留学して帰国したての時の最初の仕事の話である。
それはピアノの弦の間にボルトやスクリューを挟んで音を変調させる「準備されたピアノ」=「プリペアードピアノ」の演奏の依頼であった。
会場は5000人位入るホールで、2人の歌手のコンサートであったが、ほかのメンバーは確か弦楽器5人、ピアニスト一人、あと「プリペアードピアノ」を演奏する私であった。
ジョン・ケージというアメリカの作曲家がいるが、彼はある時にダンスの伴奏で、打楽器アンサンブルのための曲を依頼されたが、打楽器を調達するお金がないということで困り果てていたその時に、ピアノの弦の間にボルトやスクリューを挟んでみたら、ガムランの音のような打楽器のような音がして、おまけに一つ一つ音程や音色が違うために、沢山の種類の、複数の打楽器を一度に持ったような感じになったそうです。おまけに演奏者はピアニスト一人、アンサンブルも完璧・・・ということでこれはいい!となり、それに作曲をして、ダンスの公演でも使用したというところから始まったらしいです。
さて、私も帰国後最初の仕事なので意気揚々と5000人の大会場へ向かって、楽屋口から入場しました。楽屋にはもちろん各々の楽器の名前の書かれた張り紙があって、「ヴァイオリン○○○様」、「チェロ○○○様」、などとあり、その次には「ピアノ○○○様」とあったのでとうとう私の楽屋だ・・・と思ってみると
「プリペイドピアノ 中川様」と書いてあった。
んんんんん?プリペイド?前払いピアノ?先に謝礼をいただけるのかな?・・・ともしかして先に謝礼をいただいたら帰ってもいいのかな?
こうやって帰国後最初の私の職種は「プリペイドピアニスト」=「前払いピアニスト」中川賢一となったのであった・・・
なかなか知られていない楽器の場合よくこういうことはあります。
もちろん主催者を責めることはいたしませんでした。
そういえば以前ニュースでチェロ奏者のことを「チェロリスト!」といったのをみたことがあったっけ・・・シューベルトのピアノ五重奏「鱒」もアナウンサーが 『シューベルト作曲、ピアノ五重奏、「シャケ!」』 といったのを聞いたことがありました。
クラシック音楽というのはなかなか一般に流布されていない用語が沢山あるのですね・・・
これからも普及に努めなければ・・・
プリペイドピアニスト中川賢一
残暑お見舞い申し上げます。
涼しくなるとホッとしますね。
真夏日の長く続く日々は辛いですが、八百屋さん、果物屋さんには夏だからこそ楽しめる美味しい野菜や果物でいっぱいです!今夏、私の熱中症対策はスイカを朝に食べることです。水分補給になるだけでなく、鮮やかな色は目にも美味しく何か元気が出てきます。小玉スイカがおすすめです!
さて、来週は久しぶりにプラネタリウムにでも行ってみようと思います。銀河鉄道に思いを馳せつつ‥・これももちろん熱中症対策なのです。
せんくら・うた劇場
中村優子
暑かったり涼しかったりする日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
この度、宮沢賢治原作、吉川先生作曲の「銀河鉄道の夜」に出演させて頂く事、心より楽しみにしております。
海外が長かった僕と宮沢賢治さんの作品との出会いはとても運命的なものだったと思います。
仙台に引っ越してきて、佐藤泰平先生と出会い、賢治さんが作詞をした曲を歌わせて頂いたり、今年の頭には塩竈市にて新倉健先生作曲、中村敬一先生台本のオペラ「ポラーノの広場」でキューストを歌わせて頂いたりしました。
そして来年はニューヨークにて佐藤誠一先生作曲の「セロ弾きのゴーシュ」を一人オペラとして初演させて頂く予定です。
日本人の心を描いた宮沢賢治さんですが、実はその作品を守った弟の清六さんの存在も忘れてはなりません。なぜなら、清六さんは1945年の8月10日に襲った空襲で、賢治さんの作品を守り抜いたからです。
清六さんのおかげさまで、我々は賢治さんの作品を楽しめるという訳です。
「銀河鉄道の夜」はその賢治さんの代表作の一つです。
今回、アンサンブルとして、出演する事を、心から楽しみにしています。
是非、お越し下さい。
せんくら・うた劇場
高橋正典
こんにちは!
