毎年8月は長野の小さな町木曽福島で行われる「木曽音楽祭」に参加しています。
今年は第40回、当初はヴィオラのプリムローズやチェロのフルニエが出演した歴史ある音楽祭です。
写真は会場の木曽文化公園文化ホール前の景色。
標高936メートルにあり、素晴らしい環境の中、前夜祭を含め4日間催されます。
この音楽祭の特徴は町が運営しているため、町民ボランティアで成り立っています。
特に私たち演奏家が楽しみにしているのは、婦人会の方々が作って下さる朝晩の食事です。
高原野菜をふんだんに使った家庭料理は絶品で品数も多く、全種類頂くだけでお腹一杯になります。
本当は写真を撮りたかったのですが、食い気に負けて忘れてしまいました。残念!
あとプログラムにも特徴があります。演奏家も最初で最後かもというような珍しい室内楽の曲ばかりです。
そのため、練習は半ば合宿のように朝から晩まで行います。これが学生に戻ったようでまた楽しい!
有名ではない渋い曲が多いことで、通の室内楽愛好家の常連さんが全国から沢山いらっしゃいます。
また町の人達も毎年聴いていると色々と分かってくるのでしょう。とにかく聴衆の反応が素晴らしい!
これは演奏家にとって本当に幸せなことです。
せんくらも2006年から始まり、毎年いらっしゃるファンの皆様が多いと思います。
その出会いを大切に今から楽しみにしています。
山崎 伸子
Nobuko Yamazaki
今回、初めてせんくらに出演するチェロの山崎伸子です。
ブログというものを書くのは初めてで、何を書いて良いのやら・・・。
1日目は取りあえず、出演する2公演のご説明からにしましょう。
先ずは10月4日の公演ではシューマンのコンチェルトを新進気鋭の山田和樹マエストロ、仙台フィルと協演します。
この曲は最晩年の作品で難曲ではありますが、1楽章冒頭と2楽章のメロディのそれはそれは美しいこと!
シューマンの詩的な世界に溢れています。
このメロディだけでもこの曲を聴く価値がありますよ、と言いたいぐらいです。
5日は仙台国際コンクールで優勝した仙台の星☆津田裕也さんとの共演です。
曲はショスタコーヴィチのソナタを中心にラフマニノフ、チャイコフスキーのロシア作品。
津田さんのとても繊細な感性と、どの様にロシア作品をアプローチして行こうか楽しみにしています。
それでは、今日から3日間慣れないブログのお付き合い、よろしくお願いいたします。
山崎 伸子
Nobuko Yamazaki
前回のブログで、仙台フィルスタッフが、「こぴっと」の話をしていましたね。
私も、イナカの話から始めます。
私のイナカは、新潟県南部です。
地元には当然、プロ・オーケストラはありませんでした(今もないですが)。
大学に入るまで、オーケストラをちゃんと聴いたことも、楽器を間近に見たことも、ありませんでした。
(ちょっとだけ、地元の市民楽団の演奏を聴いたことはありましたが)
「裏日本」がいやで、テレビの天気予報で新潟県ばかりが雪マークになるのが恨めしく、高校卒業後は、冬も晴天がつづくに違いない(実際そうでしたが)太平洋側に出てきました。
仙台を選んだのは、なんとなくの「イメージ」。なにひとつ知らない街でした。
でも、仙台を選んでよかったと思っています(一人暮らしを謳歌した喜び、というのもありましたけれども)。
過ごしやすい、大きすぎず小さすぎず、歴史と食と自然に恵まれた街ですから。
そして、意識せずに出会ったのが、仙台フィルでした。
私がはじめて聴いたプロ・オーケストラは、仙台フィルです。
サークルの先輩が伝統的に仙台フィルの「楽器運び」のバイトをしていたので、「来週、空いてるか?」みたいな感じで、大学1年のときに誘われたのです。
結局、卒業まで(不定期ながらも、ぽつぽつと)バイトくんをするわけですが、「使えない」バイトくんでしたねえ。
振り返っても、申し訳なく思います。
でも、個人的には、楽器運び・設営の点ではダメダメでしたが、オーケストラの「リハーサル」を現場で(こっそり)聴くのが好きだったのです。舞台袖だったり、客席のはじっこだったり、オーケストラへの興味がどんどん湧きました。
バイトをしたときの演奏曲目は、タイトルを一生懸命おぼえながら(原付で家まで)帰りました。
日払いのバイト代は、ほとんど数日をまたずして、(当時仙台に出来たばかりの新星堂で)その演奏曲目のCDに消えていったのでした。
いま、そのような学生時代を経て、都内のオケ事務局を経て、ふたたび仙台にて仙台フィル事務局に勤務させていただいているのですから、なんといいますか、不思議なものです。
さて、前置きが長くなりました。
私が皆さんに、ここでPRしたいのは、「運命」です。
私のつたない人生の「運命」話ではないです、ベートーヴェンの交響曲「運命」です。
第1楽章が有名ですが、いいえ、皆さんには「最後まで通して」聴いていただきたい楽曲のひとつです。
そうでないと、「運命」のストーリーを体験できないから。
くわしくは、いろんなところに書いてありますから省きますが(私も、バイト代で買った愛聴するG.セルの「運命」のCDを壊れるほど聴きましたが)、感動への道筋といいますか、ベートーヴェンという人は本当にすごかったんだなと、いつもいつも思います。
そして、「案外」、「運命」全曲を実際にナマのオーケストラで聴くことの機会は、それほど多くもないのでは?
