音楽家にとってプログラムを考えている時が、もしかすると一番楽しい時間かもしれません。
つい欲張り過ぎてあれもこれもと詰め込んでしまい、後で苦労することもしばしばです。
今回の演目は一つは映画音楽集、もう一つはヴァイオリン名曲集となります。
いずれの曲も弾いている私の心に素直に入って来るものばかり。
皆様に聞いて頂くのが、今からとても楽しみです。
日常を忘れ、その美しい旋律に浸って頂けますよう精いっぱい演奏いたします。
今から17年前、私はサンクトペテルブルクのオーケストラとのツアーで初めて仙台を訪れました。
以来、ほぼ毎年やって来ることができ、友人も増え、仙台の地を訪れることをとても楽しみにしています。
このところ10年ほど必ず訪問する所があります。
瑞鳳殿のふもとにあるイタリアンレストラン“パリンカ”、仙台の音楽ファンの方々はおそらくご存知ですよね。
過去には何度もレストランコンサートをさせて頂いたことがあるんですよ。
震災直後は避難所となっていたとのことですが、最近は活気を取り戻し、また訪れるのが楽しみです。
今年も「せんくら」の季節が近づいて来ました。
4度目となる参加、今から楽しみです。
この夏はこのところ恒例の長野県小海でのセミナーに参加して来ました。
若い受講生の方々のレッスンや自身の演奏会などもあり、多くの刺激を頂きました。
昨年よりもパワーアップしたステージを仙台の皆様に聞いて頂けるよう頑張ります。
今年もよろしくお願い致します。
僕がチェロを6歳で始めたちょうどそのあたり、1頭の犬が我が家にやってきました。
ビアデッドコリーという中型犬で、名前はクララ・シューマンから『クララ』と名付けました。
当時の僕は体が小さかったため、いつも僕の事を心配していたようにおもいます。
僕が一人でどこかに行こうとすると必ず付いてきて、病気になればずっとそばにいてくれ、泣いていると顔を舐めてなぐさめてくれ、本人(?)は姉のような気持ちだったのかもしれません。
そんなクララも14歳ととても長生きしてくれ、亡くなってしまった今でも心の支えとなっています。
今僕は当時の家に住んでいるのですが、楽器を弾いているとふと気配を感じる気がします。
と、三日間今までをを振り返ってブログを書いてきましたが、色々な人や犬に支えられて今の自分があるのだと実感しています。
大学を卒業後、ドイツのライプツィヒ音楽演劇大学大学院へ留学をしました。
ドイツで師事した先生はゲヴァントハウスオーケストラのソロチェリスト、クリスティアン・ギガー先生。
ひたすらチェロを愛し、チェロの事を1番に考える本当に真面目な方でした。
練習嫌いな上にドイツ語が全くできない僕に、1日の練習スケジュールを立ててくださったり、週に数回のレッスンと更にそのレッスンでの気付いた事をメールしてくださったり、とても丁寧に接してくださいました。
大学院2年在学中はゲヴァントハウスオーケストラの学生契約として、そして卒業後はゲヴァントハウスオーケストラアカデミーに在籍しました。
アカデミー生は各セクションに1人、2年間在籍することができます。
楽団に籍を置きながら、団員同様にオーケストラの業務をこなし、それに対して月々決められた奨学金が楽団から支払われます。
自分専用のロッカーもホールの楽屋に用意されるなど、ほぼ団員と変わらない扱いを受ける事ができます。
ゲヴァントハウスオーケストラの業務は、シンフォニーオーケストラとしての仕事の他にも、 オペラ、また、バッハの勤めていた聖トーマス教会でのカンタータの演奏など、たくさんの業務をこなしていかなければなりませんでした。
そんな中で、まだコミュニケーションもままらない僕をチェロセクションの人が優しく支えて下さり、順調にレパートリーを学んでいくことができました。
オペラ『トスカ』の本番ではあの有名なチェロ四重奏の部分を先生と弾かせて頂ける機会がありました。
先生の同僚として、一緒の舞台でソロを弾けた嬉しさは今でも忘れられません。
せっかく在籍できたし、このままドイツに残るつもりでいた僕ですが、ここで転機となったのが中国と日本国内を回るアジアツアーでした。
久しぶりに帰ってきた日本のご飯の美味しさ、店員さんの丁寧さ、日本語が通じる喜びなどに触れて一気に帰りたくなり、先生を説得した上で、地元である仙台でオーケストラに入ったのでした。
みなさんこんにちは、チェロの吉岡知広です。
僕はここ仙台で育ったのですが、
紆余曲折を経て戻ってくることになるとは我ながら驚きです。
幼稚園から中学生まで仙台で暮らし、のびのびと育ってきました。
チェロは6歳の時に始めましたが、もともと音楽で食べていくことは全く考えておらず、
「せっかく長く続けてきたしなぁ」という軽い気持ちで桐朋音楽高校を受験しました。
今思うと15歳で東京に出ると言った僕に、「好きな事をすれば良い」と後押ししてくれた両親の理解はすごいものだと感謝しています。
そのような軽い気持ちで入ってしまったので、僕は典型的な劣等生でした。
練習時間は1日30分未満。当然上手くなるはずもなく、ダラダラと過ごしていきました。
そんな日々の中転機となったのが、同級生から弦楽四重奏に誘われたことでした。
室内楽は仲間と一緒に一つの曲を作り上げていきます。そのためにリハーサル重ねるのですが、そこで自分は練習の基本すらしてこなかった事に気付かされました。
まず1日にこんなに楽器を弾くものなのか、こんなに考えながら、一つ一つ取り出し、考え、ゆっくり丁寧に反復していくのかなど仲間から学ぶ事が本当にたくさんありました。
そこからほぼ毎日リハーサルをした結果、学内外でも評判のグループとなっていったのです。
カルテットを組んだ事でまず自分の事を色々な人に知ってもらえ認めて頂けたこと、今まで心配されるくらいだった自分が成長できた事、なにより最小のオーケストラともいえるカルテットの経験を積んだ事により耳を養っていけたことは今の自分の強みであり、支えであると感じています。
今年のせんくらでは、長い人生の中でほとんど御縁のなかった楽器、バンドネオンとの共演、しかもその若手実力派の三浦一馬さんとの共演ということで、ドキドキワクワクしています。
ほとんど御縁がなかったと言いましたが、20年以上昔には大御所の京谷弘司さんとはピアソラのギターとバンドネオンの為の協奏曲を初演したり、デビューしたての頃の小松亮太さんとも演奏したのですよ…
が、その後タンゴの世界とのお付き合いが少なくなってしまいました。
というわけで、三浦さんのような若い世代のバンドネオン奏者との出会いは、私にとって久しぶりに刺激的な事件です!
