仙台フィル、今年は国際コンクールの開催年ということもあり、ここまで忙しかったです。そのほかにもご存じMusic from PaToNa や、武蔵野音大、常磐木学園のレッスン、室内楽、ソロの仕事、群響、新日フィルなどへ客演首席でお邪魔したりを考えると、丸一日お休みの日はほとんどなかった…
あ、そのせいだ!ゴルフの回数が例年より少ない! 今年に入ってから月2回もできてない!(普通?)
ガーン。。 普段は夏に回数稼ぐのですが、この暑さだと脱水症もオソロシイ。
というわけで、8月のノンビリのこの時期、涼しい室内でじっくりチェロをさらう毎日。いいじゃないですか!この年末にはひさしぶりにソロリサイタルを仙台と東京でやるので、準備はしっかりとしないと。
ゴルフとチェロの共通点はですね、道具にこだわることです。
チェロ本体はとても気に入っているので、今後よほどのことがないと、替えることはないと思いますが、弓は常に3本はケースに入れて、その日の湿度、ホールの響き、作品のスタイルなどによって使い分けています。実は通常チェロのケースには2本しか入らないので、特別にケースを改造しています。
ちなみにゴルフクラブのほうは、エースが決まっておらず、そもそもミスが起きても道具のせいか、僕の技術のせいかわからないので、いろいろとっかえひっかえ泥沼です。
いまは暑くてプレーは控えてますが、せんくらシーズンには音楽の合間に芝刈り(ゴルフ)も頑張りたいものです。
こんにちは 仙台フィルのチェロソロ首席の三宅進です。
連日暑いですね!エアコンが消せません。日本中、消費電力半端ないでしょうね。電気が足らないという話にならないのはここ数年で電力を食わないエアコンが飛躍的に普及したのかな?
日本の技術はすごいですね!
ところで今年も、もうすぐやって参ります、せんくらシーズン!
今年はオーケストラ以外の僕の出演はふたつ。
昨年まで、仙台の皆さんに「どこまでやるんだ?」という不安をあおっていた加藤昌則くんとの音楽サプリは今年はいったんお休みです。。
昨年までの3年でちょっとネタが切れた。。(笑)充電期間ください。
仙台以外ではたまに「音楽サプリ」やっており、また新たなネタを掘り起こしてせんくらに帰ってきたいと思っております。
そのかわり、といいうより新企画で、今年はチェロでポップスとクラシックのボーダーをおしゃれに攻めます!
日本のスタジオミュージシャン業界で知らない人はいない、作曲家&アレンジャー&名ピアニストの美野春樹さんをお迎えしてのセッションです。
美野さんの名前は、初めて聞く方も多いかもしれませんが、彼の作品、ピアノの演奏は日本国民全員がかならず聴いたことがあるといっても過言はありません。皆さんも知らず知らずのうちに彼のピアノをおしゃれな昼下がりのカフェや、落ち着いたバーのカウンターで聴いている可能性大。
トーマス・ハーデントリオというジャズピアノトリオでビクターから数十枚もCDが出ています。ジャズで聴く松任谷由実、竹内まりあ、といったシリーズは本当にセンス抜群。
美野さんはポップス業界の大御所なのですが、クラシックも造詣が深いのです。それもそのはず、出身は東京芸大の作曲科、坂本龍一さんの同級生です。
すごくえらい人なのにまったく偉ぶらない。もう20年以上のお付き合いです。
とてもお茶目で、三谷幸喜さんの「THE 有頂天ホテル」という映画にはなんと本人役で出演してたりします。
プログラムは、ベートーヴェンからバーンスタイン、ボズ・スキャッグス、もしかしたらMISHAまで行こうかというまさにクロスオーバー。
エルパークでのコンサートのあとはそのまま国分町で余韻に浸ってほしい。。そんな大人のためのコンサートです。是非いらしてください、はまりますよ。。
OH, 力こめて書いてしまったぜ。
もうひとつはご存じ仙台の大人気室内楽シリーズMusic From PaToNaからレジデンスカルテットがついにホールを飛び出して、せんくら登場です。
(しかし、自分で大人気とか言うのはけっこうキツいもんですね。。)
曲はパトナホールでも弾いていないあの名曲、ドボルザークの「アメリカ」
カルテットパトナのグルーブ感、歌心が炸裂予定です(笑)
前プロには、ヴォルフの「イタリアン・セレナーデ」これまたご機嫌ヴァージョンというノリノリプログラム。
しっとりおしゃれな「MIYAKE’s Bar」
ノリノリの「Quartet Patona]
両方来ちゃいましょ!
