「否定する事から文化が生まれる」(クラウス・ヘルヴィッヒ先生)
日常会話の中で、相手の発言を遮って反論する。
すると相手はさらに違う角度から意見を述べて切り返し、議論がだんだんと白熱していく。
こんな光景は、テレビの討論番組では良く見られる光景ですが、普段、仕事の現場や仲間内でいちいち相手の言う事につっかかっていたら、商談は進みませんし、そもそも会話に和やかな雰囲気というものが無くなり、やがては社会的に不利益な立場に陥っていく事でしょう。
しかし、こう考えるのは「いかにも日本人的な感覚だ」とヘルヴィッヒ先生は指摘します。
ベートーヴェンの作品110のソナタのレッスンを受けている時に先生はこうおっしゃいました。
「第1楽章と2楽章のキャラクターをこれほど変えたのは何故だと思う?それは全く違うものをぶつける事によって、新しい力を生み出す為だよ。貴方(先生はいつも敬語です)の2楽章には、1楽章を否定するだけ反抗精神が足りず、私には日本的(つまり過分に社交的)に聴こえます。」
天国的な世界を1楽章で描写した後、2楽章で怒りにも似たエネルギーをもって「前言」を根こそぎ撤回・否定してこそ、絶望的なアリオーゾが生かされ、ひいてはフーガという、より確信に満ちた答えと、爆発的な喜びに満ちたフィナーレが 導き出されるのだと先生は説明して下さいました。
確かに、あの有名な「第九」も、主題の循環形式を取りつつも終楽章において先の3つの楽章のテーマを、ご丁寧に歌詞(“その音ではない!”)まで付けて全否定した結果、歓喜の歌のテーマが生まれるという形を取っています。
つまり第九とは、提示しておいた古い考えを訂正してこそ、喜びのエネルギーがより強力なものになる、という考えに基づいて構成された曲なのです。
長いドイツ生活において、コミュニケーションを否定から生み出す、という気質に私は 100%順応する事はできませんでしたが(完全帰国の理由は、私は自分が典型的な日本人だと悟ったからだと考えています)、ベートーヴェンの音楽やドイツという国を想う時、いつも先生の言葉を思い出します。
音楽的なご指摘ではなく、文化の違いについてまで考えさせて下さった先生に感謝しながら、次回ベートーヴェンを音にする時には、私のDNAに欠落している 「強力な反骨精神」を呼び覚まして取りかかる事にしましょう。
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一週間、硬めな文章にお付き合いいただき有り難うございました!
仙台で皆様にお目にかかれるのを楽しみにしています。
青柳 晋(ピアノ)
さあ、いつの間にやら7日目です。
毎日どうも有り難うございました!
今日は何について書こうか迷っています。
そうだ、番宣ならぬ 演宣?させていただきます。
2012年 9月30日
せんくら2012
西江辰郎&坂野伊都子
11:30開演
せんくら2012
セレーノ弦楽四重奏団
14:30開演
2012年 11月10日
岡田将×西江辰郎×上森祥平
Atman Trio Debut Concert
東京 杉並公会堂 18:00開演
チケット03-3235-3777
弾きたい曲を弾く公演です。
曲もマニアックなので宣伝してくださると助かります(^0^)
2013年 3月15日
西江辰郎×ジュゼッペ・アンダローロ
東京 三鷹市芸術文化センター 「風のホール」
詳細未定
仙台で初めて共演の機会を頂いたジュゼッペとのリサイタルです。
このあいだ一緒に食事したのですが、ステーキを4人で1500gくらい食べました・・・!
楽しみです。こちらも自主公演なので、お知り合いの方がいらっしゃいましたら宣伝していただければ幸いです。
せんくらのブログ、2006年からですから随分たまりました。
前のもののURLも添付させていただきますので、もし良かったら読んでください。
パソコンも指の体操になったこととしよう・・・
9月、会場にてみなさまにお会いできるのとても楽しみにしてます!
次はすぐセレーノのせんくらブログでお会いしましょう。
西江辰郎
http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/
新日本フィルハーモニー交響楽団
http://www.njp.or.jp/njp/index.html
西江辰郎(ヴァイオリン)
あっという間の一週間でした!
