キュウ・ウォン・ハン(1)

2008.06.22| キュウ・ウォン・ハン

皆さまはじめまして!

韓国出身のバリトン歌手、キュウ・ウォン・ハンをご紹介します。
日本では、年末の「サントリー一万人の第九」や、兵庫県立芸術文化センターのオペラ「蝶々夫人」でシャープレスとヤマドリの二役で一万六千人の聴衆を魅了した彼ですが、ヨーロッパやアメリカなど世界中のオペラハウスでその美声を響かせていると共に、母国の韓国では大河ドラマの主題歌に起用されるなど、多彩な活動で活躍中です。

せんくらに登場するのは今年が初めてですが、仙台の皆さまにお会いするのを心から楽しみにしています。

ではまた明日!

マネージャー
竹島愛弓

御喜美江(7)

2008.06.21| 御喜美江

【出会い】

一週間はあっという間に経ってしまい
今日がもう最終回となってしまいました。
今回は岡村喬生先生とご一緒させていただき
本当に嬉しく楽しく光栄でした。
そして私の拙い文章を一週間お読みくださった方々に
心から感謝いたします!

最後に私事でまことに恐縮なのですが、
9月28日2年半ぶりに行うアコーディオン・ワークスにおいて
今回は吉松隆さんの新作初演という名誉に恵まれました。
実はこの素晴らしいチャンスを与えてくれたのが
昨年の「せんくらポッドキャスト」であります。
というには、ちょうど私の収録が終わったときに
吉松隆さんがスタジオに入ってこられて
そこでいろいろなお話をしながら、
この幸運をつかむことが出来たというわけです。
このような【出会い】はまさに神様からの贈物だと思います。

今年も再び「せんくら」に出演できますことは
私にとって大きな喜びであります。
主催者の方々はじめ多くのスタッフとボランティアの皆々様
ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!
10月の再会をいまから心待ちにしています。

http://mie-miki.asablo.jp/blog/

岡村喬夫(7)

2008.06.21| 岡村喬生

新モノオペラ~人情歌物語「松とお秋」

永年オペラを歌ってきたが、今月と来月に東京都内で上演する人情歌物語「松とお秋」は、自分で自分を演出して端役を除き9役をひとりで歌い語るという「モノオペラ」。真冬の物語「松」では雪が降るが、僕は舞台前方で演技しているから、後方で降る雪の様子は見えないからコントロールしようがない。

「お秋」は真夏の物語。蛍が飛び交う沼は後方に紗幕ででるから、これも前で歌う僕には全く見えない。誰にも文句は言えない。セットを考え歌う場所を決めたのも僕なのだから!

オペラは高価だ。1枚5万円もする外来オペラの券を買う一部のフアンはいつも同じごく限られた人々。だから大衆のものにはならない。高価なのは制作に金がかかるからで、それを補うために殆どのオペラ団は出演者が売る券代をあてにする。ということは出演者が多ければ多いほど主催者にとってはいいのだ。だからモノオペラは殆ど我が国では上演されない。

敢えてモノオペラを創作したのはそういう理由が非常に大きい。僕とクラリネットとピアノの3名だけ。出演料、大小道具や照明の人件費、道具費用を入れても、首都圏なら110万円と、通常のオペラ公演の小道具代ほどで賄えるのだ。

底辺に生きる周五郎の原作から大中恩が和魂洋才で作曲したモノオペラ。
6月28日(土)13:15開演(ルネ小平)、7月6日(日)13:45開演(江東区文化センター)

お問い合わせは 048-837-7056 NPOみんなのオペラ事務局まで。

面白く安いモノオペラを是非ご高評下さい。

御喜美江(6)

2008.06.20| 御喜美江

【シェルブールの雨傘】

日常生活において、ふとしたことから予期せぬ展開、例えば知らない路地に迷い込んでしまったりすることがある。でも、もしそこには美しい花が咲き、可愛い猫がくつろぎ、いかにも美味しそうな小さなパン屋があったとしたら・・・私だったらまず猫に声をかけ、花をデジカメに収め、ちょっとドキドキしながらパン屋を覗き、まだ自分が一度も口にしたことがないパンを手に取るかもしれない。それが予想以上に美味しかったら、自分の味覚に新発見を見出し、翌日からの朝食風景に小さな変化が生まれるかもしれない。

ある日、『シェルブールの雨傘』の楽譜が送られてきた。尊敬する佐渡裕氏との共演なので、「えぇ~?映画音楽?」とは言わず、真面目に練習を始めた。
すると序奏からして、すでにゾクゾク感が伝わってくるではないか?その叙情溢れる美しいメロディーと切ない響きに私はすっかり酔いしれ、時間の経つのも忘れて弾き続けていた。それはうっかり迷い込んだ路地があまりに美しく、そこから出られなくなったような体験だった。

私のレパートリーには今までなかった映画音楽から、これほどまで心動かされたことは大きな驚きであり、自分がどれほど自分の好みを知らないかを、それは教えてくれた・・・
この写真は、ノルウェーの古都ベルゲンで撮ったものだが、こんな異国の路地に迷い込んで何故か出られなくなってしまう・・・そんな情景をテーマに、今回はソロ・プログラムを構成しました。お聴きいただけたらほんとうに嬉しいです。

