今日もまた楽器の写真から。
音程を取るために左指を押さえる指板とネックです。ネックが凹んでいるのが見えます。
これは左親指に力が入っている証拠?チェロを弾くうえで一番やってはいけない悪い癖ですが…知らないうちにどれだけ力が入っていることか!汗は噴き出すし、その汗が楽器に垂れたらそれもまた楽器に悪い。3日間の写真で、弦楽器の美しさよりも遠目では分からない「使う道具」としての実際をご覧いただきました。道具とはいっても毎日何時間も音楽を共にする大切な相棒。このチェロを手に今年もせんくらへ出かけます。会場で皆様に音を聴いていただけることを楽しみにしております。
原田哲男(チェロ)
写真は糸巻き(ペグ)。
棒をぶっきらぼうに突っ込んであるだけのような感じです。
普通はこのようにはみ出さず、きれいに切り揃えられているかと思いますが、楽器を購入した時のこの状態を15 年ほったらかしです。あたかも楽器を大切にしていないかのような印象を持たれてしまうかもしれませんが…
ある時楽器職人さんにペグの修理を相談したところ、「ペグそのものの材質が良いし、きちっと止まるのであれば手を入れることもない、却って楽器の音が変わりますよ」と言われ、その言葉を真に受けて今に至っています。
ペグに限らず、テールピースやエンドピンなど付け替えが容易に出来るものでも、交換すると違う楽器かのように音が変わると言います。いろいろと試してみたい気もしますが、一方で15年間慣れてきた音に安心感や執着心もあります。今あるままの状態を変えることなく時間をかけて音を練っていくのもその楽器を演奏する本人だけが味わえる愉しみかもしれません。
原田哲男(チェロ)
せんくらブログをご覧の皆さまこんにちは。 チェロの原田哲男です。今日から3日間担当させていただきます。
今年のせんくらでは、フェスティバルソロイスツ(25)、ヴァイオリンの西江辰郎さんとのデュオ(67)、ピアノの鷲宮美幸さんとのデュオ(69)の3公演に出演いたします。
なんと!ソロイスツと西江さんとのデュオのチケットは早々と完売だそうです。
唯一、鷲宮さんとのデュオの公演が若干?お席に余裕があるようですので、9月30日(日)、その時間帯(11:30~12:15)の他のコンサートが売り切れで聴きに行くコンサートがない(もうないのですが)という方々は、よろしければチェロとピアノの音楽を聴きにエル・パーク仙台ギャラリーホールへお出掛けください。
さて、このせんくらブログ、毎年何を書こうかいろいろ悩んで、その末せんくらとは関係もない福岡の街のことなど書いてしまったりしていましたが、今年は、せんくらで弾く私の楽器についてお話ししたいと思います。
1805年にナポリで作られたこの楽器を私は2003年に手に入れました。以前はフランスにあったそうで、日本で使い始めたのは私が初めてです。
写真の通り、裏板の左側がぱっくりと割れています。30センチくらいでしょうか 。今でこそハードケースに入れて安全に楽器を運ぶよう気を付けていますが、200年もの間にはおそらく布でくるんだだけで他の荷物と同じような扱いを受けたり、人が誤って踏んでしまったりで、ある時バキバキに割れてしまったのでしょう。表板にも何本か縦に割れた跡があります。ただその後丁寧に修復されたおかげで、このような大きな傷を負った楽器とは全く分からないような明るくて温かみのある音を出してくれます。
せんくらの三つの公演でこの楽器の音を皆様にお届け出来るのを嬉しく思います。
原田哲男(チェロ)