唐突ですが、
私は歌の神様にいつも見守られています。
それは、
往年のテノール、ルチアーノ・パヴァロッティ氏。
私の自宅の練習室の特等席にはいつも彼がいます。
2007年パヴァロッティ氏の突然の訃報。そして葬儀の報道。
いてもたってもいられなかった私は、当時住んでいたボローニャから、
会場であるモデナの大聖堂へ向かいました。
そこは人々で埋め尽くされていました。
当然、葬儀の様子は大勢の一般市民に混じり教会の外のモニター越しで。
しかし私はそれだけでも、少しだけパヴァロッティを肌で感じれている気がしていました。
式も終わり町のベンチに座っていると、一人の老人が話かけてきました。
「君は何をしにイタリアに居るの?」
「僕はテノールで、ボローニャで勉強している。」
「そうか。。。ならばこれは君が持っていた方が良いね。」
と、差し出されたのがこのカード。
これは葬儀の際の式事カード、式に参列した方だけに配られるものでした。
しかも世界でたった1500部!!
はじめはなんだかよく分からなかったが、手にした瞬間の高揚感は今でも覚えています。
そう!スーパースターが私の中に入った瞬間でした。
今ではあの老人が、私と神様を結び付けてくれたのかもしれない、そう確信しています!
声楽を学んでいると、悩んだり立ち止まったりすることが沢山あります。
その時にこのカードを手に取ると、ふっと楽になる。
それに持っているだけで歌が少しだけうまくなる気がします(笑)。
きっと神様が、「頑張れ!ずっと見ているぞ!!」とささやいているのでしょうね。
そして今ではこのカードが我が家の家宝です。
これを持っている限り、私はきっと歌う事が好きでいるに違いない。
西村 悟(テノール)