皆様、ブログをご覧下さり、どうも有難うございました。
(スタッフの皆様、締め切りギリギリ、いえ、締め切り日時オーバー連発で、大変失礼しました〜。)
仙台市民となる前から、せんくらは馴染みのある音楽祭でしたが、市民となってからは、この音楽祭シーズンが来るのがますます待ち遠しくなっています。
私達出演者にとっては、ハードスケジュールシーズンの到来でもあります。
このハードスケジュールに備えて、7月に沖縄で飲んで以来ハマっているゴーヤジュース&今日届いたエアロバイクで体調を整えます!
“演奏家は体調管理も仕事のうちだよ”と師匠から頂いたお言葉をいつも頭に、身体に良い物、良い事は積極的に取り入れる様にしていますが、最近はゴーヤジュースはじめとする、野菜&果物のフレッシュジュースがマイブーム。
そのおかげか元気いっぱいです。
エアロバイクは、ドイツ留学時代にかなりハマったもの。
朝、昼、夜、と毎日3時間近く漕ぐ程ハマり、体脂肪も少なく、体重も今と違ってかなりスッキリしておりました。。。
結婚して10年経ったのですが、結婚式当日に夫婦で体重測定した時の体重と、結婚10年記念体重測定では、私だけ10キロも違ったのですよ。あらら〜。
結婚式で着たウエディングドレス(大好きなTADASHIさんのドレスを着ました。TADASHIさんは仙台ご出身の大人気デザイナーで、ステージドレスでお世話になっています)はステージドレスとしても着れる物なのですが、今や完全にファスナーが締まりません。
あのドレスをせんくらのデュオコンサートで着るのは厳しいですが、エアロバイクに燃える生活を復活して、スッキリとステージドレスを着ます!!
、、、とここに自分にムチ打って、宣言させて頂きました。
共演者の望月優芽子さんはモデルの様なスタイルなので、その隣だとスッキリ度がイマイチよくわからないとは思いますが、どうぞお楽しみに(?!)。
それでは皆様せんくらでお会いしましょう!!
神谷未穂(ヴァイオリン)
私のブログでもせんくらの事を書く予定ですので、
ご覧頂ければ幸いです。
「勇気を持って!」(リリー・クラウス先生)
まだ小学生だった私は、父がアメリカに赴任していたこともあって、畏れ多くもクラウス先生の晩年時にレッスンを数回受けさせて頂く機会に恵まれました。
初めてのレッスンに伺ったのが小学校3年生で、最後は中学2年生でした。
この時には既に一家で日本に帰国していたので、中学生の時のレッスンは日本から受けにいきました。
バッハやモーツァルトのコンチェルトのレッスンがメインでしたが、私が大きくなるにつれて先生のレッスンもだんだんと厳しく、情熱的になっていった事を覚えています。
最後のレッスンではモーツァルトの「戴冠式」を持っていきましたが、その時に最も印象的だったお言葉は、「もっと勇気を持って表現しなさい!」というアドヴァイスでした。
「リスクを恐れていては、良い演奏は出来ない。この場合のリスクとは、ミスの事だけではありません。人にどう思われているのか、自分の表現が受け入れられないのではないか、という恐れです。演奏家は、本番前日までは自己嫌悪の塊でありなさい。でもいざ本番となったら瑣末事から自分を解放し、より深く、手が届かない程に高く、遠い所に音を放つようにすれば自然に人の心に響きますよ。」
先生のお言葉の趣旨もですが、なんとかご意志を私に伝えようとするその情熱的な口調も感動的で、それは子供心にも「先生にアドヴァイスを受けている今、これは自分の人生でとても大事な局面なんだ」というオーラを感じさせずにはいられないものがありました。
そんな圧倒的な存在感を巨匠と、少しでも交流を持たせていただいた事をとても光栄に思います。
ちなみに先生はモーツァルトの弾き手としてご高名ですが、ショパンのバラード1番を見ていただいた時に、お手本として弾いて下さった演奏が忘れられません。
出だしの、テーマへの導入の部分が、一つの大きなため息のように聴こえたのです。
青柳晋(ピアノ)
みなさんこれが何だかご存知ですか?
電球のようですが、じつは真空管。
ちょっと前までは当たり前のように電化製品、に使われていました。
テレビやラジオ、電源を入れてから、ブーンと音がして時間がかかる、アレです。
これでアンプが作れるんです。
(音を増幅できる)昔の技術・・すてたモンじゃないですよ・・・
なんでも、さらに音に余韻ものって、良い音のする玉(真空管)で、良い設計だと、コンサートホールで聞くような生っぽい音楽的な表現がより鮮明に立体的に浮かび上がります。
真空管は寿命が短いなどといいますが、普通に使用するのであれば、10年-15年はいけるのではないでしょうか?
