僕でさえ愕然としましたが、僕以上に愕然としたのは義父でした。
家は三階建てで、一階に義父が営んでいた接骨院があり、二−三階は二世帯住宅になっています。
家は義父が生涯をかけて建てた家でした。
そこには思い出も、気持ちも蓄積されていました。
ですからそのショックと言えば想像を超えるものでした。
最近聞いた話なのですが、自宅の斜め向かいに内科があり、内科の上から先生が津波の時に様子をみていたそうです。
自宅は道が重なる角にあり、津波は道を通って流れてきたそうです。
そして斜め向かいのかまぼこ屋さんの後ろの建物が津波で流されて、自宅にある看板を直撃したそうです。
もし、看板がなければもしかしたら家の被害はもっと大きかったと思います。不幸中の幸いです。
3月12日、自宅の津波の被害をみて、初めて自分は被災者なんだと感じました。
自宅は暫く使えなかったので、親戚の家に泊まらせて頂いたり、車の中に泊まったりして、最終的には接骨院の別館が下馬にあったので、そちらの方で自宅に戻れるまで3週間近く避難しました。
髙橋正典(バリトン)
突然ですが、僕には集中力が足りません(笑)
練習していてもすぐに他のことに気がいってしまいます。
が、最近はそうも言ってられません。
本番がつまっていて、曲に追われる毎日を送っています。
僕の住んでいる所では、この時期週末になると西武園ゆうえんちの花火を見ることが出来ます。
それが練習で疲れた体への癒しとなっています。
さて、今日も練習練習!!
菅原望(ピアノ)
こんにちは。エレクトーンの神田将です。
私が初めてせんくらに出演したのは2009年。
それから毎年呼んで頂き、今年で3回目となります。
初登場の時は「え?エレクトーンでクラシック?」と、せんくらファンのみなさまを驚かせてしまったかもしれませんね。
どちらかというとポピュラー音楽を個人的に楽しむための楽器というイメージが強いエレクトーンですが、実はクラシック音楽への取り組みにも歴史があります。
とはいえ、ヴァイオリンやピアノの歴史に比べたら、まだ始まったばかり。注目されるようになったのは、ごく最近です。
そんなエレクトーンの可能性に、いち早く気付いてくれたのがせんくらでした。
2009年当時、私はどこか名の知れた音楽祭に出られないかと、チャンスを模索していました。
自分の名誉のためでなく、みなさまに私が感じている楽しさをお届けしたいのと、エレクトーンの未来のためというのがその目的です。
でも、前例のないことはなかなか受け入れてもらえません。
半ば諦めていた時、チャンスを与えてくれたのが、仙台クラシックフェスティバルと、中国上海国際芸術祭だったのです。
いずれのフェスティバルも、不思議な楽器を扱う無名の奏者を快く迎え、名だたる演奏家たちと同等のステージを用意してくれました。
こうして舞台は整いましたが、何を演奏すればいいのか、自分の演奏は受け入れられるのかといった不安もありましたし、有名な方々のことを考えるだけでビビりまくり。
でも、当日、最初のコンサートが始まった瞬間、お客様の温かさを一心に感じながら、演奏することの歓びを噛みしめている私がいました。
スタッフの方々、ボランティアの方々にも本当に親切にしていただき、理想的なコンディションで舞台に向かえたことにも感謝しています。
リラックスした雰囲気の中で、気軽に名演奏を楽しめるせんくら。
これまでのせんくらもすごいのですが、特に今年は厳しい状況の中での開催ですから、スーパーすごいせんくらですよね。
ぜひご一緒に、思い切り楽しみましょう!
今回初めてせんくらに出演させていただく菅原望です。
東日本大震災によって傷ついた皆様の心を元気に出来るよう、精一杯演奏させていただくつもりです。
今年はリストイヤーということで、僕はリストのピアノ協奏曲2番を演奏させていただきます。
リストのピアノ協奏曲というと1番のほうが有名ですが、2番も負けないくらい素晴らしい曲です!!