昨日はヴァイオリンのタタル ヘンリが、私達の夏休みの様子を書かせて頂いたので、今日はピアノの木下順子が夫婦でデュオを結成して来年10周年を迎える私達について書かせて頂きます。
この10年、私生活でも様々な事がありました。
2人の娘を授かった事…。
アートウェイデュオ最初のリサイタルは最初の子供の妊娠8ヶ月の時で、周りの心配を背に大きなお腹で仙台、横浜で開催しました。
子育てがこんなに幸せで、しかもこんなに大変だったとは…!
世の中全ての「母の偉大さ」を再確認しました。神経質な長女だったので、四六時中泣いてばかり。
私は眠気と戦い、朝まで一度でいいから起こされずぐっすり寝たい!と思っていました。
2人目も女の子。
こちらは、妊娠中は大人しく演奏活動を中断していたせいか、産まれて来てからも、よく食べ、よく寝て、楽な子育てでした。
ピアノの練習は朝9時に二人を保育園へ送り届けると同時に始め、お腹を空かせて帰ってくる娘達に夕飯の準備をしてからお迎えに行き、、、という周りに助けられながらの生活でした。
親を始め、今も、どれだけ周りの人達に助けられ、お世話になっているかわかりません。
一生足を向けて眠れません。
今は二人とも小学生。
一昨年はスロバキアツアーに出掛け、ソリストとして2つのオーケストラと計4回共演する機会も頂きました。
スロバキアのオーケストラは、肩肘張る雰囲気が無く、まるで合宿所で朝起きて団員が台所で「おはよう~」と会うような…そんな雰囲気でした。
嬉しい事にまた来年もお世話になります。
日本での演奏活動でも実に様々な事が起きましたが、日本の皆様に支えられている事に日々感謝して、これからもマイペースに皆様と共に歩んで参りたいと思います!
最後に…。
3日間、ブログにお付き合い下さりありがとうございました。
せんくらの会場で皆様とお会い出来るのを心より楽しみに、今後とも皆様の近くにいるアートウェイデュオでいたいと思っています。
どうぞお付き合いをよろしくお願い致します!
ピアニスト
木下順子
せんくらブログをご覧のみなさま、はじめまして。声楽の原田博之と申します。吉川和夫さん作曲の《銀河鉄道の夜》でご一緒できますことを嬉しく思います。私も子どもの頃から合唱を歌ってきましたが、本作品は子どもから大人まで一緒に楽しみ、宮澤賢治先生の世界を味わうことのできる作品です。初演を務めた「合唱団じゃがいも」は、子どもと大人が一緒に素晴らしい舞台をつくりあげました。現在私たちもその練習に取り組んでいます。
子どもの合唱とは縁がありまして、昨年からNHK仙台少年少女合唱隊の指導に携わっております。そして支倉常長が主人公の三善晃先生作曲のオペラ《遠い帆》東京公演(http://www.toiho.info)が、8月23日、24日に迫ってきました。このブログが掲載される頃、私たちは東京・新国立劇場でリハーサルの毎日を送っている予定です。
合唱隊は昨年の仙台公演から上級生が大勢抜けてしまうなど、ここまで困難の連続でした。ですが残されたベリー、ベリー・ヤングな子どもたちと力を合わせて頑張っています。演出の岩田達宗さんや指揮の佐藤正浩さんをはじめ、素晴らしいスタッフの皆さんとご一緒させて頂ける幸せをかみしめつつ、ソリストの皆さんの歌声に感激し、大人の合唱の迫力に圧倒される充実した毎日を送っています。
練習風景がありませんでしたが…、もちろんたくさん練習しました!
私が三善先生の合唱作品と出会ったのは、小学生の時に歌った《オデコのこいつ》から〈ゆめ〉でした。先生の作品に込められたメッセージは、子ども心に強い印象となって残りました。私の声楽の師は2000年の公演で支倉常長役でしたし、今回の常長役の小森輝彦さんも大学でお世話になった先輩です。色々なご縁があっての今回のオペラ公演、陰に徹して精一杯務めたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございます。10月に《銀河鉄道の夜》でお会いしましょう! 今年はフィナーレの第9の合唱指導にも関わっています。こちらも合わせまして、どうぞよろしくお願い致します。
それではみなさま、どうぞ良い夏をお過ごしください。
せんくら・うた劇場
原田博之
せんくら・うた劇場”銀河鉄道の夜”に出演させていただきます、高山圭子です。
今回でありがたいことです、せんくら3回目となります。
2006年、せんくら記念すべき第一回目、ソロのステージと第九で歌わせていただきました。とても嬉しい機会を頂いて嬉しいのと、その大きなフェスティバルに出させていただくプレッシャーで緊張が止まりませんでした。
そして2011年、誰もが忘れられない年に第九を歌わせていただきました。
その時その時で、たくさんの思い出を残してくれる、このフェスティバル、2014年は、アンサンブルでの出演。吉川先生の、銀河鉄道の夜、今回は、せんくら特別バージョン45分でお送りいたします。大変内容の濃い、感動的な作品です!きっと皆さんと素敵な旅が出来るでしょう!では、私は、その旅の準備をしないといけないので、当日お会いしましょう!お待ちしています!
