今日はこれからデュッセルドルフに行く。ヘルシンキからは空路で2時間半。
東京—沖縄がだいたいこの位の距離ではないだろうか。
24日までの滞在でコンサートは2回。22日と23日に行なう。
アルゼンチンのパブロ・エスカンデのピアノ協奏曲、それに吉松隆のピアノ五重奏曲「優しき玩具たち」、cobaのチェロとピアノのための「TOKYO CABARET」、エストニアの作曲家シサスクのピアノ・ソロ作品、それにバッハーブラームスのシャコンヌというプログラムだ。
オーケストラと恊演するピアノ協奏曲、それに室内楽曲、ピアノ・ソロと盛りだくさんで、ピアノは全部私が受け持つ。
こういうコンサートも楽しいではないか。素敵なプログラムだと思う。
今年の仙クラでは私は二回演奏させていただくが、そのうち一回は朗読とピアノの音楽劇「生月島の伝説」だ。
作曲は熊本の人、光永浩一郎。
この人のピアノ曲「サムライ」をこの二年ほど日本の各地ではもとより、ベルリン、南フランス各地、それに北欧の国々で弾かせていただき、CDにも入れた。12月13日にはパリでのリサイタルでも演奏する。素晴らしい作品だ。
その「サムライ」に続く今回の作品「生月島の伝説」には大きな期待を寄せている。
1550年に長崎県平戸島にフランシスコ・ザビエルが渡来し、生月島にはガスパル・ヴィレラ神父によりキリスト教の布教が始まる。
領主はじめ島民の多くが信者となり、その勢いは島原・天草にも及んで、とどまるところを知らぬほどだったが、後に禁令が出され、信者たちは棄教を迫られることになり、その中のひとりであるダンジク様にも悲劇が襲いかかる。
その悲劇と浄化を朗読とピアノにより描いた「生月島の伝説」は10月2日の仙クラが初めての上演となる。
ご期待を頂きたい。
(2015年8月17日 ヘルシンキで)
8月も半ばを過ぎるとフィンランドでは秋風が吹く。
空は高く遠くなり、樹々の葉は色づきはじめる。
森の中で集めてきた夏の茸やブルーベリー、野苺なども終わりを告げ、湖水は日を追うごとに冷たくなっていく。
今日、白鳥が一羽、目の前の湖で翼を休めていた。シベリアへでも渡る途中だろうか。
子供の頃、仙台の五十人町で夜の闇を走り抜けていく蒸気機関車の汽笛に耳を澄ませていた。
まだ子供だった小父や小母達も同じ寝室で、泣くようなその音を聴いていた。その音が私たちを近くも孤独にもした。
昼間は小父たちと火鉢を囲んだり炬燵に入ったりして侍の本を読んだ。
荒木又右衛門のことをアラキ・マタウエモンと読んで、まだ小学校にもあがらない私は小父たちに笑われた。
青年になり成年になり、外国に飛び出して行き、青い目の娘と結婚し、ピアノを弾いて世界中を廻り、年をとり半身不随になり、お爺さんになったいまでも一年に何回かは仙台を訪れる。
いつまで経っても、新幹線の時代になっても、私には蒸気機関車の汽笛が聴こえている。
(2015年8月15日 ヘルシンキで)
昨秋の「せんくら・うた劇場 ~45分でめぐる銀河鉄道の夜~」が懐かしく思い出されます今日この頃、いよいよ!待ちに待った!!「虔十公園林」の楽譜が届きました!!!
宮澤賢治氏の短編童話で、彼の亡くなった翌年の1934年に発表されたそうですが、私はこれまでまだ一度も読んだことがありません。
童話の始まりはいつもワクワクしますね。
「虔十はいつも縄の帯をしめてわらって杜の中や畑の間をゆっくり歩いているのでした。雨の中の青い薮を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔けて行く鷹を見付けてははねあがって手をたたいてみんなに知らせました。けれどもあんまり子供らが虔十をばかにして笑ふものですから虔十はだんだん笑はないふりをするようになりました。風がどうと吹いて‥・」
こうして楽譜を読み進んで行くと、宮澤賢治氏の言葉がとても生き生きとして、まるで吉川和夫先生の音楽のようです!いや、音楽が言葉のようなのです!
