藤原真理(3)

2007.07.24| 藤原真理

演奏をする場所も楽器の一部です。音楽専用に建てられたもの、そうでないもの、あるいは又、部屋の1室であったり、ロビーであったりと、近頃は大小にかかわらず、さまざまな場所で生演奏が行われるようになってきているようです。嬉しいことですね。

音響、音の響き具合はどうか。良い面、悪い面と、やはりさまざまな有り様です。我儘勝手、独断で言わせていただくと、ほとんどすべての好条件がそろっているというのは稀です。何の作品が、どのような編成で演奏されるかによって、聞こえ方が違ってもくるのです。ピアノのソロなら良いけれど、弦楽器は少し残響が足りなめで乾いた演奏に聞こえるとか。弦楽合奏はよいけれど、オーケストラの規模になると音がワンワンするとか。残響があるのはよいが、客席の場所によって不明瞭になりすぎるとか。

私はチェロなので、残響が少なくて音が予想している時間残らない場所は苦手といえます。響かないと分かっている場所に出かける時は腹をくくっていきますし、自主公演はそのようなところでは行いません。理由は明白。音の持続に力と神経を大半使ってしまうようでは、表現の工夫どころではなくなるからです。といって聞こえるからよい、響けばよいというわけでもない。お風呂場的な響き方は困りますね。何をどう調節しても明瞭に音楽の動きが伝わらないためです。また、さらに、演奏者から客席に音が通っていって、その返りが舞台にいる私たちにある程度返ってこないと、手ごたえを実感しにくいために余計な消耗をします。客席では十分、音量も音質も楽しめるといわれても、奏者のほうは頭を切り替えないといけません。のれんに腕押しという感じになるのです。

初めて伺う場所では期待と不安いりまじり、「さあて、どうかな」と腕まくりしながらリハーサルにのぞみます。

 

花房晴美(3)

2007.07.24| 花房晴美

この間の土曜日はオール・シューベルトの演奏会なので緊張しました。子供の時以来、あまり弾いてこなかった作曲家ですし、やっぱり私の新しい分野かなぁ・・・?!

学生時代のお友達はびっくりしています。それに、私は一人の作曲家だけのコンサートはあまりやらない(当然、ある作曲家の全作品演奏なんて考えられない・・・)のでちょっぴり不安でした。コンサートの後は主人もチューリッヒに行ってしまったし、(家族はこの人しかいない!!)シャンパンでも開けてリラックスして映画でも見よう~。

藤原真理(2)

2007.07.23| 藤原真理

最初の一音でほぼ全てが決まってしまうといっても過言ではない演奏ですが、では、そんなに神経を集中して演奏する曲、その選びかたはどうなのか。

まず第一に音楽的に共感をもてない作品はだめなようです。パラパラと楽譜を見て、よさそうかなと思ったものを入手する。音符をひとつづつ読み、指使いを探していく「譜読み」の段階に進みます。演奏効果がいまいちかなと思われる作品があったとして、音符が自分の指や腕、頭に入ってきて興味が増していくことはありますが、必ずそうなるともいえません。

正直に告白すると、私の運動能力があきらかに適していなくて無理という作品も無数にあるでしょう。最低一年間、他の仕事を入れないで時間を作って練習したいなと思う作品も多々ある。一応演奏できるようになるかならないかは勿論、作品の長さにもよりけりです。オーケストラとの協奏曲で初めてのものだと、最低一年前から開始が必要です。数分の小品で曲想が初めから的確に捉えられていれば数日でも可能です。短い曲でも技巧的に手がこんでいて、それが音楽的に自然に聞こえなければ演奏する意味がないものだとやはり半年、一年の時間が必要なのです。そしてそのあとは、実際の演奏回数がものを言います。練習して、演奏会にかけて、寝かせて、取り出しての繰り返しで音楽が熟してきます。まれに、自分で改善できたと思っていて、実際は悪くなっている場合も起こるので、決して油断はできません。といって弱気でいつづけるのも良い結果をうみません。むずかしいですね。でも、簡単にいかないから逆に、常に熱意を持って取り組めるのかもしれません。

