音楽家はサバイバル 続き

2009.09.09| 横山幸雄

音楽家はサバイバルといっても、僕の旅用具は、いたってシンプルである。
どんなに旅が長くても大体は衣装ケースと、いつも持っている楽譜のバッグで済んでしまう。とにかく移動が多いので、楽譜だけは決して身体の傍から離さない。海外では、預けた荷物が出てこない、ということは余り驚く事ではないので、楽譜だけは必ず身につけているのだ。

昨日の話の続きにはいろうか。
演奏家はサバイバルだからこそ、タフでなければならない。いつどこでどんなハプニングにであうかわからないからだ。荷物の鍵が壊れて開かなくなったそのときは、旅はまだ前半の出来事だった。楽譜は手元にあるとしても、内心困ったなと思った。そこで僕は覚悟を決め、スーツケースに踵落としを2回、キックを2回やり、スーツケースに裂け目を作り、そこから手で力いっぱいスーツケースを引き裂いた! 演奏が無事に終わり帰りがけに「ちょっとゴミが出ちゃったから捨てて下さい」と言って会場を後にしたのだが、あのスーツケースの残骸を見たフランス人はきっとの呆れたに違いない。
横山幸雄(ピアノ)

ウィーン旅行

2009.09.09| イリーナ・メジューエワ

演奏旅行で各地を飛び回っているイリーナさんですが、今年は4月から5月にかけてウィーンに旅行したそうなので、その話を聞いてみました。

(イリーナ):はい、2年前に京都の青山音楽財団から青山音楽賞を頂戴したのですが、研修旅行として今年4月から5月にかけてウィーンに行ってきました。私にとって初め てのウィーンでしたが、とても興味深かったです。主にシューベルトとベートーヴェンゆかりの場所を訪ねて歩き回りました。シューベルトの生家や亡くなった家、ベートーヴェンゆかりの有名なパスクァラーティ・ハウスやエロイカ・ハウ スなど。もちろんハイリゲンシュタットにも行きましたよ。あと、ウィーン・フィルのヴァイオリニストの知人と一緒に室内楽を練習したり、とても充実した旅 行になりました。現地の人々と触れ合う機会も多く、『ウィーン気質』のようなものも何となく感じ取ることが出来ました。

コンサートなども行かれたんですか?

(イリーナ):毎晩、コンサートやオペラに出かけました。有名な楽友協会大ホールにも初めて足を踏み入れて、その歴史と伝統を感じることが出来て、とても感動しました。ウィーン・フィル、ドレスデン・シュターツカペレ、ベルリン・シュターツカペレ、ウィーン交響楽団、ウィーン室内管弦楽団などなど、たくさん聴きました。オペラは『薔薇の騎士』や『フィデリオ』、『トスカ』など。音楽三昧の日々でしたね。

研修成果披露コンサートは京都の青山バロックザールで12月5日(土)15:00開演。お楽しみに!
(問:青山音楽記念館 Tel 075-393-0011  http://www.h4.dion.ne.jp/~ammh/index.html

マネージャー
http://www.concert.co.jp/artist/mejoueva/profile.html

「音楽家はサバイバル」

2009.09.08| 横山幸雄

音楽家というのはご存知のように旅が多い。旅から旅が普通で、そのあいだも時間を作り練習もかかさない。自分でもかなりタフな仕事かもしれないと思う。強行スケジュールもざらだ。

先日、ヴァン・クライバーン国際コンクールで優勝した、弟子の辻井君のファイナルのレッスンも、演奏会の合間をぬって、朝アメリカに立ち、早朝着いて一日中レッスンをしてそのまま帰りの飛行機に乗り込む、という強行スケジュールをやった。さすがに、帰国後腰痛に苦しむことになったが・・。
全く、音楽家はサバイバル生活なのだ!

正に、サバイバルというエピソードをひとつご披露しよう。

ヨーロッパを旅してまわっている時、あるとき、飛行機からピックアップした荷物の鍵が壊れて開かなくなってしまったことがある。楽譜は手元にあるとしても、旅はまだ前半の出来事だった。しかも既に会場に入っていた僕は、さてどんな行動をとったか!