ふと、そんなことを考えては‥・よく譜読みが止まってしまうのですが。
さて、いつも笑顔の虔十はどうなるのでしょうか?童話の続きがとても気になって、譜読みの再開で~す!
10月4日のせんくら・うた劇場にぜひいらしてください!
(2015.08)
私はクラシックのピアノのソロ、室内楽、現代音楽、ピアノのワークショップなどいろいろなジャンルで活動を行うことが出来て、本当に感謝しております。
ところで、アンサンブルを行う時に、どうして縦に音楽があっていくのか?ということを考えてみました。
曲の出だしはいつもある種の緊張感があります。
最初の音がいい音にならないと、そのあともがっかり・・・ということになりかねません。
アンサンブルの一番小さい形は二人なのだと思います。
二人というとたとえばヴァイオリンと二人で、ソプラノの方と二人で、ないしトランペットの方と二人で・・・などという風になるかと思います。
大抵ピアニストはヴァイオリニストなどのソリストの真後ろにいます。
そうすると表情も見えないような状態です。
ではどうやって最初の音をあわせるのか?
私の場合はまずは最初の音を出す前の「息」です。
どんなに小さな音でも、息をしているのがなんとなくわかる、これが長年演奏しているとどんな人と共演していても感じることができてきます。
それと関係したことなのですが、同時になんとなく演奏者の背中、特に肩甲骨のあたりを無意識のうちに見ています。
息をするとちょっと体が膨らむような感じがして、それが特に背中、肩甲骨あたりがちょっとだけ膨らむような気がします。
これは気のせいなのかもしれませんが、長年沢山の方と共演させていただいて得た知恵です。
「息をあわせる」とよく言いますが、まったくその通りで、この最初の息がうまく合わないとなかなかそのあともうまくいかないことがあります。
その息を合わせる感じも、背中を見る感じも、実は横を向いて共演者をみなくとも、入るタイミングがなぜかわかってくるようになります。
最後はもしかしたらお互い視覚を使わずに、なんとなく息というか、気のようなもので、アンサンブルできるようになるのが究極のアンサンブルなのかもしれませんね。
せんくらでは、チェリストの長谷川陽子さん、バンドネオンの三浦一馬さん、ヴァイオリンの神谷未穂さんと共演いたします。各々の方とのリサイタルになるので、3公演ですが、もしよろしければそんなところを気にして聴いていただいても面白いかもしれませんね!
では、みなさんブログをお読みいただきありがとうございました。是非公演でお待ちしております!
かなりの演奏家は移動、旅を避けて通ることができないと思います。
私も東京に住んではいますが、東京以外でのお仕事をいただくことも多く、かなりの時間が移動、旅になります。
人によって必要なものが違ってくると思いますがどうしても私の持ち物は多くかさばっております。
旅前に必ずチェックするものは
●スペアのめがね
●着替え
●ラップトップコンピューター(場合によっては二台)
●iPad
●iPodtouch
●手帳
●これから一か月くらいまでの演奏会の楽譜
●無線lanルーター
●演奏会衣装
となります。
まずは、めがねはすぐに替えがききません。いつどのような理由で壊れるかわからないのですが、これがないとまったく演奏できません。
着替えは理由はいらないと思います。
私は普通のソロの演奏だけではなく、様々なワークショップやアウトリーチを行っているので、ラップトップのコンピューターは、アウトリーチなどで何かグループで演奏するのに、突然編曲が必要になった時の為に、急遽の事態に備えていつも持っております。
このブログを書いているのも、とある音楽祭で10日間あるところに逗留していますが、そこでフルート、クラリネット、サクソフォン、ピアノという普通ありえない組み合わせのアウトリーチをすることになり、全員で演奏する曲がないので、電車の中で編曲作業をしておりました。
また、アンコールなど、突然以前演奏した楽譜が必要になるときもあり、それをコンピューターお中に入れていて、いざというときに取り出して演奏に間に合わせることも沢山あります。
特に現場に行っての作り物、例えばダンス、読み聞かせなどもともと沢山楽譜を持って行ってその場で決めるようなものは、楽譜を持参せずに、コンピューター一つで済むので助かります。
なぜ場合によってもう一台持っていくのかというと、音楽編集などする時のためで、音楽編集にはコンピュターのハードディスクににかなりの容量がなくてはならず、下手をすると固まってしまうので、別のラップトップを持っていくようにしております。ここに沢山の録音との共演のための資料が入っており、それをその場その場に合わせて取り出したりします。