ひと昔前の言葉で言えば、人生の折り返し地点を過ぎた私です。改善された面があるとはいえ学習するが遅いので、長生きしなくてはとても帳尻が合いません。

 

花房晴美(2)

2007.07.23| 花房晴美

そうそう、昨日の続きですが、仙台って縁が多くて、坂道も多いところでしたよね・・・。先日は地震の大きいのが新潟にあったし、あの日は東京の私のピアノの部屋も天井が6m近くあって、上の方がユラ~リユラ~リとしたので気味が悪かったのです。人間が自然破壊していることも関係ありそうですよね・・・。

数年前、石田さんとお知り合いになったツェルマットでも37℃で、列車に冷房もなく、氷河は溶け出して・・・という時でしたものネ。

昨年の夏はドバイに行きましたが、お隣の国、アブダビでは、王様がドバイの何倍もお金持ちで緑をたくさん植えて、石油より高いお水をジャンジャン植物にあげて、街はシンガポールのように美しく、それによって気温も2、3度下がったとか・・・。東京都心とは反対に!お金の使い道にはいろいろあるものだ、と感心。

藤原真理(1)

2007.07.22| 藤原真理

(C)Atsuya Iwashita

みなさんはどのような時に音がほしい、音楽が聞きたいと思われるのでしょうか。人はまったくの無音の世界では長く耐えられない、大げさに言えば生きていけないといわれていますが、このような極限状況はなかなか想像もつきにくい生活を普段の私たちはしています。

アスファルトやコンクリート・ジャングルに取り囲まれた都会を離れ、自然の営みの音が聞こえる場所、さらにもっと遠い地の果てにいったとしても自然の音はあるはずです。たとえば、あたり一面氷の世界で張り詰めた大気はどうなのか。砂漠で照りつける太陽は音にはならないのか。残念ながら私自身は砂漠でも氷の世界でも極限に近い体験はまだありません。

20年以上前になりますが、シャホフスカヤというロシアのチェリストに何回かレッスンを受けました。その折りの彼女の言葉で、思い出すたびに強烈な一撃を感じるものがあります。「何も音が聞こえない静寂を知らずして、どうして音を作れるの?生み出せるの?」

物心つくかつかないかの頃の日々は別として、私自身はチェロから安易に音を出したことはほぼありません。無心に弾きだしてそのまま音楽がうまく流れていく、音符が目に入れば自然に指が動くというタイプではないからだとも思いますが、彼女の言葉は痛烈なものでした。

今でもその意味するところ全てを理解して把握したわけではありませんが、年々重みを感じます。聞いてくださる方々を前にして楽器を構えて最初の音を出す・・実際には私の中で音楽はもう始まっているのですがそれはさておき・・最初の一音でおよそのことがわかり、続く部分を左右もする、それが音楽の音です。

演奏家という職業を選んだ私ですが、自分自身がどんなときに音楽を聞きたいかというと、あまり頻繁に聞きたいと思いません。普段練習がすむと音はもうたくさんです。休み中でも身体から「音楽っ気」がとことん抜けない限り、楽しみのために聞こうという気にはならない。でも、こういう場合もあります。自分でしなくてはならないけれど煩雑で疲れさせられる本業に関する雑用で{こういうのは雑用とはいわないのかもしれませんが}ストレスがたまったりすると、気分を変えるために気にいっている奏者のCDをかけたりします。どういう曲を聞くかは、さほど問題ではなく、音が発せられた瞬間から表現の強さと魅力がある演奏者のものを欲してしまいます。そんな音を耳にするとたちまち癒され満たされて、また頑張るぞという気になる。不思議ですね。

花房晴美(1)

2007.07.22| 花房晴美

ハ~イ!皆さま、こんにちは!花房晴美です。今度『せんくら』に参加させていただくことになり、何となくウキウキしています・・・理由は??・・・ヒョッとすると朝、一、でリストのソナタをブレックファストのように(シャンパン・ブランチか?)弾くとか、45分の制限時間絶対厳守とか、結構フツーのコンサートと違う感じで好奇心の多い私にはそのチャレンジがおもしろそう・・・なんて思っています。仙台と言えば、小学生の頃から桐朋学園の音楽教室の出張コンサートみたいなもので行っていたのです。最近、他にもご縁が出来ました。実は数年前の夏にスイスを主人と旅行した時に仙台のお友達ができたので、また会いたいなぁ・・・石田さん、お会いできるのを楽しみにしています!!

