こんにちは、近藤嘉宏です。
さて、先日はクラリネットの板倉康明さん、チェロの上森祥平さんとのブラームスのクラリネット三重奏曲の合わせがありました。

合わせの様子。練習室がそれほど広くないのでピアノの蓋の開きは少しだけにしました。
実は全くの初顔合わせ。ブラームスはテンポや表現について様々な選択肢や可能性があり演奏家冥利に尽きますが、その分相性も大きく関係してきます。今回のメンバーは音楽の流れがスッと腑に落ちて、かつ自分のやりたい方向性もきちんと出せる、とても居心地の良いトリオです。
さて…話は変わって…
ピアノの演奏会は大ホール、中ホール、小ホール、サロンと様々な空間で行われます。勿論音響も違ってきますが、コンサートの意味合いというか、聴衆との関わり合い方もそれぞれ変わってきます。
大ホールは雰囲気がゴージャスですね。聴き手は場のスケール感を楽しみ、豊かな残響の中で音楽の全容を大きく掴むという感じになります。中ホールはピアノにとってちょうど良い大きさで残響感も程よく、聴き手がピアノの音の質感や音場を楽しみ、表現と響きの相乗効果から作り出される音楽そのものの立体感や空気感を楽しめます。小ホールは演奏者が近いことによる迫力と細やかさが魅力。繊細な表現が聴き手にハッキリ聴こえます。ですから小ホールで音響の素晴らしいところは実は最高かもしれませんね。

そしてサロン。サロンはホールとは根本的に意味合いが違うように感じます。演奏者と聴衆とのコミュニケーション、親密感、そして音と音楽のダイレクトさ、細やかな表現が手に取るように分かる面白さ。音楽における様々な要素の原点はサロンにありますね。個人的にサロンの雰囲気は大好きです。

ヨーロッパではお城などもコンサート会場になりますが、残響が独特です。豊かな響きというだけでなく、金粉が降ってくるかのように神々しく音が降り注いでくる感覚が気持ち良いですね。シャンデリアや彫刻などの複雑な凹凸も音に大きく関係していると思います。

ちなみにこの写真はミュンヘンのレジデンツ
近藤嘉宏