早いもので、せんくらブログの担当も今日で最後になりました。
今日は何について書こうかと考えましたが、普段自分が演奏する時のことを書いてみようと思います。
音楽とお料理は少し似ているなぁ、と思うんです。なぜかというと、お料理は何料理になろうと、使う材料がほとんど同じ。もちろん、日本のお米とタイ米が違うように産地によって少し違いはありますが、「肉」「魚」「野菜」の使い方によって、それが日本料理になったり中華料理になったり、フランス料理になったりイタリア料理になったり…。
それと同じことで、「音符」(「ドレミファソラシド」にシャープやフラットがついても、全部で20個くらいしかない「音符」)が、使い方により、ドイツの音楽やフランスの音楽、ロシアの音楽になる…というのが、本当にすごいことだと思うんです。
だから、いつも楽譜と向かい合う時には、この「音符」をどのようにお料理しようかなぁ、と考えて取り組んでいます。
今回、せんくらで演奏する作曲家は、ベートーヴェン、クライスラー、ワックスマン、サラサーテです。
ベートーヴェンは「ドイツ料理」、クライスラーは「オーストリア料理」、ワックスマンはアメリカ人ですが、原曲がビゼーのカルメンなので「フランス料理」。そして、サラサーテは「スペイン料理」となるように、それぞれをお料理して、皆様にお届け出来ればいいなと思っています。
それでは、一週間お読みいただいてありがとうございました。「せんくら」でお会いしましょう!
漆原啓子(ヴァイオリン)
私の演目に興味を持っても、「指揮者って、あまり知らないし、おもしろく感じるかな…」と思われるでしょう。
それは安心してください。
ふだん、私の活動の場は寄席です。そこに来るおじいちゃん、おばあちゃんの9割ぐらいは、「クラシック音楽なんて…」の人たちなのです。その観客に笑ってもらわないといけないのです。
そんな人たちに「なんか、指揮者っておもしろそう。今度、じっさいに見てみようかしら」と思わすことが、私の芸人としての真骨頂なのです。
逆に指揮者に詳しすぎる人がお客様だと、「違うだろ、もっと似せろ、勉強しろ!」と、こちらは冷や冷やもんです。
この芸は、脚光を浴びなくてもやり続けることが意味があると信じてやっています。
そうです、「オンリー1」なのです。ま、アホらしくて、誰もやらないからだと思いますが。
「なんで、そんな指揮者の物真似をする気になったの?」
よく聞かれる質問です。理由は単純。演じている自分が気持ちよくて、
見ている人にも楽しんでもらえると思っているから。
いつから指揮者をやり始めたか。それはもう小学生のときから。小学生の四年生頃に音楽の時間に聞いたケテルビーの〈ペルシャの市場にて〉を聴いてクラシック音楽が好きになり、FM放送でエアチェックしてそれこそむさぼるようにクラシック音楽を聴きました。
当時はヘルベルト・フォン・カラヤンが人気がありました。レコードジャケットには、目をつむりながら陶酔するカラヤンの指揮姿の写真。
そして、テレビとかでたまに放送するカラヤンの映像を見て、
カラヤンって、かっこええやん!
それからは、箸を片手にカラヤンの真似事を、レコードをかけて悦に入ってするようになりました。
中学に入ると、クラス対抗の合唱コンクールが校内で催されました。そのとき、私はカラヤンになるのだ。
音楽に関心のない男の子もおもしろいから、すごく協力してくれる。やる気も練習量もちがうから、私のいるクラスは三年間、合唱コンクールでは圧倒的に一位になりました。
高校に入ったら、もう音楽への渇望は止められない。
ブラスバンドに入ってふだんはチューバを吹いていましたが、顧問の先生がいないときは率先して指揮をしました。
それもストコフスキーばりに、解釈も編曲もやりたいように変えて。
その頃には、カラヤンだけでなく世界の巨匠が私のレパートリーにどんどん加わっていきました。
高校の頃に『漫才ブーム』があって、ツービート、B&B、紳介竜介などがテレビで活躍していました。
それからしばらくはお笑い勝ち抜き戦番組がテレビで花盛りでした。
二十歳のときに初めてテレビに出ました。TBSの『ビートたけしのお笑いサドンデス』。
豪華な賞品に目がくらんでの応募でしたが、当日、司会の三田寛子さんが、「本日からチャンピオンの賞品が変わりまして、今までは車とか海外旅行でしたが、本日からはビートたけしさんからすばらしい芸名がもらえます」
何すんねん。でもそこで画用紙に書かれた芸名を今も使わさせてもらっています。