以上現場からチェリストミヤケがお送りしました。
こんにちは!
「せんくら2019」に初出演させていただくバリトン歌手の加耒徹です。
今日は私のことをより身近に感じていただけるように、私の日常について書きたいと思います。
普段音楽を仕事としている私ですが、休みの日や空いている時間も、音楽を聴いたり楽譜を見たり…ジャンルに関わらず音楽に満たされている日々を過ごしています。
休日は、家族でゆっくり映画を観る事が多いですが、その他にも欠かせない趣味があります。
普段から私のブログやツイッターなどを見て下さっている方はすっかりご存知かと思いますが、『サッカー』は私の人生の欠かせない趣味です。趣味というか、もう生きがいです。ストレス発散の域を超えて、結果が出ない時期が続くと逆にストレスにもなってしまう程入れ込んでいます。
1998年のフランスW杯でサッカーにどっぷりとハマり、それ以降地元福岡のJリーグチーム、アビスパ福岡のサポーターとして、今も変わらず応援を続けています。サッカーは、音楽と通ずる事も多く見出せ、特にメンタル面のコントロールなど、学ぶ事も多いです。そして逆に音楽を忘れて熱中も出来る瞬間もあり、健康的に歌を続けるにあたって欠かせないものともなっています。
自分自身もフットサルを定期的に行い、身体を整えることも心がけています。
チームを愛する想いが伝わったのか、昨年はアビスパ福岡に歌手としてイベントに呼んでいただきました!憧れのスタジアムで歌わせていただけた経験は、人生の中で忘れられない瞬間となりました。
今でも、コンサートの無い週末は日本全国、場所に関わらずアビスパの応援に駆けつけている私ですが…
なんとベガルタ仙台のスタジアム「ユアテックスタジアム仙台」にはこれまでスケジュールが合わず、行くことはいまだに叶っていません。
まさか、サッカーの応援より先に、コンサートで仙台に歌いに来れるとは…!
現在、ベガルタ仙台はJ1のチーム。アビスパ福岡はJ2所属なので、なかなか対戦叶いませんが、いつの日か対戦が叶う際にはなんとかスケジュールを合わせて観に行きたいスタジアムです。
そんな日が来て仙台で私を見かけたら、是非声かけて下さいね。
もちろん、今回の「せんくら」期間中も、街中で見かけたら気軽に話しかけて下さい!仙台のおすすめなど、教えてもらえたら嬉しいです。
皆様、こんにちは。
今回初めて「せんくら」に参加させていただくバリトン歌手の加耒徹です。
いつかは出演出来ると良いなと目標にしていた「せんくら」から、こんなにも早くオファーをいただけて光栄です。
3日間にわたる「せんくら」の期間で、なんと4公演!
それも全て別のプログラムをお届けすることになり、ハードスケジュールではありますが、忘れられない3日間となりそうです。
今回の記ブログでは、それぞれのコンサートの聴きどころや、コンサートに向けての意気込みを掲載させていただきます。
私のせんくらデビューとなるコンサートは、テノールの西村悟さんとお届けする45分間の「愛の歌」。
西村さんは藝大の先輩でもあり、大学のオペラで共演させていただいた以来の共演が叶います!トスティの耳馴染みのある歌曲、そして情熱的な想いが声の輝きとなって伝わるカンツォーネの数々をお届け致します。カンツォーネといえばテノールの印象もありますが…バリトンが歌っても魅力を感じていただけるナンバーを選ばせていただきました。2人でのハーモニーも楽しんでいただけると思います。お楽しみに…!
イタリアオペラ尽くしの60分!
それぞれの声部によるオペラアリアの名曲、そして重唱も。イタリアオペラならではの盛り上がりを一気に感じていただけること間違いなし。私は『セヴィリアの理髪師』の「私は町の何でも屋」や、『ドン・パスクアーレ』の「天使のように美しい」など…バリトンの名曲を演奏予定です。普段私はドイツ語やフランス語、ロシア語の作品を歌わせていただく機会が多いのですが、今回はイタリアオンリーのプログラムという事で、新たな自分を発見出来そうな気がします。
コンサートのタイトル通り、どの曲も演奏後には大きな「ブラボー!」をいただけるよう私も美味しものをいっぱい食べてエネルギー蓄えたいと思います!
【67】加耒徹&鈴木優人 バリトン&チェンバロの華麗なる古楽の世界
夢のようなコンサートが今回、この「せんくら」で実現します!