ピアソラだけでなく、様々なクラシック作品も披露します。
4日11時45分から
エル・パーク仙台/ギャラリーホール
お楽しみに!
さて、今回二つ目の公演は日本を代表する女流フルート奏者 高木綾子さんとのデュオ・コンサートです。
高木さんとは、彼女の清々しいデビュー以来、何度も共演させていただきました。
そのスケールの大らかな歌心に溢れた演奏に、いつも横で伴奏しながら…感動しています。
もう11年ほど前になりますが、高木さんとは共通のレコード会社であった日本コロムビアの企画で「海へ」というアルバムを作りました。
イタリア経由でスイスのバーゼル近郊の教会での録音は実に楽しいセッションでした。
今回の「せんくら」では、この時からのレパートリーであるラヴェル、イベール、ピアソラなどの小品にヘンデルやバッハのソナタを加え、フルートとギターならではの楽しいアンサンブルを聴いて頂きます。
ヘンデルのソナタは公式サイトではハ長調となっていますが、イ短調作品1の4
を演奏させていただく予定です。
3日11時45分からエル・パーク仙台/スタジオホールでのコンサートです。
2015.8.15
福田進一
さて、再び「せんくら」の季節が近づいてきました。
仙台クラシック・フェスティバル、「せんくら」なんと今年で10周年を迎えました!
10年、なんと言う重みでしょう!この画期的な音楽フェスティバルに、私は幸運にもその第一回から参加させていただいています。震災の2011年を除いて9回目の参加です。本当に名誉なことだと感謝しております。
多くの皆様から、毎年10月に「せんくら」でギターが聴ける事が嬉しいという喜びの声を頂き、様々なジャンルの音楽が集うこの絶好の機会に、ギター音楽の魅力を少しでも多く知って頂こうと、毎年のプログラムには趣向を凝らしています。
(と、ここまで書いて、なんと!これに酷似したブログを去年書いてる事が判明しました。トホホです!)
でも、主旨を変えるわけにいかないので続けますね。
これまで、せんくらでは、バッハの組曲や19世紀古典派の知られざる作品、武満徹さんの現代作品やビートルズ・アレンジ、またフルートや弦との室内楽、そして「アランフェス協奏曲」と幅広いレパートリーを披露してきました。
というわけで、今年ひとつ目の公演は昨年好評だったスタンダード名曲集の拡大バージョン。ギターの姉妹楽器、リュートの名手ダウランドの名作やバッハのチェロ組曲から抜粋、そしてブラジルの楽聖ヴィラ=ロボスの名曲5つのプレリュードをメインに聴いていただきます。10月3日(土)16時からエル・パーク仙台ギャラリーホールで開演です。
もうチケット完売との事、満場のお客様との楽しい時間、いまから想像してワクワクしています!
実は…
今、韓国/楊平で行われている国際ギターフェスティバルに招かれています。
毎日のコンサートの合間に続きを書きます!
数年前のクリスマスシーズン。その時期はミサの為弦楽器は教会に出稼ぎ。ヘッドハンターか ら私の友達Aちゃんがやるというのでそれに釣られ私も。
私からの条件:私とAちゃん絶対一緒 のスタンド(オーケストラでは1スタンドに付き2人奏者)。
コンサートの日、小さな教会はお客様で満席。私は外側に座っていた為最前列のお客様との距 離は約1メートル。
指揮者はパイプオルガン奏者でもあったのでコンサートは彼女のソロから始まりました。バッ ハのフーガ。あー、フーガだけでも大曲なのにオルガン足も使うから大変だなあと気楽に鑑賞。
すると隣に座っているAちゃんが私にヒソヒソ耳打ち:
ねぇ…この曲… “カエルの歌” に聞こえない…?
エッと思って聞いているとご尤も、“カエルの歌”の出だし。それがテーマ、ましてやフーガ なので何回も何回も”カエルの歌が、聞こえてくるよ”。
そこからが地獄。
笑いを堪えるのに必死。でも前席のお客様には笑っていることがバレバレ。
ちらっとAちゃんを見てみるも言い出しっぺは彼女なので涼しい顔。
このヤローと彼女を恨みつつ私もプロだ(?)。気を取り直し真顔。
しかし気を取り直すのが早すぎました。さっきの地獄はまだ序の口
フーガのクライマックス。
ゴライアスガエルのお出まし。
もうダメ。3段腹に爪を食い込ませて唇噛んで床一点をガン見。でもカエル達の宴会は続く続 く。フーガがやっと終わった頃には呼吸困難で全身が震え半泣き状態、まして滝汗でぐったり。
教訓:Aちゃんの隣には座るな