皆様こんにちは、佐藤しのぶです。
ブログに慣れないまま、遂に最終日となりました。
なんだかテストに落第したような気持ちに陥っていますが・・・(笑)、今は東京で、10月末初演の新作オペラの練習に奮闘しています。
一つの作品を創り上げるまでの時間とエネルギーは、それはそれは想像をはるかに超えるもので、 まさに「産みの苦しみ」ですが 、出来上がった時に仲間たちと分かち合える喜びも大変大きいものです。
どんな作品を歌う時も、いつも練習時間が足りない、と叫んでいるうちに本番がきてしまいます。
が、振り返ると、初めてその作品を歌った日から、なんと数十年の月日が流れたことに驚くこともあります。これもクラシック音楽の素晴らしさのひとつですね。
ひとつの作品を通して、試行錯誤を繰り返しながらも、半世紀、いやそれ以上、 健康である限り生命尽きるまで、時間をかけてほんの少しずつ自分なりの成長をしてゆけるからです。
また、自身の進歩を一曲の中に感じられる瞬間があるからです。そしてその時間をかけた音楽がお客様の心に響いた時、本当に深い喜びに満たされます。
世の中はアンチエイジングが大流行ですが、私はむしろ逆行していて、年齢は大切な宝物だと感じます。年齢を奪われたくないし、年齢すら考えず、もっと毎日の営みに没頭し、未来の自分を創り続けたいです。
9月29日皆様にお目にかかれます事をとても楽しみにしております。
拙い初ブログを最終日までお読みくださり、ありがとうございました。
オペラ「蝶々夫人」より
追伸
実は、私は明日仙台にお墓参りに行きます。
昨年亡くなった父の兄が眠るところです。
久しぶりに親戚と会えるのが楽しみです。
きっと29日には従兄弟達も聞きにきてくれるでしょう。
そして亡くなった父も叔父も天から笑顔で歌を聞いてくれることでしょう。
皆様こんにちは、佐藤しのぶです。
「せんくら」は2011年3月11日のあの東日本大震災という未曾有の大災害を乗り越え、続けてこられました。それは言葉に尽くせぬほどのご苦労とご努力の賜物と胸が熱くなります。6年経ってまだ本当の復興には至らないたくさんの問題もありますが、こうして「せんくら」を続けることの大切さと意義を益々強く感じます。
ところでみなさん「までいの村」をご存知でしょうか。福島県飯舘村のことで、「までい」とは、”手間暇かけて”、”丁寧に心を込めて”、”両手で包むように大切に”、”慎ましく”….といった広く深い意味を持つ言葉だそうです。
飯舘村は、あの震災の原発被害で全村避難をされた村ですが、あの日から、村民一丸となって今日に至るまで頑張っておられます。ご縁あって、私は飯舘村の菅野村長からこの言葉を教えていただきました。
2015年3月28日、まだ避難生活の真っ只中にありながら、東京・池袋の東京芸術劇場コンサートホールで行われた「東日本大震災復興に寄せるチャリティコンサート”明日へ”」の演奏会で飯舘村の子供達の歌った「花は咲く」。その、あまりに明るく元気一杯な歌声に、皆、涙が溢れとまりませんでした。
古来、日本人は、資源に特別恵まれたわけでもない小さな島国で、農耕民族として、お互い助け合いながら自然の厳しさを耐え抜いてきました。こうして、飯舘村に限らず、日本人には「までいの精神」が先祖から受け継がれていると思っていました。が、時代や人々の暮らし、価値観も激変する中で、私達は目に見える豊かさに惑い、いつしか大切なものを忘れていったように感じます。
でも、私達はあの震災で、生命の尊さ、人との繋がり、本当の幸せとは何か… 目に見えないものが如何に大切かを考え始めました。
音楽は目に見えませんし、音楽の効能を数値化して証明する事も難しいでしょう。
しかし、音楽は、人の心に確実に力や勇気、希望や安らぎを与え、精神を育んでくれます。ですから、初めての方こそ、せんくらの演奏会を、是非一度体験していただきたいと思います。美しい音を響かせる為に「までい」の心がなければ、生まれない演奏だからです。これこそが「までいの音」です。
せんくらの未来を心から応援します。
皆様、はじめまして、佐藤しのぶです。
8月15日から3日間ブログを担当することになりました。
実は生まれて初めてブログを書くことになり、今とても緊張しております。どんな方がお読みくださるのか、何についてどんなふうに書けばよいのかよくわからないのですが・・・
今日は8月15日という特別な日です。
やはり厳粛な気持ちで、平和の尊さについて書かせていただこうと思います。
戦後72年を迎え、戦争体験者や原子爆弾投下による被爆者の方々が年々亡くなられていく中で、戦争を知らない私達こそ、自ら歴史や過去を学び、次世代のために平和な未来を担うべく責任があると感じています。
日本は世界で唯一の被爆国です。
その大きな責務を世代を超えて受け継ぎ、しっかりとバトンを渡していかなければなりません。
音楽は人と人とを繋ぐもの。
音楽は人の心をより人間らしく育んでくれます。
戦争は人間を人間で無くしてしまいます。
私の恩師の中山悌一先生は、こう仰っておられました。
「歌い手はすべての立場や考え方の異なる人の気持ちを理解できるようでなければならない。でなければ、決して人の心を打つ歌は歌えない」と。
体験せずとも想像力を持って努力し、あらゆる人の気持ちに想いを馳せること…
容易ではありませんが、楽譜によって作曲家の真意を読み解くことから始まる演奏家にとって、不可欠なことだと思います。
音楽は人間の為に在ります。
今こうして健康で平和の中に音楽できることへ深く感謝し、戦争で亡くなられた方々へのご冥福と、平和への祈りを込めて、シューベルトの連禱「Litanei」歌い、捧げます。
これは、私が小学5年生の頃に両親が広島の平和記念資料館に連れて行ってくれた時の写真です。