こんにちは! 本日より3日間を担当します ヴィオラ 井野邉 大輔 です。どうぞよろしくお願いいたします♪
一見何の共通項も見出せないかの様に思えますが、これが実は ..

皆さんは、ビリヤードをされたことはありますか?
私と同世代、もしくは一世代上の方でしたら一時期巷で流行ったプールバーに足を運んだ方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。ビリヤード台( pool )の設置してあるバー( Bar )、お酒が飲めるビリヤード場のこと。
ビリヤードを始めたのは、NHK交響楽団に入団してしばらく経った頃でした。元々興味があったことに加えて、同じヴィオラセクションの先輩にしてビリヤードが途轍もなく上手い方がいることを聞いた私は、基礎から教えて頂きたいとお願いしたことがきっかけでした。
そこから始まったレッスンは、NHKホールでの定期演奏会の終演後、09:40pm くらい~ @ ホール近くのビリヤード場。記憶が定かではないですがビールの自販機はあった様で、“先生”は飲みながらの指導であったかと。笑
この時期の楽しい話はこの辺で打ち切らないと、どんどん違う方向へいってしまいそうですのでこれくらいにして、軌道修正を。

こちらをご覧ください。
ヴィオラを弾く際の腕は基本、肘を支点に動かします。これは、なんとビリヤードでも一緒 !! 手球を撞くキューという棒を操作するのと同じ動きなのです!
基礎の練習では的球は使わずにこの手球を対岸の壁に当て、真っ直ぐに手前に戻してくる課題があります。これが実に難しい! 時折するこの練習、未だにキューを握る手に力が入ってしまう為、手球の中心を撞くことが出来ず、回転がかかってしまうことに起因します。
このことがヴィオラを弾く弓を操作するにあたって、力が不必要に入ることがどういうことかを多いに気付かせてくれるきっかけになりました。加えてそれぞれの指を単体で意識することも、ビリヤードを通じて勉強したうちの一つです。
対戦型のゲーム運びでは沈めたいポケットに的球を入れた後、手球を次に狙う的球を撞きやすいエリアにコントロールすることが必須になります。上手くいくいかないは別にして、常にこれを3,4手先まで頭でプログラムする一方で、対戦する相手もまた撞き進めていくプログラムを頭で展開させています。ちょっとしたコントロールミスで的球をポケットに入れられなかった場合に攻守が代わることになるのですが、相手に主導権が移った場合でも、いつどのタイミングで自分に主導権が戻ってきても対処出来る様、相手の一打毎に都度そのプログラムを刷新していきます。
これもまた弦楽器を弾く上で重要なエッセンスで、つまりヴァイオリンやチェロに比べて、その箱の小ささを含めた不完全なバランスで成り立っているヴィオラを鳴らすためには、頭で3,4手先を準備することを常に要求され続けることに他ならないのです。
自身のこの準備をしながら室内楽やオーケストラに身を置くとき、リハーサル、本番にかかわらず都度相手の出す微妙なタイミングの違いや色の変化を伴った音を聴き分け、相手の出してきた音に相応しく対応する為、自身で3,4手先までプログラミングしたものを瞬時に入れ替えて再プログラミングする。このことこそ、ソロとはまた違う刺激を与えてくれる室内楽とオーケストラフィールドにおけるヴィオラならではの醍醐味なのかもしれません。
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井野邉 大輔(ヴィオラ)