10年したら普通の電化製品でもよく壊れることがありますね。
真空管は寿命がきたら取り替えれば良いので、アンプ本体は必要なところさえ取りかえれば100年でも持ちます。
真空管アンプはキャパシタ (コンデンサ)という部品は、付け間違えると爆発するし、トランスも大きいので、気を付けて製作しないと危険なものです。
今使われる真空管オーディオ用コンデンサや真空管の中には、もともと戦争に使われる目的で開発されたものもあるそうです。
なんでも真空管は電磁波などの影響を受けないらしく、戦闘機などに使用され、ロシアや中国、チェコなどいまも製造しています。
それと同じもので音楽も聴ける。
せっかくの技術、良い方に使いたいですね。
科学など大好きな僕は、小学生の頃に、これほど危なくはないタイプですが、トランジスタアンプやデッキを平気で分解したりしてあそんでました。よく無事だった・・・・。
電気の街「秋葉原」はだいぶ昔と感じが変わっているそうですが、今の日本を支えてきたであろう電気に詳しい方が今でも沢山お店をしています。
最近は若い人で自作オーディオなどに興味を持つ人が減ってきたそうで、「西江さん、若者を触発してくれよ」と頼まれてしまいました。
ぼくは、ど素人ですが、自分なりに色々調べて無事アンプを作ることができました。
調子が悪くなっても自分で治せるので、安心です(^0^)/
普段の曲の勉強の友。
中学校で習った『半田付け』が役にたちました。
いまでも必須なのでしょうか?
当時の先生に、
「おまえら~将来職がなくなってもこれさえできれば・・・・食えるんだぞっ!」
と教わったのを思い出しました。
早川先生おげんきかな・・・・?(って知りませんよねぇ)
クラシック音楽がなかなか世に浸透しにくいのは、東京など普段の生活している環境に雑音や騒音が多すぎて普通に聴いても聞こえない、というのが一つ。
オーディオファンが少なくなったのには、真空管のような音楽的表現力のあるアンプや低音再生に余裕のある大型のスピーカーが、重い、場所をとる、大きな音が出せない等の理由で、人気が上がりにくいのではと僕は思います。
でも、もったいない!
小さめの音で聴いても音楽的ですし、普段聞くぶんには効率そこそこなスピーカーで2Wもあれば充分です。
他にもっと安い製品を扱っているところも沢山あるのですが、社長さんと知り合った2店舗中心に紹介します。
興味のある方は挑戦してみてくださいね。
※コンデンサーは極性のあるものとないものがありますが、ある場合絶対間違えないようにしないと爆発します。
※半田ゴテは重めの台の方が安定しておけて便利。ゆかに落ちていたら焦げたり火災になるので要注意。40Wくらいのもので充分。
※半田ごてで両手がふさがってしまうので、綺麗に抵抗などをつける際、安定させるのには練り消しゴム便利です。
※熱収縮チューブは半田ごてを近づけるか、ライターも便利でした。
※セレクターなどはテスターで電気が実際に通る箇所をチェックしながらの製作がお勧めです。
※お使いのスピーカーのインピーダンスもご注意を。僕は8Ωだったので普通にOKでした。
※感電には要注意。真空管アンプ内部には600V近い電流の通る箇所もあるので、コンセントを抜いていたとしても、15分などしばらく時間をおいてから触れないと感電死することがあるそうです。僕は死にたくなかったので、すべてのチェックを数回繰り返してから電源を入れました。
サンオーディオ http://www2.big.or.jp/~sunaudio/
完成品はさらに高いですが、理由は制作費+中身の部品が高級仕様になっているためです。
キットではこちらの注文も聴いてくださるので、真空管を値段の安いものにするなどすると相当コストダウンできます。
製作でわからない場合も電話で教えてくださいます。
アムトランス http://www.amtrans.co.jp/index.shtml
真空管色々あります。詳しいかたが働いているので、一度尋ねたおりには色々教えていただけて面白かったです。
店舗と、倉庫、別の場所にあります。
バッテック・エレクトロニクス http://www.soundparts.jp/
コンデンサーなどがバラで変えるので、自分のオリジナルを作っていけます。種類も豊富。
キット屋 http://www.kit-ya.jp/index.php?cPath=1_22
一番最初に初心者向けに良いかと思ったサイトです。
西江辰郎(ヴァイオリン)
仙台フィルも夏休みに入りました!
