こんにちは。京都府出身のピアニスト 法貴彩子です。
せんくらでは、10月2日に“仙台国際音楽コンクール出身6人のピアニスト”の中の1人として、ラヴェル作曲ラ・ヴァルスを演奏させて頂きます。
いろいろなひとやものごとの出会いに“運命”というものがあると私は思いますが、演奏者と曲との出会いにも、縁や運命があると思います。
ラ・ヴァルスは私にとって、そんなことを強く感じさせる曲の中のひとつです。
私は高校卒業後すぐにフランスに渡り、8年間の留学生活を終え今年2月に帰国しました。
ラ・ヴァルスは渡仏前から憧れを抱いていた曲で、留学6年目を過ぎたあたりでやっと着手しました。
ご存知のとおり、この曲は、もともとはオーケストラのために書かれた曲であり、ラヴェル自身がピアノ1台用に編曲した楽譜がありますが、楽譜どおり弾くのでは音が省略されすぎていて薄っぺらく聞えるところが多々あるため、演奏者自身がアレンジしながら弾く場合が多いです。
私も、パリやリヨンで複数の先生にレッスンをして頂き、アレンジや、曲全体を支配するテンポ設定など、試行錯誤を繰り返しました。
しかし中には“楽譜どおりに、アレンジ無しでシンプルに弾くのが最近の主流だ”と、強く仰る先生(ちなみにフランス人)もいらっしゃったりしてなかなか方向性が定まらず、あっちへいったりこっちへいったり、
いろんなラ・ヴァルスを弾いてきましたが、ようやく今の形に落ち着きました。
またこれから進化(ときには退化も?)していくかもしれませんが(笑)。
東日本大震災の9ヶ月前に、仙台国際音楽コンクールのため初めて仙台の地を踏んだことも、そこでたくさんの方と充実した貴重な時間を過ごせたことも、運命だったような気がします。
コンクールでは、思うような演奏が出来ずとても悔しい思いをしたはずなのに、仙台の街と、そこで出会った全ての方々がとても親切で素晴らしくて、地元と同じくらい仙台を好きになってしまいました。
今年のせんくらは特に、せんくらに関わる全ての人の特別な思いによって開催され、そして演奏者全員も、それぞれの思いを胸に演奏するのだと思います。
ラ・ヴァルスは、4月に東京文京区で行われたチャリティーコンサートfor仙台でも演奏しましたが、大好きな仙台の地で、長い間温めてきた曲をどうしても弾かせていただきたい気持ちがありました。
ラ・ヴァルスはフランス語でワルツという意味です。
せんくらの会場を1855年ごろのウィーン宮廷の雰囲気で満たし、皆様を非日常の空間にお連れ出来れば幸いです。
法貴彩子(ピアノ)
震災後、新しい音楽の仲間に出会うことができました。
仙台市立八軒中学校吹奏楽・合唱部のみなさんです。
彼らはひとりひとりが吹奏楽も合唱もマーチングも演奏する、スーパー中学生です。
彼らは3月19日に鹿児島と福島でそれぞれ行われる予定だった、吹奏楽と合唱のアンサンブルコンテスト、両方の全国大会に出場するはずでした。
しかし震災により鹿児島の大会は出場を辞退し、福島の大会は中止になりました。
3月19日コンテストに出場できなかった代わりに、避難所となっていた中学校で「音楽の集い」という演奏会を開きました。
そこで演奏した曲のひとつ、「あすという日が」という合唱曲が話題となり、7月6日CDが発売されました。このCDの収益は震災の復興支援のために仙台市に寄付されます。
私は顧問の高田志穂先生に声をかけていただき、5月から合唱の伴奏をしています。
CDのピアノを担当させていただいたり、仙台市合同慰霊祭をはじめ、さまざまなところで演奏しています。
普段ピアノを演奏する時は1人が多いので、大勢で1つの音楽を作り上げること、それが1つにまとまったときのパワーは、私にとって新たな音楽の魅力です。
先日、NHK全国学校音楽コンクールの宮城県大会が行われ、金賞を受賞しました。
八軒中のみなさん、次の東北大会へ向け、一緒に頑張りましょう!!
伊東 陽(ピアノ)
皆様、はじめまして。前回のブログ担当、鈴木美紗さんからバトン受け取りました牛タン大好き男の米津真浩です。
鈴木さん同様僕も仙台国際コンクールを受けた時に仙台の魅力にどっぷりはまった一人でございます!!