iPadは、ここにやはり沢山の楽譜をため込んでおり、重い楽譜を沢山持ち歩くのではなくこれ一枚で済みます。また、楽譜を何らかの理由で紛失した時もこれですぐ確認できます。
iPodtouchは同じく新曲で楽譜だけではわからないものもその音源を聴くことでわかることが多いので、特に空き時間の多い旅の途中で勉強できるので、必須です。
手帳は毎日しっかり予定の確認をしてないとダブルブッキングの可能性もあり、常に確認できるように携帯しております。
そしてなんとも重いのが、これからある演奏会の楽譜なのですが、私はあらゆる方法で旅先で練習場を確保するように努力して、そこで毎日ちょっとずつ新しい曲を譜読みしております。この「毎日ちょっとずつ」がとても重要で、きちんと弾けていなくとも、なんとなく曲の全体位がわかるのが重要で、そうすると本番の日まではなぜか弾けている状態になり、体にストレスが来ません。
これが、時間があっても一日で新曲を何とかしなくてはならないとなるとすごいストレスになります。いま10日間逗留の音楽祭に参加中もせんくら4公演分の楽譜、ほかに指揮するスコアなど含めると、11月最初の週までで9つ分の公演の楽譜を持って歩いています。
滑稽かもしれませんが、突然時間があくとその時に練習したい気分の曲をさっと開くことができるので必要です。私は新曲を演奏することも多いので、なかなかそれはiPadに入れたりできないものがあったり、本番の大きさの楽譜で練習したいので、こればかりはその楽譜そのものを持っていきたいというものがあります。
これを支えてくれるのがリモワのスーツケース。
キャスターが本当になめらかで、平面であればどんなに重くとも、軽く押すとスーッと勝手に前に進んでくれるくらいです。これなしでは私の旅は成立しません!
さて、今日もチェックチェック・・・・
「オラ!」というのはスペインで「やあ!」「元気?」みたいな感じで挨拶の時に使う言葉です。
私がヨーロッパに留学していた時に、私の先生が指揮をしていたオーケストラのスペインのツアーがあって、バレンシアに行ったときです。
そこには何日間か滞在したので、コンサートをするホールにの地下に練習室があるので、毎日練習のために通っていました。
その部屋の鍵を借りるために、まずは守衛さんから鍵を受け取らなくてはならないのですが、受け取るときに、挨拶代りに「オラ!」と言っていました。
毎日同じ守衛さんなので、なんとなく仲良くなり、でも守衛さんは英語が話せないので、私たちはとりあえず毎日笑顔で「オラ!」と言っていました。
コンサート当日、ゲネプロでどんなピアノなのか?と思って大きなホールに入っていたら、カンカンと調律の音がするので、調律中の調律師に挨拶をしようと思ったら
「オラ!」
とあの守衛さんが調律していました・・・
確かにホールの調律は毎日必要で、狂ったり弦が切れたりしたら、すぐに直さなくてはならないので、調律師がいつもホールにいる練習室の鍵を渡す守衛さんを兼ねるというのも実際的ではありますね。
ヨーロッパでは色々なことが起こります。
楽しい思い出でした!
こんにちは、マリンピア吉田彩(ピアノ)です。
私のブームは相変わらずの「ジャンプ写真」。
先月はこのブログのために(?)フランスで飛びまくってきました。
世界遺産の街、ル・ピュイ=アン=ヴレでは絶景ジャーンプ!
火山ピュイ・ド・ドームでは登山ジャーンプ!
ルーブル美術館では友達の子供3人とジャンプ大会!
マリンピア内でも時々跳びます。
幼稚園公演の後、クリスマスジャーンプ!
このトナカイ姿。。。そう、せんくらのパンフレットにも使われたアレです(笑)
元気いっぱいのマリンピア、せんくら後も忙しくしていますが、今年12月に自主公演をすることになりました。
マリンピア2015~ガーシュイン&クリスマス~
2015年12月12日(土)14:00開演
パトナホール
大人2000円(当日2500円)
子供1000円(当日1500円)
10月1日発売予定です。
せんくらよりもさらにパワーアップして挑む予定でいます。
どこかでチラシを見つけたら手にとってくださいね。
それではみなさん、まずはせんくらでお会いしましょう。
こんにちは。
マリンピア マリンバ担当、丹野富美子です(^○^)
私達マリンピアは、
【せんくら】を愛しており、
【せんくら】での公演に、
他のどの出演者の皆様よりも、並々ならぬ熱い思いがある!
