前回のブログで、仙台フィルスタッフが、「こぴっと」の話をしていましたね。
私も、イナカの話から始めます。
私のイナカは、新潟県南部です。
地元には当然、プロ・オーケストラはありませんでした(今もないですが)。
大学に入るまで、オーケストラをちゃんと聴いたことも、楽器を間近に見たことも、ありませんでした。
(ちょっとだけ、地元の市民楽団の演奏を聴いたことはありましたが)
「裏日本」がいやで、テレビの天気予報で新潟県ばかりが雪マークになるのが恨めしく、高校卒業後は、冬も晴天がつづくに違いない(実際そうでしたが)太平洋側に出てきました。
仙台を選んだのは、なんとなくの「イメージ」。なにひとつ知らない街でした。
でも、仙台を選んでよかったと思っています(一人暮らしを謳歌した喜び、というのもありましたけれども)。
過ごしやすい、大きすぎず小さすぎず、歴史と食と自然に恵まれた街ですから。
そして、意識せずに出会ったのが、仙台フィルでした。
私がはじめて聴いたプロ・オーケストラは、仙台フィルです。
サークルの先輩が伝統的に仙台フィルの「楽器運び」のバイトをしていたので、「来週、空いてるか?」みたいな感じで、大学1年のときに誘われたのです。
結局、卒業まで(不定期ながらも、ぽつぽつと)バイトくんをするわけですが、「使えない」バイトくんでしたねえ。
振り返っても、申し訳なく思います。
でも、個人的には、楽器運び・設営の点ではダメダメでしたが、オーケストラの「リハーサル」を現場で(こっそり)聴くのが好きだったのです。舞台袖だったり、客席のはじっこだったり、オーケストラへの興味がどんどん湧きました。
バイトをしたときの演奏曲目は、タイトルを一生懸命おぼえながら(原付で家まで)帰りました。
日払いのバイト代は、ほとんど数日をまたずして、(当時仙台に出来たばかりの新星堂で)その演奏曲目のCDに消えていったのでした。
いま、そのような学生時代を経て、都内のオケ事務局を経て、ふたたび仙台にて仙台フィル事務局に勤務させていただいているのですから、なんといいますか、不思議なものです。
さて、前置きが長くなりました。
私が皆さんに、ここでPRしたいのは、「運命」です。
私のつたない人生の「運命」話ではないです、ベートーヴェンの交響曲「運命」です。
第1楽章が有名ですが、いいえ、皆さんには「最後まで通して」聴いていただきたい楽曲のひとつです。
そうでないと、「運命」のストーリーを体験できないから。
くわしくは、いろんなところに書いてありますから省きますが(私も、バイト代で買った愛聴するG.セルの「運命」のCDを壊れるほど聴きましたが)、感動への道筋といいますか、ベートーヴェンという人は本当にすごかったんだなと、いつもいつも思います。
そして、「案外」、「運命」全曲を実際にナマのオーケストラで聴くことの機会は、それほど多くもないのでは?
学生時代にナケナシのお金で、ブロムシュテット指揮の外来オケの「運命」を聴きに県民会館に行ったのを思い出しますが(もちろん楽屋口から入り込んでサインをもらいましたが)、その後、オケ事務局に勤務してからも、機会はなくはないけれども、そんなに全曲生演奏というのは、決して多くはないかも?と思います。
初めての方は興味を持って、再びの方は期待(新しい出会いの大きな予感)を持って、今回お聴きになってください。
指揮は、山田和樹です。
その凄さを、なかなか、お伝えしきれずにいるのですが、山田さんがタクトをとると、オーケストラからは、「力」で導くような無理のある音楽は聞こえてこず、とても柔らかな、音(おと)それ自体が喜んでいるような、ここちよい響きが聞こえてくるのです。
「運命」全曲を山田さんの指揮で聴くのは、私も初めて。
ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、まさに欧州各地を席巻している話題のマエストロですが、実はそんなに「運命」を多く指揮されていないと思いますよ。
そういう意味でも、聴き逃せない、コンサートなんです。
山田さんの「運命」では、柔らかな、ふくらみのある響きのなかで、
ときに美しく、ときに力は漲り、かけがえのない「運命の体験」が待っていることでしょう。
おススメします。
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公演番号 51
10月4日(土)17:15~18:15 イズミティ21 大ホール
山崎 伸子(チェロ)、山田 和樹(指揮)
仙台フィルハーモニー管弦楽団
シューマン:チェロ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲 第5番「運命」
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仙台フィル事務局 関野 寛
(写真は 緑あふれる仙台市野草園にて)
みなさん、こんにちは。仙台フィルハーモニー管弦楽団事務局の伊東です。
私は4月から仙台フィルに入りました。生まれも育ちも関東で、初めて東北に来たので、慣れるまで大変なことがいくつもありました。
中でも、一番困ったことは「方言」です。仙台は「~だっちゃ」が代表的なのでしょうか?
