3年前に猫を飼い始めました。
自他ともに認める「犬派」の僕がです。
名前は「ロッシー」といいます。
生まれて6ヶ月ほどの時に我が家にやって来ました。
ケージの隅でおどおどとしていた小さな猫が、見る間に大きくなって、気が付いたら我が物顔で家中を闊歩するようになっていました。
「オスは男の飼い主には懐かない。」などと言われてびくびくしていましたが、ロッシーは人懐こい個体であるらしく、気が付いたら僕と背中合わせで寝ていたりします。
癒し効果は絶大で、もう彼なしには居られない状態になってしまいました。
どうです?可愛いでしょう。(親ばかでごめんなさい。)
せんくらのように毎年同じ時期に開催される音楽祭には特別な雰囲気があります。
留学時代には春はイースター音楽祭で、夏はひと夏ザルツブルグで過ごしていました。
オーケストラは春はベルリンフィル、夏はウィーンフィルで、団員さんたちは毎年同じ家を借りて過ごしていました。
聴衆も毎年いらっしゃる常連の方が多く、ザルツブルグはもともと観光地ですが、その時期ばかりは街中音楽祭の関係者で溢れて、華やいだ特別な雰囲気がありました。
僕が居たのはほんの数年でしたが、そこに流れている伝統を身をもって感じたのでした。
せんくらに毎年出演されて、いわゆる常連の方々もいらっしゃいますが、その方々はたとえ仙台出身でなくても「せんくら」に帰って来るといったような気持ちを持っておられるのではないでしょうか。
回を重ねるごとに自然とせんくらにたいする愛着が生まれてくるのだと思います。
コンクールの出身者も毎年出演します。
彼らも異口同音に仙台に「帰って来る」と言うのだそうです。
コンクールは若い音楽家にとってそれはそれは厳しい舞台ですが、そうだからこそ運営のスタッフや聴衆の暖かさが身に染みるのだと思います。
そして、その街にまた戻ってきて演奏できるという事がどんなに彼らにとって喜ばしいことか想像に難くありません。
そんな出演者たちの「想い」と、毎年楽しみに聴きに来てくださるお客様の応援が、10年という歳月を経て、まさに美味しいお酒が醸されるようにこの目に見えない「雰囲気」を醸し出すのだと思います。
時を経て「イヴェント」から街に根付いた「文化」へと。
せんくらはこのような「雰囲気」を纏った、堂々たる音楽祭になったのではないでしょうか。
2006年に始まったせんくら。
僕が仙台フィルの指揮者になったのも2006年でした。
それから6年間、せんくらは僕にとって秋の風物詩でした。
そのせんくらが10周年、とても感慨深いものがあります。
その記念すべき10周年に再びせんくらの舞台に立てることを嬉しく思います。
仙台の街を久し振りに訪れるのもとても楽しみです。