仙台フィル若手との室内楽公演に、コーディネーターの方が今年は去年にも増して素敵なコピーを添えてくれました !
今日は、この公演に寄せる思いを記してみようと思います。
一枠、ソロでも何でも自由に使って佳いこの企画のお話を頂いた際、真っ先に頭に浮かんだのは “室内楽” でした。
遡ること28年くらい? 私がオーケストラに入団し社会人として歩み始めた頃、音楽界では企業の名を冠した演奏会が山ほどある時代でした。企業が、拡大した収益の一部を社会に還元する活動の一環としてスポンサーとなり、宣伝を兼ねていたと思われるその演奏会のタイトルには、企業のその名を戴いていたのです。
オーケストラの様に規模の大きな公演のみならず、室内楽やソロのコンサートでもまた然り。演奏会の数自体が現在とは比べ物にならない程とても多く、私自身この様な世相の中、数多演奏する機会の中でスキルを叩き上げられ、鍛えられた一人です。
現在は先行きの見えない不透明感が漂う世の中、スポンサーとして動いてくれる企業はかなり少なくなってしまいました。演奏会の数が減っているのは言わずもがな。
しかし、だからといって手をこまねいているのでは時間だけが過ぎていってしまう …
去年の公演より
いま仙台フィルには弦セクションを軸として、とても勢いがあります。自身のオーケストラワークではかつて経験したことのないほどのその変化を目の当たりにし、近い将来、必ずその中枢を担うことになるであろう若手プレイヤーに、世代を繋ぐ先輩として、彼等自身がそのまた次の世代に託す必要なエッセンスを出来るだけ伝えなければ ! との思いが年々募ってきていたところに、この企画のお話。定期演奏会前のロビーコンサートのほか、でき得る限りの中で若手と音楽で接する時間を持ってきたつもりでもやはり伝えきれずに、この期に及んでは身銭を切ってでもやるべきではないだろうかとも考え始めていた故に、これはこの枠でやるしかない ! 千載一遇のチャンス ! となりました。
普段のオーケストラワークでは、伝えたい相手が近くでプレイしているとは限りません。第一にその相手がどこをどれくらいの意識レベルで聴いているかが近くに居ないと判りませんし、例えば同じ音を2回弾く( または、吹く )時でも、ハーモニーが違えば当然、2つの音程を変える必要があるのですが、そのことを指揮者を飛び越えて向こう側にいる伝えたいプレイヤーに声を張った状態で! 伝えるなどということは不可能です。
仙台フィルに限らずオーケストラいう活動基盤を同一にしているプレイヤーが少人数で行う室内楽は、作曲家が生きた時代や作品のフォルム、それぞれの語法の違いにより弾き方を変えていく為に必要な、プレイヤー同士共通の意識や方向性を揃えていくに相応しい効果を発揮する形態だと考えています。
またオーケストラからの観点でみると、室内楽はアンサンブルのコアを形づくる大事な土台部分。その様な意味においては、室内楽を聴けばそのオーケストラの現在( いま )を知り得る、こういった云い方も出来るでしょう。
超有名曲が並ぶ中で、10年を越えて次のステップへ踏みだそうとしている“ せんくら 2018 ”に新たな側面をもたらすと信じて貫く、この様な思いの詰まったコンセプトを基軸に、今年は常設の室内楽団体 “ クァルテット・エクセルシオ ”から同門の妹弟子でもある吉田 有紀子さんをお招きし、まさに一つ先!を聴きたいお客さまへメンデルスゾーンの名曲をメインにお届けします !
どうぞこの公演枠の趣旨にご理解頂き、会場へお運びのうえ皆さまの耳で直に感じて頂けましたら幸いです。
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井野邉 大輔(ヴィオラ)
今年は台風が多いですね。やはり南方の海水温が高いのでしょうか . .
夏休みの自由研究でセミの抜け殻を何千と集めて、データをとっている京都の小学3年生によりますと、アブラゼミは年々身体が小さくなってきているとか。こちらも気温が上昇傾向にあることと関係があるらしいとのこと。そう言われてみるとこの時期の大阪ではいつも、一本の街路樹にひしめき合い、競うように鳴くセミの鳴き声が今年はあまり“かまびすしく”ない気もします。
我われが、日本で気を配らねばいけないことの一つに《夏の移動》があります。何故?