私が所属するバッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者である鈴木優人さんとお届けするバロックコンサート。これまで『マタイ受難曲』や『メサイア』などのコンサートでご一緒する機会は多くありましたが、ソロのコンサートで共演となるのは実は初めての事であります。
チェンバロとバリトンという編成で、バロックオペラの名曲の数々や、バッハのソロカンタータ203番という超難曲カンタータもお届けします。
バロック時代の音楽の特徴でもある、即興のアレンジもお楽しみください!きっと優人さんのチェンバロでのアレンジは聴いているだけでニヤケますよ。
以前チェンバロと共演した演奏動画が以下のYoutubeにアップされていますので、事前にお聴きいただけたら幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=eh8exZ_4JQo
今回のせんくらファイナルとなるこちらのコンサート!
せんくら合唱団と共にお届けする第九は、多くのお客様に見守られて特別な盛り上がりとなりそうですね。
バリトンソロは、第4楽章での第一声として重要なメッセージを伝える事になります。毎回、第4楽章冒頭のオーケストラが聴こえる瞬間、緊張とは違う特別な武者震いのようなものを感じる「第九」。
今回もそのアドレナリンに満ちた歌と共に、大興奮の時間を皆様と共有したいと思っています!
3日間で4つの異なるコンサートに出演するというのは、あまり経験のない事ではありますが…きっと声は、牛タンパワーで絶好調を維持できる気がします!
暑い夏が終わって、涼しさ感じる10月。
仙台に爽やかな音の風が吹きかかる事でしょう!
最後に、うちのビビさん(キジトラ6歳)を紹介して失礼いたします!
皆さまこんにちは!
双子ソプラノデュオ山田姉妹の姉・華、妹・麗です。
ブログ2日目は、私たちの故郷
「神奈川県逗子市」について、お話したいと思います♫
私たちは昨年10月より、《逗子市広報大使》を務めさせていただいております
皆さま、逗子市がどこにあるかご存知ですか?
湘南、海辺、というイメージがあるかと思いますが、分かりやすくいうと
《鎌倉の隣》です。(笑)
逗子は海も山もあって、都内へのアクセスも良く(始発なので座って行けます)、とても住みやすい街なのです
逗子に来たらしてほしいこと、
それは…
「夕日をゆっくり眺めてほしい。」
昔からふと海へ夕日の時間を狙って行っています♫
私達が撮った写真です。
いかがですか?
夏の海の家で賑わう逗子海岸もいいですが、春秋の静かな逗子海岸もオススメです♫
時間を忘れてのんびり浜辺に腰を下ろしてみてください。日頃の疲れが癒されていきますよ
見るだけでなく、漁もできちゃいます。
今年の夏、知り合いの漁師さんの船に乗せていただいた麗が、こんなタコちゃんを捕まえました。
立派なタコちゃん、逗子で捕れちゃいます。
(ちなみに華は、食べる専門でした(笑)。)
とっても美味しくいただきました〜!!
逗子の自然に感謝です♡
海の幸も美味しく、景色も最高の逗子。
歌に「海」という言葉が出てくるときは、やはり逗子海岸を思い浮かべます。
そして何よりも素敵なのが人の温かさ。生まれ育った逗子にはお世話になった方々がたくさんいらっしゃいます。いつも応援してくださる皆さまがいらっしゃること、とても嬉しく心強いです。ずっとずっとこれからも、私たちの大事な大事な故郷です。
逗子の魅力、伝わりましたか?
魅力たっぷりの逗子へ是非是非お越しくださいませ!
皆さまこんにちは!
双子ソプラノデュオ山田姉妹の、姉・華と妹・麗です。
昨年に引き続き、せんくらに出演させていただけること大変嬉しく思っております。
ありがとうございます!
今年は、
★10月5日(土)12:15~13:00 日立システムズホール仙台 パフォーマンス広場
★10月5日(土)17:15~18:15 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
にて、歌わせていただきます♫
私たちのステージではクラシックはもちろんのこと、昭和歌謡や童謡唱歌など、《一度で二度美味しい》そんなコンサートを目指しております♫今年のせんくらでも、ジャンル問わずたっぷりとお送り致します 😀
オペラって難しそう…
敷居が高そう…
歌の内容が分からなそう…
そんな不安は一切必要ありません!