吉本新喜劇に在籍したり、NHKの教育テレビの『あしたもげんきくん』という新番組でげんきくん役をやったり、ヨーロッパで大道芸の旅をしたり、寄席芸人をしながらも、私はこの指揮者形態模写にこだわりながら、細々と活動をし続けています。
指揮者物真似は珍しいので、時々はスポット的にメディアに取り上げられたりしてましたが、ここ数年、急にクラシック音楽業界が私に興味を持って、声をかけてくれるようになりました。
その中で忘れられないのは、今年3月5日の「仙台フィルと好田タクトの楽しくクラシック」(写真はそのチラシ)。
あの仙台フィルと共演しました。
会場となった石巻市民会館が、お客様でぎっしり埋まっている。
す、すごい…、こんな雰囲気で始まるのか…。
無我夢中で舞台は終わりました。
おおいに笑っていただき、最後の朝比奈隆の物真似で、ワーグナーの曲が終わったとき、観衆のみなさまがスタンディングオベイションをしてくれました。
もう、鼻水が出て涙が止まりませんでした。
こんな素敵な街に、また来れる。
タクトはもう燃え尽きてもいいから、なんとかいい舞台を作りたい。
今からプレッシャーで胃が痛みますが、世界のどこにもない楽しい舞台を作り上げたいと思います。
好田タクト(パフォーマンス)
マリンバについて、ちょっとだけ
お話しますね♪
マリンバの音色を聴いたことがありますか?
とても温かみのある深い音色なんです!
実は・・・
鍵盤がメキシコの南にある暖かい国、 ホンジュラスで取れた硬い木で出来ています。だから 自然な音がします。
温度や湿度によってかなり響きが変わります。
会場の大きさや造りが違っても変わります。
ですから、リハーサルがと~っても大切です。
たくさんマレットを持って行って 音の響きを確認しながら 演奏する曲によって使うマッレトを決めます!
※マレットは、たくさん持っていますよ!自分が何本持っているか分からないくらいです。音色、硬さが、全然違うんです♪
洋服に合わせて選んでいる訳では無いんですよ(^.^)
加藤詢子(ル・キャレ)
今日は10日間のセミナーの最終日でした。始めは「10日もあるから長い」と思っていましたが、今日になってみると、あっという間に終わってしまった、という感じでした。
講師の先生達は、世界各国から20人ほど来ています。講師によるコンサートが毎日行なわれ、ほとんど毎回聴かせて頂きました。皆さんそれぞれ素晴らしく、楽しく聴かせて頂きました。
それぞれの個性が様々あるのは当たり前なのですが、やはり、各国の方の演奏を聴いていると、お国柄が出るなぁと痛感します。
日本人が一番シャイかな…?
同じアジア人でも韓国も中国も(特に中国は)、ヨーロッパと同じ「大陸」の中にあるということで、我々とはちょっと違ったものを感じます。(例えば中国では、昔からベッドで寝ていた、とか…挨拶の時にハグする、とか…。)
今年、私はドイツ人ピアニストのヤコブ・ロイシュナーさんと、中国人(上海の方。しかし、アメリカに20年くらい住んでいる)チェリストのヘクン・ウさんと、ベートーヴェンの大公を一緒に弾かせて頂きました。リハーサルを含め、とても楽しく弾くことが出来ました。
コンサートの後には必ず食事会があるので、たくさんの先生方と仲良しになれました。意外に思われるかもしれませんが、実は私、留学をしたことがないのです。だから、お食事会の時に先生達から色々なお話を聞くのは、文化の違い、考え方の違い、又は、逆に共通のもの、など、たくさんの発見があって本当に楽しかったです。
というわけで、また来年までみんなに会えないのが寂しいなぁ、としみじみ感じた一日なのでありました(^_^;)
漆原啓子(ヴァイオリン)
第5回 怪人「ゲルギエフ」
これからまねてみたい指揮者は誰かと聞かれたら、真っ先に挙げたいのが、バレリー・ゲルギエフですね。
彼は久しぶりに現れた、癖の強いカリスマ指揮者だと思います。
以前、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団と一緒に来日した際、
プロコフィエフの「交響曲第5番」の楽章間を、休みなしで一気に演奏した斬新な解釈には圧倒されました。
彼はジェームズ・レバイン同様、世界各地の指揮台にエネルギッシュに立ち続けています。
それに発言も面白いですね。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者サイモン・ラトルが「さわやかなエンターテイナー」なら、ゲルギエフはその対極にある「怪人のようなコメディアン」だと思います。
