「オーケストラへの憧れ」

2009.06.16| 神田将

こんにちは!神田将です。
今日は「なんで一人でオーケストラなの?」について書かせて下さい。

時折「オーケストラを模倣しているのか」と尋ねられることがあります。
とんでもない!オーケストラはオーケストラであり、多くの人のパワーが集まって奏でられるからこそ醸し出される味わいがあると思います。

更には「オーケストラへの挑戦か」と言われることも・・・
考えようによっては、そういった見方をして頂けるのは光栄なのかもしれませんが、むしろ私には「オーケストラへの憧憬」の方が強いです。
ひとりひとりが主に単音を奏で、それら別々だったものが互いに響き合うって本当にステキだと思います。

ただ、これは自分自身の性格なのでしょうが、
全体を取り仕切り、隅々まで自分の神経が行き届いた作業が好きなんです。
オーケストラでそれをするには指揮者になる以外にありませんが、それでは自分は(基本的に)音が出せない!
でも、やっぱり弾きたい。

この矛盾を解決してくれたのはエレクトーンでした。
楽器に向かう時の気分はさながら指揮者なんです。
(ゴメンナサイ、素晴らしい先生方がお出になるせんくらを前に生意気を言って・・・先に謝っておきます!)
自分で指揮をしながら同時に演奏もできるというのが大きな魅力で、「何段にも及ぶ複雑なスコアを10指に集約する」というのではなく、「自分ひとりの意識をどうやってスコア全段に広げるか」という思いでアプローチしています。
そうなると、いつも頭がパニックに近い状態に。
でも、それが快感なんです・・・

神田将(エレクトーン)

「エレクトーンのヒミツ」

2009.06.15| 神田将

こんにちは!神田将です。
今日は、エレクトーンのヒミツについて触れたいと思います。

私のレパートリーの中には、大編成オーケストラの作品が数多くあります。たとえば、チャイコフスキーのシンフォニーや、ラヴェルのバレエ音楽などです。
これらの作品を実際にひとりで演奏しているところを目の前でご覧頂いても、「どこまでを実際に弾いているのですか」と尋ねられることが少なくありません。「もちろんすべてです」と言いたいところですが、それではウソになってしまいます。

ほとんどの場合は100パーセント実奏(こんな表現ってあるんかいな)していますが、打楽器が複雑な曲では、その一部をあらかじめプログラムさせることがあります。
その他にも、エレクトーンにはいろいろな演奏補助機能が付いていて、単純な演奏を華やかに彩ることが可能ですが、私がそれらを使うことはありません。

ピアニストが幅わずか1センチに満たないタッチに全神経を注ぐように、私も鍵盤で出来るコントロールに集中することにしています。
エレクトーンの鍵盤って結構賢くて、打鍵のスピードや圧力を変化させることで、かなり深い表現をすることが出来ます。

もうひとつ、エレクトーンは演奏中に次々と音色が変わるというのも特徴です。たとえば、冒頭はオーボエのソロとビオラのピチカート、4小節目からコントラバスとホルンが加わり、2拍目からクラリネットのオブリガードが・・・と言った時間軸で刻々と変化する楽器の編成を、まずは完全に把握しなければなりません。
その楽器の組み合わせとバランスを、状態が変化する分だけ楽器に記憶させ、プログラムされた状態を次々に呼び出しながら演奏をします。
呼び出すという作業は、指揮者が各セクションの入りの指示を出すことに似ています。

このように、説明してもまったくチンプンカンプンな楽器ですが、もし機会があれば、ぜひ実際にエレクトーンに触ってみて下さいね。
表情を持って触れば、表情のある音を出してくれる楽器です。
私にとっては大切なパートナーでもあります。

神田将(エレクトーン)

