為の努力を続ける事と、自分に言い聞かせ乍ら、これからも歩み続けるつもりです。私自身の、そして子供達の美しい声の響きをどこまでも追い求めて・・・。

NHK仙台少年少女合唱隊
発声指導 姉歯けい子

仙台ジュニアオーケストラ
2006.09.07

美味しいとこ取りなんです パート1

「だったん人の踊り」についてつらつら書いたのに引き続き、変化球で攻めた「私なりの演奏曲目について」です。

ここまでは「だったん人の踊り」について書かせていただきましたが、次はその後に演奏する、今回のメインの曲、フランス人作曲家ビゼーが作りました歌劇「カルメン」組曲第1番、第2番より抜粋、についてです。

「カルメン」組曲も「だったん人の踊り」同様、オペラの中の音楽を演奏するわけですが、「カルメン」は1曲だけでなくオペラから8曲を選んでお送りいたします。いわゆる「カルメン」の中の“美味しいとこ取り”ってやつです。

しかし、“この美味しいとこ取り”というアイディアですが、何も私が考えた訳ではありません。昔から作曲家や編曲家は、自分の作ったオペラやバレエが大ヒットしたり、作品が気に入ったりすると、より多くの人に聴いてもらうために、「組曲」という歌手が入らなくてもよい、オーケストラだけの編成でのダイジェスト版を作ったのです。

仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html

丸山泰雄
2006.09.07

クラシック

よく「クラシックの人は毎回同じ曲を弾いてばっかりで飽きないの?」と私の仙台二中時代の友人達から聞かれます。そんな時はいつもこう答えることにしています。

J−ポップや演歌等の歌謡曲も映画も毎年何十、何百とリリースされるけど、10年後にその中の何%が人々に覚えられているか考えてみてくれと。今皆が知っているクラシックの曲は50年も200年も前からそれぞれの時代の人々に愛され、聴かれ続けてきた曲ばかり。当時その10倍以上作曲され、聞かれていただろう駄作たちはとっくに厭きられ、忘れ去られているのだから、今生き残っている作品が、いかに時代や国、流行と関係なく普遍的な魅力と内容を持った曲たちか解るでしょう?と。

同じように、「ヴァイオリンやヴィオラ、チェロといった弦楽器は古くないとダメ」と言われていますが、面白いものでこれも同様の理由で、有名なストラディヴァリウスやグワァルネリウス等は(どちらも軽く億を超えます、私が見た1番高いストラドのチェロはなんと15億円!!)、新品できたてのホヤホヤの頃から音も美しさも超一流だったので、大切にされ300年間も使われている訳で、当時の三流の楽器は現在ほとんど残っていません。雑に取り扱われ、壊れても修理される事なく、使い捨てられたのでしょう。

そう考えれば曲の場合も楽器の場合も、その素晴らしい作品を何度弾いても飽きるなんて事は全く無く、曲の場合はかえって毎回新しい発見を曲の中にできますし、様々な可能性を作品自体が内包しているので、「作品の忠実なる再現者」であるべき我々演奏家は、自分の表現力の可能性の拡大、深化を集中力の維持のため表現を変えなければいけません。それによって毎回作品に新たな生命力が生まれて、演奏する事がまた楽しくなるわけです。1度完成した、もしくは会得した表現法に安住した途端、その行為はあっという間に陳腐なものになるというのは演奏にかぎらず、すべての表現芸術に共通する事だと思います。

20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルスの偉大さを語る時、彼が少年期から毎朝、「自分のために」弾いていたバッハの無伴奏チェロ組曲を、90歳になっても今覚えたての曲のように新鮮に演奏していた話が取り上げられますが、私もチェリストの端くれとして、その話をいつも忘れないようにしています。

ではまた明日!