私たちはより身近にクラシックの音楽を聴いていただけるよう、アリアを二重唱にアレンジしたり、歌の内容の説明もしながら進めて参りますので、どうぞお気軽にお越しくださいませ♫
よくいただく質問に、
「どちらがメロディーを歌うのか、いつも決まってるの?」
というものがあります。
今日は双子ならではの決め方の小話を︎ 🙂
私たち山田姉妹は、
「決まっていません。歌ってみて、曲によって決めています。」
いつも決まっていたら楽なのですが(笑)、
双子とはいえ、声色が微妙に異なります。
ですので、
《その曲を歌ってみて、このメロディーや歌詞がより伝わる方を選ぶ》
という作業をします。
実は一番時間がかかるのはここなのです。
そうやって歌ってみて決めたパートでも、何度か歌っていくうちに変更することもしばしば。自分たちで決められないときは周りにいる方々に聴き比べていただくことも♫
《その歌にとって、一番よく伝わる方法》
を選びながら歌うこの作業は、歌手にとってとても大事なことだと思っています♫
私たちのコンサートに来ていただく際には、ぜひ「どちらがメロディーでどちらがハモりなのか」聴いてみてくださいね✨
それでは、コンサートでお会いしましょう!
いつも応援ありがとうございます♫
そろそろ梅雨明けですかねぇ。
久しぶりに梅雨寒といった感じの仙台でしたが、
今年は仙台国際音楽コンクールがあったので
春から仙台フィルは本当に多忙なスケジュールでした。
これだけ公演があると好きな事とはいえ、流石に人間も楽器も疲れてきます。良い演奏するにあたって人間も楽器もメンテナンスが必要です。
という事で、時折楽器をメンテナンスするために東京に来ております。
完全におかしくなる前にマメにチェックしてもらう事で自分の調子を保つことにも繋がると思っています。
いつも自分の楽器の状態を診てくれている、いわば「主治医」がいてくれるおかげで安心して演奏に向き合えるというわけです。
と言うわけで、そんなリペアマンの方と、メンテナンス終了後に心の充実を図るために美味しいものを食べに行きましたとさ。 リペアマンと話し込みすぎてメンテ中の写真を忘れたので、美味しいものの写真を。
やはりよい演奏は満たされた心から…なのかな??
西沢 澄博(オーボエ)
こんにちは。仙台フィルのオーボエ奏者の西沢澄博です。
多くの公演、多くのアーティストが街のいたるところでコンサートをやっていて毎回お祭り感のある3日間の仙台クラシックフェスティバルですが、今回も今からとても楽しみですね。
せんくら関係のコンサートで一番近いところで僕が皆様にお会いできるのは、8/21に宮城野区文化センターで行われる「街なかコンサート」です。
今日はこのコンサートで一緒に演奏してくれる素敵な仲間を紹介致します。
まずは、チェロの山本純さん。 仙台フィルで長くチェロ奏者として活躍しておりまして、温和な人柄と柔らかいお話が魅力的な純さんですが、幅広いジャンルの音楽に造詣が深く、さらには編曲までされるというマルチな方です。
もう一人は石巻にお住いのピアニスト、藤井朋美さん。山形大学を卒業された後ドイツで更に勉強された方です。僕はいつもオーボエの伴奏をお願いしておりますが、音色が素敵で、ソロも素晴らしい演奏をされる方です。
実はこの3人で演奏する機会が最近多いのですが、今年の5月にも気仙沼へ演奏に行ってきました。
オーボエとピアノ、チェロとピアノ、それぞれの組み合わせでも色々な曲があるのですが、この3つの楽器が組み合わさるとちょっとしたミニオーケストラみたいな感じになるんです。
街なかコンサートではモーツァルトの作品にスポットを当てて、この3人の楽器の組み合わせで楽しんでいただこうと思っております。
もちろん3人とも沢山?トークもする予定です^_^
※2枚目 鹿折・すがとよ酒店の店主菅原さんと。
写真提供:(公財)音楽の力による復興センター・東北
撮影:菊田雅晴
西沢 澄博(オーボエ)
第2回の今日は、今回「せんくら・うた劇場」で取りあげる作品「手ぶくろを買いに」についてお話しましょう。原作者は新美南吉です。
新美南吉は、1913(大正)年、愛知県に生まれました。4歳の年に実の母が亡くなるなど、幸せな幼年・少年時代ではありませんでした。旧制中学校在学中の15歳の頃から文章や詩を雑誌に投稿し始めます。児童文芸雑誌「赤い鳥」(発行人は鈴木三重吉。1918から1936まで続き、昨年発刊100年を迎えました)に大いに刺激を受け、特に北原白秋に私淑。南吉18歳の1931(昭和6)年には、名作「権狐(ごんぎつね)」が「赤い鳥」に掲載され、2年後の1933(昭和8)年には、20歳で「手ぶくろを買いに」を書き上げました。その後も、たくさんの童話や詩を書き続けましたが、病(結核)に倒れ、1943(昭和18)年、奇しくも実母と同じ29歳で世を去りました。
