ティンパニを全面に出すとともに、堀内和子のベリーダンス、吉田葵衣のフラメンコダンス、そして服部恵のパーカッションでお送りする今回のせんくら39番公演。
加えて何と、さとう宗幸さん率いるミヤギテレビ「OH!バンデス」の出演メンバーがティンパニや打楽器の演奏者としてゲスト出演してくださいます!
先日番組でも放送されましたが、皆さん打楽器の演奏は今回が初挑戦です。
活気溢れる秩父屋台囃子(埼玉)のリズムに乗せられて、マリンバ(木琴)のダイナミックな独奏が展開する「マリンバ・スピリチュアル」(作曲:三木稔)に全員でトライします。
譜面を渡されたOH!バンデスメンバーのみなさん、大変ドキドキしていらっしゃった様子でしたが、私もベストを尽くして行きます。
ポイントはどれだけ出演者全員が全身でビートを表し出せるかにかかっています。
舞台は誰かに合わせたり、従ったり、誰かにくっついていれば良いという世界では有りません。自然由来のリズム、それらひとつひとつがクッキリハッキリしているのと同じように、出演者一人ひとりが自立して、かつ有機的なアンサンブルをします。そうして初めて、ご来場のお客様と、ライヴでしか味わえない一体感が得られるのです。
ティンパニや祭り囃子の打楽器での演奏を通して、自然を賛美する。OH!バンデスのメンバーの皆さんが今回のプロジェクトに真摯に向き合うそのお姿こそが、仙台・宮城の多くの人々へ元気をふりまくに違いありません。
果たしてどのようなステージになるのか!?
皆様のご声援を宜しくお願いいたします!
そして、お客様にティンパニを体験していただける響きのワンダーランド(10/4・13:15~ 太白区文化センター)へもどうぞご来場ください! 会場でしか味わえない体験をお楽しみに!
仙台フィルハーモニー管弦楽団 首席ティンパニ奏者
竹内将也
リズムに対する感性を養うには、リズムをグループやかたち、全体での意味としてとらえる前に、中に含まれるひとつひとつの発音から、リズムそのものの息吹を感じることがとても大切に思います。
言葉にもリズムがあります。例えば「ティンパニ」という言葉を用いて説明しますと、ひとつの言葉「ティンパニ」をひとくくりの言葉としてとらえようとするのではなく、むしろ逆にその「くくり」から抜け出そうとする作業をします。
やりやすいのが、一文字ずつ順繰りにずらしていく方法です。
まず、「ティンパニ」を繰り返して唱える。あせらず確実に。
次に「ニティンパ」を繰り返して唱える。
次に「パニティン」を繰り返して唱える。
次に「ンパニティ」を繰り返して唱える。
そして再び「ティンパニ」を唱えてみてください。
最初に唱えた時と違った感覚が現れませんか?
リズムの新しい感覚が浮かび上がります。ひとつひとつの発音もよりハッキリすると思います。
人間の脳は、普通「ティンパニ」を一つの言葉・名前として捉えているので、内在するリズムを隠してしまいます。一つの言葉としての「くくり」の方が支配的です。
リズムの息吹をよみがえらせるには、こうした人間の、「大抵は~」「普通は~」といった潜在意識から解き放たれる必要があります。私達の脳は相当自分の都合の良いように世界を見ています。とらえやすいように、細かいところを切り捨てています。
リズムは自然由来のもの。自然由来のリズムが、自然由来の響きを呼び、自然由来の歌を奏でます。そうなると自然に踊りたくなります。人間も自然由来ですから!
10月4日の公演では、このような自然由来のリズムで会場が響き渡ります。そこにベリーダンス堀内和子、フラメンコダンス吉田葵衣のダンサーお二人が花となって聴衆の皆様に美しい香りをふりまくことでしょう。お楽しみに!
仙台フィルハーモニー管弦楽団 首席ティンパニ奏者
竹内将也
ティンパニ、それは私が12歳で出会ってすぐに大好きになった楽器です。
ティンパニは大きいです。
1セット4台並べますと一坪以上の場所を取ります。オーケストラではそれを一人で扱います。
ティンパニは丸いです。
球形の胴でできた響体(釜)の中では、上に張られた皮からの振動によって空気が対流しています。この釜をひっくり返して見ると、見渡す限りの天空が地平線の円周の上に広がっているように見えます。
ティンパニは神秘です。
大抵の太鼓はドレミ~のようなハッキリした音程を聞き取ることはできませんが、ティンパニだけはオーケストラの殆どの楽器と同じように音程が聞き分けられる特別な太鼓です。しかしその原理はよくわかっていません。弦楽器や管楽器は弦や管というように、「線」的なものの長短で音程を調節しますが、ティンパニの皮
は丸いので「面」です。面になっている皮と球形の釜からハッキリと音程が聞こえる不思議な太鼓です。
ティンパニの音は、包むように優しく、かつ勇敢で力強いです。
ティンパニの音響は楽器自体だけでなく会場全体との空気の呼応によってつくられます。とても全体的なサウンドです。
ですのでティンパニは、その場の空気感を一瞬で仕立ててしまいます。ティンパニで表現されるリズムは常に最も象徴的な印象を与えると同時に、緊迫した場面や無限に広がる情景をも描写します。シベリウスという作曲家(フィンランド)はその意味でティンパニの使い方がとても上手な作曲家です。
このように、ティンパニの音は人間的というよりは、自然・大地的と言えます。
このように魅力溢れるティンパニを、今回は皆さんの目の前にご披露して実際に体験していただく機会を設けました。今回はコンピュータを使用してティンパニの音響にリアルタイムに反応する映像を投影しながら、会場全体がティンパニによる宇宙空間になります。
10月4日の太白区文化センター・展示ホールにて、響きのワンダーランドを是非体感してみてください!
仙台フィルハーモニー管弦楽団 首席ティンパニ奏者
竹内将也