丸山泰雄(チェロ)

NHK仙台少年少女合唱隊
2006.09.07

2006年09月07日

事務局を担当して16年目を迎えました。今日まで先生方をはじめ、沢山の子供達やご父兄と出会うことが出来、沢山の時間を共に歩んでまいりました。

私が事務局を担当した当初、隊員は70〜80名在籍しておりましたが、少子化の影響か、現在では50名前後となりました。しかし、今年の春にも新入隊員を迎えることができ、12月の定期演奏会へ向けて練習に励んでいるところです。

又、毎年夏には3泊4日の強化合宿があり、小学校1年生〜高校生までの隊員が共同生活を送ります。勿論、練習がメインの合宿ですが、隊員1人1人が隊員全員と親しくなれるチャンスとなり、結果、強い団結力が生まれます。そしてその団結力が定期演奏会へ向けて更に強くなり、美しいハーモニーとなって、ステージで輝く様子を見ると、毎年胸が一杯になります。

定期演奏会の他、様々なコンサートやテレビ出演、オペラ出演などの貴重な経験を通して、その度に隊員が成長し、自信に満ちた生き生きとした表情を見せてくれます。

在籍している隊員の年齢は小学1年〜高校生までですが、練習の中で思いやりの心、協力し合う事を自然と身に付けていくことができ、合唱の素晴らしさを、耳だけでなく、肌で感じています。

私として出来る事は、隊員の体や心の健康のフォローを、微力ながら心掛けていく事だと思っております。

これからも隊のため、応援して下さる皆様のためにも、陰ながら事務局としての仕事に努力したいと思います。

NHK仙台少年少女合唱隊事務局 庄子幸枝

仙台ジュニアオーケストラ
2006.09.06

演奏会の冒頭で演奏しますのは… パート2

現在、売られているペットボトルの某そば茶にも堂々と「だったんそば茶」って書いてありました。もし、使っちゃいけないんならこのお茶も発売禁止かなぁなんて…安易な理由ですみません!!

でもね、これだけだとアリバイ不足と思い、念のために近くのスーパーの麺コーナーにもリサーチに行ったんですよ。そしたら「だったんそば」と明記されているそばがたくさん取り扱われていました。ですから、この言葉を使っても良くなったんでしょう。つまり、今風に言うと「あり」なんでしょう。(なんていいながら、このブログがボツにならないことを祈ります)

ちなみにこの「だったん」という言葉が避けられていた時期は「だったん」を「ポロヴェッツ」と言い換えこの曲を「ポロヴェッツ人の踊り」と呼んでいました。

なぜなら、「だったん地方」と呼ばれていた地域を現地では「ポロヴェッツ地方」と呼ぶからです。

またまた余談ですが、これは私の知人のロシア留学に行っていた友人から聴いた話です。ポロヴェッツ地方に生まれた方は美男美女が多いらしいのです…男性は彫りがハッキリしていて男らしい顔立ちで、女性も非常に美しい人が多いということです。

そう考えれば今回演奏する「だったん人の踊り」もこの話のとおり、男性の力強い踊りと女性の美しい踊りの音楽が登場します。

仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html

 

 

丸山泰雄
2006.09.06

フリーのチェリストとしての現在の仕事

現在、私はフリーのチェリストとして活動しています。内容はというと、ソロ、室内楽がメインで、その他に年間それぞれ5回定期公演を持つ、ソリスト集団とも言える精鋭揃いの室内オーケストラ「紀尾井シンフォニエッタ東京」と「トウキョウモーツァルトプレイヤーズ」のメンバーとしての活動や、国内主要オーケストラの客演首席等が中心になります。

前回書いたように、チェロは非常に多才な楽器ですので、どの様な編成でもやりがいのある声部が与えられますし、フリーでいれば、ソロばっかりとかオーケストラばっかりというように1つの活動の場に縛られて煮詰まったり、飽きる事がなく(笑)、自分には向いていると思います。

他にも自分でプロデュースするコンサートが年数回あります。演奏家の仕事のほとんどはクライアントからの依頼によるもので、なかなか自分が弾きたい曲を一緒に弾きたいプレイヤーと演奏できるわけではありません。じゃあそういう演奏会は自分で創ってしまえと始めたのですが、自分でプロデュースしてはじめて感じる裏方の努力やお客様のニーズもあって、とても良い勉強になっています。