寒い冬。狐の母子が住んでいる森では、一面に覆った雪をお陽さまがキラキラと照らしています。「冷たくてちんちんする」ほど凍えた坊やのお手々に、暖かい手袋を買ってやりたいと、母狐は思うのですが…。
実生活では、幼くして母と別れなければならなかった南吉です。この温かいお話を、どんな思いを持ちながら書いたのでしょう。子狐は優しいお母さんに甘えます。でも、お母さんに頼ることはできないのです。そして、町へ行って戻ってきた子狐は、大きく成長したように見えます。逆に、母狐の「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」という迷いに満ちたつぶやきは、どこか母と子の距離を感じさせるようにも思えます。この童話には、もしかしたら南吉の母に対する感覚が、そこはかとなく映し込まれているのかも知れません。
南吉は、昭和12年の日記に次のように記しています。「子供は話をきくときそれがありもしない作り話とは思わない。人物も出来事もすべて実在のものと思ってきく。(中略)全器官――精神のみならず、すべての感官で持って話を味わう。」
子供の「すべての感官」に訴えかけるよう、執筆中の作品と真摯に向き合っている南吉の姿が目に浮かぶような文章です。
新美南吉と仙台の音楽家たち、それに子どもたちが描いたアートのコラボレーション、2019年せんくら、公演番号72番 せんくら・うた劇場 「手ぶくろを買いに」は、10月6日(日)13時45分~14時30分 エルパーク仙台/ギャラリーホールで開催です。ぜひお越しください。
新美南吉
「せんくら・うた劇場」リハーサルのひとこま
せんくら・うた劇場(吉川 和夫)
こんにちは!作曲の吉川和夫です。
「せんくら・うた劇場」は、毎年大変ご好評をいただいて、嬉しいことに今年もまた開催できることになりました!本当にありがとうございます。
「せんくら・うた劇場」は、音楽と物語をお聴きいただく45分間です。
小さなお子さんに物語の「読み聞かせ」ということをしますよね。「せんくら・うた劇場」は、お子さんだけでなく大人にも向けて、音楽と物語を「歌い聴かせる作品」と考えていただけるとわかりやすいかなと思います。ひとりの歌い手がヒーローやヒロインを歌い演じ、合唱が群衆となってドラマを盛り立てるオペラなどとは違って、「せんくら・うた劇場」では、歌い手が登場人物の役を担うとともに、劇の背景や心情を歌い、語ります。演技や、舞台装置や照明、衣装といった要素は省かれて、あくまでも音楽とことばの力で、物語をお客さまに伝えていきます。
ラジオドラマをお聴きになったこと、ありますか。
「いや、聴くつもりはなかったんだけど、ラジオをつけたらたまたまラジオドラマをやっていてね、つい引き込まれて聴いちゃったよ…」という方、結構いらっしゃいますよね。映画やテレビドラマと違って、何も見えない。目の前には何もないのです。でも見える!何もないのに聴いていると見えてくる!ラジオドラマや朗読CDなどの魅力は、まさに「ないのに見える」楽しさです。「せんくら・うた劇場」は、ライブで演奏される音楽ドラマ。きっとお客様の目の前に、冬の森を覆うキラキラ光る雪と、まぶしそうに見上げている可愛らしい子狐が現れることでしょう!
合唱劇「手ぶくろを買いに」は、うつのみやレディーシンガーズ晶の委嘱作品として2017年に作曲。栃木市で初演されました。今回は、少し編集した「せんくら・うた劇場」版。出演は中村優子さん(ソプラノ)、髙山圭子さん(アルト)、原田博之さん(テノール)、そしてバリトンは草刈伸明さん、ピアノは、いつも鉄壁なサポートで私たちを支えてくれる倉戸テルさんです。
さらに今年も、アトリエ・コパンの美術作品とコラボします。
アトリエ・コパンは、新妻健悦さん、新妻悦子さんご夫妻が主宰していらっしゃる民間の造形教育研究所。たくさんの子どもたちが、新妻先生から出されるテーマに添って、上手とか下手というモノサシとは関係のない、抽象的で自由な発想の溢れた美術作品を創っています。新妻先生が、膨大な記録画像から内容に合いそうなものを選んでくださり、スライドで投影します。ご来場の皆様には、お話、音楽とともに、アトリエ・コパンの美術作品を楽しんでいただけたらと思います。
2018年の「せんくら・うた劇場」
せんくら・うた劇場(吉川 和夫)