と、自負しており、演奏の『質』が一番と知りつつも、ついつい、余興的な事までこだわっています!
完全にアホ…(笑)
昨年、私達の【せんくら】公演を大いに盛り上げてくれた、
『初代ポーちゃん’s』が、残念な事に今回で卒業となります。。・°°・(>_<)・°°・。
ポーちゃん’sも今年のせんくら出演を楽しみにしているので、卒業公演となるこのコンサートで思い切りはしゃいでもらおうと思います。
チケットはお陰様で『完売』
ありがとうございますっ!
ここから本番まであと少し…
沢山の練習をして、沢山のネタを積み込んで、最高の45分にしたいと思います。
是非、お越しいただく皆様も、
どうぞ楽しんで頂けますように…。
みなさんこんにちは、マリンピアです。
2011年、2014年に続き3度目のせんくら出演となりました。昨年までは本名
丹野富美子&吉田彩でしたが、今年からは「マリンピア」です。
惜しまれつつ閉館した「マリンピア松島」の志を継いで・・・なわけはなく、
マリン(バ)+ピア(ノ)=マリンピアなのです。
思わず水族館を思い出してしまうこの名前・・・最初は恥ずかしかったけれど(笑)
今やすっかり慣れました。
マリンピアのモットーは「もっと身近に。もっと楽しく!」です。
マリンバとピアノはもちろん、数々の打楽器の振動を感じられる距離。
コンサートの帰り道、「楽しかったね。」そんな会話ができるコンサート活動を展開していきたいと思っています。
どこかで「マリンピア」を見つけたら、気軽に声をかけてくださいね。
さぁ、私たちを育ててくれた「せんくら」、まもなく開幕です。
「みんなでGO!GO! 音楽は続くよどこまでも2015 ~どうぶつ編 」
今年も衣装、プログラム、演出、小道具・・・気合入りまくってます。
みなさんへのプレゼントもありますよ。昨年はマラカスと光るブレスレットでしたが、さて今年は・・・?
10月4日10:30~エルパークスタジオホール
みなさんとの出会い、楽しみにしています!
この1年は色々なことが大きく変わった1年でした!
桐朋学園大学で教えるようになって数年でしたが、この春から専任として携わっています。
最初は「先生」と呼ばれるのが、とても気恥ずかしかったのですが、
教えながら、色々な「?」を解明していくと、色々なことを再確認したりして
実は彼らから学ぶことが本当に多く、しかも学生さんは、みんな可愛い☆
演奏活動と後進の指導。
スケジュールはタイトになりましたが、生徒さんとの時間は毎回大きな楽しみです!
それにしても演奏活動29年のワタクシ。生まれて初めて「お給料」というモノを頂きました~新鮮☆
それから、今一番、私が大切にしていることをお知らせさせてください。
来年2016年3月5日に浜離宮朝日ホールで、バッハ無伴奏チェロ組曲全6曲を
一晩で演奏するというリサイタルをします。
20代でレコーディングしてから、30代、節目節目に弾いてきました。
そして今、不惑(?!)と言われる40代。一晩で全曲弾くのは初めてのチャレンジです。
惑うこともまだ多々あるのですが、30代の時とは違う自分の中の変化を感じています。
今回のせんくらでは、その前哨戦としてプレリュードばかりを6曲集めて1つのプログラムにしてみました。
気力も体力も、本当に大きな旅ですが、時々敢えて大変なコトに飛び込んでみたくなるのです。
演奏家として、人間として、もっと強く、深く、謙虚になれるか・・・
せんくらから始まるバッハの旅。心して取り組みたいと思います!
昔、とあるヴァイオリニストが雑誌のインタビューで「ゆっくり弾く弾き方を教わるために留学した」と
言っていたのを強く記憶しているのですが、最近その意味が少しずつわかるようになってきました。
我ながら、ちょっと面白い変化だなと思っています。
今年のせんくら、どのコンサートも楽しんで頂けるように音を慈しみながら演奏したいと思います。
ホールでお待ちしています!!