最近、日本の歌に惹かれています。
リサイタルでも「荒城の月」、幻想曲「さくらさくら」などを取り上げて参りました。
今は「浜辺の歌」を研究しています。
源田俊一郎氏が合唱に編曲したものを、ピアノソロに編曲しました。
きっかけは故郷の旧友の母が書いてくれた掛け軸です。
「浜辺の歌」の歌詞では、昔と同じ空間を踏みしめながら往時の事や人を偲んでいます。
「変わらないもの」に囲まれた中で「変わっていくもの」の尊さを痛感しています。
せんくらの演奏会ではこの曲をアンコールに奏でたいと思っています。
あなたの故郷はどちらでしょうか。
「記憶する」という行為の中に、変わらない愛がある気がしています。
土田定克(ピアノ)
すっかり秋めいて参りました。
ちょうどこの時期(9月14日~約一週間)をロシアでは「バービエ・レータ」«Бабье лето»(おばあちゃんの夏)と言います。
その呼び名の由来は様々ですが、一説によると、刈り入れが終わって男たちが収穫物を売りに行っている間、おばあちゃんたちが井戸端に腰掛けてお茶を飲んだり、縫い物をしたり、歌を歌ったりと平和なひと時を過ごしたからだと言われています。
この時期はロシアで最も過ごしやすい季節として、人々に特に愛されています。
その想いを詩人は詩に詠い、画家は絵に描き、音楽家は歌にのせて謳歌しました。
日本でも秋を愛する人は少なくありません。
よく「食欲の秋」「芸術の秋」とか言われますね。
美味しいものやイベントが多く、嬉しいこと楽しいことが盛り沢山です。
まさに一年の収穫を享受するときです。秋に咲く花を「秋桜」(コスモス)と書きます。とても繊細な美しい花です。
この芸術の秋。
今こそ親子そろって出掛けてみて下さい。
せんくらでは沢山のアーティストが親しみやすい名曲を奏でています。
土田定克(ピアノ)
仙台を初めて訪れたのは2001年の5月のことでした。
初めて開催された第1回仙台国際音楽コンクールに参加するためです。
当時まだ25歳。
モスクワ音楽院を卒業して間もない頃でした。
モスクワからパリの予選を通過して仙台へ参りました。
初めて仙台駅のホームに降り立ったときの印象は「寒!」。
それに東京などに比べて人が少なく綺麗な都市だと思いました。
その時はまだ自分が将来この土地で生活するようになるとは思っていませんでした。
幼い頃から北国に憧れていました。
北国の自然には控えめな美しさがあります。
冬を迎えて白い粉雪が舞い始めると、しんしんと静かな時間が流れ出します。
だから北国では、音楽がより深く沁みて感じられるようです。
ロシアでも雪道を歩いてホールに着くと、そこで繰り広げられる色彩豊かな音の世界は癒しと感動とに溢れていました。
この東北・仙台でもやはり音楽が盛んです。
国際コンクールも音楽祭(せんくら)もあります。
今後とも益々音楽がより身近なものとなって、仙台から東北の気運が高まっていくことを願っています。
土田定克(ピアノ)