学生時代にナケナシのお金で、ブロムシュテット指揮の外来オケの「運命」を聴きに県民会館に行ったのを思い出しますが(もちろん楽屋口から入り込んでサインをもらいましたが)、その後、オケ事務局に勤務してからも、機会はなくはないけれども、そんなに全曲生演奏というのは、決して多くはないかも?と思います。
初めての方は興味を持って、再びの方は期待(新しい出会いの大きな予感)を持って、今回お聴きになってください。
指揮は、山田和樹です。
その凄さを、なかなか、お伝えしきれずにいるのですが、山田さんがタクトをとると、オーケストラからは、「力」で導くような無理のある音楽は聞こえてこず、とても柔らかな、音(おと)それ自体が喜んでいるような、ここちよい響きが聞こえてくるのです。
「運命」全曲を山田さんの指揮で聴くのは、私も初めて。
ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、まさに欧州各地を席巻している話題のマエストロですが、実はそんなに「運命」を多く指揮されていないと思いますよ。
そういう意味でも、聴き逃せない、コンサートなんです。
山田さんの「運命」では、柔らかな、ふくらみのある響きのなかで、
ときに美しく、ときに力は漲り、かけがえのない「運命の体験」が待っていることでしょう。
おススメします。
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公演番号 51
10月4日(土)17:15~18:15 イズミティ21 大ホール
山崎 伸子(チェロ)、山田 和樹(指揮)
仙台フィルハーモニー管弦楽団
シューマン:チェロ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲 第5番「運命」
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仙台フィル事務局 関野 寛
(写真は 緑あふれる仙台市野草園にて)
みなさん、こんにちは。仙台フィルハーモニー管弦楽団事務局の伊東です。
私は4月から仙台フィルに入りました。生まれも育ちも関東で、初めて東北に来たので、慣れるまで大変なことがいくつもありました。
中でも、一番困ったことは「方言」です。仙台は「~だっちゃ」が代表的なのでしょうか?
仕事をしていても「めんこい」や「いずい」といった単語もわからず・・話についていけないことがしばしばありました。
東北ならではの濁点の多さに慣れるまでに非常に時間がかかりました・・(いまも完璧ではないので、たまに聞き返してしまいますが)。それでも、なんとなく最近はわかるようになってきましたが、それでも・・英語の授業のリスニングの時のような真剣さで聞き取るときもありますね。
ちなみに一番最初に覚えた言葉は、「わーげわがんね」(=訳わかんない!)でした。笑
でも、最初は「わーげわがんね」の意味が分からず、意味がわかりませんでしたが、「わげわがんね」が意味わからないという意味だということを認識したときに、頭の中が大混乱でした。(ああややこしい)
私の出身は、「花子とアン」で有名な山梨県ですが、甲州弁を仙台で喋っても通じません(当たり前ですね)。
↑先日帰省した時に、甲府駅の改札前にはこんな看板が!
ドラマの影響が大きいようで、仙台フィルの楽団員のみなさんからよく「こぴっと仕事してる?」とか「てっ!」というのは、言われます。なんだか、地元のことばを使われると・・うれしい気分になりますね。
「“こぴっと”なんて本当に使うの~!?」と言われますが・・・使います!