難しさも負けていませんが……。
リストに恥じない演奏が出来るよう頑張ります。
菅原望(ピアノ)
仙台のみなさま、そして全国のせんくらファンのみなさま、お久しぶりです。
エレクトーンの神田将です。長い長~い一年ぶりですね。
あの日を境に、すべてが変わってしまった。
かけがえのないものを失ったり、描いていた未来が壊れてしまったり。
途方もない悲しみを抱えたままの方々も、たくさんいらっしゃることでしょう。
心よりお見舞い申し上げます。
私の人生もすっかり変わりました。
演奏する機会を奪われるのは、演奏家にとって何よりも悲しいことです。
直後から公演の中止が相次ぎ、この先どうなるのかなという不安だらけの日々。
決行された演奏会でも、複雑な気持ちのまま弾いていました。
しかし、ここ2ヶ月ほどは、これまで私がいかに恵まれていたかや、今後何をなすべきかについて、深く考える時間を与えられたのではないかと考えるようになりました。
かつての私は心を込めて演奏することだけで精一杯でしたが、例えば学校巡回コンサートで音楽を純粋に聞いてくれる子どもたちや、音楽家を目指して日夜稽古に励む若者たちと接する機会が増えるにつれ、私にできることはまだたくさんあると気付いたのです。
そんな矢先に飛び込んできた「せんくら2011開催決定」の知らせ。
でも、例年より規模を縮小するとのことでしたので、おそらく私の出番はないだろうと思いつつも、今年も仙台の街が音楽に彩られるのだと想像しただけで嬉しくなりました。
それからまたしばらく経ってから、出演させてもらえることになったという連絡が入り、私は甲子園で優勝した球児のように歓喜しました。
ああ、仙台のみなさまは私の音楽を求めて下さった。
このお招きに、私はどんな演奏でお応えしようか。
次の瞬間からプログラムを練り始め、今だからこそお聞かせしたい音楽を厳選しました。
今も当日が待ち遠しくて仕方ありません。
私だけではなく、すべての出演者とスタッフが、今年のせんくらに特別な思いを込めてのぞみますが、ご来場のみなさまも特別な思いでお聴き下さることでしょう。
そして、その場に居合わせるからこそ感じる魂のふれあいや、奇跡のような心の変化が、きっとすべての演奏会にあふれることでしょう。
さあ、今年の秋は、せんくらで音楽のシャワーを全身に浴びて下さい。
きっと新しいパワーが泉のように湧きあがってくると思いますよ。
神田将(エレクトーン)
皆様はじめまして。
私、高橋正典と申します。
生まれは千葉県市川市ですが、色々な場所を経て2009年12月から宮城県塩釜市に住んでいます。
田舎からオペラ歌手がやってくる、をモットーに活動しております。
昨年に引き続き今年もせんくらに出演させて頂ける事になりました。
宮城県民として心から感謝しており、宮城県にも変わった人がいるというのをアピール出来ればと考えております。
今年のせんくらは第九という大役で出させて頂けるのを心からの喜びと感じております。
ソプラノの菅英三子さんとテノールの水口聡さんと初共演になり、プライベートでもお世話になっております、アルトの高山圭子さんとご一緒させて頂けるのを、首を長くしてまっております。
このコンサートは一回きりですが、一回にすべてを集中して頑張りたいと思います。
指揮者は山下一史マエストロ。
マエストロ山下とは仙台オペラ協会のオペラ「鳴砂」でお世話になりました。
とてもヴァイタリティー溢れた情熱的なマエストロ。
そのエネルギーは一体何処から出て来るのか練習の度に考えていました。
仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演となり、宮城県の音楽家同士で熱い演奏が出来ればと願っております。
これから数日間ブログを書かせて頂きます。
どうぞ宜しくお願い致します!
高橋正典(バリトン)
震災−1 2011.08.19
震災から五ヶ月と一週間がもう過ぎ去ってしまいました。
僕の中で時間は震災後、時間の感覚が少々鈍ってしまっているみたいです。
あっという間の様な、長かった五ヶ月と一週間となりました。
震災が起こった時は、僕は仙台中央音楽センター504号室にいました。
その週末に予定されていたバッハアカデミーのコンサートに向けて、練習を行っていた最中での被災でした。
大きな事故や災害と言えば、9−11のアメリカで起こった時、僕はアメリカにいました。
ロサンゼルスに当時住んでいたものの、実際に体験したとは言いがたいものでした。
今回の震災は、いままで経験した事がない事が自分におき、現実として受け入れるのに時間がかかりました。
3月11日は停電などで仙台から自宅の塩竈まで戻るのには難しいと考え、レストラン・パリンカに一泊させて頂けるようにお願い致しました。
そして3月12日に塩竈に戻りました。
家族は親戚の家に泊まらせて頂いており、実際の家には帰らず、親戚の家に直接いきました。
利府街道を通って塩竈まで戻りましたが、途中火力発電所が燃えているのをみたり、家が崩壊しているのをみたりして、改めて地震の凄さを感じました。
無事に家族と会えましたが、どうやら津波が自宅まできたらしいとの事でした。
危険を承知で自宅まで歩いていく事を決めました。
道中深いヘドロの中、瓦礫が散らばって道がなくなった道を歩きながら家に向かいました。
家の外装は悪い状態とは言えませんでしたが、自宅の一階が天井下10センチまで津波がきて、窓ガラスは割れ、ヘドロとゴミで一階は覆い尽くされていました。
中には50センチを超える大きなボラも家の中にいました。
そんな状況のなかただ僕は愕然とするしかありませんでした。
髙橋正典(バリトン)
あっという間でしたが、私のブログも今日で最後となりました。
7日間震災や生まれ故郷の仙台に対する自分の想いを綴ることができ、感謝しています。
ありがとうございました。
最後にせんくらに対する想いを。
震災から5ヶ月が過ぎ、街は元気を取り戻してきているように感じますが、今なお行方不明者や避難生活を強いられている方がたくさんいます。
被災者の方々が負った悲しみが癒える時間は、想像を超えるものだと思います。
音楽の力でできることは、それほど大きくはないかもしれません。
その中でも、私は微力ながら力になりたい、その一心です。
今回の選曲はとても悩みましたが、鎮魂の祈りと復興への希望をテーマに選びました。
震災に遭われた方々には、この先、人一倍幸せになって頂きたい、その願いを込めて演奏したいと思います。
http://sencla.com/performer/p04.html
それでは、10月1日にお会い出来ることを楽しみにしています!