もう、お気づきだと思います。
実際、今年は台風による移動スケジュールの変更を既に三度しました。夏のスケジュールは、大概余裕をもって組んでいるので多少のアレンジが効く様になってはいますが、とりわけ航空機移動しか選択肢がない場合は、直前過ぎる予約の為に定価に近いものしか残っておらずかなりの痛手を被ることに。
先日台風の予想進路が、がっつり新幹線、それも山間部を貫くルートにかぶっていた為土砂崩れによる運転見合せ状態を危惧して、台風の上を飛び越えて大阪伊丹空港へ降りる決断をしました。というのも以前、京都駅を17:00台に出発する新幹線に乗れたものの、東京へ着いたのはなんと翌日の11:00という経験をしたからにほかなりません。この時は静岡県内の二度に及ぶ土砂崩れに因るものでした。
ということを思い出しながら、今日はこれから TAKE OFF !!
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井野邉 大輔(ヴィオラ)
こんにちは! 本日より3日間を担当します ヴィオラ 井野邉 大輔 です。どうぞよろしくお願いいたします♪
一見何の共通項も見出せないかの様に思えますが、これが実は ..
皆さんは、ビリヤードをされたことはありますか?
私と同世代、もしくは一世代上の方でしたら一時期巷で流行ったプールバーに足を運んだ方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。ビリヤード台( pool )の設置してあるバー( Bar )、お酒が飲めるビリヤード場のこと。
ビリヤードを始めたのは、NHK交響楽団に入団してしばらく経った頃でした。元々興味があったことに加えて、同じヴィオラセクションの先輩にしてビリヤードが途轍もなく上手い方がいることを聞いた私は、基礎から教えて頂きたいとお願いしたことがきっかけでした。
そこから始まったレッスンは、NHKホールでの定期演奏会の終演後、09:40pm くらい~ @ ホール近くのビリヤード場。記憶が定かではないですがビールの自販機はあった様で、“先生”は飲みながらの指導であったかと。笑
この時期の楽しい話はこの辺で打ち切らないと、どんどん違う方向へいってしまいそうですのでこれくらいにして、軌道修正を。
こちらをご覧ください。
ヴィオラを弾く際の腕は基本、肘を支点に動かします。これは、なんとビリヤードでも一緒 !! 手球を撞くキューという棒を操作するのと同じ動きなのです!
基礎の練習では的球は使わずにこの手球を対岸の壁に当て、真っ直ぐに手前に戻してくる課題があります。これが実に難しい! 時折するこの練習、未だにキューを握る手に力が入ってしまう為、手球の中心を撞くことが出来ず、回転がかかってしまうことに起因します。
このことがヴィオラを弾く弓を操作するにあたって、力が不必要に入ることがどういうことかを多いに気付かせてくれるきっかけになりました。加えてそれぞれの指を単体で意識することも、ビリヤードを通じて勉強したうちの一つです。
対戦型のゲーム運びでは沈めたいポケットに的球を入れた後、手球を次に狙う的球を撞きやすいエリアにコントロールすることが必須になります。上手くいくいかないは別にして、常にこれを3,4手先まで頭でプログラムする一方で、対戦する相手もまた撞き進めていくプログラムを頭で展開させています。ちょっとしたコントロールミスで的球をポケットに入れられなかった場合に攻守が代わることになるのですが、相手に主導権が移った場合でも、いつどのタイミングで自分に主導権が戻ってきても対処出来る様、相手の一打毎に都度そのプログラムを刷新していきます。
これもまた弦楽器を弾く上で重要なエッセンスで、つまりヴァイオリンやチェロに比べて、その箱の小ささを含めた不完全なバランスで成り立っているヴィオラを鳴らすためには、頭で3,4手先を準備することを常に要求され続けることに他ならないのです。
自身のこの準備をしながら室内楽やオーケストラに身を置くとき、リハーサル、本番にかかわらず都度相手の出す微妙なタイミングの違いや色の変化を伴った音を聴き分け、相手の出してきた音に相応しく対応する為、自身で3,4手先までプログラミングしたものを瞬時に入れ替えて再プログラミングする。このことこそ、ソロとはまた違う刺激を与えてくれる室内楽とオーケストラフィールドにおけるヴィオラならではの醍醐味なのかもしれません。
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井野邉 大輔(ヴィオラ)