長谷川陽子(7)

2007.07.21| 長谷川陽子

今年のせんくらでの私のパートナーのご紹介です^^ 今年はピアニストの仲道祐子さん、そしてギターの福田進一さん。

仲道祐子さんは、実は私の姉の同級生で桐朋時代はよく家に遊びにいらしていました。今ではすっかりプライベートでも仲良くしていただいて、いまや
私の第二の姉?!

祐子さんとは、「愛の挨拶」や「アヴェ・マリア」などのしっとりと美しい小品から王道ブラームスのチェロ・ソナタ第二番の一楽章まで、チェロの音色の優しさや深さ、哀愁そして情熱まで色々なチェロの魅力いっぱいのプログラム。また中でもテデスコ作曲の『フィガロ』は隠れた名曲で、大のオススメ!この機会に是非^^

そして尊敬する大先輩の福田進一さん。あの博識さとチャレンジ精神には、いつも頭が下がる思いです^^

福田さんとの共演はいつも寄り添う曲はそっと寄り添い、また煽れば煽り返す、これぞデュオの醍醐味をお楽しみ頂けると思います。

そんな福田さんとは2種類のプログラム。一つはボサノヴァやサンバをテーマにしたブラジリアン・プログラム。お洒落で楽しく、また熱いコンサートになることでしょう。

福田さんとは、もう一つ。こちらは名曲アルペジオーネ・ソナタを中心にファリャやラヴェルなどクラシカルなプログラム。どれもオススメですが、特にファリャは是非是非お聞きください、福田さんとならエキサイティングなファリャになりそうな予感がしています。

『これぞチェロ!』とオススメ出来るプログラム3種類になりました、
どうぞお楽しみに^^

及川浩治(7)

2007.07.21| 及川浩治

今日で僕の担当は終わります。
当日会場でお待ちしております。
さらば。

長谷川陽子(6)

2007.07.20| 長谷川陽子

せんくらでも共演の福田進一さんと

チェロを抱えて旅すると、よく「それは何ですか?」と尋ねられます。
特に海外に行くと外国人は積極的なのでしょうか、そこからどんどん話が展開してストリートパフォーマンスをやりそうになって、同行のスタッフに「こんな
所で弾くなんてやめて下さい!!」と計画阻止され、あえなく断念したり・・・毎回ちょっとした面白い出来事があります。

飛行機ではチェロ用にもう一席買います。でも、出てくる機内食は一人分です。

一度「チェロ君の食事は?」と興味津々で聞いてみたら、キャビンアテンダントさんはにっこり微笑み、「かしこまりました。ですがMrチェロのお口はどこに
あるのでしょう?」

また以前フランスで乗り継ぎ待機中に、風邪が悪化して空港内の医務室にかけこんだのですが、そこのお医者さんは昔はチェロを習っていたそう。私の
診察もそこそこに「是非チェロを見せてほしい!」と、診察ベッドに楽器ケースを乗せしばし音楽談義。世の中いろんなチェリストがいるとはいえ、診察ベッドに病人さしおいてチェロが乗った例はそう多くはないでしょう?!
おかげで私の診療代はタダでした^^
さて帰ろうとすると、そのお医者さん、「久しぶりにチェロを弾きたくなってきた」。それを聞いて何だかとても嬉しくなりました。
チェロを通じて色々な人と小さな心の交流が出来るのは、なんとも幸せな瞬間です。

及川浩治(6)

2007.07.20| 及川浩治

チャイコフスキーの聴き所
この曲は出だしが有名。
チャイコフスキーの音楽の持つ豪華絢爛さと美しいメロディに溢れた名人芸的難曲で数あるピアノ協奏曲の中でも、最も人気のある芸術的な完成度の高い名曲です。
最初から最後まで聴き所満載です。
お楽しみに。

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