「some of me」

2009.06.13| 神田将

初めまして!神田将(かんだゆき)です。
せんくら2009出演者ブログの先頭打者を務めさせて頂くことになりました。どうぞよろしくお願いします。

せんくらに参加させて頂くのも今回が初めてなのですが、実は、音楽祭そのものが初めての経験となります。
これまで憧れていた素晴らしい演奏家も続々と登場しますし、スタッフの皆さん、ボランティアの皆さん、そしてすべてのお客様と一緒になってこの音楽祭を満喫することを、今からとてもワクワクしながら待ち望んでいます。音楽祭デビューのステージとして、話題沸騰中のせんくらに出させて頂けるなんて、本当にラッキーでありがたいことです。

すでにお祭り気分になっている私自身について、少しだけ自己紹介させて下さい。
今回私が演奏する楽器は電子オルガンです。
エレクトーンと言った方が馴染みがあるかもしれません。
エレクトーンと言うと、ポピュラーやジャズのイメージが強いようですが、私が普段コンサートで演奏するのは90パーセント以上がクラシックです。
原曲のスコアに忠実に「ひとりオーケストラ」をやることもあれば、ピアノ曲を管弦楽風に編曲したり、時にはバロックの「バ」を取ってロックにしちゃうこともありますが、常に大切にしているのはクラシックのスピリッツです。

「クラシックの音楽祭でエレクトーン?」って、なんとなく違和感がある方も少なくないと思いますが、せんくらでは、そんな方にこそ聞いて欲しいプログラムをご用意しました。
こうした新しいものを温かく迎え入れて下さることも、せんくらの素晴らしいところですね。

明日は、エレクトーンのヒミツをお伝えしたいと思います。

神田将(エレクトーン)

せんくら出演★

2009.04.28| 佐藤淳一

第1回目のせんくらで歌わせていただいてから早3年が経った。
あの時は妻と一緒のコンサートだったが、彼女はちょっとした手術を控えての本番となった。音楽を一緒に出来るありがたさを噛み締めながらの舞台で、お互いに歌いきったことへの喜びと、このようなチャンスを与えていただけた事への感謝でコンサートを終えた。

昨年10月末に、今度は私が入院することになった。暫く咳が止まらず、薬を飲んでも全く改善されず循環器系の検査を受けたところ、不整脈その他で即入院となった。薬の副作用に対応するための入院だと説明を受けた。日替わりで夜も仕事をしていて、丸々一日休みの日が、その年はそれまでに数日あったかどうかで過ごしてきた疲れが出たのかと思う。

医者からは2週間の入院と言われたが、どうしても指揮をしなければならないコンサートを一週間後に控えており、無理を言って一週間後には外出させてもらえるようお願いをした。この病院での8日間はこの上ない休息と勉強の時間となった。中学生以降は入院したことが無く、点滴を下げながらトイレに行ったり四人部屋で過ごすことも全て珍しく、不謹慎かもしれないがいろいろなことに興味津々だった。
点滴と利尿剤、そしてカロリー計算をされた食事とで、あっという間に体重が減った。ダイエットには利尿剤が一番かも…。入院3日目辺りで、食堂のイスに座るとおしりが痛くなった。初めは理由が分からなかった。わけはどうやら筋肉が落ちたことによっておしりの骨が当たっていたらしい。生まれて初めての感触だった。人間の筋力はこうも簡単に落ちてしまうのだと大きな発見だった。
退院前日にはカテーテル検査も体験。体内それも血管の中を異物が走る感覚はとてもおぞましかった。入るときよりも抜くとき(おそらく血流に逆行するときだと思う)のあの言葉では言い表せない感覚は今でも左腕の中に残っている。
主治医の先生のお蔭で予定通り一週間で退院させていただき、何とか無事に、そのどうしても指揮をしなければならないコンサートも終了できた。改めて健康の大切さを実感した時となった。

今回また演奏のチャンスをいただいた。歌う場を与えていただいた事への感謝と、再び健康を与えられたことへの感謝をもって演奏したい。
佐藤淳一(テノール)

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