ここで、今日もつづきにしよう。

僕のとった行動を想像してみてね。
横山幸雄(ピアノ)

ショパンについて

2009.09.08| イリーナ・メジューエワ

今年のせんくらで、イリーナさんは3つのショパン・プログラムを弾く予定になっています。イリーナさんにとってショパンはどのような存在でしょうか?イリーナさんにショパンのことを聞いてみました。

(イリーナ):最重要かつ最愛の作曲家の一人です。子供の頃から私にとってショパンは特別な作曲家でした。ショパンのノクターンやソナタが大好きで、聞くたびに感動して涙が止まりませんでした。ショパンの作品を弾けるようになりたくて一生懸命練習したのも懐かしい思い出です。ショパン風のノクターンの作曲を試みたこともありました。ご覧頂いている写真は10歳か11歳の頃に音楽学校で撮ったもので、ショパンを演奏していたと思います。

ショパンの音楽のどのような点がお好きですか?

(イリーナ):何といってもメロディとハーモニーの美しさですね。さらに言えば、詩的な繊細さ、そして論理的な厳しさ、この二つが奇跡的に結びついているところでしょうか。全体的に悲しみに満ちた音楽が多いと思いますが、どんな場合でも高貴さを失わないのがショパン作品の素晴らしい点です。

ちなみにイリーナさんはショパンの直系の弟子ですね。

(イリーナ):ショパンの有名な弟子の一人がカール・ミクリ、その弟子がアレクサンドル・ミハウォフスキ、そしてゲンリヒ・ネイガウスへと続きます。ネイガウスはリヒテルやギレリスの師としても有名ですね。そのネイガウスの高弟の一人がテオドー ル・グートマン、そしてその弟子がウラジーミル・トロップ先生です。グートマンもトロップ先生も、ショパン作品の演奏を得意としています。ショパンの弟子 筋にあたるピアニストは世の中にたくさんいますから、特に珍しいことではないのですが、それでも自分がショパンの伝統に属しているというのは嬉しいことですね。私自身、ポーランド系の血も少し入っているのでショパンは本当に近しい存在です。

イリーナさんは、ウラジーミル・トロップ先生のもと、研鑽を積みました。ショパンから数えて七代目の弟子にあたりますね。それにしても、ポーランドの血が入っているとは、私も知りませんでした!
イリーナ・メジューエワ/マネージャー
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「何故出来ないのか!」続き

2009.09.07| 横山幸雄

僕は、「出来ない理由」を探り出す作業が得意だし、好きなんだと思う。「できない」や「わからない」、それぞれの理由をみつける事で、人は劇的に進歩するし、僕もまたそれで勉強になるのだ。

さて、昨日の親子の話をしよう。
お母さんは男の子に折り紙を渡すと、ジュースを買いに席をたった。
その子は、相変わらず問題集の図形をみつめて、今度は折り紙でそのありえない図形を一生懸命作ってみるのだが、先の(昨日のメールに書いた)理由で厳密にその形を作る事は出来ない。
どんどんぐちゃぐちゃになっていく折り紙を、僕はちょっとその子に頼んで貸してもらい、問題の図形を作った。そして、問題には描かれているが、実際には有り得ない理由をわかりやすく話してみた。すると、「あぁ~!」と大きな声がかえってきた。

僕は、まるで水戸黄門のような気持ちで、その子と別れ搭乗口へと向かったのだった。

よかったね!

またあした。
横山幸雄(ピアノ)

 

仙台の思い出。

2009.09.07| イリーナ・メジューエワ

(イリーナ):昨年、『せんくら』に出演した機会に、初めて仙台市内を歩きましたが、緑が多く てゆったりとした雰囲気で、とても気に入りました。古い歴史を感じさせる点も 素敵ですね。食事が美味しかったのも忘れられません。

せんくら2008出演をきっかけに、すっかり仙台ファンになったイリーナさん。

(イリーナ):じつは今年の2月にも旅行で仙台に1泊しました。仙台市内で美術展を見たついでに塩釜、松島にも足をのばしたのですが、塩釜神社では突然雪が降ってきて、辺りが一瞬にして幻想的な雰囲気に包まれました。神事をやっているところにも 偶然出くわすなど、とても強烈な印象を受けました。松島は芭蕉の『奥の細道』 を読んで一度訪れたいと思っていましたが、実際に目にすることができて嬉しか ったです。仙台および周辺には面白いスポットがたくさんありそうで、機会があればゆっくり観光してみたいと思います。
イリーナ・メジューエワ
マネージャー
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「何故出来ないのか!」

2009.09.06| 横山幸雄

人にピアノを教えるようになって、かれこれ20年になる。この教える、という作業は毎回新たな発見があり、僕にとっても、とても勉強になるのだ。

先日、空港で一生懸命勉強を教えているお母さんと幼稚園児らしき息子と隣り合わせになった。夏休みの宿題か、受験勉強なのか、その様子はとても必死なのだ。「なんでこんな問題がわからないの?」とお母さんは息子を叱っていた。