(コピーするってこと?と言われたことがあります)
本来、“こぴっと”は、「しっかり」とか「きちんと」といったニュアンスなので、学校の全校集会のときは、司会の先生が「気を付け、はい“こぴっと!”、礼っ」ってのが当たり前でしたね。
ドラマの中で使われていない甲州弁も山ほどあるので、興味のある方は調べてみてください。(わにわにする、とか、ちょびちょびする、とか「だっちもねーこんいっちょし!」なーんてのもあります。甲州弁ラップというラップも存在するらしいです。。。)
深夜帯に放送された某番組では「日本一ブサイクな方言」とも言われましたが・・それでもやはり方言というのは、誇りを持ってよいものだと思います。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 事務局 伊東広大
みなさまこんにちは。仙台フィル事務局の後藤です。
私事ですが、8月23日(土)・24日(日)と東京の新国立劇場で行われた仙台市主催オペラ「遠い帆」を鑑賞してまいりました。
三善晃先生の唯一のオペラ作品である「遠い帆」は仙台市が2000年に初演したもので、時代に翻弄される常長の苦難に満ちた運命を題材にした作品です。
今年は、仙台藩主伊達政宗公が、支倉常長を大使として派遣した慶長遣欧使節団スペイン到着400周年にあたります。
恥ずかしながら「遠い帆」の鑑賞は初めてでして、冒頭の児童合唱からあっという間に三善先生の音楽に引き込まれてしまいました。
児童合唱もですが一般市民の公募による合唱が素晴らしかったのも印象的で、ソリストもオーケストラも、出演者が一丸となり、まさに熱演の舞台でした!
さて、せんくらのパンフレットに「むすび丸」のかわいいロゴが入っているのをご存知でしょうか?慶長遣欧使節団スペイン到着400周年にちなんで、そのスペインにまつわる名曲を集めた公演に「むすび丸」のロゴがついているのですね。
スペインの音楽といえば、独特のリズムに、魅惑的なメロディ。
常長が400年前に聴いたスペインの音楽はどのようなもので、どのように感じたのでしょうか。
そんなふうに思いを馳せて聴いてみるのも良いかもしれません。
仙台フィル事務局 後藤美幸
今日は先週にベルリンのフランス大聖堂という教会で演奏をしたお話をしたいと思います。
フランス大聖堂はジャンダルメンマルクトという広場にある美しい教会で、先週そこでオールショパンのプログラムのリサイタルをする機会がありました。
教会は天井が高くドーム形になっているので、残響が多く音に包まれながら演奏している感覚で印象的でした。お客様たちもとてもフレンドリーで、幸せな時間を過ごしました。
せんくらでも毎年あたたかいお客様たちに見守られ、私の生まれ故郷の仙台でこのようなフェスティバルが続いている事をとても嬉しく思っています。
今年もせんくらで皆様にお目にかかれる事、楽しみにしています!
三日間、お付き合い頂きありがとうございました。
津田裕也
今日はベルリンにある孔雀島(Pfaueninsel)のお話をしたいと思います。
先日、ベルリンの中心から小一時間ほどで行ける孔雀島に行ってきました。
ベルリンのまわりにはいくつも湖がありますが、その中の一つヴァンゼー湖に浮いている島で、その名の通り島には孔雀が放し飼いにされています。
島に着くと美しい孔雀たちが何羽もいて、水辺にはロマンティックなお城があり、ベルリン市内にこんな島があったのだと驚きました。
2〜3時間もあれば島全体を散歩できてしまうような広さで、島の中は時が止まっているかのようなのどかで気持ちの良い場所でした。
津田裕也
みなさまこんにちは!津田裕也です。
今年もせんくらに出演させて頂ける事嬉しく思っています!
