当然のことながらホールによって音響は異なります。
長い残響や短いもの、音が増幅されるように聞こえることもあれば、いまひとつ自分の音が届いていないように思えてしまう場合もあります。
前回書かせて頂いた無伴奏のレパートリーには豊かな響きの会場が適しているのかもしれません。
一方、残響の長さによって演奏するテンポも大きく影響を受けます。
長い残響の場合はテンポをやや抑え気味でスタッカートなどもより意識した奏法を心がけます。もちろん時には長い残響の中、高速なテンポでわざと音と残響をかぶせるように奏する場合もありますが・・・・・。
今回の「せんくら」も3日間、それぞれ異なった会場で弾かせて頂きます。皆様にお目にかかれますこと、心より楽しみにしております。
私はこのところ無伴奏のレパートリーに多く取り組んでいます。
イザイの無伴奏ソナタやパガニーニの作品など、頻繁にコンサートの演目として入れています。そして無論、バッハの無伴奏ソナタとパルティータは生涯を通して究めていかなければならない作品でしょう。
この9月、紀尾井ホールにて行う「ソナタシリーズ2016」は自分にとってとても大きな意味を持つものとなります。
バッハ:パルティータ1番を演奏し、漸くヴァイオリン音楽の最高峰とも言うべき全6曲を制覇したことになります。
細かなモチーフを様々な表情で描く、試行錯誤の日々を送っています。
いつか全曲を演奏するコンサートを開いてみたいものです。
まだまだ暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年も「せんくら」の季節が近づいて参りました。
私にとって「せんくら」出演は今年で節目の5回目となります。
毎年感じていることなのですが、暑い夏をいかに過ごすかが、音楽家にとって活動を続けて行く重要なテーマだと思います。それまでのたまった疲労をとりつつ、来たるべきシーズンに向けての準備を行います。
8月はここ数年来恒例の八ヶ岳でのセミナーに参加しました。若い受講生の皆さんにレッスンをしながら自分も新たなレパートリーの練習をするとても充実した時間でした。
それにしてもレッスンとは難しいものだなと感じてしまいます。
自分では感覚的にできていることも言葉として分かり易く伝えなければならない。
でもこれは自分にとっても多くのことを学習できる貴重な時間なのかもしれません。