せんくら・うた劇場
高山圭子
皆様こんにちは!
ヴァイオリンのタタルヘンリです。
毎日暑いですが、如何お過ごしですか?私はこのエキゾチックな暑さが好きです。
皆様はどんな夏休みを過ごしていますか?
私はこの夏、家族で海やプールへ行きました。七ケ浜海水浴場、江ノ島海水浴場、自宅近くのありとあらゆる市民プール、そして作並温泉近くのハイランドのプールで思いっきり楽しみました。
写真好きな私は良いショットが撮れる日光へも行って来ました。
10年ぶり2度目の日光!
10年前は1人旅行でしたが、今回は家族4人に加えて、スロバキアから遊びに来た姪っ子合わせて総勢5人で、素晴らしい散歩道を楽しんだり、中禅寺湖でモーターボートに乗ったりしました。
そろそろ仙台に戻り、来年10周年を迎えるアートウェイデュオの記念CDレコーディングに向けて、妻の順子と共に準備を始めたいと思っています。
また、来年3月のスロバキアへの演奏旅行に向けてショーソンのピアノとヴァイオリン、弦楽四重奏の為の協奏曲も楽しみです。
来年1月26日は、仙台でも演奏します。
仙台フィルメンバーとの豪華な共演を楽しみにしていて下さい。
それでは皆様も残り少ない夏を思い切り楽しんで下さい。
そして10月5日にせんくら会場でお会い出来るのを心より楽しみにしています!
ヴァイオリ二スト
タタルヘンリ
こんにちは。作曲家の吉川和夫です。
このたび、45分でめぐる『銀河鉄道の夜』を、せんくら・うた劇場として演奏することになりました。公演は10月5日(日)11:45~12:00、エルパーク仙台ギャラリーホール(公演番号65)です。どうぞよろしくお願いいたします。
ご存知のとおり、「銀河鉄道の夜」は宮澤賢治の代表的な作品です。ジョバンニ、カムパネルラという二人の少年が、「ほんとうの幸い」を求めて銀河を旅する、美しくも哀切な物語…。ところが、題名はよく知っているけれど、実はちゃんと読んだことがないという声もよく耳にします。特別難しい言葉が多いわけではありませんが、イメージがあまりにも壮大かつ自由に広がっていくため、ついていくのに苦労する面が、もしかしたらあるのかも知れません。
その「銀河鉄道の夜」を合唱劇にしようと考えたのは、合唱団じゃがいもの指揮者・鈴木義孝さんでした。山形を拠点とする合唱団じゃがいもは、他に類のないユニークな活動で知られています。ここには子どもからおとなまで在籍していますが、おとなの合唱団に児童合唱パートが付いているのではなく、高校生以下は必ず親と一緒に参加します。三世代で参加している家族もあります。そして、おとなも子どもも、同じレパートリーを歌うのですが、そんなふうに世代を超えて一緒に歌える合唱曲は決して多くありません。そこで、「新しい曲を書いてよ」という鈴木さんの要請に応えて、作曲家の林光さんや萩京子さんや私が作曲してきました。その多くが宮澤賢治を題材とした合唱劇となり、すでに20作品を越えています。合唱劇という形をとれば、子どもは子どもなりの、おとなはおとなの役割をもって活動することが出来ます。お芝居が目的ではありませんが、簡単な小道具や衣装は、みんなで手作り。加藤直さんや恵川智美さんといったプロの演出家に全体をまとめてもらいます。じゃがいも版の合唱劇「銀河鉄道の夜」を演出してくださったのは、故・山元清多さんでした。学生の合唱団のように、声が均質な合唱の美しさとは違って、多世代の声が混じる歌声もなかなか良いものです。
