原田哲男(6)

2008.06.06| 原田哲男

ライプチヒに居る今のうちに、とコンサートやオペラに足繁く通っています。
ドレスデン、ベルリンのオペラなど伝統のある会場でも、集まってくる観客の服装は実に様々。タキシードとイブニングドレスのカップルも居れば、ジーンズにセーターといった若者まで、誰もがこの一晩の催しを自分なりに楽しもうとしているのが分かります。つまり、オペラ鑑賞を昔ながらの社交の場としてお上品な?会話、会場の雰囲気、夕食はリッチに、タキシードで背筋を伸ばしたりして非日常を最高に演出したいか、それとも学校帰りに友達とオペラを立ち席で聴いてその後居酒屋で飲むか・・ といった違う楽しみ方どれもが認められているのだと思います。
(ここに書いたのはあくまでも僕個人が見た範囲内で、プレミエ(新演出)公演、特別なガラコンサート、それからもしかしたら土地によっては服装にも厳しいかも知れません。年配の方はやはりしっかりとした格好の方が多い)
またチケットが2000円くらいから2万円など、設定が広いのも広い客層が集まる理由でしょう。 いずれにしてもクラシックを聴くことへの感覚が多様だと感じます。

せんくらには、本格的なコンサートホールからオープンなスペースまでいろいろな雰囲気のコンサートが用意されているのが(しかも安い)魅力ですね。是非自分なりの楽しみを味わいにお出かけいただけたらと思います。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(5)

2008.06.05| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

ロメオとジュリエットには「幻想序曲」、1812年には「祝典序曲」というタイトルが付いていますが、いずれも曲の後にオペラが始まるわけではありません。なんだか変ですね。交響曲のように4つの楽章で構成されているものでない、オーケストラのための単独の作品を、いつの時代からか「序曲」と呼ばれるようになったのです。どうやらそう名付けるようにしたのは、メンデルスゾーンではないかといわれています。二つの曲のように、物語や出来事からインスピレーションを受けて作曲されたものや、名付け親のメンデルスゾーンには「フィンガルの洞窟」という風景をもとに作った序曲があります。いずれも親しみやすい曲です。

原田哲男(5)

2008.06.05| 原田哲男

ヨーロッパに留学すると言ったら、オケのとある女性団員(その方は海外生活も長い)に「あっちの男性はとっても紳士的なの。レディーファーストなんかもちゃんとしてるんだから! 原田君もしっかり学んできてくださいね!」と妙な課題を言い渡されてしまいました。

さて、こちらに着いて街を歩いていると・・確かにあるある! よいマナーが。

でもそれは男性が女性に対してだけではないようです。人が人に対してというか、道を譲る、ドアを押さえて待つ、困っているようならすぐに手を貸すといったような行為がさりげなく普通に行われているのに気付きます。 日本であればやり過ぎは返って相手に警戒されかねないでしょう。でもそれは日本とヨーロッパの土地環境や歴史の違いに因るところが大きいので、一概にどちらが良いとも言えません。

問題の(?)レディーファーストに関しては、ドイツ語の先生いわく「最近若い人の間ではそれも減りつつある」とのこと。「それよりも、日本では電車やバスでお年寄りに席を譲らないとどこかで読んだけどどうして? 他人に親切にするという習慣はないの?」と逆に聞かれてしまいました。 「それには日本人ならではのメンタリティーがあって・・」と、微妙な気持ちをドイツ語で答えることが出来ればよかったのですが。

というわけで、くだんの同僚に「留学の成果」を披露できるかどうかは自信がありません。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(4)

2008.06.04| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

管弦楽曲では、非常にまれなことですが、ひとりあるいは少人数で、ステージ以外で演奏することがあります。この本体のオーケストラではない別動隊の人を「バンダ」といいます。非常にまれなことといいましたが、仙台フィルでは昨年2回バンダが登場しました。「せんくら」をはさんだ9月定期での「幻想」の第3楽章の牧童の笛をまねたオーボエ、それから10月定期の「英雄の生涯」の舞台裏で吹くトランペット、これらが例として挙げられます。