また、クラシックだけが好きという訳でもないので商業音楽の録音もしていますが(テレビや映画、CM、舞台等でチェロの音を聞いたら、その半分ぐらいは私の音だと思って下さいね。音にはサインを残せないのが残念ですが)、いわゆるスタジオと呼ばれるこちらの業界も奥が深く、キビシイ世界で、1回楽譜を見たら2回目はもう本番レコーディング、場合によっては初見で録音、しかもそれを3時間で40曲!なんてことが普通で、それができない人は二度と呼ばれません。

そこで活躍しているプレイヤーの顔つきは、クラシックの「夢見る音楽家のそれ」よりどこか凄みがあり、賞金稼ぎ、黒澤映画の椿三十郎みたいな人ばっかりです(半分ウソ)。また、マイクで音を拾ってミキシングすることを念頭に置いた弾き方をしないと音がうまく乗らず、ホールで800人や2000人の聴衆に音を伝えるクラシックのコンサートとは弓のスピード、圧力や左手のヴィブラートの種類も完全に変えなければなりません。

このように、同じチェロの演奏でも、100回も200回も練習して聴衆に披露するクラシック、たった1回の譜読みで本番のスタジオと、その両方をやっている事で、私の場合はバランスがとれていると思っています。

ではまた明日。

丸山泰雄(チェロ)

NHK仙台少年少女合唱隊
2006.09.06

2006年09月06日

今の時代、どの合唱クラブでも「合唱団」などという名称にしている。が、我が愛する仙台少年少女合唱隊は「合唱隊」なのである。この「隊」であるところに、この合唱隊の歴史を垣間見ることが出来る。創設者は、郷土の有名な作曲家、福井文彦先生である。まだ軍事色濃い時代の名残なのだろうか。

今、合唱隊などという合唱団は全国でも珍しいそうだ。そのはずである。我が仙台少年少女合唱隊は来年、創立50年を迎える。「隊」であることの歴史には、何と50年もの長さと重さがかかっていたのである。継続は力ということであろう。

この合唱隊の名を消さぬよう、昨年からNHK仙台放送局よりご支援を頂いている。NHKという巨大なメディアが、そのようにしてこの合唱隊を育ててくれるのか、期待しているところである。

私は、この合唱隊の後援会長を23年もしている。23年もの間、公演会長をしてきての思いは、合唱団同士のネットワークの弱さ、無さを感じている。この少子時代である。一人勝ちなどありえない。

「楽都・仙台」と言うのであれば、子ども合唱団同士、もっと連携を持って、楽都・仙台らしい「子ども合唱文化」の意欲的な発信を望みたいものだ。

その意味でも、今回の仙台クラシックフェスティバルは、まさに「試される事務局の力」となるのではないだろうか。楽都・仙台にふさわしい独創性を持ったフェスティバルにして欲しいと、エールを送っている。

NHK仙台少年少女合唱隊後援会長 渡辺義昭

仙台ジュニアオーケストラ
2006.09.05

演奏会の冒頭で演奏しますのは… パート1

このブログを読んでいらっしゃる方の中でも、私たち仙台ジュニアオーケストラの演奏を楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。

そこで、10月8日の演奏をより楽しんでいただくために、この場をお借りし私なりに曲にまつわる話をしたいと思います。

ただ単に曲の解説をするようでしたら、CDに付いてくる曲目解説かオペラ解説本を読んだほうが面白いでしょうから、あまり解説書に書いてないようなことを…

まず、今回の演奏会の冒頭を飾るのは、ロシアの作曲家ボロディンが作りました、歌劇「イーゴリ公」から“だったん人の踊り”という曲です。

ちなみにこのボロディンという方、作曲家という顔以外にも、もう1つの顔がありまして、実は科学者で大学教授でもあったんです。科学者でありながら、歴史に名を刻む作曲家でもあったなんてすごいですね〜。

さて、曲名の「だったん」という言葉、一時期は使うことを避けられていました。でも、最近また目にするようになったところを見ると、また使ってもよくなったんでしょう。

そう思ってここで書かせていただいているのも訳がありまして…

仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者 松元宏康(まつもと・ひろやす)
http://www.city.sendai.jp/shimin/bu-shinkou/jr-orche/index.html

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