佐々木梨花(ヴァイオリン)
最後になんと言っても紹介せずにはいられないのが、「仙台の美味しいもの」。
まずは、牛タン。
仙台のみならず、他県の方々にも大人気です。
東京でも食べられるのですが、やっぱり仙台の牛タンは特別美味しいんですよね。あの美味しさの秘密は一体何なのでしょう。
仙台駅構内には「牛タン通り」という、仙台を代表する牛タン屋さんが並んでいる、牛タンの聖地と言っても良いところがあります。
お店によって、味や肉の厚さなどが異なるので、食べ比べてみるのも良いかも…おすすめは牛タン定食。
それから、「笹かまぼこ」。その名の通り、笹の葉の形をしています。
名前の由来は、旧仙台藩・伊達家の家紋に笹が使われていたことから来るそうです。板かまぼこに比べると食感がふわふわで、最近ではチーズやシソなどが入っているものもあって非常に美味しいです。
お酒のお供としても相性が良いんじゃないかと思います。
甘いものの代表は、「ずんだ」。
ずんだとは、枝豆をつぶして黄緑色のつぶあんのような体裁をしたものを言います。枝豆を甘くするというと驚かれると思いますが、良い意味で期待を裏切る美味しさです。
これは東北地方の郷土料理で、東北訛りを象徴するようなネーミングがまた良いですね。
それから、私お気に入りのスイーツがあります。
お茶の井ヶ田・喜久水庵さんという仙台老舗のお茶屋さんから発売されている「喜久福」という大福です。(最初に貼ってある画像)
大福の中身が、抹茶やずんだ等、バラエティに富んでいます。
ある時、東京の友人にお土産として持って行くと、「幸せな味がするね」と言われ、その後もリクエストをよく受けます。
3日間にわたって仙台の魅力について綴ってきましたが、少しでも多くの方に良さを知ってもらえて、足を運んで頂けたらこの上ない幸せです!
佐々木梨花(ヴァイオリン)
こちらでは初めまして。ピアノの國谷尊之です。
今回ヴィオラの佐々木真史さんとの共演で、初めて「せんくら」に出演します。
4月に予定していたリサイタルが中止になってしまった時は、私の他の公演も軒並み中止や延期になってしまい、音楽人としての無力さも感じました。
しかし間もなく東北、仙台からの便りで、大勢の方々が今まで以上に熱烈に音楽に取り組んでいることを知りました。
そこに佐々木真史さんからの「せんくら」のお誘い!大喜びでお引き受けしたのは言うまでもありません。
佐々木真史さんとは20年ほどの付き合いになります。
表現も曲目も好みが合うことがほとんどで、何度も一緒に弾きたくなるヴィオリストです。
彼はヴィオラを愛しているのはもちろんですが、ピアノ曲もとてもお好きです。演奏する曲のピアノパートについて研究し尽くすのはプロとして当たり前なのかもしれませんが、それ以外のピアノ曲についても非常によく知っているのです。
ピアノを弾いている身としては、ちょっと緊張でもあります・・
13日のブログにあったように、今回のプログラムは彼が考えに考え抜いて組んだものなのですが、オリジナルがピアノソロである作品も2曲入っています。
ドビュッシーの「月の光」と、シューマンの「トロイメライ」です。
メインのブラームスはもちろん楽しみですが、これらの作品を共演するのも大いに楽しみです。
当日は皆様とともに、私もこのプログラムをじっくり味わいたいと思います。
國谷尊之(ピアノ)
ピアノの練習を集中して行うためには、息抜きも大切です。
ふだんは練習の合間に散歩することが多いのですが、これだけ暑いとさすがに外へ出る気になれません。
ということで、家の中で息抜きすることに…。
美味しいお茶とお菓子は至福のひとときですね。
数年前、せんくらで仙台に滞在した時にたまたま立ち寄ったティールームで飲んだ紅茶の味が忘れられず、仙台に行くたびに必ずそのお店で紅茶を買うようになりました。
特にミルクティーは絶品です。
プレゼントとしても友人たちから喜ばれています。
このあとは、またハードな練習が待っています。
今月下旬から「せんくら」までの期間に、大阪、長野、富山、台湾での演奏が控えており、リサイタルやコンチェルト、レコーディングなど、内容・曲目も多岐にわたります。
10月に元気で仙台の皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
イリーナ・メジューエ