(事務所のスタッフの中には、まだ夏休みではない人も。。。お疲れさまです!)
今年の夏休みも昨年に引き続き、我が家にはフランスから12歳の女の子・Mちゃんが1週間のホームステイに来ています。
私と主人エマの友人夫婦(日仏カップル)のお嬢さんで、チェロを習っています。
Mちゃんが仙台に着いて、早速七夕祭りや楽天の試合を観に行ったりしていますが、ホームステイのメインは、エマ先生の指導によるチェロレッスン。
Mちゃん、とても頑張っていますよ〜。
(写真は楽天を応援するMちゃん&私)。
私の小学生時代も、夏休みにはヴァイオリンの練習に燃えていました。
というのも、小学生高学年からほぼ毎年、夏休み後に行われる全日本学生音楽コンクールを受けていたので、「夏休みをどう過ごすかが勝負!」だったのです。
とはいえ、子供の頃は練習より遊びたい気持ちが強かったので、隙あらば背中に漫画を隠し持って、トイレからなかなか出てこない様な、練習さぼり王の私でした。
そんな私がどうしたら毎日ちゃんと練習するだろうか、と考えた母は、夏休みに入ったと同時に、家の廊下の壁に大きな模造紙を貼りました。
その模造紙には、家族全員の8月31日までの一日のタイムスケジュールを書き込める様になっていました。
歳の離れた姉&兄の欄には、塾、レッスン、合宿、英会話、とカラーマジックで色分けされた予定がびっしり。
それに対し、私の欄は真っ白け。。。
「スケジュールびっしりが大人っぽくてカッコいい!!」と憧れ、私も7時起床、朝ご飯、夏休みの宿題、ヴァイオリンの練習、休み、ヴァイオリンの練習、お昼ご飯、ヴァイオリンの練習、プール、プールサイドでおやつ、プール、祖父母宅訪問、お風呂、宿題、ヴァイオリンの練習、お夕食、ヴァイオリンの練習、テレビ又は遊ぶ、就寝・・・。
と上二人に負けじと、カラーマジックでどんどん書き込みました。
予定通り達成したらその欄をマジックで塗りつぶす、というのがとても楽しくて(今思えば、塗りつぶすだけだったのに、何が楽しかったのだろう。。。)、このスケジュール表のおかげで、本当に規則正しい夏休みを過ごす事が出来ました。
この模造紙が無ければ、夏休みをダラダラ過ごして、コンクールにも入選&入賞する事は出来なかった事でしょう。
(夏休み明けには、学校で ”きれいに日焼けしたで賞” もゲット!)。
今年初めて、全日本学生音楽コンクール(小中高)の審査をする事になりました。
コンクール参加者はどの様に夏休みを過ごすのでしょうか?
せんくら出演者も、ほとんどがコンクールに挑戦した事がある方ばかりかと。
諏訪内晶子さんの著書に書かれてあった「(本選で)メンコンを弾いて九州に行こう!」、「プロコを弾いてハワイに行こう!」の様な、楽しいキャッチフレーズを励みに練習に励んだ、という方も多いのではないでしょうか?
「オケはレヴェルが高ければ高いほど、ピアノが埋もれて聴こえなくなる」 (園田高弘先生)
このお言葉は、ラフマニノフのコンチェルトの3番のレッスン中、先生がこの曲にまつわるエピソードの一つとして語られたものです。
ピアノ・ソロのユニゾンによるテーマの後、弦楽器にテーマを受け渡してアルペジオで伴奏する箇所で、先生ご自身がドイツの名門オーケストラと共演された時、弦楽器の響きが重厚過ぎて16分音符がもぐって聴こえなくなってしまい、困られたそうです。
オケの質が高い程、演奏が困難になるという先生のお話が面白くて、笑ってしまいましたが、確かにコンチェルトの演奏の最も重要なポイントとして、ソリストの音色が際立って客席の隅々にまで届かなくてはならない、という事があります。
この時のレッスンでは、メロディーをより遠くに飛ばすためにはただ腕力でガムシャラに弾くのではなく、ペタリングや、バスも含めた左手の鳴らし方で倍音を引き出し、音の輝きを増すように工夫する方法を教えていただきました。
現在も貴重なコンチェルト奏法の一つとして、演奏時に心掛けている事です。
青柳晋(ピアノ)
SLに乗って一時間、雲より高いところまで行けるなんてすごいですね。
手作り感のある車両、線路も手作業で敷き詰めた感じです。
途中、地元のおじいちゃんと孫らしき2人に会いました。
「ぼく、大きくなったら、このSLの運転士になる」
そんな会話が聞こえてきそうです。
海抜2200mちょいです。
既に牛や羊に会いたい場合や、草や緑を求めるのには高すぎる・・・
日本の丸っこい山とは異なる、スイスらしい角のある岩山になってきます。
素晴らしい景色
西江辰郎(ヴァイオリン) http://homepage3.nifty.com/nishie-tatsuo/
今年のせんくらでも、仙台フィルのコンマスとして出演させて頂きます。
今日は身内自慢になってしまいますが、仙台フィルのメンバーの良さについて書かせて頂きますね(笑)!