合唱団じゃがいもが、満を持して「銀河鉄道の夜」を合唱劇として制作し、山形と仙台で上演したのは2007年のことでした。名だたる名作への挑戦なだけに、私も合唱団も覚悟を持って取り組みました。しかし、原作は文庫本で60ページ余り、朗読するだけでCD2枚分の時間がかかります。私たちが脚色のポイントとしたのは、「原作の言葉を(時間の関係で)省略はしても変更はしない」ことでした。原作の言葉は、歌うために大幅に整理せざるを得ませんが、言葉の変更・置き換えは一切行っていません。それでも、上演には約2時間を要します。上演に立ち会った方々から「内容がよくわかった」「原作を改めて読みなおすきっかけになった」などの声を頂けたのは嬉しいことでした。
このたびの「せんくら」では、「銀河鉄道の夜」という作品の魅力の一端をお伝えできるよう、さらにコンパクトな45分バージョンを作りました。ここにおさまりきらなかった部分に、面白いところ、大切な言葉がたくさんあります。この公演が、原作を読み直すきっかけになったら嬉しいです。
「せんくら・うた劇場」と銘打ったのは、この合唱劇「銀河鉄道の夜」が、歌であると同時に劇的なストーリーを持っているためです。そういった作品は古今東西いろいろありますから、これから「せんくら」の中でシリーズとして上演していったら面白いのではないかなという個人的な思いを、私は持っています。
思いがけず、中村さん、髙山さん、原田さん、髙橋さん、そして倉戸さんというとても素晴らしい演奏家の皆さんが、銀河のお祭りに集まってくださることになりました。重唱版としては初演になります。45分でめぐる『銀河鉄道の夜』、ご一緒に楽しんで頂けたら幸いです。
合唱団じゃがいもによる合唱劇「銀河鉄道の夜」
合唱団じゃがいものホームページ
http://www.the-jagaimo.com/
せんくら・うた劇場
作曲・監修 吉川和夫
皆様こんにちは!
アートウェイデュオです。これから3日間、夫婦共々お付き合い下さい。
今回デュオとして、2度目の出演となります。前回より広い会場で、より多くの皆様とお会い出来るのをとても楽しみにしています。
公演番号66番で楽しんで頂きたいプログラムは様々な国の舞曲です。
ヨーロッパからアメリカまでを旅しながら、皆様と楽しく、温かく、幸せな時間を味わいたいと思います。
演奏家の醍醐味は、演奏する幸せだけではありません。
会場の皆様との交流、出逢いが、私達夫婦の幸せの源になっています。
明日のブログはヴァイオリンのタタル ヘンリが、明後日はピアノの木下順子がお送りします。
どうぞよろしくお願いします!
アートウェイデュオ
タタルヘンリ&木下順子
いよいよブログも最終日。
今日ご紹介する方は、私が心から尊敬するピアニストの、アリシア・デ・ラローチャ。
この写真は、私が11歳くらいの時に、マドリードの王立劇場の楽屋で撮った一枚です。
「何が何でもピアニストになる!」と決心してから、チャンスがある限りあらゆるピアニストのコンサートへ足を運び、楽屋でお話させて頂きました。楽しかった!!ピアニストの人柄が子供の私でも感じられる本当に貴重な体験でした。
なかでもラローチャさんは、いつも暖かく迎えて下さいました。
彼女は、いつも口癖のように
「everything is difficult」(全ての曲は、難しい)
と、言っていました。ベートーベンの協奏曲第3番を演奏した後も、真剣な表情で、この言葉をスペイン語でつぶやいていたのは忘れられません。
彼女は、私が日本で特にスペイン音楽をプログラムに取り上げていることを、とても喜んでくださり、いつも私に「今、どんな曲を勉強してるの?何をコンサートで弾いたの?」と聞いて下さいました。また、彼女の手と私の手を合わせながら、ピアノのテクニックや音楽のことについてもお話頂きました。
人間としても、女性としても大好きなラローチャさん。
その彼女の気持ちを込めて、せんくらではスペインの作品を演奏します。そこでピアノを楽しむ気持ち、ピアノを愛する気持ちを少しでも感じて頂ければ嬉しいです。
皆様!3日間お付き合い頂きありがとうございました。
熊本マリ