
こんにちは!神田将です。
今日は、エレクトーンのヒミツについて触れたいと思います。
私のレパートリーの中には、大編成オーケストラの作品が数多くあります。たとえば、チャイコフスキーのシンフォニーや、ラヴェルのバレエ音楽などです。
これらの作品を実際にひとりで演奏しているところを目の前でご覧頂いても、「どこまでを実際に弾いているのですか」と尋ねられることが少なくありません。「もちろんすべてです」と言いたいところですが、それではウソになってしまいます。
ほとんどの場合は100パーセント実奏(こんな表現ってあるんかいな)していますが、打楽器が複雑な曲では、その一部をあらかじめプログラムさせることがあります。
その他にも、エレクトーンにはいろいろな演奏補助機能が付いていて、単純な演奏を華やかに彩ることが可能ですが、私がそれらを使うことはありません。
ピアニストが幅わずか1センチに満たないタッチに全神経を注ぐように、私も鍵盤で出来るコントロールに集中することにしています。
エレクトーンの鍵盤って結構賢くて、打鍵のスピードや圧力を変化させることで、かなり深い表現をすることが出来ます。
もうひとつ、エレクトーンは演奏中に次々と音色が変わるというのも特徴です。たとえば、冒頭はオーボエのソロとビオラのピチカート、4小節目からコントラバスとホルンが加わり、2拍目からクラリネットのオブリガードが・・・と言った時間軸で刻々と変化する楽器の編成を、まずは完全に把握しなければなりません。
その楽器の組み合わせとバランスを、状態が変化する分だけ楽器に記憶させ、プログラムされた状態を次々に呼び出しながら演奏をします。
呼び出すという作業は、指揮者が各セクションの入りの指示を出すことに似ています。
このように、説明してもまったくチンプンカンプンな楽器ですが、もし機会があれば、ぜひ実際にエレクトーンに触ってみて下さいね。
表情を持って触れば、表情のある音を出してくれる楽器です。
私にとっては大切なパートナーでもあります。
神田将(エレクトーン)