(写真は秋にミュージック・パートナー就任が決まった、我がオケ自慢の世界的指揮者・山田和樹さんと、仙台が誇る銘菓・萩の月←大好物の袋を持つ私)。
「仙台フィルは雰囲気が良いね!」と、ゲスト出演して下さった音楽家がよくおっしゃって下さるのですが、私もゲストコンマスで出演した時からそう感じ、その事が仙台フィルに入った一番の決め手だったように思います。
良い雰囲気、それは音楽と人が好き、という人の集まりだからでしょう!
これってプロの演奏家にとって、とても、とても重要なものだと思います。
これが無ければ、お客様が感動する様な音楽を奏でる事は出来ないでしょう。
仙台フィルのメンバーは心底音楽が大好きで、弾き終えた熱気そのままに、ロビーに出てお客様との交流を
楽しみにする人ばかり。
こんなメンバー、そして演奏家が気持ち良く演奏出来る様に細やかな気遣いをしてくれる裏方スタッフがいるからこそ、震災後に250回を越える「音楽の力による復興センター」との活動が出来たのだと思います。
これらの活動が評価され、エクソンモービル音楽賞、渡邉曉雄音楽基金特別支援(私事ですが、宮城県芸術選奨)を
受賞する事が出来ました。
これらの賞に大いに励まされましたが、何よりも私達の思いを感じて、「演奏に元気をもらいました」とおっしゃって下さる方のお気持ちに応え、音楽で東北を元気にしていきたいという思いが、今私達の中に強くあります。
せんくらでは震災を経験して、今まで以上に思い入れの強い作品となった「新世界」、「モルダウ」、「第九」を演奏します!
私達仙台フィルの音楽のパワーを是非お楽しみください!!
神谷未穂(ヴァイオリン)
「リストは無邪気でかわいい人だと思う」(パスカル・ドヴァイヨン先生)
“B-A-C-Hの主題による幻想曲とフーガ” でレッスンを受けている時、先生はふとそうおっしゃいました。
歴史に残る楽聖・リストがどう「カワイイ」というのでしょうか。
先生の言葉は当時20代だった私にとって、直ぐにピンと来るものではありませんでした。
「ヴィルトゥオーゾ、社交界の名士、教育者、宗教家。リストの音楽を聴いていると、 彼はいくつもの顔を持っており、そのひとつひとつを懸命にこなしている様子が伝わって来る。宗教的な曲では、純真で明快な陶酔感が僕には微笑ましく感じられるんだよ。そんなリストの音楽を、包容力を持って弾きなさい。」
40代になり、モーツァルトやシューベルト、ショパンといった天才たちの生涯よりも自分の音楽人生が(勿論、凡才としてですが)ずっと長いものになりそうだと実感した時、先生が仰った「包容力」という言葉の持つニュアンスが少し理解出来るような気がしたのです。
我々は、若くして夭逝した天才たちの年齢をあっという間に越えてしまいます。
60歳になった時に、31歳で亡くなったシューベルトの音楽にどう接するべきなのか。
かつては憧憬の念を持って仰ぎ見た音楽を、「大人」になってからは包み込むように演奏する。
社交界の寵児だった青年ショパン、若くして死と対峙したシューベルト、様々なアイデンティティをさすらい求めたリストの心の声に、愛で慈しむような気持ちで取り組む事が、演奏家の最終的なひとつの理想形なのではないでしょうか。
青柳晋(ピアノ)