私のブログ担当も最終日になりました。
今日は、私が特任教授として毎年集中講義を行っている秋田の国際教養大学についてお話ししようと思います。
国際教養大学は2004年に秋田に開学、すべての授業を英語で行い、学生には1年間の留学を義務づけることで注目を集めています。大学のランキングでもいつも高い位置をキープしています。音楽科はない大学ですので、一般教養としての音楽を、「音楽と演奏」というタイトルのもと、演奏も含めたレクチャーという形で毎年一学期、教えています。
今年は、私の秋の演奏スケジュールが忙しくなったので、例年行っている秋学期に教えることはせず、春学期に2時間の講義を19回行いました。
6月の末に、二夜連続の公開講座を、初めての試みとしてプロデュースしました。シリーズ1日目は、ジュリアード時代の同期で、現代音楽のスペシャリスト、ピアニストの朝川万里さんによるアメリカの現代音楽について演奏とレクチャー。エリオット・カーターのピアノ作品を中心に、アメリカ現代音楽の流れを辿る試み。2日目は、私が講義を行っている音楽室をサロン風のセッティングに作り、ピアニストの坂野伊都子さんを伴奏者に招いて、私の新譜“AIR&DANCE on Violin”から12曲を取り上げ、レクチャーを交えながら演奏。演奏後はスイーツと私持参のコーヒーマシーンで本格的なコーヒーも提供し、皆さんとの会話を楽しみながら、サロン形式のコンサートを体験してもらいました。
国際教養大学での一般の学生向けの14年間の講義の経験は、私が2011年からプロデュースしている「青少年のためのレクチャーコンサート」や、東京の白寿ホールで2015年から大人向けに展開している「レクチャーコンサート」として実っています。今年の秋から冬にかけては、4月にオープンしたばかりの浦安音楽ホールでも「青少年のためのレクチャーコンサート」のシリーズを開始しますし、白寿と青葉台のフィリアホールが連携した形で行う大人向けのレクチャーコンサートも予定しています。
9月に仙台で皆様にお目にかかれることを、楽しみにしています。
演奏家にとって、演奏会用のドレスは衣装であり、仕事着でもあります。
やはり着ていて動きやすく、演奏の邪魔にならないもので、色彩やスタイルが演奏曲のイメージに合致していて、且つ、演出したい「私」のイメージにもあったものでなければなりません。それに、年齢によっても似合うスタイルは自然に変わってきます。
25才の時に着ていたものが、45才で似合うはずもありません。
私の場合、「つるし」で買うもの、仕立ててもらうもの、この二種類の方法でドレスを選んでいます。今の若い学生に「つるし」と言っても通じないことが多いのですが、いわゆる既製服、プレタポルテです。
仕立てていただくのは、20代の時から一人の方にずっとお願いしていますが、先日、20年前に作ったコンサート・ドレスの何着かをリメイクしていただきました。ここに、20年前の写真と、現在のリメイクしたものを着た写真を両方掲載いたしますね。
やはり数の少ない、特別な生地を使って作っていただいたドレスですから、すべて解いて作り変えるとまた息を吹き返し、まるで私と一緒に成長し、生きてくれている気持ちになります。一着のドレスと形を変えながらこのような長いお付き合いができるのも、演奏家人生の喜びの一つです。
今年もせんくらに出演できること、とても楽しみにしています。
ブログ担当、第1日目はこの春にリリースしたばかりの新譜“AIR&DANCE on Violin”についてお話ししたいと思います。
嬉しいことに、先日発表された「第10回CDショップ大賞」2018前期クラシック推薦盤にも入っていますし、「レコード芸術」6月号でも特選盤に選ばれました。19世紀半ばから20世紀半ばまでの名曲集として、音楽史の流れも俯瞰しながら、ヴァイオリン(グァルネリ・デル・ジェス「ムンツ」1736年製)とピアノ(ホロヴィッツ愛用の1912年製ニューヨーク・スタインウェイ)の名器の音色も楽しんでいただくというユニークな内容の1枚です。
今回もSACD(スーパーオーディオCD)/CDのハイブリッド盤としてリリースしていただきました。私自身、今まで良くわかっていなかったのですが、SACDはより高音質で、通常のCDとは使っているシステムが違う。ハイブリッドは2層分の録音領域のうち、一層を通常のCD層、一層をSACDとして入れてあるため、普通のCDプレーヤーでも再生可能。
私が毎年集中講義を行っている秋田の国際教養大学には、私が10年ほど前に研究費で購入したSACDプレーヤーがあり、リリース後にそれで完成盤を聴いてみました。やはり、普通のCD層で聴くときよりも、音につやがあり、なめらかさと奥行きが加わって、ヴァイオリンの音色がより立体的に再現されます。
実は、今回の録音に関して数人の友人から、音がいつもより少し暗めでは?少し詰まった感じがあるのでは?などとの感想ももらいました。私の家にあるCDプレーヤーではそんな印象は受けませんでしたが、再生する機械によって、実は聴こえてくる音が随分変わるということを、私自身で今回ほど強く感じたことはありません。編集しているときのレコード会社スタジオのステレオ・システム、家でそれを確認するときのステレオ・システム、大学で再生した時のシステムと、それぞれで音の印象がかなり違うのです。ですから、音質を決めるときに、比較する別のCDをいつも持ち歩き、それとの相対的な音質の比較で、色々の詳細を確認していました。因みに、先の「音が暗めなのでは?」とコメントしたお一人は、その数週間後に非常に高価なステレオ・システムが備わっているスタジオで再度私のCDを聴き、「印象が違って、素晴らしく深みのある音でした」と報告してくださいました。
長くなってしまいましたが、もし機会がありましたら、是非SACDプレーヤーで、私の新譜をお聴きになってみていただけたらと思います。