今回、山下一史さん指揮の仙台フィルハーモニーと共にやらせていただく
自作の「ピアノ協奏曲第3番<Explorer>」について書かせていただいています。
オーケストレーションをやってもらうことになった挾間美帆と、立川ヤマハのスタジオで初ミーティングをしたのが、2007年の5月でした。その年の東京オペラシティの新春公演は、「師匠」と仰ぐセシル・テイラー氏に来てもらって、デュオ・コンサートが実現していました。リハの時はフリーの即興でノンストップ1時間半の演奏が2日間で4回。本番は45分間ノンストップでやりました。2台のピアノで思いっきり好きなことをやり合う究極のフリー・ミュージックだったのですね。その後遺症というかテイラー先生の世界の凄さにあらためて触れて、実は半年間はぼおっとしていたのですが、5月はまだその後遺症のさ中でした。
それで初ミーティングにはそのデュオのDVDを持っていって、見てもらったのです。
「こういう音楽をやることが自分の本分なのだが、これにオーケストラの音はつけられるものだろうか」という問いかけを最初にしたわけです。つまり「こういう目茶目茶な人間ですが、面倒見てもらえるでしょうか」という自爆自己紹介なんですね。DVDを見て音を聴いた挾間美帆は「私ならこの箇所にはこういう音をつけようと思います」と、きちんと自分の意見を述べてくれました。さすが先生たちに一目置かれるだけのことはあって、強烈な存在感を放つと同時に、音楽ヘの理解と創作への意欲がびしびしと伝わってきました。
他にも作業のやり方について原則的なことを確認しました。こちらの立場をよく分かってくれて「音さえ聴ければ大丈夫です」との頼もしい言葉にはとても安心しました。後に実は音だけではなく「言葉」や「映像」でもこちらの意図を伝えて、それを音にしてもらうという、オーケストレーションの役割を超えた、ほとんど「共作者」という立場に挾間美帆はなってくれます。
せんくら事務局よりお知らせがございます。
既にせんくら公式サイト(http://sencla.com)でも本日お知らせを掲載しましたが、本フェスティバルに出演いただく予定でした安永徹さんが病気(病名:脊柱管狭窄症)のため、出演できないこととなりました。
そこで、大変残念ながら、2・3・66・67番の公演については、出演者を変更して実施させていただくこととなりました。
2・3・66・67番の各公演のチケットをお持ちの方で、そのままそれぞれの番号の公演にお出かけいただける方は何の手続きも要りません。そのままお使いいただけますので、何卒会場へお運びいただければと存じます。
変更後の出演者は、次の方々です。
【出演】鈴木理恵子(ヴァイオリン)、福田進一(ギター)
【曲目】イベール:間奏曲/ピアソラ:タンゴの歴史より “カフェ1930” “ナイトクラブ1960” 他
【出演】鮫島有美子(ソプラノ)、ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)
【曲目】メンデルスゾーン:小姓の歌、夜の歌/寺島尚彦:さとうきび畑 他
※12日の公演番号44番と同プログラム
【出演】伝田正秀(ヴァイオリン)、伝田正則(チェロ)、武井美樹(ピアノ)
【曲目】サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン/クライスラー:愛の悲しみ 他
【出演】イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
【曲目】ムソルグスキー「展覧会の絵」全曲
※13日の公演番号97番と同プログラム
チケット払い戻しご希望の方は、 http://sencla.com/news/senclanews.html をご参照の上、お手続きいただくこととなります。
安永徹さんの早期のご快癒を心よりお祈り申し上げるとともに、この公演のチケットをお求めになり楽しみにしておられた多くのお客様には、何卒ご了承いただきたくお願い申し上げます。
中村洋(せんくら事務局長)
今回聴いていただくピアノ協奏曲第3番「Explorer」のことは、去年のこのブログにも書いていました。
「来年はオペラシティが出来て10周年ということで、第3番を作曲初演することになりました。今その制作のまっただ中で毎日がパニックの日々です」と言っています。
