スペインでドイツの話を。

2018.08.09| 岡本誠司

みなさまこんにちは!
今年初めて”せんくら”に出演させていただく、ヴァイオリニストの岡本誠司です!

 

2016年の第6回仙台国際コンクールの時に長期間仙台に滞在して以来、仙台のことが大好きになり、今年2018年の7月初旬に再び仙台フィルハーモニー管弦楽団さんとの共演と学校訪問ミニ・コンサートのために仙台を訪れた時は、第二の故郷に戻ってきたかのような心持ちでした。

 

そんな僕ですが、1994年生まれの千葉県市川市出身、昨年東京藝術大学を卒業し、現在はドイツ・ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学で研鑽を積んでおり、そして今このブログはなんとスペインのマヨルカ島で書いています!

仙台での思い出やせんくらの出演公演(ちなみにどちらも9月29日、公演番号は25番52番。覚えやすい!) の詳細はこの後の2回のブログで書くといたしまして、今回は自己紹介がてら主に最近の生活について書こうと思います。

 

 

3歳の時に一緒に遊んでいた女の子に自慢されて羨ましくなったのがきっかけでヴァイオリンを始め、その後ここには到底書ききれないほどの様々な方々との出会いがあり、20歳になった2014年にはドイツ・ライプツィヒの60年以上の伝統を持つバッハ国際コンクールのヴァイオリン部門でアジア人として初めて優勝しました。

 

実は小さい頃から不思議とバッハの作品が好きでした。6歳の頃そのとき練習していた曲がどうしても好きになれず、一度ヴァイオリンをやめたときも、しばらくして不意にバッハのシャコンヌが弾きたくなったのがやる気を取り戻したきっかけでした。

もちろん当時の僕にはシャコンヌを弾くだけの充分な技術はなく、本来15分ほどの曲を弾き終えるのに1日半かかってしまったのですが!笑

 

そういう事もあって、バッハやベートーヴェン、シューマンやブラームスら数々の偉大な作曲家が誕生し、活躍したドイツには自然と愛着を持っており、留学先にはドイツを考えていました。

実はもう少し早く留学しようと考えていたこともあったのですが、様々な要素が重なり、昨年夏に入学試験を受けて秋からドイツのベルリンに住み始めたというわけです。

 

 

ベルリンの壁が崩壊した後に生まれた世代ではありますが、街や物事の歴史を知るのが大好きな僕にとって、ベルリンはとても興味深い街です。

 

人口350万人のドイツの首都でありながら、冷戦中の西ベルリンへの物資輸送用に2ヶ月足らずの急ピッチで作られたそれほど規模の大きくないテーゲル空港が未だにメインの空港として使われているため、アジアとの直行便が一切ない事や、名物がカリーヴルスト(ソーセージの上にトマトソースとカレーパウダーがかかったもの)とアイスバイン(塩漬けした豚のすね肉を煮た料理)くらいしかないのはご愛嬌として、旧東西の街並みや空気感の違いを同じ街の中で感じることができ、大戦や冷戦中の悲惨さとそこから立ち上がった人々のエネルギーが伝わってきます。

 

ちなみに僕が今住んでいるのは旧西側の中心地、Zoologisher Garten駅からほど近い地域なのですが、通っているハンス・アイスラー音楽大学はAlexanderplatz駅から近い旧東側、ベルリンで師事しているアンティエ・ヴァイトハース先生も旧東ドイツ出身です。

 

今年4月、イタリアでのヴァイトハース門下の合宿の折には、30~40年前から現在までの様々な実体験を交えた話を先生から聞くことができ、非常に興味深かったです。

 

 

さて、そんなベルリンにはベルリン・フィルは勿論のこと、その他にもいくつもの素晴らしいオーケストラ、コンサートホールがあり、世界中から音楽家が集まってきます。

演奏会は到底行き尽くせないほどあり、しかも学生のためのチケットの料金はどんなオーケストラ、演奏家のコンサートでも10ユーロ~高くて15ユーロ(約1300~2000円)ほど!

そういった好条件にも関わらず、都合がつかずに聴けない演奏会があることをとてももどかしく思っています。

 

というのも、留学が始まった昨年秋以降も、ありがたいことに日本での演奏会や2016年のヴィエニャフスキ国際コンクール(次回以降のブログで少し詳しく書こうと思います!) がきっかけのご縁で、ポーランドなどヨーロッパ内での演奏会をいくつも戴いており、ベルリンと日本、ベルリンと他の街との往復が続いているのです。

長期間ベルリンに逗留している事も当然あるのですが、例えば忙しかった今年の6、7月はこのようなスケジュールでした。

 

4月末~6月12日…ベルリンにてアレクサンダー・テクニーク、中世声楽、視覚文化論の授業、通常のレッスンやカルテットのリハーサル、レッスンなど

6月13日…ベルリンの学校のホールにてヴァイトハース門下のクラスコンサート

6月14~19日…パリにてリハーサル

6月20、21日…ベルリンに戻って授業や先生のレッスンなど

6月22~24日…ポーランド東部のSzczawno-Zdrojという街の伝統あるヴィエニャフスキ音楽祭にて、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番を演奏

6 月25~27日…ベルリンに戻って授業など

6月28、29日…東京へフライト、そのまま夜に仙台入り

6月30日~7月5日…仙台フィルハーモニー管弦楽団さんとのブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番の共演、仙台市内の小学校訪問コンサート

7月6~11日…東京にてリハーサル、楽器の調整など

7月12~15日…東京・銀座ヤマハホールでの室内楽演奏会のリハーサルと本番

7月17日…ベルリンへ

 

留学中はできる限りひとつの場所に留まってしっかり学びなさい、という先達の皆様のアドバイスも戴いておりますが、様々な方々とのリハーサル、様々な土地のコンサートでの演奏から得られる経験は毎回計り知れないもので、そのひとつひとつが自分の血となり肉となっていると感じています。これからも人一倍有意義に活動し、たくさん吸収して経験を積めるよう頑張っていこうと思います。

 

 

 

…とは言うものの、束の間の息抜きの必要性を感じたため、マヨルカ島に来てこのブログ第1弾を書き終えようとしているわけです。

 

ちなみに地中海に浮かぶマヨルカ島はドイツ人に大人気のリゾート地で、観光客の出身国は地元スペイン、イギリスを抜いてドイツが堂々の第1位。

 

ドイツ国内からも格安航空会社が多くの直行便を運航しており、僕もそれに乗ってマヨルカに降り立ちました。

 

真っ青な空、燦々と照りつける太陽、透き通った海、真っ白な砂浜、新鮮な海産物の美味しい料理。

 

どれもドイツでは味わえないものですね!(おっと失礼)

それではブログ第2弾、第3弾もお楽しみに!
(マヨルカ島でせんくらブログを執筆中)

 

岡本 誠司

 

 

 

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