バレエとの共演

2016.07.09| 渡辺玲子

私のブログ担当も最終日になりました。

今日は2012年に初めて経験し、今も続いているある演奏活動(?)についてお話しします。

今年の4月にも、NHK「バレエの饗宴」に参加しました。
これは年に一度、日本のトップダンス・グループを集め、NHKテレビで全国放送もされる大きなバレエの演奏会です。

この「バレエの饗宴」、2012年の第1回にNoism1の「Solo for 2」でバッハの無伴奏を舞台上で(舞台下のピットではなく)共演したのがきっかけとなり、昨年はNoism1の「supernova(新作)」で黛敏郎のヴァイオリン協奏曲、今年は谷桃子バレエ団の「オセロー」(新作)でシュニトケの合奏協奏曲の第1番、スターダンサーズ・バレエ団の「リラの園」でショーソンの詩曲も演奏しました。

そのほかにも、新国立バレエ団の「Solo for 2」、Noism1の米国ワシントンDCのケネディ・センターでの公演でもバッハの無伴奏で共演しました。

20世紀のバレエの巨匠、バランシンは「バレエではまず音楽ありき、音楽に踊りを合わせていく」というようなことを言っていますが、現実にはダンサーに音楽が合わせていることが多く、生演奏の魅力の一つであるべき即興的なテンポの変化や微妙な表現の揺らぎも、ままなりません。
実際、それが私にとっては「非」音楽的と感じられてストレスがたまることも多く、リハーサル中に投げ出したくなることも一度や二度ではないのです。

では、なぜ繰り返しバレエとの共演に挑戦するのかと考えると、やはり最終的にはダンサーの要求に答えながらも、音楽的な意味合いや魅力を自分の演奏の中で失わない、その微妙な緊張バランスを自分の中に見つけることで、作品の新しい魅力を同時に見いだせると感じているからだと思っています。

 

7月2日、Noismの新作、劇的舞踏「ラ・バヤデール」を横浜のKAATへ観に行きました。シンプルで印象的な舞台装置と素晴らしい踊り、そしてISSEY MIYAKEの衣装も機能的で美しく、バヤデールの古典バレエそのものを観たことがない私には、音楽を聴きながら想像が膨らみました。再構成されて挿入された3人の俳優による台詞は、「音楽と踊りがすべてを語っている」と強く信じる私には不必要に思われましたが、異なる形態の芸術を組み合わせている舞台は、とても良い刺激になりました。

 

これでしばらくお別れですが、私の
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もご覧いただければ嬉しく思います。

 

秋に仙台で皆様にお会いできることを楽しみにしています。

 

ballet gala 2016

 

渡辺玲子(ヴァイオリン)

現代作品

2016.07.08| 渡辺玲子

先日、イタリアのスーパースター・ピアニスト兼作曲家のGiovanni Alleviさんのコンサートを、浜離宮ホールへ聴きに行きました。

 

アレヴィさんとは、2013年にイタリアのラヴェンナとミラノで、彼のヴァイオリン協奏曲を彼自身の指揮で共演して以来のご縁で、毎年一度は演奏会を聴きに行っています。

 

昨年もミラノで、偶然私の滞在中に演奏会があり、招待していただきました。
日本にもこの3年、毎年来日されていますが、イタリアでは何千人も入る大きな会場をいつもいっぱいにしてしまう国民的スーパーピアニストです。

彼のヴァイオリン協奏曲は技巧的な華やかさも十分にありますし、何といってもイタリア的な抒情的な美しさが随所にあって、聴いていて素直に楽しめる協奏曲。

精神性を追求した前衛的な現代作品を演奏していくことも大切ですが、現代の作曲家と聴衆の乖離の問題を考えるとき、アレヴィさんの曲のように心に素直に入ってくる作品を演奏することも大切なのではないかと最近は感じています。

 

いつか皆さんに聴いていただく機会が来ると嬉しいですね。

 

Allevi concert in Milan

 

渡辺玲子(ヴァイオリン)

毎年行っている「車いす使用者のためのコンサート」

2016.07.07| 渡辺玲子

今日から3日間、ブログを担当するヴァイオリンの渡辺玲子です。

昨年に続き、今秋もせんくらに参加できることを、とても楽しみにしています。

9月30日のフェスティバル・ソロイスツ、10月1日午前中の公演ではギターの巨匠・福田進一さんとの室内楽、そして午後はピアニスト青柳晋さんとのリサイタルで、計3公演で演奏します。どれも音楽祭という場にふさわしい豪華なプログラムです。
多くの皆さんと会場でお会いできることを願っています。

 

さて、このブログでは最近の私の活動を少しご紹介したいと思います。

先月はサントリーホール主催の室内楽の祭典、「チェンバーミュージック・ガーデン」に参加しました。これは毎年6月に数週間に亘って行われる室内楽のフェスティバルで、プロのカルテットの演奏会は勿論のこと、サントリーホールのアカデミーの学生も、ベテランの演奏家や巨匠と混じって、多彩なプログラムを演奏します。

私は2013年から「車いす使用者のためのスペシャルコンサート」のプログラム企画と演奏を受け持っていて、4回目の今回は、池田菊衛さん(ヴァイオリン)、磯村和英さん(ヴィオラ)、堤剛さん(チェロ)、大萩康司さん(ギター)にご参加いただいて、バルトークやショスタコーヴィチ、メキシコの現代作曲家アングロなどの作品を含む、ユニークな1時間のプログラムを演奏しました。嬉しいことに聴いてくださる参加者も年々増加していて、今回は60名の車いす使用者と付き添いの方々が来場、ホールがいっぱいになりました。
最後のボッケリーニの有名なスペインの舞曲「ファンダンゴ」では、リズムに乗って手をたたく子どももいて、生の音楽を楽しんでもらえたようです。これも完全にバリアフリーになるサントリーのブルーローズの特徴を生かした企画であり、30周年を迎えるサントリーホールの重要な役割の一つとして、これからも続いていってほしいと思います。

尚、一般の方々に向けては、別の日に同じメンバーで、プログラムを少し変えて演奏しました。

 

写真提供:サントリーホール

写真提供:サントリーホール

 

 

渡辺玲子(ヴァイオリン)

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