そうなんですよね。10月はもう最終的な案がまとまっていて、それを編曲者に渡していなければならない時期なんです。つまり私は、オーケストラの編曲は別のスペシャリストに頼むことにしているのです。私も一応国立音大の作曲科卒ですが、不勉強でオーケストレーションはできません。実はこれも「ラプソディ・イン・ブルー」からのヒントで、あのオケの編曲はガーシュイン本人ではなくグローフェがやったというのは周知の事実ですね。そうか、そういう方法があるのだ、と気づいて第1番「Encounter」は実現したのです。しばらく前に今村昌平監督の映画「カンゾー先生」の音楽制作過程で共同作業して知りあっていた作編曲家の栗山和樹さんにお願いすることができたのが最大の幸運でした。
それで第3番も当然栗山さんにお願いしようとしていました。でも相変わらず売れっ子で、国立音大の准教授でもある栗山さんは猛烈に忙しい。下書きをするアシスタントを誰かにやってもらう必要がありました。それで推薦されて現れたのが作曲科3年在学中の挾間美帆だったのです。どの段階までの作業をやって栗山さんにお渡しすればよいのかとある日相談すると、「挾間なら全部自分でやれます。彼女に全部任せて大丈夫です」とのお言葉でした。念の為に他の先生方に聞いても誰もが「挾間美帆」の名前を挙げました。
実は挾間は国立音大のビッグバンドジャズのグループ「ニュータイド・ジャズ・オーケストラ」に1年の時に入って来ていて、その方面では面識があったのですが、「本業」の作曲でも誰もが認める逸材だったわけです。国立音高出身ですが、その卒業作品のオーケストラ曲「Rhapsody of Endeavor」を後に聴いてぶっ飛びました。高校3年生でこんな曲が書ける。皆が言う意味がはっきり分かりました。それで、第3番のオーケストレーションを全部お願いしたいと伝えて、第1回の打ち合わせの日時を決めました。これがその年、07年のゴールデンウィークの直後だったと思います。
山下洋輔
せんくら事務局よりお知らせがございます。
既にせんくら公式サイト(http://sencla.com)でも本日お知らせを掲載しましたが、本フェスティバルに出演いただく予定でした安永徹さんが病気(病名:脊柱管狭窄症)のため、出演できないこととなりました。
そこで、大変残念ながら、2・3・66・67番の公演については、出演者を変更して実施させていただくこととなりました。
2・3・66・67番の各公演のチケットをお持ちの方で、そのままそれぞれの番号の公演にお出かけいただける方は何の手続きも要りません。そのままお使いいただけますので、何卒会場へお運びいただければと存じます。
変更後の出演者は、次の方々です。
●公演番号2番/10月11日(土)12:45-13:30 青年文化センターコンサートホール
【出演】鈴木理恵子(ヴァイオリン)、福田進一(ギター)
【曲目】イベール:間奏曲/ピアソラ:タンゴの歴史より “カフェ1930” “ナイトクラブ1960” 他
●公演番号3番/10月11日(土)15:00-15:45 青年文化センターコンサートホール
【出演】鮫島有美子(ソプラノ)、ヘルムート・ドイチュ(ピアノ)
【曲目】メンデルスゾーン:小姓の歌、夜の歌/寺島尚彦:さとうきび畑 他
※12日の公演番号44番と同プログラム
●公演番号66番/10月12日(日)13:15-14:00 楽楽楽ホール
【出演】伝田正秀(ヴァイオリン)、伝田正則(チェロ)、武井美樹(ピアノ)
【曲目】サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン/クライスラー:愛の悲しみ 他
●公演番号67番/10月12日(日)16:00-16:45 楽楽楽ホール
【出演】イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
【曲目】ムソルグスキー「展覧会の絵」全曲
※13日の公演番号97番と同プログラム
チケット払い戻しご希望の方は、 http://sencla.com/news/senclanews.html をご参照の上、お手続きいただくこととなります。
安永徹さんの早期のご快癒を、心よりお祈り申し上げるとともに、この公演のチケットをお求めになり楽しみにしておられた多くのお客様には、何卒ご了承いただきたくお願い申し上げます。
中村洋(せんくら事務局長)
せんくらファンの皆様、お久しぶりです。
去年はじめて呼んでいただいて、とても楽しい時間を過ごしました。
「ラプソディ・イン・ブルー」を飯森範親さんの指揮で山形交響楽団でやっていただきました。翌日のソロピアノ・コンサートには、オーボエの茂木大輔さんがN響公演の後にちょうど通りかかったなどと言って飛び入りしてくれました。両公演ともに聴き手の方々のとても深い理解をいただいたという印象で、地よい後味を感じておりました。