「1812年」ではモスクワの人々の勝利の喜びを最大限に表現するために、バンダが使われています。

イズミティ21大ホールのいたるところにバンダの人を配置し、バンダの編成は、当日まで秘密ですが、その華やかな響きをたっぷりと皆さんにお届けしたいと思っております。

なお、10月13日の最後の演奏会[101]の「アイーダの大行進曲」でもバンダがトランペットを吹きならします。

(写真:舞台の両袖に立って演奏しているのがバンダです)

原田哲男(4)

2008.06.04| 原田哲男

昨年9月から一年間の予定でドイツのライプチヒに留学しています。
出発前の引越しにはバタバタしました。 この機会に読み直そうと文庫本をいくつか荷物にも詰めましたが、最近その中になつかしいものが挟んであるのを発見してびっくりしました。 それは1989年(大学1年)の日付の、とある著名日本人チェリストのリサイタルチケットだったのですが、失礼ながらそのコンサートに行ったことを全く覚えていません。
しかも御招待の印が・・ 大学1年のその時期にどういう理由で誰から券をいただいたのか? 思い出せない分かえってその半券を簡単には捨てられない気になりました。大事に飾ることはなくてもせめて同じ本に挟んで日本に持って帰ろう、と。そしてブッ○ ○○に売るようなことはやめておこう、と。

もともと何かを記念に取っておいたり、集めたりというほうではないのですが、この件があって、やはり紙などの形で残すものも良いなと思いました。このブログを含め、今はパソコンの中に何から何までもが詰まっていて、思いついたら簡単に取り出せますが・・もし20年後に今を振り返るとしたら、やはり手に取れる紙のほうがより懐かしく思い出せるような気がするのです。(行ったことを覚えていなければ元も子もありませんが)
せんくらで例を挙げるとしたら、せんくら2006期間中のガイドブックは街やレストラン、演奏者の情報など楽しい内容が盛りだくさんだったような覚えがあります。そのガイドブックはきっと将来誰かが感慨をもって見直すのではないかと思います。
因みにドイツでは各オーケストラとも随分と立派な年間冊子を作っていて、その代わりコンサートのチラシというものはほとんど見かけません。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(3)

2008.06.03| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

昨日、忘れましたが、チャイコフスキーの魅力、それは何と言っても一度聴いたら忘れることのできないメロディの美しさにあります。ただ単に美しいだけでなく、どこか悲しげな色合いを含んでいるメロディ。私たち日本人はチャイコフスキーを非常に好きですが、彼のメロディに演歌と相通ずるところがあるからかもしれません。
さて、今日は祝典序曲「1812年」のお話です。この曲は、実際にあった出来事を音楽で表したものです。ナポレオンは1812年に60万の大軍を率いてモスクワを攻めますが、ロシア軍の奮闘に加え寒さと飢えのために敗れます。この戦いが音楽で描かれているのです。
ロシアとフランス、どちらが優勢かは、ロシア民謡とのちにフランス国歌となったマルセイエーズそのいずれかが大きいかを聴けばわかります。また、戦いの場面では大砲が鳴り響きます。この曲の初演はモスクワの教会の前の広場で行われ、実際に大砲を撃ったそうです。仙台でも2年前に霞目駐屯地での陸上自衛隊東北方面音楽隊の演奏の時に105ミリ榴弾砲を使ったということです。それならばと10月11日の演奏でも、是非大砲を使いたいとはりきっていますが、楽器や大砲をどこに置くか、当日までに解決しなければならない大きな問題です。
この曲ではもうひとつしかけがありますが、そのお話は明日にしましょう。
(写真提供=陸上自衛隊東北方面音楽隊)

原田哲男(3)