男の子は一点を見つめたまま。
しばらく話しているのを、きくともなく聞いていると、その子の解らない理由がわかってきた。

図形の問題らしかったのだが、問題集をみてみると、そこに書かれた図は、四次元の立体を無理矢理二次元に、たいらにかかれている。そして、答えを導き出すヒントを描くために、図形としては少々おかしな形になっていた。

大人の都合で描かれている、実際立体でみることのできないその図形をみて、子供は理解できないのだ、と思ったのだ。

「何故出来ないのか!」これは、よく先生等教える側が叱るときに使う言葉だが、これは決して言ってはいけない言葉だと思っている。「出来ない」には、人それぞれに理由があるからだ。ときにそれは、教える側からすると、とんでもない初歩のレベルに理由がある場合もある。だから教える側は、どうしてできないのかという自分の目線ではなく、相手の目線になれなければ、そのわからない理由はいつまでも発見できない。

さて、この男の子は問題がとけたでしょうか!
続きは、明日のお楽しみ。
横山幸雄(ピアノ)

今年もよろしくおねがいします!

2009.09.06| イリーナ・メジューエワ

イリーナ・メジューエワのマネージャーのいたはしです。始めましての方と、お久しぶりですの方、皆さまこんにちは!
昨年に引き続き、今年もせんくらに参加できることを、イリーナさんも私もとても嬉しく思っています。
せんくら2008では、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を演奏し大好評をいただいたイリーナさん。昨年の感想を伺ってみましょう。

(イ):昨年、『せんくら』に初めて参加して、ロシアの作品を演奏しました。冒頭にトークを入れましたが、日本語で、しかも大勢のお客様の前で話すのは本当に難しかったですね。でも、会場全体がとても暖かい雰囲気に包まれていて、トークも演奏も熱心に聴いてもらえたのは嬉しかったです。また、地元スタッフの方々が熱 心に仕事をされていたのが印象に残っています。とてもすばらしい音楽祭だと思 いました。今年もまた『せんくら』に出演できることをたいへん光栄に思います。今からとても楽しみにしています。

今年の曲目は、オール・ショパンです!聴き所など、今日から1週間たっぷりお話を伺っていきたいと思います。よろしくおねがいします。
イリーナ・メジューエワ・マネージャー
http://www.concert.co.jp/artist/mejoueva/profile.html

 

ピアノの魅力

2009.09.05| 三舩優子

<ピアノ>は私にとって、自分が自分であることを支えてくれる、大きな味方です。

ピアノの前に座ると、「私」のカプセルにスポッと入れます。そのカプセルの中にいる「私」を、皆さんに見せてしまっている・・・考えてみると滑稽ですよね(笑)。でも、ピアノの楽しさ、音楽の楽しさを皆さんと共に分かち合いたい!という気持ちで、いつもステージに立っています。

今回のせんくらでは、物語とピアノ、映画音楽や1900年初頭の頃のピアノ、名曲を奏でるピアノ、 弦楽器と一緒のピアノと、いくつものピアノの「顔」をお聴かせ出来ると思います。

ピアノの魅力を、存分に味わって頂きたい!というのが、私の願いです。

1週間のブログ担当も、今日で終わりです。ありがとうございました。

それでは来月お会いしましょう!楽しみにしています!!
三舩優子(ピアノ)

思いはいざ仙台へ!!

2009.09.05| 金子美香

オーチャードホールでのワーグナーガラ・コンサートの公演初日もおかげさまで無事終えることができました。今日は楽屋での一枚を!

今日はゆっくりと休み、来年2月に出させていただく二期会オペラ「オテッロ」の勉強をしています。ヴェルディ最期の作品「オテッロ」は素晴らしい作品でありながら、なかなか日本で上演される機会はありません!
私はイァーゴの妻、エミーリアという役で出演致します。
この滅多にない上演!ぜひいらして頂けましたら幸いです!
と宣伝いたしましてスミマセン!
詳細は二期会ホームページにてご覧頂けます。

http://www.nikikai.net/index1.html

さてワーグナーガラ・コンサートを終えたら気持ちはいよいよ仙台へ!!

初めてづくしのこの秋、皆さんと音楽を楽しみ、時間を共有できることを
心から楽しみにしております。

不慣れなブログでしたが、一週間お読みいただきまして本当にありがとうございました。

それでは10月、仙台で皆様にお目にかかれますことを心待ちにしております!!!
金子美香(メゾソプラノ)

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