仕事をしていても「めんこい」や「いずい」といった単語もわからず・・話についていけないことがしばしばありました。
東北ならではの濁点の多さに慣れるまでに非常に時間がかかりました・・(いまも完璧ではないので、たまに聞き返してしまいますが)。それでも、なんとなく最近はわかるようになってきましたが、それでも・・英語の授業のリスニングの時のような真剣さで聞き取るときもありますね。
ちなみに一番最初に覚えた言葉は、「わーげわがんね」(=訳わかんない!)でした。笑
でも、最初は「わーげわがんね」の意味が分からず、意味がわかりませんでしたが、「わげわがんね」が意味わからないという意味だということを認識したときに、頭の中が大混乱でした。(ああややこしい)
私の出身は、「花子とアン」で有名な山梨県ですが、甲州弁を仙台で喋っても通じません(当たり前ですね)。
↑先日帰省した時に、甲府駅の改札前にはこんな看板が!
ドラマの影響が大きいようで、仙台フィルの楽団員のみなさんからよく「こぴっと仕事してる?」とか「てっ!」というのは、言われます。なんだか、地元のことばを使われると・・うれしい気分になりますね。
「“こぴっと”なんて本当に使うの~!?」と言われますが・・・使います!
(コピーするってこと?と言われたことがあります)
本来、“こぴっと”は、「しっかり」とか「きちんと」といったニュアンスなので、学校の全校集会のときは、司会の先生が「気を付け、はい“こぴっと!”、礼っ」ってのが当たり前でしたね。
ドラマの中で使われていない甲州弁も山ほどあるので、興味のある方は調べてみてください。(わにわにする、とか、ちょびちょびする、とか「だっちもねーこんいっちょし!」なーんてのもあります。甲州弁ラップというラップも存在するらしいです。。。)
深夜帯に放送された某番組では「日本一ブサイクな方言」とも言われましたが・・それでもやはり方言というのは、誇りを持ってよいものだと思います。
仙台フィルハーモニー管弦楽団 事務局 伊東広大
みなさまこんにちは。仙台フィル事務局の後藤です。
私事ですが、8月23日(土)・24日(日)と東京の新国立劇場で行われた仙台市主催オペラ「遠い帆」を鑑賞してまいりました。
三善晃先生の唯一のオペラ作品である「遠い帆」は仙台市が2000年に初演したもので、時代に翻弄される常長の苦難に満ちた運命を題材にした作品です。
今年は、仙台藩主伊達政宗公が、支倉常長を大使として派遣した慶長遣欧使節団スペイン到着400周年にあたります。
恥ずかしながら「遠い帆」の鑑賞は初めてでして、冒頭の児童合唱からあっという間に三善先生の音楽に引き込まれてしまいました。
児童合唱もですが一般市民の公募による合唱が素晴らしかったのも印象的で、ソリストもオーケストラも、出演者が一丸となり、まさに熱演の舞台でした!
さて、せんくらのパンフレットに「むすび丸」のかわいいロゴが入っているのをご存知でしょうか?慶長遣欧使節団スペイン到着400周年にちなんで、そのスペインにまつわる名曲を集めた公演に「むすび丸」のロゴがついているのですね。
スペインの音楽といえば、独特のリズムに、魅惑的なメロディ。
常長が400年前に聴いたスペインの音楽はどのようなもので、どのように感じたのでしょうか。
そんなふうに思いを馳せて聴いてみるのも良いかもしれません。
仙台フィル事務局 後藤美幸