今年もまた呼んでいただいて嬉しいです。しかも、今回は私自身が作曲したピアノ協奏曲第3番「Explorer」をやらせていただけるということで、この幸運にはまさに「欣喜雀躍神社仏閣(筒井康隆作)」であります。
去年のブログで、20年前から始めた「ラプソディ・イン・ブルー」をやる快感がクセになって、自分の曲でこれ出来たらどんなにいいだろうという野望を抱いて、とうとうピアノ協奏曲第1番「Encounter」を作ってしまったという事を書きました。これが佐渡裕さんのご紹介で、イタリアのトリノで2日間の公演があったこともお知らせしましたが、その後、この演奏がCDになってAvexから発売されたのは望外の幸運でした。
第3番「Explorer」は、今年2008年の1月に佐渡裕指揮・東京フィルハーモニーで初演しました。その後、テレビ番組の「題名のない音楽会」で第3楽章が紹介されるなどこれも幸運な道筋をたどっています。
次回からはこの曲の成立事情や内容などご紹介していきたいと思っております。
今年も「せんくら」でお会いできるのを楽しみにしております。
山下洋輔
朝10時からGPなので松江を早朝出発、朝日の中を雲南へドライブ。
聴衆は満員、本番は大成功。
カヴァレリアの間奏曲の美しさ、新しいコンサートマスターの寺田さんはチェコで活動された方で、
「チェコ組曲」のしなやかで骨太なフレージングには感動した。
合同演奏はもう物凄い音量で盛り上がり、汗だくの名演。
ブラームス振るのはツライが、本当に楽しい、と改めて思う。
振りながら、ここはせんくらの企画で・・・とか頭をよぎる。
本番、サイン会を終えて松江に移動、夕暮れの宍道湖が感動的。
アマオケをもうひとつ指導して、翌朝は東京、すぐにN響だ。
夜はせんくらポッドキャストインタビュー、定期本番から深夜移動、名古屋でのだめ音楽会2公演をリハと指揮、またN響定期。その前の2日間の休日で、せんくらの企画を完成する予定。
いまごろになって、あの市民響のうまさなら、諦めていたブラームス「ピアノ協奏曲ニ短調」の冒頭だけでも、比較演奏できる、と欲張りたくなった。この音楽は最初「交響曲第1番」になるはずだったからだ。
思いついたら、すぐにスコアを見て、よし、行ける!となったら、すぐに連絡。
最後に思いつくアイデアが、いつも最高だった。
「運命」の音楽として最も凄い瞬間は、練習を終えてからのベートーヴェンの発想で作られたことがわかっているが、いったん完成を見た作品にわずかな筆を入れることで、絵には生命が突如として、宿るのではないだろうか。企画も、そうありたいものであり、それを可能にするためには、それ以外のところをしっかりと、共演するみなさんが安心して演奏できるよう作っておかなくてはならないだろう。
市民響のみなさん、本番、よろしくお願いします!
みなさま、ブラ1解説、お楽しみに!
(おわり)
さて、いよいよ最終日になりました!
何を書いて終わりにするか、まだまだたくさんお話したいことはあったような気がするのですが…。
学生時代は、音大という性質上やはりソロの勉強が中心でしたが、室内楽が大好きだったので、トリオやカルテットをなるべく組むようにして、将来も続けていけるといいなと思っていました。人と一緒に作り上げることが楽しく、お互いを高めあえるんですね!
今、オーケストラにも所属でき、室内楽もソロも続けられる環境にいながら、将来???何を望むのか。
演奏家として、もちろん自分を高めていきたいというのはありますp(^^)q
思いどおりの音楽を奏でていられるよう腕をキープしながら…弦楽器奏者はハタチ過ぎたら落ちると言われるんですよ(>_<) お客様がよかった、いい時間だったと思ってくださったなら、うれしいです。
また、私が心からよかったと思えるのが、教える過程で相手に変化が見えた時なんです。子供から大人まで、それぞれが時間をかけて上手くなったり、表現力がついていたり、そんな様子が見られた時はホントにうれしいです。
今年の夏は、紋別で行われた講習会に先生デビューしました!
何がいいか…全国から集まった色んな人に会うことが出来、こちらは全力を傾けて相手に足りないと思われることを手助けする、中にはその一週間でガラッ!っと変わる人も。
私もそんな講習会を開きたいと思います。
せんくらもいよいよ来週に迫りました。またお客様が走り回ってのコンサートのはしごや、ボランティアスタッフの皆さんの働き、演奏家の真剣勝負などなどが交ざり合います。
きっと色々なものが生まれるでしょうね!