55番:10/12(日)10:45-11:30 仙台市青年文化センター/D.交流ホール

岡村喬夫(6)「バリアフリー」

2008.06.20| 岡村喬生

田中徹二さんは全盲。日本点字図書館・理事長で、このほどNHK放送文化賞を受賞した。俳優の渡哲也、藤村志穂などと一緒に、永年の盲人向け放送への貢献を表彰されたものである。その偉業を讃えて、一昨日、東京、ホテル・グランドヒル市谷で160名の人々が集まりパーテイが開かれた。僕は同点字図書館の理事の一人で、同図書館の為に資金を集めるチャリテイコンサートでアーテイストの選定などのお手伝いをしている。田中さんは早稲田の理工学部学生で図面を引いていたが、視力を失い文学部に入りなおした。僕は彼がまだかすかに視力を持っていた頃から知っている。

全員着席の宴は1万円の会費でフルコースのフランス料理が供されたのだが、それは、目の不自由な方々にはビュフェースタイルは駄目なのだそうだからで、このホテルが最もそういうパーテイに慣れているのだそうだ。新しい皿が目の前に供される毎に、サービスの人は丁寧に耳元で、料理の説明を一人ひとりにくどく繰り返す。晴眼者には必要ない説明である。例えばフィレステーキに付く温野菜類は一括して、柄がついていて取りやすい小分けの鉄製鍋に入り、同一皿の上に並ぶ。小皿でなく鉄鍋なのは柄が付けてあり取りやすく、万一落としても破損し怪我などしない為だろう。

僕は田中さんたち盲界の人たちと付き合い、色々と勉強をした。田中さんという人がそうなのだろうと思ったら、実は盲人は皆、謙遜だった。そして、このホテルのように世間には、そういう人々の為に便宜を計らうすべを知っている人がいるのだ。聾界の人々にもこのホテルは対応するすべを知っているのかもしれない。駅のホームにも盲人向けに黄色い点線が引かれている。ファミリーレストランにも点字のメニューがある。缶ビールにも点字で印があり何々ビールであること、そして開け口が解るようになっている。

本間一夫という人が日本点字図書館を盲人の為に私財を投げ打って開設した。僕たちがやっているチャリテイコンサートは本間一夫記念と銘打っていることで解るように、本間先生は盲界の先進的偉人である。そして本間先生が田中さんを後継者に指名した。本間先生、田中さんたちのお陰で世間にはバリアフリーの思想が広まったのである!

御喜美江(5)

2008.06.19| 御喜美江

私は小さい頃から美しい風景を眺めることが何よりも好きでした。

なんだか年寄りじみた子供と思われるでしょうが、人混みと騒音が苦手で、満員電車やデパートの特売場などはまさに悪夢でした。お友達と一緒に町へ出掛け、買物や食事をして遊ぶこともたまにはありましたが、そういう時間からエネルギーを得ることはまず不可能でありました。ですから13歳の春に単身ドイツを訪れ、シュワルツワルトの深い森に囲まれたメルヘンのような小さな街トロッシンゲンを見た瞬間、無条件に魅了されてしまったのです。

だからといって大学の定年まではまだまだ…、「風景との対話」だけを生活のテーマに出来るほど時間もお金もないのですが、はっとさせられる風景に出会うと、その余韻はいつまでも心に残り、直接ではありませんが演奏上でもインスピレーションやアイデアとして、少しばかり良い効果があるようです。

大好きな作曲家の一人E.グリークが22年間、亡くなるまで住んでいたトロルドハウゲンの家は大きな湖のほとりにあります。グリークは「私はこの地球上にパラダイスを見つけた」と言ってこの地を愛したそうです。 昨年11月ちょうど日没の頃、アンドレ・ワッツ、夫シェンクと一緒にここを訪れましたが、空と雲と水と森がほとんど同系色となって静寂の中に横たわっている、それは現実から遠く離れた不思議な空間であり、いつまでも忘れられない美しい風景でした。

岡村喬夫(5)「ジャパニーズ外国語」

2008.06.19| 岡村喬生

Ready’s Cut 3200円。――我が家の近くの調髪店の入り口の立て看板にチョークでこう書いてある。その下に、新規調髪 Rady’s Cut 20%Off。とある。

その店にはReady かRadyという調髪師がいるのですかね?!? もしそうだとしても、そんな人名は特記するには値しないから、このへんてこな英文は、ほぼ間違いなくLady’s Cut と書きたかったのだろうが、なら、女性が調髪してくれるのですかね!?!いや、本当は、女性客の調髪は3200円、と日本語で書くべきだったのではないですか?

昔、高知でのこと。飲み屋の名前が Luna Losso となっていた。固有名詞だからどう名付けようとかまわないのだが、Luna Rossa にしないと横文字系の客は大笑いする!――でも赤い==rossa、月==lunaを僕はまだ見たことがないけど!