仙台の方って皆さんどうしてそんなに優しいの!?
ってくらい皆さん温かで(笑)当時少し病んでいた自分ですが、その人の温かさに本当に救われました。
また、牛タン(絶品です!)の美味しさも加わり心身ともにエネルギーをいただきました(笑)
地震。あの日を、あの瞬間を境に、人生が変わってしまった。
大切なものを失い、描いていた未来が崩れ・・多くの悲しみを抱えたままの方々も大勢いらっしゃると思います。
僕は幼いころ父を病気で亡くしましたが、その時感じた人の命の尊さ、重みは自分の心に深く刻まれています。
あの瞬間に多くの尊い命が失われたと思うと本当に悲痛な思いでいっぱいです。
心よりお見舞い申し上げます。
今回の演奏曲はショパンの幻想曲です。
この曲は葬送的な重々しい楽想ではじまりますが、心の複雑な葛藤や中間部の祈りのようなコラールを挟み希望の光、天へ舞い上がるようにして終わる曲です。
未熟者な自分ですが、仙台の皆様に救っていただいた様に、何か少しでも音楽を通して心のやすらぎや希望を感じていただけたら幸いです。
またこのような機会をいただけました事、尊敬する仙台大好きメンバー5名とともにステージに立てることを本当に光栄に思っております。
ありがとうございます。
わけのわからぬ文章になってしまったかもしれませんが・・
ここらへんで次のメンバー法貴彩子さんにバトンタッチです♪
待ってろよ~仙台!牛タン!楽しみです♪
それでは法貴さんよろしくお願いいたします!!
米津真浩(ピアノ)
早いもので震災から5カ月以上過ぎました。
私の家族は皆無事でしたが、兄の家が仙台港近くの蒲生というところにあり、津波が家の2階まで押し寄せました。
震災の3日後に初めて兄の家に行ったときは、これが現実か夢なのかわからないような光景が目の前にありました。
実は私は3月26日に長町の楽楽楽ホールで帰国リサイタルを開催する予定でした。
あの頃はまだまだ余震も続いていましたし、ホールも大きな被害を受け、中止せざる得なくなりました。
(このリサイタルは延期公演として10月16日(日)青年文化センターコンサートホールで開催します)
いろいろと準備をしてきたのでリサイタルを開催できなかったことはとても残念でしたし、6月までの他の演奏の依頼がすべて白紙になり、うちでレッスンをしている生徒さん達もあの頃はガソリンがなくて来ることもできず、自分が音楽をやっていることに必要性を感じない日々が続きました。
しかし、その後避難所となっていた近所の小学校でピアノを弾いたり、チャリティーコンサートでさまざまなところで演奏をさせていただきました。
少しずつ人々の生活に音楽が戻ってきたと感じられたとき、直接的ではないかもしれないけれども、音楽が復興の手助けのひとつになると思いました。
震災を通して、新しい音楽の力に気づかされました。
伊東 陽(ピアノ)
みなさま、はじめまして!
今回初めてせんくらへ出演させていただく、ピアノの鈴木美紗です。
せんくらでは、過去の仙台国際音楽コンクール出場者のピアニスト仲間達と、6名で2公演に出演させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
せんくらは、私の留学先ベルリンでのクラスメイトの津田裕也さんや、恩師のパスカル・ドゥヴァイヨン先生と村田理夏子先生も出演されており、私にとって馴染みのあるフェスティバルなので、今回このような形で出演させていただけることを大変光栄に思っております。
私は昨年6月、仙台国際音楽コンクールピアノ部門へ参加させていただいたのですが、その際、仙台の方々は本当の家族のように温かく迎え入れてくださり、大変お世話になりました。
実家の東京、留学先のベルリンと続いて、仙台が“第3の故郷”と勝手に銘打ったほど(笑)私はすっかり仙台の虜となり、仙台好きが興じて、去年はコンクール参加者最長滞在記録を打ち出し、七夕の際も再度来仙したほどで…周りが呆れるくらいでした。
その大好きな仙台に、天災は降り掛かりました。
私はちょうど震災の前日に、春休みの一時帰国で東京に戻っており、あの揺れを体験しました。
実家に被害はほとんどありませんでしたが、それでも留学して以来全く経験していなかった地震だった上に、今まで感じたことのない大きな揺れで、もうこれまでか…とも思いました。
東京でもかなり揺れて大混乱になっていたのに、震源が東北地方だと知った時には、頭を殴られたような衝撃が走り、すぐに仙台のみなさんのことが脳裏に浮かびました。
幸い、私の知り合いの方々の無事は確認できましたが、全員の方の安否が分かったのも数日後のことで、ただただ混乱の続く日々でした。
それから、少しずつ交通や流通が回復し、物資も遅延必至ながらも送れるようになった頃、「仙台でお世話になった方々に、私に何か出来ることはありますか」と、親しくさせていただいている仙台のボランティアの方に直接お伺いしました。