私の中では竹中直人さんのイメージに重なるんです。
ゲルギエフの演奏や映像はとにかく見ごたえがあって、私のライブラリーの中で最もCDやDVDが多い現役指揮者かもしれません。彼のまねをするとしたら、怪人のようにストイックな雰囲気の中で、時折のぞくユーモラスな表情に力点を置きたいところです。しかし、彼の本当に面白い部分は演奏解釈ですから、選曲も重要になってくると思います。
彼の指揮姿は打点が分かりにくいので、選曲するならオペラがいいかもしれませんね。
来日公演で話題になったプロコフィエフのオペラ「炎の天使」には興味があります。
あるいは、ストラビンスキーの「春の祭典」のように、前衛的で、派手で、神経質な作品が合うような気もします。
現代において、ゲルギエフのように個性的なカリスマ指揮者は本当に少なくなりました。
彼は今後世界のトップに君臨するかもしれない人ですから、私のレパートリーで中心に来る可能性があります。
その日に備えて、私もゲルギエフの物まね芸を磨きながら、彼の頭髪にふさわしい究極のカツラを見つけ出したいと思います。
好田タクト(パフォーマンス)
鶴岡たみ子です。
「いつもお元気ね!」
「いつも~?ね」「いつも~?ね」等々
言われる度に、嬉しいやら 恥ずかしいやら
複雑な気持ちで……でもちょっぴり心の中では喜んでまーす♪
私はひと口に言って夜型!!
これは大学時代の時から身に付いたもので、今でも直せず、何時でも体が対応してくれます。(世界中何処へ行っても時差ボケがありません!)
人が好き お祭りが好き ランドが好き ようするに にぎやかな所が結構好きなんです。いつも誰かはそばにいる毎日ですので、夜(23:00~)
になると やらなければならない事?を 一生懸命 私なりに気の済むままに時間を掛けます。(書きもの、FAX、資料作り、音符の置き換え)
先週は八甲田山の赤倉岳、岩木山の登山に参加しとても楽しい三日間を過ごしてきました。お花も空気も頂上からの全景も大変心が洗われ、音楽する私にとって、すべて協奏曲を演奏している感じでした。
これからの演奏にも役にたつ事でしょう!!
7月に入ると、吹奏楽コンクールの地区大会が毎週の様に開催されます。
先日、宮城教育大学の授業が終り帰ろうとした時の車のそばで、学生が「ある中学の指揮をするのですが、打楽器はどういう所に注意し指導したらいいでしょうか?」と質問がありましたので「打楽器は“活殺自在”の鍵をにぎっているので、スパイスよりも大切な役割を持っている事や木、皮、金、それぞれの楽器は奏法によって音が違います」と説明した所、学生は納得したようでした。担当した学校が金賞になり、代表になりますように!
鶴岡たみ子(ル・キャレ)
今日は、ライプツィヒに戻って、バッハがオルガンを弾いていたトーマス教会について書きたいと思います。
トーマス教会は、ライプツィヒの一番にぎやかな中心地にあり、すぐ近くにはたくさんのレストランやブティックが並んでいます。しかし、教会に一歩足を踏み入れると全く違う空気が流れているような気がするのです。それはもしかしたら、生徒が先生の前に出ると緊張するように、偉大なバッハ先生に会うような感じで、自分の気が引き締まるからかもしれません…。
教会でミサに参加させて頂きました。神父様のお話までなんとなく音楽に聞こえます。讃美歌をたくさん歌い、オルガン独奏の時間もありました。「バッハも、このようにオルガンを弾いていたのかな?」と思いを馳せてみたり…。なんだかコンサートに行ったような気持ちになりました。
教会の祭壇の所にはバッハが眠っているお墓もあり、バッハに会えたような気がしました。これで少しはバッハの演奏が変わるといいんだけど…(^_^;)
今日は、このへんで失礼します!それでは、また明日。
漆原啓子(ヴァイオリン)
第4回 エンターテイナー「レバイン」
ジェームズ・レバインは米国のメトロポリタン歌劇場管弦楽団で長く音楽監督を務めている名指揮者です。
2004年からは小澤征爾さんの後任として、ボストン交響楽団の音楽監督も兼任しています。
様々なタイプの指揮者がいますが、眼鏡をかけたレバインの明るく踊るような指揮姿と、いつも開放的な演奏はお客様にとても受けがいいです。テレビで放映される場合も、彼の物まねだけはカットされないことが多いですね。
レバインの陽とした人柄が、きっとクラシックを知らない人にも伝わるんでしょう。