2008.06.03| 原田哲男

今年のソロの公演では、ドイツの作曲家の曲ばかりを選びました。
クラシック音楽とひとくくりに言っても、国や時代が変われば曲の骨格から色合いまでずいぶん違います。その中にあって古典からロマン派のドイツ、オーストリアの作品は最も重要な中心に位置しているといえるでしょう。いつの時代、どの場所でも人の心を動かしてきたそれらの曲に取り組めることは大きな喜びです。

ベートーベン、メンデルスゾーン、ブラームスはまた一人一人が異なった境遇で生き、それゆえに個性的な人間だったと思います。4つの作品それぞれの持つ魅力を表現できればと思います。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(2)

2008.06.02| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

2日目の話題は、チャイコフスキーの魅力についてです。
チャイコフスキーの音楽の大きな特徴として、同じメロディを繰り返しながら感情を盛り上げ、大きな音のうねりをつくりだし、人々の心を感動の世界に引きずり込むことが挙げられます。この傾向は、交響曲をお聴きになるとよくわかるのですが、今回演奏します「ロミオとジュリエット」でもその片鱗がわかります。
ついでながら申し上げますと、このロミオとジュリエット、冒頭の不安なムード、劇的な戦いの場面、甘美で情熱的な甘い恋の場面、最後の劇的な場面と、あの悲劇を見事に音楽で表現しています。この恋の場面、何ともあやしげなメロディを私がかつて弾いていましたヴィオラとオーボエの仲間であるコールアングレ=写真(イングリッシュホルンともいいます)が奏でます。ご期待ください。

仙台フィルハーモニー管弦楽団 松本伸二

原田哲男(2)

2008.06.02| 原田哲男

今年のせんくら、オーケストラの公演で私個人が特に楽しみにしているのは、チャイコフスキー作曲の序曲1812年(公演番号38)です。
曲の出だしは厳かなチェロのアンサンブル、ドラマティックに曲が盛り上がって、凱旋の喜びを思わせるクライマックスではオーケストラの強奏とともに大砲が鳴り響く。子供の頃からの憧れの曲でもありました。
ただこの曲、祝祭的な雰囲気の曲なので他の曲とのバランスが難しいのでしょう。定期公演などで取り上げられることはあまりありません。せんくらだからこそ聴ける(弾ける)曲としてお客様、演奏者がお互いに楽しめると思います。

仙台フィルハーモニー管弦楽団(1)

2008.06.01| 仙台フィルハーモニー管弦楽団

皆さん、こんにちは。
仙台フィルの松本といいます。仙台フィルの一員ですが、音は出しません。事務局で、黙々と演奏会を企画しております。
仙台フィルは、例年と同じように101回のコンサートのうち4回登場します。そのほか、仙台フィルのメンバーが、いろいろな音楽を奏でます。どうぞお楽しみに。

今年の「せんくら」は、聴覚だけでなく、味覚の方も刺激するというユニークな試みとなっております。
仙台フィルの最初の出番は、11日の午前11時、イズミティ21大ホールです。このときのプログラムは、すべてチャイコフスキーが作曲したものです。そこで、チャイコフスキーにちなんだ食べ物はなにかないかと、調べてみました。なんと、なんと、それがあるのですね。
神戸そごうの地下1階にある「ピロシキ屋」、そこのチャイコフスキーというピロシキは、発酵中にチャイコフスキーの“花のワルツ”を聴かされているのです。実にまろやかな味がすると、評判で店の前には行列ができるとか……。

ところで、どなたか仙台フィルの生演奏の“花のワルツ”を聴かせて、ピロシキを作ってみようという方はおられませんか?
ただし、発酵中の生地をホールに持ち込めるかどうかは、保証の限りではありません。

仙台フィルハーモニー管弦楽団 松本伸二

写真は“花のワルツ”を聴かせて発酵させ作ったピロシキ(1個150円・大阪屋のホームページより http://www.fs-osakaya.co.jp/piroshki/ )

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