自分としては、日用品などの物資を送ることしか頭になかったのですが、その方から意外にも「チャリティーコンサートをしてください」と言われ、驚きと同時に、ピアノを弾いて良いのなら自分にも出来ると、やる気と力がみなぎってきました。
それまで、毎日入って来る予想外の深刻な情報に為す術もなく、ただ途方に暮れていましたが、その瞬間から、ようやく自分の中に内なる目標が見つかり、それからは準備と企画の毎日で、あっという間に2週間が過ぎていきました。
そして、たくさんの方々のご協力およびご尽力のもと、さまざまな偶然と幸運も重なり、晴れて4月7日に、仙台国際音楽コンクール出場者のピアニスト達と共に、満開の桜が咲き乱れる東京で、チャリティーコンサートを開催するに至りました。
おかげさまでコンサートは大盛況のうちに終了し、集まった義援金は仙台のボランティアの方の手により、仙台市災害対策本部へ寄付されました。
(※こちらがチャリティーコンサートを行うにあたって立ち上げた、Charity Concert for Sendai実行委員会のブログです。
http://blog.goo.ne.jp/charitysendai/)
このチャリティーコンサートによって私たちの絆はより固く結ばれ、今回のせんくら出演のお話をいただいた時も、コンサートの出演メンバーを中心とし、仙台とゆかりの深い根津理恵子さんをお迎えして、すぐに再結束されました。
仙台が大好きな6人がここにまた集まり、もう1度仙台で演奏させていただけることを、出演者一同、大変うれしく光栄に思っております。
そして、今年のせんくらのテーマ「音楽とともに前へ、仙台」のように、私たちの演奏によって、小さな一歩でもみなさまと前へ進むことができたら、こんなに喜ばしいことはありません。
今回一緒に出演する方々は皆素晴らしいピアニスト達ばかりで、みなさんと同じ舞台に立てるのが今からとても楽しみです!
では今日から1週間、リレー形式で、出演者のみなさんとブログのバトンをつないでゆきますね。
なお、私は31日にもブログを担当させていただく予定です。
次回は演奏プログラム等について、お話させていただこうと思っています。よろしくお願いいたします。
それでは、米津真浩君にバトンタッチ!します♪
鈴木美紗(ピアノ)
皆さま、はじめまして。伊東陽と申します。
東日本大震災で被災された皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。
また亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。
私は仙台出身ですが、2005年より昨年秋までドイツ・フランクフルトに留学していました。
今回のせんくらは、私にとって出演させていただくのはもちろん、さまざまな公演を聴くのも初めてなので、とても楽しみにしています。
また、今回のせんくらが震災の影響で、一時は開催も危ぶまれたと伺いました。
事務局の方、ボランティアの方、せんくらの開催にご尽力いただいている方々すべてに感謝し、復興への願いを込めながら演奏したいと思っています。
さて、私の公演は9月30日(金)13時より、パフォーマンス広場で行われます。
この公演では新日本フィルハーモニー交響楽団ファゴット奏者の佐久間大作さんとのデュオをお楽しみいただきたいと思います。
佐久間さんとの初めての出会いは、2007年の夏、フランクフルト音楽大学のロビーです。
写真はロビーの一部の様子で、階段はピアノの鍵盤、蓋のふちがベンチになっています。
佐久間さんがアフィニス文化財団海外研修生として1年間フランクフルトへ留学されて以来、兄のように慕わせていただいています。
ドイツ留学時代より「いつか仙台でも演奏できたらいいね」と話しをしていたので、それが実現できうれしく思っています。
なかなかファゴットのソロを聴く機会は少ないと思いますので、ぜひお楽しみに。
伊東陽(ピアノ)
今日で僕の分のブログはおしまいです。
あっという間でしたね。
写真があったほうがもっと皆さんを楽しませることが出来たのでしょうが…
すいません、あまり面白味がなく終わってしまいました。
3月、東日本大震災があり、ずっと歯がゆい思いをしてきました。
僕の故郷であるのに、僕にはなにもできない、力もない、と。
そんななか、せんくらを開催し、自分に声をかけてもらえたことは、本当に幸運でした。
やっと少しでも皆さんの力になることが出来るかもしれない、と思えたからです。
僕の演奏は、他の立派なせんくら出演者の方々とは比べ物にならないものだと思います。
でも、皆さんを元気にするために今持てる力全てをピアノにこめ、音楽を届けます。
あと一ヶ月後に皆様に会えるのを楽しみにしています!