楽しみです(o^o^o)
セレーノ弦楽四重奏団 小川有紀子
朝からホテルでロングトーンをしている同時刻、台風のなか、セントラル愛知交響楽団が島根に到着。
午後から現地リハーサル開始。
本来セントレアから米子に飛べるはずが、飛行機会社のダイヤ変更などで列車移動に。早朝の新幹線で岡山、そこからめちゃくちゃゆれる特急やくもで2時間以上。おなじオケマンとして気の毒でならない。一秒でも練習を短く、合理的にしたい。
しかし、そのリハは最短でも6時間にも及ぶ。(夜が合同演奏のため)
ウイリアム・テル序曲のチェロのアンサンブルは、別に時間をとって練習。
みなさん非常に柔らかな美しい音で、振りながら壊さないように神経を使った。
ラフマニノフの協奏曲(須藤梨菜)は幾度も共演していて大丈夫。再現部の頭だけ、どうしても合わない。研究の余地アリ。
ソプラノの渡邊恵津子さんもいつも通りバッチリ。ハープを指揮者の横に出して「私のお父さん」や「カヴァレリアの間奏曲」を演奏するのは夢心地。
合同のブラームス、指揮者の心も重苦しい第1楽章、春の幻想のような第2楽章、過去を回想するような第3楽章をそれぞれにできる限り要領よくリハーサルして、夜はなるべく早くオケを休ませたい。
合同は7時から。
一度通して、どこのオケでもちょっと混乱する数箇所を直せば、もう完成だった。
レベルが高い。振っていて楽しい合同オーケストラだった。
疲労忍び寄り、ビールを控えて早く眠った。
あと二回になりましたが、今日は私の好きなものについて書いちゃいます(^-^)
音楽家でも、立派な趣味をお持ちの方もいらっしゃいます…山歩きや美食家は食べる方作る方結構いらっしゃいますね。
私はたまにケーキ作ります。眠れない時などは夜中にシャカシャカシャカ…次の日には大量のパウンドケーキになり、オケの同僚たちの胃袋に。一番効率の良い?パターンです。
ほかに針と糸も好き。ドレスの脇が余ってるからつまむとか、何度も着たから袖切ってみようとか、手縫いでできる範囲ならやってみたい性質です。前世はお針子さんだったかな?!
でも、一番飽きないのは陶磁器!和、洋どちらも大好きで、食器屋や窯を発見すると吸い寄せられます…今のところ、カップ&ソーサーのワンセットなら買えるので、これが一番多いかな。有田焼の明るさ、備前焼なら渋さ、先日は仙台の堤焼の窯に伺うチャンスがあり、おちょこをいただきました。キレイですよー(^O^)独特な色艶です。
現在憧れているのが、写真のアウガルテン、ウィンナーローズ。ブルーローズのモチーフはあちこちで見かけます。マイセンの、ブルーの花柄にゴールドがほんの少し使われた三枚のお皿は宝物の一つですが、いずれはこのアウガルテンを手に入れたい!
高いんですよw(°0°)w
普通カップ&ソーサーで6000~1万円しますが、こちらは日本だと26000円でした…。でも成形から絵付けまで全て手作業、描いた職人さんのナンバーが裏にあり、微妙に違う絵から好みを選べます。
あ~ローズちゃん待っててねーヾ(=^▽^=)ノ
セレーノ弦楽四重奏団 小川有紀子
翌日はホテルでひたすらオーボエ、睡眠。
定期に疲れを取り、つぎの準備。
夜から加茂町で、島根県全域から集まってくるアマチュア演奏家のリハーサル。本番で演奏するセントラル愛知交響楽団と、ブラームス1番のフィナーレを合同演奏する。
つい数日前に仙台で振り始めた4楽章の序奏部から練習開始。
コントラバスがいない、という悲しい状態。この楽器、はだかで聞こえる事はめったにないが、ひとりでオーケストラの音量を2倍以上にする力を持っている。音域、低音、というのはそのくらい重要なもので、上のほうでティンパニ、トランペット、ピッコロなんかがいくら頑張っていたところで、下の支えがないと音は小さくなってしまうものなのだ。
ことにブラームスやベートーヴェンのような、ドイツ的「男らしい」作曲家の作品に低音は重要。
とはいえ、二人混じっている小学生を含め、演奏は上々。木管楽器は数が多く集まっているので、ホルンなども含め、できるだけ全員で重ねてソロを吹いてもらうようにした。そのことによって、「おお!合同演奏!」という合唱団的な豊かなうねりが音に加わる。
想像以上の水準と熱意をもったアマオケを2時間練習し、松江に戻る。
高校の吹奏楽部で後輩であるオーボエの木村君が島根大学で教授になっていて参加してくれているので、松江の寿司屋で美味しいお魚を沢山いただく。