彼と似た明るいタイプとしては、2004年に亡くなったカルロス・クライバーという指揮者がいました。しかし、彼の場合は少し難しさもあります。
クライバーをまねている私の映像を動画共有サイトに流したところ、熱狂的なファンのアクセスが殺到して、ずいぶんと書き込みもされました。クライバーのファンにしてみれば、「神聖な指揮者になんてことをするんだ」という憤りの表れだったのでしょうね。
そこへいくと、クラシック界におけるレバインの位置付けは、「根っからのエンターテイナー」と言えるかもしれません。メトロポリタン歌劇場管弦楽団のあれだけ偉い指揮者なのに、あちらこちらのオーケストラや歌劇場を飛び回ったり、3大テノールの伴奏も引き受けたり、八面六臂(ろっぴ)の活躍ですからね。そのバイタリティーと適応能力の高さは、私も見習いたいと思っています。
彼のまねをするときのポイントは、丸い眼鏡や、くるくる巻きになったパーマ頭のカツラといった「見た目」です。
パフォーマンスの部分では、明るく踊るような指揮姿でロッシーニの「ウィリアムテル序曲」や、グリンカの「ルスランとリュドミラ序曲」などの元気な曲を振ることが多いですね。私はレバインだけに限らず、なるべくその人の生き方や解釈が個性として見えるように、一人芝居のようなつもりで、この指揮者形態模写をやるように心掛けています。
好田タクト(パフォーマンス)
こんにちは!加藤詢子です。
仙台に生まれ 仙台で育ち
仙台大好きで~す!!
その 大好きな仙台で 大好きな“せんくら”で演奏できるなんて・・・皆さんに喜んでいただけるプログラムを用意してお待ちしています。
★コンサートで演奏する曲の中にはマリンバ4台を長方形に並べて
あっちに行ったり、こっちに来たり・・・・アレ~!?
私はどこで弾けばいいの!? 「スクエア」です。
お客様に後ろ姿を見られてしまうわ。ごめんなさいね。
「あの人のお尻 大きいね」なんて見ないでね。
私の桐朋時代の後輩の吉岡孝悦(たかよし)氏の作曲です。
当日 4人が間違わないで演奏出来るよう祈ってて下さい!!
★ドラムセットのバスドラム、ご存知でしょう?
バスドラムをたたきながら(もちろん、足で)、マリンバを弾いたり太鼓を叩いたり。という「HOOK」も演奏します。
★もう一曲は「ジュピター」で有名になったホルスト作曲の組曲《惑星》より「木星」です。
★ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」
(もしかしたら本物のタイプライターが見られるかも)
皆さんに喜んで頂けるよう頑張って準備致します。
疲れても私の癒し(いやし)トラちゃんが居るので
大丈夫!!
加藤詢子(ル・キャレ)
今日は、昨日のワイマール観光記の続きを書きたいと思います。
ゲーテの住んでいた家を見学したあと、今度はリストが住んでいた家へ行きました。が、なんとコンサートの最中ということで入れてもらえませんでした…残念…。外から見た限りではこじんまりしているけれど(ゲーテの家を見たあとは、なんでも小さく見えてしまいます…)、素敵なおうちなんだろうな、と思いました。
気を取り直して、ワイマール城に行くことにして歩いていたら、ガイドブックにも載っている「ヘルダー教会」の近くを通りかかりました。ちょっと覗いてみようと思ったら、今度は、明日のコンサートのリハーサル中ということで、またもや中に入れませんでした…。中からは、メサイヤが聴こえてきていました。
ワイマール城は「お城」というよりも、美術館に来たような感じでした。あまりにたくさんの展示物で、閉館時間ギリギリまで見ていたら、中庭でコンサートのリハーサルが始まってしまいました。今夜のプログラムはカルミナ・ブラーナで、オーケストラはチェコからバスで来ていました。
いろいろ感じたことはありますが、特に思ったことを少し…。
こちらには素晴らしいホールがたくさんありますが、ホールではない場所からも、音楽が町中で日常的に溢れていました。せんくらの時には、仙台の街に音楽が溢れると思いますが、日本ももっと身近なところでクラシック音楽にいつでも触れられる環境になればいいのになぁ、と思いました。
それでは、また明日!
※写真は、
1.リストの家
2.シラーの家
3.典型的なドイツの建物だそうです。400年前の建物だそうです。
4.「ワイマール城。コンサートの準備が出来ていて、パイプ椅子がたくさん並んでいます。」
漆原啓子(ヴァイオリン)