尤も、僕もその昔、ローマで大笑いされたことがある。足にマニキュアをした女を見たぜ、と言ったときのことだった。どんなにいかれた子でも、今も昔も、足にはペデイキュアしかしない。マーニ=手の複数形。ペーデイ=足の複数形。つまり、目が痔になった、と同じようなことを言ってしまったのだった!!

同胞のことは笑えない!

御喜美江(4)

2008.06.18| 御喜美江

私は、ドイツ・エッセン市にあるフォルクワング音楽大学でアコーディオンを教えています。
平均でいつも10人くらいを教えていますが、国籍は現在セルビア、ロシア、フィンランド、ブルガリア、日本、オーストリア、ドイツ、ルクセンブルグの8カ国で、年齢は19~29歳、男女の割合はまあ半々といったところです。音楽大学の本科は個人レッスンですから、毎週一人一人を60分~120分教えるわけですが、私の生徒には2人として似たタイプがいません。性格のみならず個性、習慣、趣味、演奏スタイル、どれをとっても皆さん全く異なります。これは長年教えてきて感じることなのですが、「アコーディオン奏者になろう!」なんてことを考え付く時点で、すでに世の中の平均から離れ、どこかずれているのでしょうか。

私から見ると実にバラバラ・タイプの集団ですが、不思議なことにクラスはそれなりにまとまっていて、もちろんライバル意識はあるでしょうが、他の楽器のクラスに比べると横の繋がりは強いように感じます。この写真は、昨年12月に行われた「慣例クリスマス・コンサート」その打ち上げ会のスナップです。尚、どのグラスも空になっていますが、この10人には一つだけ共通点があります。それは「お酒が非常に強い」ということであります。

岡村喬夫(4)「バラの香り」

2008.06.18| 岡村喬生

年に一度の同期会が一昨日、熱海で開かれた。早大29年卒のグリークラブの仲間が8名、皆妻同伴で都内のホテルに集まった。このホテルの元社長、岡君がメンバーの一人である。今年は彼が幹事だ。僕は商売だから当然だが、彼らは今でも男声合唱を続けている。だからかどうかは知らないが、後期高齢者たちにしては――嫌な言葉だ――かくしゃくたるものである。熱海を知り尽くした岡の案内で、僕は「お宮と寛一」しか知らなかった熱海の名所をつぎつぎと見ることができた。

アカオ・ハーブ&ローズガーデンは、春と秋がシーズンのバラを中心として、ローズマリーやミント、レモングラスなどなどのハーブに覆われ、馥郁たる香りが、東京ドームの15倍とかいう、海を見下ろす山の斜面を利用した花園に満ち満ちていた。ギリシャ扇形劇場風の屋外結婚式場もある。ローズハウスというバラの蜜をお茶やアイスクリームと楽しむ茶屋もある。戸外では咲き乱れる薔薇に蜜を求めて蜂が寄ってくる。 蜂は蜜を感じて花弁に集まるのです、と案内人が教えてくれる。

ではあの美しい花びらは、蜂にとっては必要ではないではないか。蜂は花弁の種を別の期に運んで交配を媒介する役を担っているが、それは意識的にではなく、万物の生命が枯れないように司る、天の配剤の結果として無意識におこなっているのだろう。しかし、美しい薔薇は人間の感性に訴えて我々を喜ばせてくれる。じゃ、蜂にも人間と同じく美を感じる感覚はあるのだろうか?――

知っている方は教えてください!――。

生命の起源はたった一つの細胞だったそうな。だとすると、昆虫だろうと、爬虫類だろうと、哺乳類だろうと、ひとしく、生きとし生きるものは、美しいものに集まる本能をもっているのかも知れない。だとすると、美しいものを鑑賞しない人間は、生き物の生き方に反しているのではないか!

先進国といわれているこの日本で、音楽会にも、展覧会にも、美術館にも、一度も足を運ばないで、―――運べないのではない―――、一生を終わる人がいることを僕は思いだして、案内の人が教えてくれたように、咲き競う幾種類ものバラの花びらに鼻を当てて、微妙な香りの違いを楽しんだのである。

御喜美江(3)

2008.06.17| 御喜美江

長いこと外国に住んでいる日本人は、ほとんど例外なく日本食が大好きだと思います。私の場合は外国生活がこの秋で36年になりますが、日本食に勝る食文化は他にないと信じて疑いません。幸いデュッセルドルフにいることが多いので、日本食に困ることはないのですが、ちょっと疲れたとき、食欲のないときなど、「お刺身、焼き魚、酢の物、山菜、白いピカピカのご飯…」などを思い浮かべるだけで空腹感が体内に生まれてきます。また心の通った友人達と楽しい夕食会をしたいと思うとき、まず候補に挙がるのが「日本食レストラン」であります。そして不思議というか嬉しいというか、最近では外国人でも”日本食がベスト”と信じている人が年々増えはじめ、ドイツ人の夫など、食卓にお箸が置かれているだけで「今日は日本食?」と満面の笑みを浮かべます。

仙台には美味しいものがたーくさんあります。 今回は夫も一緒なので「仙台に行ったら何を食べようか、何を飲もうか…」と今からその日を楽しみに心待ちにしています!

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