せんくら2014では私は4公演に参加致します。
まず一つ目は仙台でお馴染みのヴァイオリンの松山冴花さんとの公演で、リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタとドビュッシーなどのお洒落な小品を演奏します。シュトラウスの若さあふれるソナタはロマンティックで大変美しい作品で、松山さんと昨年録音をした思い出の曲です。
二つ目は尊敬してやまないチェロの山崎伸子先生との公演です。山崎先生は言わずと知れた日本を代表する素晴らしいチェリストですが、私にとっては実は大学時代に大変お世話になった先生でもあります!この公演ではショスタコーヴィチのチェロソナタを中心にラフマニノフやチャイコフスキーなどオールロシアのプログラムを演奏します。先生の懐の深いあたたかい音色を是非仙台の皆様に聴いて頂きたいです。
三つ目は仙台国際音楽コンクール入賞者の韓国のヴァイオリニスト、キム・ボムソリさんとの公演です。この公演ではベートーヴェンのヴァイオリンソナタからワックスマンのカルメンファンタジーまでヴァイオリンの多彩な魅力を感じて頂けるプログラムになっています。
そして最後の四つ目は、キム・ボムソリさんと仙台フィルのコンサートマスターの西本幸弘さんの2台のヴァイオリンと私のピアノ、という珍しい編成での公演です。キムさんとも西本さんとも今回のせんくらが初めての共演になりますので、私自身楽しみにしています!
この4つの公演の他にも素敵な公演が目白押しですので、皆様是非せんくらに遊びにきて下さい。
今日から3日間ブログを担当させて頂きますので、どうぞお付き合い下さい。
津田裕也
私は3月に結婚をしました。
今まで結婚ということは考えていなかったのですが、今年になって突然結婚したくなりました。
家内は私のことを本当によく理解してくれる素敵な方です。
家に帰ると待っていてくれる人がいるというのはやはりよいですね。
妻の名前は「歩」
今まで一人で突っ走ってきたように思えますが、これからは一つ一つ丁寧にしっかりと地に足をつけて人生を「歩んで」いきたと思います。
今までと違った、今までよりもさらにいい演奏ができたらいいな・・・と思います。
これからも皆様夫婦ともどもどうぞよろしくお願いいたします!
これで今年の「せんくらブログ」は終了です。
生まれ育った仙台で演奏できることが本当に嬉しいです。
皆様会場でお会いできることを楽しみにしております!
中川賢一
留学していたときにスペインにピアノ協奏曲のソリストとしてツアーに行ったことがあった。学生の時なのでもう20年前になると思う。
私のピアノの先生は10代の優秀な生徒を集めたユースオーケストラの指揮者でもあった。ある時にスペインに行かないか?ピアノのソリストとして一緒にいこう・・・といわれて喜んでついていった。
さて、ツアーも順調に進み、ツアーの終盤にせまって、スペインの片田舎の教会に到着した。すると・・・
ピアノがない・・・・
コンサートまではあと3時間だ。取り急ぎ私がピアノコンチェルトのソリストでピアノという楽器が必要だということを伝えようとした。
私は、スペイン語は話すことはできなかったので、英語で伝えた。
「I need Piano!」
「アイ・ニード・ピアノ!」
と叫んだ。
彼らにとっても英語は外国語なので、多少話せても、綴りをみて本当の発音が何かは非常に不安だったのだろう
「パイアノ???」
と聞き返された。
「パイアノ」
私の英語の拙い知識の中に「パイアノ」という単語はない。
相手は西洋人だ。私はやはり語彙不足で会話が成立しないのか?
私は「パイアノ」という楽器にいまだかつて巡り合ったことがない。グランドピアノの代用品なのだろうか?
そのあとも不思議な問答が。
中川「ピアノ、プリーズ!」
主催者「オーケー!アイ ブリング パイアノ」
中川「ノー!ノー! ピアノ プリーズ」
主催者「オーケー!アイ ブリング パイアノ」
~エンドレスに繰り返し~
何回も相手が「パイアノ」といって会話が成立せず焦った。
心の中で繰り返した。
「パイアノ、パイアノ、パイアノ・・・」
あ!「ピアノ!」
そうだ「Piano」という綴りの「i」は「イ」ともよむが、「アイ」とも読むことができる。
つまり、あいての方は、同じく英語が得意ではないので、一生懸命スペイン語でも「Piano」は「ピアノ」と読むのにも関わらず、英語っぽく読もうとして「パイアノ!」と気を利かせて読んでくれたのだった!!!
結局パイアノは無事到着し演奏会も無事終了した。
その方も必死に発音なさったのだろう。
我々もこのような間違いを普段起こしているかもしれない。
知り合いがニューヨークに行ってタオルを買おうと思ったら、タオルは和製英語の発案なので「トワォエル プリーズ」「タゥォエル プリーズ」とかいろいろ試しても通じず、店員さんをその場に連れて行ったら
「オー タオル!」
といった・・・・
ということもありました。
中川賢一