
コロンビアのボコダから無事帰国した福田でした。
次に出演した音楽祭は北九州市にある響ホール(名前の通り素晴らしい響きのホール)フェスティヴァル2010。
まずこのフェスティヴァルについては一言、どうしても触れなければならない音楽家の名前があります。
名ヴァイオリニストで若くしてお亡くなりになった数住岸子さん。
このフェスティヴァルの最大の特徴は、数住さんが音楽監督を務め、私より少し若い世代で、今日の音楽界を支えている多くの音楽家の方が薫陶を受けた(超厳しく鍛えられた!)響ホールフェスティヴァルの思想(一般名曲とともに、新しい音楽を積極的に取り上げる)が受け継がれているということでしょう。
現在のプロデューサーは、野平一郎(作曲家・ピアニスト)さん、松原勝也(ヴァイオリニスト)さん、佐久間由美子(フルーティスト)さんと、名実ともに現在我が国を代表する超実力派が務めています。
彼らが一番やりたい音楽を、支援はしても口は出さずの精神で(これもスゴイ!)、ホールでの充分なリハーサルを重ね質の高い音楽を提供する、という演奏家にとっては夢のようなフェスティヴァルです。
今年のプロデューサーは私のパリ留学時代の仲間、野平一郎さん。
今年はホールでのコンサートが2回。市内の病院、サロンでのアウトリーチが2回の計4回公演で、私はホールでの2日目の演奏会に出演しました。
各日とも野平さんにより、考え抜かれたテーマとそれに基づく選曲でしたが、ちょっと説明が難しくなるのでそのあたりはカットします(ご興味のある方はこちらで→ http://www.kicpac.org/music/h_festival.22.html)。
出演者は野平一郎さん、佐久間由美子さん、クァルテット・エクセルシオ(弦楽四重奏)、林美智子さん(メゾ・ソプラノ)、望月哲也さん(テノール)、田尾下哲さん(演出)それに私。
みんな、気心が知れ合っている素晴らしい仲間たちです。モーツァルトと現代音楽が取り上げられましたが、どのプログラムもさすが練り上げられて感動的でした。
私が演奏した曲は、テデスコ:ギターとピアノのためのファンタジア(私と野平さんのデュオ)、レクオーナ(野平一郎編曲):アフロキューバン舞曲集より (私とクァルテット・エクセルシオ)、野平一郎(林 望 詩):演劇的組歌曲「悲歌集」全曲 演出版(林さん、望月さん、佐久間さんと私+今回は演出に田尾下哲さん)の3曲。
レクオーナはキューバの作曲家で、この曲はノリの良いラテンの作品集です。はっきり言ってこんなタイプの曲の編曲を野平さんに依頼出来るのは今のところ私だけでしょう。
またこれがユニークで素晴らしい編曲になっています。そして野平さん作曲「悲歌集」は全曲45分に亘る大曲です。
ギターは全編殆ど弾きっぱなし。
相方のフルートの佐久間由美子さんは、この難曲をいつもながらの完璧な演奏でサポート、注目の演出家、田尾下哲さんによる、椅子、テーブル、傘などのわずかな小道具に照明を加えただけの、シンプルな演出は、お二人の歌手の素晴らしい歌唱と演技によって、心情や情景が強く印象に残る素晴らしい舞台になりました。
小倉では、勿論、練習日から毎晩美味しいものを食べ続けることも忘れないワタシたちでした。
特に本番日に会場にまで差し入れをして下さった小倉の名店「S鮨」さんは最高でした(決して「せんくら」での差し入れを強要しているわけではありませーん!)。感謝!
写真は響フェスティヴァルのリハーサルでのひとコマ。
※現代音楽を演奏するときの醍醐味、作曲者(野平一郎さん)とのディスカッション。ベートーヴェンとは相談できないでしょ。
福田進一