菅原望(ピアノ)
こんにちは。エレクトーンの神田将です。
今日のブログタイトルからは、フィッシュマーケットが思い浮かびますね。
実は10月上旬の私のスケジュールです。
まだせんくら2011の開催が決定していない段階で、私には9月30日に福島県でのコンサートが決まっていました。
その後せんくら開催が確定した時、せんくらに30日だけは出演できないと返答したのですが、それを耳にした福島の方々が「どうか仙台へ。福島は11月に改めて開催します」と日を譲ってくれたのでした。
こうして実現した3日間のせんくら出演。
今年は4公演で26曲を演奏します。ひとつの公演は45分間と短めですが、全力投球で弾きますので、いつもタキシードが絞れるほどびしょびしょになります。でもそれがけっこう快感だったりするんですよ。
昨年はせんくらが終わったら、翌々日が東京でのリサイタルでした。
毎年、リサイタルには初めて披露する曲がずらりと並びますので、とりわけ神経を使います。
今年は少しでも余裕を持てるようにと10日ほど日取りをずらしました。
でも、空いていれば空いていたで、演奏会が入ってきます。
仙台の後は、すぐにシンガポールに行き、3日間のコンサートをします。
せんくら、シンガポール、リサイタルと、プログラムがまったく違うので、トータルで60曲近くを用意しなければなりません。
体力が持つかどうかが勝負の分かれ目ですが、せんくらで気持ちよく演奏して、その勢いのまま、秋のコンサートシーズンを乗り切ろうと思います。
さて、せんくらブログでの私の当番は今日でおしまいですが、個人ブログでは毎日欠かさず情報を発信していますので、どうぞお立ち寄りください。
それではせんくらでお会いしましょう!
神田将オフィシャルブログはこちら→ http://blog.yksonic.com/
本日がせんくらで書かせて頂けるブログの最終日となりました。
色々書かせて頂きましたが、こんな公のブログを書かせて頂き、本当に光栄でした。
正直、公のブログなのにちゃんとした美しい文章でないので少々不安もありましたが...
10月2日来て下さい。
といっても、ありがたい事に売り切れらしいですね。
10月2日に来れなかった方は、是非とも岩沼市の第九、12月18日に来て頂ければと思います。
塩竈に引っ越して1年8ヶ月。いまの自分があるのは、塩竈の方々、仙台の方々のお陰だと信じております。
東京での仕事も増えてきましたが、宮城県民として今後も宮城県に音楽を通してよい影響を与え、社会を活性化できればと思います。
若輩者ですが、どうぞ宜しくお願い致します。
最後になぞなぞです。
スウェーデン出身のソプラノ、ビルギット・ニルソンはその素晴らしい歌唱力のみならず、ユーモアのある歌手としても有名でした。
そんなビルギットにレコーディング中にどっきりを仕掛けたのですが、それはどんなどっきりでしたでしょうか!?
ヒントはワーグナーの神々の黄昏のレコーディンセッションリハーサルで起こりました。
オペラを知っている人はわかるでしょう~。
答えはwww.masanorize.com で。笑)
高橋正典(バリトン)
皆さんにも好きなピアニストや音楽家がいると思います。
僕にももちろん居ます。世のピアニストさんは皆尊敬していますが、好きなピアニストはクリスチャン・ツィメルマンです。
彼のピアノを聞いているととても心が落ち着きますし、自分には想像も創造も出来ない素晴らしい音楽があります。
僕のツィメルマンへのイメージは冷静で情熱的なピアノです。
姿形は冷静に見えますが、音楽にはとても熱い気持ちが溢れているように聴こえてきます。
そんなツィメルマンが大好きなのですが、僕は弾いてるとき冷静でいられません。
どうしても体が動いたり手を振り回したり(笑)してしまいます。
そんなわけで自分には自分に合った、自分にしか出来ないピアノを見つけよう、と日々試行錯誤をしています。
そしてその音楽が一人でも多くの人々の耳に、心に届くようにと願います。
菅原望(ピアノ)